27 / 56
二十七話
しおりを挟む
寝室のベッドがツインではなく、キングサイズのベッドひとつなのを目にした紗英は、どきりと胸を弾ませた。
もしかして……悠司さんは私との夜のために……?
期待してしまうなんて、はしたないとわかっているのに、胸のときめきを止められない。
けれどベッドの前まで運ばれて、すとんと体を下ろされた。
なんだか拍子抜けしてしまい、紗英はぱちぱちと瞬きを繰り返す。
「あ、それでは……お風呂のお湯を入れてきますね」
「待った」
バスルームへ行こうとすると、腕を取られる。そのまま搦め捕られて、逞しい体に抱きすくめられた。
解放されたと思ったら、悠司の熱い体に抱きしめられて、紗英は混乱する。
「今日一日中、我慢してたよ。紗英にキスしたくて、たまらなかった」
「え……あ、ん」
情熱的な台詞とともに、熱いくちづけが降ってきた。
頤を掬い上げられて、濃密に唇を重ね合わせる。
チュ、チュと淡い音色が鳴ると、すぐにくちづけは深いものに変わっていった。
悠司の雄々しい舌が唇の合わせをノックする。彼に応えて、紗英は薄く唇を開いた。
すると、ぬるりと獰猛な舌がもぐり込み、舌根をくすぐる。
絶妙な舌技で紗英の舌は瞬く間に搦め捕られて、敏感な粘膜が擦り合わされた。
「んん……ふ、ん……」
チュ、チュクと濡れた音が静寂なスイートルームに響き渡る。
濃厚なキスに頭が痺れて、ぼうっとする。
唇が離れると、互いの口端を銀糸がつないだ。
悠司は真摯な双眸で紗英を見つめる。
「抱きたい。きみが可愛すぎて、もう抑えがきかない」
「あっ……ん」
ベッドに押し倒されて、服を脱がされる。
獰猛な猛獣のように求められて、紗英の胸は昂揚した。
キャミソール姿になった紗英を腕の檻に囲い、悠司は独占欲を滲ませて呟く。
「きみは、俺のものだよ」
チュと頬にくちづける唇は、どこまでも優しい。
ベッドに手をついた悠司に、情欲に濡れた双眸を向けられる。
こくん、と紗英の喉が鳴る。
彼に抱かれたい、と心が求めているのを、はっきりと感じた。
極上の獲物を捕らえた悠司は、首筋を甘噛みしながらキャミソールを脱がしていく。
さらにブラジャーとショーツも剥ぎ取られて、素肌が曝された。
全裸の紗英を、悠司は炙るような目線で眺める。
「あ……やだ。恥ずかしい」
「すごく綺麗だ。まるで愛の女神のようだね」
甘く掠れた声で褒められて、紗英の胸は、きゅんと高鳴る。
私……悠司さんが好きなのかな……。
彼に激しい愛撫をされて、体は喜んでいる。
キスマークをつけられた体の至るところが、甘く疼いてたまらない。
彼を受け入れると、壮絶な快感が湧き上がり、甘く蕩けた紗英の肌が艶めいていく。
ふたりは何度も達して、極上の快感を味わった。
愛に溢れた行為を終えると、悠司は後始末を済ませる。
それから彼は、紗英の頭の下に強靱な腕を差し入れて腕枕をした。
彼は爽やかな笑みを見せて、乱れた紗英の髪をかき上げる。
「好きだよ」
そのひとことに、紗英の胸がずきんと痛んだ。
悠司さんは、ベッドをともにした相手への礼儀として「好き」と言っている……。
それがとてもつらい。
でも、もしかしたら違う意味かもしれない。
初めに取り交わした『勝負』に勝つために、紗英の気を引こうとしているかもしれないのだ。
どちらにしろ、本当の意味での『好き』ではない。
紗英を嫌いとは思っていないまでも、本物の恋人にするほど好きではないのだから。
だから、かりそめの恋人なのだ。
紗英は自分の立場をよくわかっているつもりだった。
もう恋なんてしないと決めたはずだった。
それなのに、悠司と体を重ねたあとに「好き」と言われて、こんなにも傷ついている自分がいる。
その顔を見られたくなくて、ぷい、と横を向いた紗英に、悠司は訝しげな目を送る。
「どうした。体が痛いのか?」
「……違います」
「機嫌を直せよ。キスしよう」
そう言って、紗英に覆い被さってきた彼は頬にくちづけする。
紗英はさりげなく腕を伸ばして、キスを拒否した。
嘆息した悠司は、紗英の考えを証明するようなことを言った。
「まだ俺に甘えられない?」
「勝負のことですか……」
もしかして……悠司さんは私との夜のために……?
