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毒華は庇護欲を武器に華と眠る。

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1ヶ月、ミュゲの邸でお世話になりわかったことは、この邸には男性が殆どいない事。
彼女の趣味が私ととてもよく合う事。
音楽にしろ、本にしろ、彼女から借りるものは全部私の好みに合うのだ。
そのことから彼女に対し、私は親近感を覚えてた。
そして、料理も、とても美味しい。

それから、ミュゲは、両親とは別に暮らしている。
何でも、ミュゲはその病弱ゆえに両親には期待されておらず、ずっとこの離れの邸に住んでいるそうだ。

さみしくないの?と聞くと、儚く微笑み「彼女達が一緒にいてくれるから・・・」と言う。
彼女達とは、ここの使用人達だ。
ミュゲと話をしていると、彼女達の目線を感じる。
絡みつくような、嫌な視線。
時々鋭く嫉妬のようにネトっとした視線。

何故だろう?
後、取りおり顔が赤い子がフラフラとしていることがある。
そういう子は、大概私を見ると不敵に笑うのだ。



夜、雨が降ってきた。
雨音がどんどん大きくなり、激しく降っていることがわかる。
時折、遠くで光ったり、音が鳴り響く。
雷の音だ。


コンコンと、控えめに音がする。
どうぞと返事をすると、ミュゲが、涙目で枕を抱きしめそこに立っていた。
その姿を見て、悟った。

彼女は雷が苦手なのだと。

たまに、雷のような音が苦手な人は、昔の私の侍女にもいた。
そういう子はいつも、他の人の部屋を訪ねて一緒に寝てもらったり、雷が過ぎるまで、布団に包まっているという。

彼女は前者なのだろう。

「・・・カミナリ、怖くて・・・お願い、一緒に寝て?」

枕を片手で抱きしめ、涙目の上目遣いでお願いをする彼女は私から見ても可憐で何も考えず、いいよと言ってしまった。

ふんわりと香る、彼女に似合った優しい香水。
これを嗅ぐと心が安らぐのを感じる。

落ち着くようにと、彼女がつけてくれた侍女がお茶を入れてくれた。
もう、夜も遅いから、それが終わったら控えてもらって良いと伝えるとうなづいて出て行き、ミュゲと私、2人きりだ。

カップに口をつけながら、プルプルと雷に震える彼女を見る。
不思議だ。
家を出ていく原因になったのに、この1ヶ月で彼女を知っていくうちに、惹かれている自分がいる。
自身と趣味が合う理解者というのもあるかもしれない。
飲み終わると、眠気が誘う。
おそらく、ミュゲの香りでリラックスした所為だろう。
2人でベットに横になると、ミュゲは怖いからと私を抱きしめた。
その暖かさでさらに眠気が増し、瞼を開けられないほど・・・深い眠りに落ちていった。
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