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6章 王宮へ出張
33.神官長が身請けするって噂
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神官長は知らないことがある。
神官長と聖域へ迷子救出に行った後から、俺含むその時の護衛は早朝のトイレ掃除の懲罰を受けていた。
男世帯の大聖堂のトイレはヤバい。匂いも汚れも……うん、詳しく説明するのはやめとこ。
神官長の護衛としては正しい判断をしたと思ったけど、騎士隊長には指示の範囲を逸脱した行為とみなされた。
騎士隊長としては、衝動的に行動する神官長を止め、先に隊長の指示を仰ぐべき、という判断だろう。
俺にも、当時頭をよぎった騎士隊の規律よりも、神官長と迷子の救出を優先したい気持ちがあった。だから俺は粛々と懲罰を受け、今日もくっさいトイレを掃除する。
そして、その掃除も今日で最後だ!
「やっと解放される~~るるる」
鼻口を布で覆ったマスク姿になり、便器に突っ込んだブラシをゴシゴシ動かしていた。
その横へ、少し前に綺麗にしたばかりの便器の前に男が立った。
「……おいチャーリー、そこさっきピカピカに磨いた便器……」
「いや~おかげで、気持ちよく小便できるなぁ、ありがとさん」
ひょろりとした立ち姿と笑顔は相変わらず胡散臭い騎士隊の同僚だ。
気持ちよさそうな鼻歌を歌いながら用をたしている。こいつ、後ろからこづいて便器に突っ込んだろか?
「そーだ。神官長とはその後、どうなんだい?」
前にこいつに、神官長にいじめられた話をしたことを思い出した。
「ん、やっぱりいじめとかは俺の勘違いだった。ほら、前の神域での迷子探しの時、一緒に行動したから分かった。あれは回りくどいことのできない真面目な堅物だよ」
「ふうん、そりゃ良かった」
チャーリーは本当に良かったと思っているのか分からない笑顔を浮かべた。
用の終わったチャーリーなのに、すぐに出ていく様子もなく、トイレの小窓を開けてタバコを吸い始めた。
おい、床に灰が落ちるだろーがッ!
「おまえ、こんなところでサボりか?」
「ん~これ1本だけ。……あーそうそう、誤解が解けたってことは、もう神官長のネタはいらないんだっけ?」
「いるいるいる! 出生の秘密? 女関係? 仕事関係?」
「ん~、女関係かなぁ……信憑性は薄いし、これでどう?」
指1本――1000か。ちょうどここに……っとブーツの内側に縫い付けた隠しポケットから札を取り出してチャーリーに突きつけてやる。
「えぇ……もうちょっとマシなのは……クッサ!」
「んで? 神官長の女がなんだって?」
「色町に女ができたんじゃないかって噂があるんだよ。週2,3回ペースで夜に外出して、その先は色町。女に入れ上げて家にもなかなか帰らないとさ」
「へぇ~~~あの神官長が。そりゃあよほどの美人だろうな?」
「まさに、絶世の美女で高級店のトップだってさ。そのうち身請けするんじゃないかって」
思わず笑っちまうじゃないか!
どこの女の話が流れてるんだ? 短髪ムキムキの美男が相手だろ? 身請けの話も聞いたことないぞ。
「神官って結婚できるんだっけ?」
「あぁ、クラレンスは知らないのか。身請けっていっても愛人だよ。ここの大聖堂の神官は表向き妻帯できないけど、裏で愛人を囲うのはOKなんだ。実際、年かさの神官にはそういうのがいるし、大司教のジジイ共なんかは、若い女が家に何人か。愛人だか召使いだかわからんのがいるらしいんさ」
ジジイの裏事情は吐き気がするほど興味ねーけど、神官長の事情には興味ある。
なるほど、全く女はダメって訳じゃないんだ。
てっきり男ばっかり相手にしてきたんだと思っていたけど、女が相手って線も……あるのか?
大聖堂で働く姿を見る限り女の影はないけど、昔の冒険者時代とか。
……うん、モテそぉ~だな!
「情報の出どころはどこなんだよ? 第三隊での噂か? 俺は耳にしたことねぇんだけど」
「王宮のほうからきた噂だな。ほら、王都内巡回の部隊あるだろ、その時に目撃したとかじゃないか?」
それはありそうだな。あの神官長は詰めが甘いし……。
前にアドバイスしてからはカツラ被ったり変装して店に来てるけど、気づくやつは気づくのかも。
「ほんで? クラレンスは神官長を狙ってんのかい?」
「……はっ?!??」
なんでバレた!?