期待してしまうなんて、はしたないとわかっているのに、胸のときめきを止められない。
けれどベッドの前まで運ばれて、すとんと体を下ろされた。
なんだか拍子抜けしてしまい、紗英はぱちぱちと瞬きを繰り返す。
「あ、それでは……お風呂のお湯を入れてきますね」
「待った」
バスルームへ行こうとすると、腕を取られる。そのまま搦め捕られて、逞しい体に抱きすくめられた。
解放されたと思ったら、悠司の熱い体に抱きしめられて、紗英は混乱する。
「今日一日中、我慢してたよ。紗英にキスしたくて、たまらなかった」
「え……あ、ん」
情熱的な台詞とともに、熱いくちづけが降ってきた。
頤を掬い上げられて、濃密に唇を重ね合わせる。
チュ、チュと淡い音色が鳴ると、すぐにくちづけは深いものに変わっていった。
悠司の雄々しい舌が唇の合わせをノックする。彼に応えて、紗英は薄く唇を開いた。
すると、ぬるりと獰猛な舌がもぐり込み、舌根をくすぐる。
絶妙な舌技で紗英の舌は瞬く間に搦め捕られて、敏感な粘膜が擦り合わされた。
「んん……ふ、ん……」
チュ、チュクと濡れた音が静寂なスイートルームに響き渡る。
濃厚なキスに頭が痺れて、ぼうっとする。
唇が離れると、互いの口端を銀糸がつないだ。
悠司は真摯な双眸で紗英を見つめる。
「抱きたい。きみが可愛すぎて、もう抑えがきかない」
「あっ……ん」
ベッドに押し倒されて、服を脱がされる。
獰猛な猛獣のように求められて、紗英の胸は昂揚した。
キャミソール姿になった紗英を腕の檻に囲い、悠司は独占欲を滲ませて呟く。
「きみは、俺のものだよ」
チュと頬にくちづける唇は、どこまでも優しい。
ベッドに手をついた悠司に、情欲に濡れた双眸を向けられる。
こくん、と紗英の喉が鳴る。
彼に抱かれたい、と心が求めているのを、はっきりと感じた。
極上の獲物を捕らえた悠司は、首筋を甘噛みしながらキャミソールを脱がしていく。
さらにブラジャーとショーツも剥ぎ取られて、素肌が曝された。
全裸の紗英を、悠司は炙るような目線で眺める。
「あ……やだ。恥ずかしい」
「すごく綺麗だ。まるで愛の女神のようだね」
甘く掠れた声で褒められて、紗英の胸は、きゅんと高鳴る。
私……悠司さんが好きなのかな……。
彼に激しい愛撫をされて、体は喜んでいる。
キスマークをつけられた体の至るところが、甘く疼いてたまらない。
彼を受け入れると、壮絶な快感が湧き上がり、甘く蕩けた紗英の肌が艶めいていく。
ふたりは何度も達して、極上の快感を味わった。
愛に溢れた行為を終えると、悠司は後始末を済ませる。
それから彼は、紗英の頭の下に強靱な腕を差し入れて腕枕をした。
彼は爽やかな笑みを見せて、乱れた紗英の髪をかき上げる。
「好きだよ」
そのひとことに、紗英の胸がずきんと痛んだ。
悠司さんは、ベッドをともにした相手への礼儀として「好き」と言っている……。
それがとてもつらい。
でも、もしかしたら違う意味かもしれない。
初めに取り交わした『勝負』に勝つために、紗英の気を引こうとしているかもしれないのだ。
どちらにしろ、本当の意味での『好き』ではない。
紗英を嫌いとは思っていないまでも、本物の恋人にするほど好きではないのだから。
だから、かりそめの恋人なのだ。
紗英は自分の立場をよくわかっているつもりだった。
もう恋なんてしないと決めたはずだった。
それなのに、悠司と体を重ねたあとに「好き」と言われて、こんなにも傷ついている自分がいる。
その顔を見られたくなくて、ぷい、と横を向いた紗英に、悠司は訝しげな目を送る。
「どうした。体が痛いのか?」
「……違います」
「機嫌を直せよ。キスしよう」
そう言って、紗英に覆い被さってきた彼は頬にくちづけする。
紗英はさりげなく腕を伸ばして、キスを拒否した。
嘆息した悠司は、紗英の考えを証明するようなことを言った。
「まだ俺に甘えられない?」
「勝負のことですか……」
2
あなたにおすすめの小説
公爵令嬢は嫁き遅れていらっしゃる
夏菜しの
恋愛
十七歳の時、生涯初めての恋をした。
燃え上がるような想いに胸を焦がされ、彼だけを見つめて、彼だけを追った。
しかし意中の相手は、別の女を選びわたしに振り向く事は無かった。
あれから六回目の夜会シーズンが始まろうとしている。
気になる男性も居ないまま、気づけば、崖っぷち。
コンコン。
今日もお父様がお見合い写真を手にやってくる。
さてと、どうしようかしら?
