とある小さな村のチートな鍛冶屋さん

トランキル帝国編

体の成長と心の成長

ジェードの襲撃で武器の試しも一旦終了。
「本能のせいとはいえ、眷属様に向かって闘気を向けるとは……」と再び落ち込んでしまったレグルスは、心を落ち着かせてくるとニハルを連れて林の中へ。
2人の様子は気になるもののジェードを置いておくわけにはいかない。だって、ほっておくと悪戯を仕掛けそうだし、私自身若干お腹もすいてきたしね。
2人が帰ってきた時、美味しいものを食べれるようにしておこう。
家の中に入ると、部屋の中で1番日当たりのいい場所でジェードは横になっていた。
……とけてる。
思わず、そう思ってしまうぐらい、ぺしょんとしてリラックスしているのがわかる。
エプロンをつけると、材料を取り出す。
今日は元々ミートパイを作ろうと思ってパイ生地を作っておいたのだ。
私が作るミートパイはいつもなんちゃってで、前日にビーフシチューを作った時の残りで作る。
ビーフシチューの具材を取り出して、荒めに刻んでフライパンで少し水分を飛ばす。
こうすれば、パイができた時に汁でベタベタにならないし、味が少し濃くなるのでパリッとした食感としっかりとした味を楽しむことが出来る。
炒めた後は、粗熱を冷ましつつオーブンを温めておく。
具をパイに包んで、フォークで模様を作って溶き卵を塗ってオーブンへ入れれば、後は時間になれば完成！！
後はレタスを手で一口大にしたら冷水に。
少しつけるだけで、パリッとした食感になるから必ずしている。

ーー野菜なんかいらなーい。肉食べさせろー！

腰あたりにずっしりと重みを感じたと思ったらいつの間にかジェードが近くにいた。
にまにまっとこちらを見ているのはやっぱりとても可愛い。

「みんなで食べるからね。ラリマーやセラフィはお野菜大好きだし。……ところでジェード、さっきの2人なんだけど……」
ーーあれ、本能だろー？気にしてないぞぉ？？でも、おいらのが先にここ縄張りにしてんのになぁ。

けらけらと笑うジェードに私は少し心配になる。

「でも、レグルス、常にあんな状態で社会的に大丈夫なの？」
ーー成長すると、落ち着いてくるんやけどなぁ。あの子はまだ成長しきってないんかもなぁ。
「ルビーくん」
ーー獣人族は獣の特徴を結構受け継いでるんや。10歳ぐらいで大体の成人と同じぐらいになる。でも、その後は緩やかに育っていくんやでー。
「レグルスやニハルの年齢はわかんないけど、たしかに2人ともまだ若そうだし……心が育ってないのか」
ーーそういうことー。だから気にしてないよぉ。

ジェードはそういうとまた日差しのいい特等席で寝そべり始めた。
はは。本当に自由な子だ。
ミートパイのいい香りが漂い始める。
お昼はラリマー達とも一緒に食べるために庭で食べることが多い。
今日も天気が良いので、そうしようといつものセットを取り出し持ち運ぶ。
その様子を見てジェード達も移動する。
彼らを見送り、私はニハルとレグレスが戻ってきた時に上げるための熱々のパイをアイテムボックスに入れた。