【完結】戦場へ行った悪役令息はムキムキに成長して帰還した

本編

7.……婚約者ルートエンド ＊（完）

　身近な者の裏切りに頭が沸騰しそうになるが、ベネが俺の後ろに埋まったままの指を動かしたとたん、また思考が奪われて声が漏れた。

「あっ！　やめっ！　へんだっ！」
「まだ１本ですよ。でもここ……かな？　気持ちよくなる場所」

　ニチニチと動いていたものが一点を押すと電流が走った。

「んあっ！」

　そこをトントンと何度も叩かれるたびに快感で俺の息子が先走りを垂らしてグズグズになる。

「あ！あ……そこっ！いやっ」

　息子を手で抜かれながら後ろの感じる場所を叩かれると、ゾワゾワとした快感が高まって、体がピクピクと震える。

「口ではいやっていうのに、ここは絡みついて気持ちいいっていってますよ」
「あ、あ！　いくっ！」

　快感の波がたかまって、後ろと前の刺激でいった。今度は止められずにいけたことで、気持ちよすぎて脱力する。

「はぁ……はぁ……はぁ……」

　まだ痙攣の残る体が異常だ。イッてこんなに感じたのは初めてだった。

「気持ちよかったでしょう。でもあなたにはもっと気持ちよくしてあげたい」
「……もっ、と……？」
「あなたのここをもっとほぐして、体の芯をぐずぐずにとろけさせて、脳みそまで快感で痺れるように……してあげたい」

　ベネの言葉にゾクゾクする。俺の中に埋められたままの指がまた動き始める。それを緊張した体で察してしまう。

「ここを広げて……俺のものを奥まで埋め込んだら、もっと一緒に気持ちよくなれるのに」

　ベネの股間で立ち上がるものが視界にチラリと見えてしまい、俺はゴクリと嚥下してしまった。
　それが欲しい……はずはない。でも、ベネと一緒に気持ちよくなる快感……昔した妄想とは逆の立場だが、昔の甘い感情を呼び起こさせるような言葉だった。

「ベネ……」

　ベネに抱え起こされて、そのまま抱きしめられた。
　熱い体から速い鼓動が響いてくる。

「マーカス……もっとしたいんです。ダメですか？」
「でも……」
「好きです。愛しているんです。あなたをもっと愛してとろけるような快感をあげたい」
「…………」
「ね、おねがいします」

　強姦魔のはずなのに、なぜこんなにも甘い声でねだるんだ。
　無理矢理に押さえつけて体をこじ開けられたなら、逆に心は開かなかったかもしれないのに。
　頰が熱い。
　俺の知らないところでムキムキになってもう恋は覚めたと思っていたのに……。ベネの筋肉は柔らかく俺の体を抱きしめ、温かい体と言葉で昔の気持ちを思い出させようとしてくる。

「ん……」

　頷いてしまった。
　そんな俺にベネは満面の笑みを浮かべた。その可愛い顔のまま、深いキスをしてくる。
　ベネの足の上に跨ったまま、ベネと深いキスをしていると、お互いの立ち上がった息子が擦れて気持ちいい。

　そんなキスをしながら後ろの穴をいじられる。何度もキスを繰り返していると、もはや心はぐずぐずにとけそうだ。
　ふと顔を離したベネが俺の顔をうかがうようにみた。

「本当は聞きたくないんですが……もうパトリックとは最後までしたんですか？」
「は？！　何をいってるんだ！　そんなことしてない……！」
「いや、いいんです。もう明日が卒業パーティなんだ。それならストーリーはだいぶ進んでいるはずだし。あなたとパトリックの卑猥なスチル画像があったことを今思い出しました」
「す、すちる？」