※姉妹作品の『攻略対象ですがルートに入ってきませんでした』の別の話になります。
男に間違えられる私は女嫌いの冷徹若社長に溺愛される
山口三
恋愛
「俺と結婚してほしい」
出会ってまだ何時間も経っていない相手から沙耶(さや)は告白された・・・のでは無く契約結婚の提案だった。旅先で危ない所を助けられた沙耶は契約結婚を申し出られたのだ。相手は五瀬馨(いつせかおる)彼は国内でも有数の巨大企業、五瀬グループの若き社長だった。沙耶は自分の夢を追いかける資金を得る為、養女として窮屈な暮らしを強いられている今の家から脱出する為にもこの提案を受ける事にする。
冷酷で女嫌いの社長とお人好しの沙耶。二人の契約結婚の行方は?
美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
花里 美佐
恋愛
★神崎 蓮 32歳 神崎造船副社長
『玲瓏皇子』の異名を持つ美しき御曹司。
ノースサイド出身のセレブリティ
×
☆清水 さくら 23歳 名取フラワーズ社員
名取フラワーズの社員だが、理由があって
伯父の花屋『ブラッサムフラワー』で今は働いている。
恋愛に不器用な仕事人間のセレブ男性が
花屋の女性の夢を応援し始めた。
最初は喧嘩をしながら、ふたりはお互いを認め合って惹かれていく。
お見合いに代理出席したら花嫁になっちゃいました
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
綾美は平日派遣の事務仕事をしているが、暇な土日に便利屋のバイトをしている。ある日、お見合いの代理出席をする為にホテルへ向かったのだが、そこにいたのは!?
結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「結婚したらこっちのもんだ。
絶対に離婚届に判なんて押さないからな」
既婚マウントにキレて勢いで同期の紘希と結婚した純華。
まあ、悪い人ではないし、などと脳天気にかまえていたが。
紘希が我が社の御曹司だと知って、事態は一転!
純華の誰にも言えない事情で、紘希は絶対に結婚してはいけない相手だった。
離婚を申し出るが、紘希は取り合ってくれない。
それどころか紘希に溺愛され、惹かれていく。
このままでは紘希の弱点になる。
わかっているけれど……。
瑞木純華
みずきすみか
28
イベントデザイン部係長
姉御肌で面倒見がいいのが、長所であり弱点
おかげで、いつも多数の仕事を抱えがち
後輩女子からは慕われるが、男性とは縁がない
恋に関しては夢見がち
×
矢崎紘希
やざきひろき
28
営業部課長
一般社員に擬態してるが、会長は母方の祖父で次期社長
サバサバした爽やかくん
実体は押しが強くて粘着質
秘密を抱えたまま、あなたを好きになっていいですか……?
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちだというのに。
入社して配属一日目。
直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。
中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。
彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。
それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。
「俺が、悪いのか」
人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。
けれど。
「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」
あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちなのに。
星谷桐子
22歳
システム開発会社営業事務
中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手
自分の非はちゃんと認める子
頑張り屋さん
×
京塚大介
32歳
システム開発会社営業事務 主任
ツンツンあたまで目つき悪い
態度もでかくて人に恐怖を与えがち
5歳の娘にデレデレな愛妻家
いまでも亡くなった妻を愛している
私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?
御曹司の極上愛〜偶然と必然の出逢い〜
せいとも
恋愛
国内外に幅広く事業展開する城之内グループ。
取締役社長
城之内 仁 (30)
じょうのうち じん
通称 JJ様
容姿端麗、冷静沈着、
JJ様の笑顔は氷の微笑と恐れられる。
×
城之内グループ子会社
城之内不動産 秘書課勤務
月野 真琴 (27)
つきの まこと
一年前
父親が病気で急死、若くして社長に就任した仁。
同じ日に事故で両親を亡くした真琴。
一年後__
ふたりの運命の歯車が動き出す。
表紙イラストは、イラストAC様よりお借りしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる