毒華は自らの毒で華を染める

夜船 紡

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華は判断を間違える

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アネモネが目を覚ますと、そこはミュゲが貸し与えた部屋であった。
身を起こすとミュゲが自身のベットに頭を乗せて眠っていた。
おそらく、寝てしまった自分を心配してついててくれたのだろう。
その証拠に、ミュゲの手は自身の手をぎゅっと握っている。


「・・・まさか、ザクロ様が同性愛者だなんて」

そんな傾向は自身との婚約中はなかった。いや、ミュゲの言っていることが正しいのならばずっと隠されていたのだろう。

「はあ・・・」

ミュゲは行かないほうがいいと言っていたけれど、公爵家へ行ってみよう。
ミュゲの言うことは嘘ではないとは思う。
思うけれども、信じられない気持ちが私自身には強すぎて、この目で見るまで、確認するまで、信じることができなかった。

「ごめんなさい、ミュゲ・・・」

握っているミュゲの手をそっと離し、私は動きやすい服装に着替えると邸を出る。


ミュゲに言ったら止められる気がして、ミュゲに内緒で出てきたことに罪悪感を感じながら、馬のところへと行く。

馬は賢い。
前回乗せた自身を覚えているのだろう、すり寄って来てくれる。
自身が乗る鞍をつけたとき、はっとアネモネはこの鞍が見えにくい出っ張りがあるのを思い出した。そっと自身の手で触れる。出っ張りを発見するとそれは簡単に外れた。

きっと、気付かない間についてしまったんだわ。

そう思うと、馬に乗り、自身の家の方へと走らせた。
場所はわかっている。
ずっと通い慣れた自身の家だ。


馬を走らせ、1時間は走っただろうか?
自身の家はもうすぐそこなので見えてもおかしくないはずだった。
それなのに、姿がみえない。
アネモネは嫌な予感を抑えながら走った。そして・・・たどり着いた。


そこには、なにもなかった。


公爵家の立派な門も

バラが咲き誇る自慢の庭も

城のように立派なお屋敷も

全てが崩れた瓦礫の山と化していた。


「そ、そんな・・・これがあの公爵家なの?」

「そうですよ」


自身の独り言に返事が返ってきて、アネモネは驚いて後ろを振り返る。

そこには、見たことがないほど妖しく艶やかな笑みを浮かべたミュゲが立っていた。

「どうして1人で来たのです?言ってくれれば一緒に行ったのに」
「ご、ごめんなさい」
「とっても心配したのですよ?」
「悪かったと思ってるわ・・・でも、やっぱり私は・・・・」
「いいえ、許しません」
「え?」
「勝手に出て行くなんて、許せません。アネモネ様は私と一緒に住むのに、アネモネ様と私は一緒にいないとダメなのに・・・」

近づいてくるミュゲの瞳は黒く、濁っていた。それに恐怖を覚えながら、後ずさるアネモネ。

「逃がしませんヨォ?」

強い衝撃と共に狂ったように笑うミュゲの声が頭に響き、アネモネは気を失った。
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