神官長と聖域へ迷子救出に行った後から、俺含むその時の護衛は早朝のトイレ掃除の懲罰を受けていた。
男世帯の大聖堂のトイレはヤバい。匂いも汚れも……うん、詳しく説明するのはやめとこ。
神官長の護衛としては正しい判断をしたと思ったけど、騎士隊長には指示の範囲を逸脱した行為とみなされた。
騎士隊長としては、衝動的に行動する神官長を止め、先に隊長の指示を仰ぐべき、という判断だろう。
俺にも、当時頭をよぎった騎士隊の規律よりも、神官長と迷子の救出を優先したい気持ちがあった。だから俺は粛々と懲罰を受け、今日もくっさいトイレを掃除する。
そして、その掃除も今日で最後だ!
「やっと解放される~~るるる」
鼻口を布で覆ったマスク姿になり、便器に突っ込んだブラシをゴシゴシ動かしていた。
その横へ、少し前に綺麗にしたばかりの便器の前に男が立った。
「……おいチャーリー、そこさっきピカピカに磨いた便器……」
「いや~おかげで、気持ちよく小便できるなぁ、ありがとさん」
ひょろりとした立ち姿と笑顔は相変わらず胡散臭い騎士隊の同僚だ。
気持ちよさそうな鼻歌を歌いながら用をたしている。こいつ、後ろからこづいて便器に突っ込んだろか?
「そーだ。神官長とはその後、どうなんだい?」
前にこいつに、神官長にいじめられた話をしたことを思い出した。
「ん、やっぱりいじめとかは俺の勘違いだった。ほら、前の神域での迷子探しの時、一緒に行動したから分かった。あれは回りくどいことのできない真面目な堅物だよ」
「ふうん、そりゃ良かった」
チャーリーは本当に良かったと思っているのか分からない笑顔を浮かべた。
用の終わったチャーリーなのに、すぐに出ていく様子もなく、トイレの小窓を開けてタバコを吸い始めた。
おい、床に灰が落ちるだろーがッ!
「おまえ、こんなところでサボりか?」
「ん~これ1本だけ。……あーそうそう、誤解が解けたってことは、もう神官長のネタはいらないんだっけ?」
「いるいるいる! 出生の秘密? 女関係? 仕事関係?」
「ん~、女関係かなぁ……信憑性は薄いし、これでどう?」
指1本――1000か。ちょうどここに……っとブーツの内側に縫い付けた隠しポケットから札を取り出してチャーリーに突きつけてやる。
「えぇ……もうちょっとマシなのは……クッサ!」
「んで? 神官長の女がなんだって?」
「色町に女ができたんじゃないかって噂があるんだよ。週2,3回ペースで夜に外出して、その先は色町。女に入れ上げて家にもなかなか帰らないとさ」
「へぇ~~~あの神官長が。そりゃあよほどの美人だろうな?」
「まさに、絶世の美女で高級店のトップだってさ。そのうち身請けするんじゃないかって」
思わず笑っちまうじゃないか!
どこの女の話が流れてるんだ? 短髪ムキムキの美男が相手だろ? 身請けの話も聞いたことないぞ。
「神官って結婚できるんだっけ?」
「あぁ、クラレンスは知らないのか。身請けっていっても愛人だよ。ここの大聖堂の神官は表向き妻帯できないけど、裏で愛人を囲うのはOKなんだ。実際、年かさの神官にはそういうのがいるし、大司教のジジイ共なんかは、若い女が家に何人か。愛人だか召使いだかわからんのがいるらしいんさ」
ジジイの裏事情は吐き気がするほど興味ねーけど、神官長の事情には興味ある。
なるほど、全く女はダメって訳じゃないんだ。
てっきり男ばっかり相手にしてきたんだと思っていたけど、女が相手って線も……あるのか?
大聖堂で働く姿を見る限り女の影はないけど、昔の冒険者時代とか。
……うん、モテそぉ~だな!
「情報の出どころはどこなんだよ? 第三隊での噂か? 俺は耳にしたことねぇんだけど」
「王宮のほうからきた噂だな。ほら、王都内巡回の部隊あるだろ、その時に目撃したとかじゃないか?」
それはありそうだな。あの神官長は詰めが甘いし……。
前にアドバイスしてからはカツラ被ったり変装して店に来てるけど、気づくやつは気づくのかも。
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「……はっ?!??」
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