白熊皇帝と伝説の妃

沖田弥子

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別荘の一夜 2

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 彼を、癒したい。心からそう思えた。

「僕も……好きです。レオニート……あなたの心に、僕は触れたい」

 ああ、言ってしまった……。
 素直に想いを告げるのはこんなにも甘く、そして苦しいものなのだと、結羽は初めて知った。
 きつく抱き返され、逞しい胸に顔を埋める。レオニートの、雄の匂いが愛しさを呼び起こした。結羽は胸を喘がせながら、愛する人の薫りを胸いっぱいに吸い込む。
 少し身体を離したレオニートは端麗な顔を傾けた。雄々しい唇が、ふわりと重ねられる。

「……ん」

 口づけは、柔らかくて、甘かった。
 優しく唇を吸い上げられ、ちゅっと水音が響く。
 それだけでもう結羽の唇は甘く綻び、身体は熱を帯びてしまう。

「抱きたい。……良いか?」

 間近から真摯な双眸で問われ、こくりと頷く。
 好きだから、彼とひとつになりたい。
 それは氷が溶けて水に還るように、とても自然なことだった。

「抱いてください……。僕のすべてはレオニートのものです」

 毛皮の敷布の上に、そっと身体を横たえられる。晒された結羽の肌は暖炉の灯りに照らされて、煌々と輝いた。

「綺麗だ……。まるで極上の象牙のような、滑らかな肌だ。手のひらに吸いついてくる」

 レオニートの乾いた手のひらは肩を包むように撫で、平らな胸を辿り、脇腹を下りる。
 美術品を愛でるような繊細さで丁寧な愛撫を施された肌は次第に淫靡な熱を孕む。

「あ……あ、レオニート……」

 身体が熱い。肌をまさぐるレオニートの長い指が、時折胸の突起に引っかかるので、そのたびにずくりとした疼きが込み上げてしまう。
 息を乱す結羽を見下ろして、レオニートは艶めいた微笑を零した。

「ここが、感じるか?」

 きゅっと両方の突起を軽く摘ままれて、甘い痺れが走り、びくんと腰が跳ね上がる。

「ひぁっ!? あっ……あ、ん、それ、だめ……ぇ」

 いやいやと首を振って、胸を反らせる。そうすると、もっとというように淡い色をした乳首が突き出されてしまい、雄の劣情を煽った。
 ちゅう、と突起を唇に含まれて吸い上げられる。舌先で飴のようにじっくりと舐められ、転がされて、快楽を与えられた乳首は硬く勃ち上がり、淫靡に濡れた。

「ふぁ、あぁん……レオニート……そんな……んっ、んぅ」

 愉悦を知らない初心な身体は初めての快感を散らすことができず身悶える。
 舐めていないほうの乳首は指先で捏ねられ、ぷくりと膨らむとまた濡れた舌で愛撫される。両方の突起を交互に可愛がられて、たまらない快楽に噎び泣いた結羽は胸の上の銀髪に指を絡めた。
 ようやく熟れた乳首から顔を上げたレオニートは、結羽の眦に浮かんだ雫を舌先で舐め取る。

「なんと可愛らしい。感じやすいのだな。……もしかして、初めてか?」

 うろうろと視線を彷徨わせた結羽は、朱に染まった頬を腕で隠しながら、こくりと頷いた。 今までに、誰とも経験がない。それどころか恋をしたことすらなかった。

「レオニートが……はじめてです。ぜんぶ……キスも、したことないんです。僕……なにもわからなくて……こんな僕はいけませんか?」

 レオニートはとろりとした笑みを浮かべると、情熱的に唇を奪った。
 ぬるりとしたものが歯列を割り、口腔に挿し入れられる。それがレオニートの熱い舌だと気づいたときには、くまなく口内を舐られていた。艶めかしい刺激を執拗に与えられて、結羽はぞくりと身を震わせる。
 口づけの合間に、熱の籠もった紺碧の瞳に射貫かれる。

「結羽の初めての男は、私なのだな。すべて、もらうぞ。君の身体の奥も、愛液の一片までも」

 搦め捕られた舌根を啜られて、きゅう、と身体の芯が甘く引き絞られる。互いの濡れた舌を絡ませて、延々と擦り合わせた。溢れた唾液が口端から零れて顎を伝う。
 くちゅ、くちゅと淫靡な水音が耳に響き、頭の芯が痺れたように、ぼうっとなる。
 こんなにも濃厚な口づけの仕方があったなんて、知らなかった。
 でも、とても気持ちが良くて。
 好きな人と体液を交わらせるのは、なんて心地良いことなのだろう。
 口づけを解いたふたりの唇を、つうと銀糸が繫ぐ。

「私に任せてくれ。結羽はなにもせず、身を委ねて、ただ感じていてほしい」

 甘いキスの余韻に陶然としている結羽の下肢が晒される。下穿きを剥がれると、ささやかな花芯はきつく勃ち上がっていた。
 太腿を撫で下ろされる感触が伝わった後、敏感な花芯が生温かいものに包まれる。

「んっ……あ……だめです、レオニート! そんなこと……!」

 花芯はレオニートの雄々しい唇に、すっぽりと呑み込まれていた。彼にそんなことをさせるなんて、いけない。腰を引いてやめさせようとしたが、細腰は大きな手のひらで掴まれており、逃れることが叶わない。
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