　何をいっているんだ。パトリックとはキスまでしかしていないのに、何か勘違いしているんじゃないか？
　なぜだ？　ベネが怒った顔をしている。

「だいぶ解れましたね。うつ伏せの方が痛くないかも」
「……でも……見えないと怖いだろ」
「そうか……そうですね。それじゃこのままで」

　向かい合わせのままシーツに仰向けに降ろされた。ベネのたくましい腕が俺の足を持ち上げた。

「ゆっくり、いれますね」

　ベネの欲情した顔がそれでもなお美しい。興奮に息を乱しながら、頬を赤らめる姿は、昔想像した顔より淫らだ。

「ン……ンンっ！」

　後ろに入ってくる大きい存在感に思わず息を詰めてしまった。

「は……はぁ……マーカスっ……息を吐いて……」

　ベネに唇を撫でられて、慌てて息を吐くと、ズズッと入ってくる感覚があった。
　よく解されたとはいえ、圧迫感と違和感が強い。

「は……ぁ、……ベネ……ッ」
「もう、少し、です……」

　尻にベネの股間が合わさる感覚があった。最後まで入ったのか、ベネが俺の両脇に手をついたまま動かなくなる。

「はぁ……入りました。でもきつい」
「ん……俺も、くるしい……」
「もっと香油を足します」

　ベネとひっついたままの股間に冷たい感触が落ちて少し震える。

「ここ、食いちぎられそう。でも、それもいい……あなたに必要とされているようで、幸せです」

　つながった場所を撫でられて、体の芯に震えが走る。

「あ……おれだって、ベネが俺の中にいるの……変だけど…………でも嫌じゃない」
「嬉しいです」

　ベネがまた花が咲くような笑顔を浮かべた。

「あなたにこんなことをして、恨まれてもおかしくないのに。私を受け入れてくれるんですね」
「あ……っ、あ」

　ベネが俺の息子を掴んで抜きながら、後ろに入れたものを揺すってくる。激しくはない動きだが、ゆるゆると奥を突かれるうちに快感がましてくる。

「気持ちいいです……マーカスは？　気持ちいいですか？」
「いい…ひん！　……いきそ……」

　ベネがゆるゆる息子を抜く手を離して、俺の腰ごと足を持ち上げると、強く腰を打ちつけはじめた。

「ひっ！　あ！　あぅ！　まて、はげしッ！」
「だめです、とまらないっ、好きですマーカスッ」

　強く奥を打ち付けられているうちに、全身が痙攣するような快感に襲われてイッた。

「…………～～～～ひぁっ！」

　体の奥にもじわりと熱が広がり、ベネもイッたことを知る。

「はぁ……はぁ……あぁ、中で、出してしまいました」

　ベネに抱きしめられて、胸が熱くなる。体から抜けていく存在感にも寂しさを覚えるほどに。
　ベネが俺の顔中にキスを降らせてくる。

「マーカス……私は昔よりもずっとあなたのことが好きです。あなたを抱いたからじゃない。３年間戦場にいながら、ずっとあなたのことを考えていました。どうすればあなたが私のものになるのか……。だから、私は今とても幸せなんです」
「でも、俺は…………」
「いいんです。私のことが昔ほど好きじゃなくても……。少しでも今の私に心を開いてくれた。だから受け入れることに応じてくれた。そう思えるだけでいいんです」

　胸が締め付けられて苦しくなった。筋肉質な腕だが温かく、真摯な言葉からは一途なベネの気持ちが伝わる。

「もう一度、してもいいですか？」

　真面目に聞いてくるベネに恥ずかしさが増して、熱くなった顔を手で覆った。

「～～～～っ！　お前なしでいられなくするんだろっ？！」
「そうでした。明日まで快感でイキっぱなしにして、後ろに私のものがハマってないと疼く体に作り替えるんでした」
「え？！　なっ？！」

　ベネの言葉通り、俺は快感でグズグズに調教されてしまった……。


　結局、翌日は足腰が立たなくて卒業パーティにも出られず、婚約破棄もできなかった。
　パトリックは監視されたまま何事も起こすことができず、そのまま卒業していったようだ。


　俺は卒業後、王宮で政務に励みながら、夜な夜な近衛兵兼婚約者のベネに抱かれている。
　これではそのうち、俺が妊娠薬を飲んで子供を産むことになるのかもしれない。
　昔の妄想とは逆の立場になってしまった。
　ただ、ベネの筋肉質な腕で抱き寄せられて、厚いが柔らかな胸筋に埋もれるのも気持ちいい。
　これもいいかな、と思っている。

END