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巡る世界
48. 狼に食べられる兎の寝床*
しおりを挟む躊躇して一度立ち止まると、なかなか次の一歩が踏み出せなくなる。
だから変にブレーキをかけず、勇気を出して最初の一歩を前に進ませておこうと、確かにそう思った。
思ったけれど、これはさすがに、展開早くない!?
「あっ……あっ、あっ……ウォル……!」
「レン……」
カーテンを閉めた薄暗い部屋の中、お互いが真っ裸でベッドの上にいた。
僕が着ていたのは軽装備の服だから、普通の服よりしっかりしていて簡単に脱げるものじゃない。なのに、ウォルは恐ろしい速さで僕の装備を完全にひっぺがし、自分の服も脱ぎ落としていた。
彼の匂いがついていない場所はもうどこにもないだろうというぐらい、全身をくまなく舐められた。
傷付かないよう絶妙な力で耳を食まれ、そこから走った快感に、鎖骨から胸のあたりまでびりびり痺れる。
ついさっきまでくすぐったいとしか思えなかったその行為が、今やすっかり別の感覚に塗り替えられていた。
しかも。
「ぁ、あ……やっ、ウォル……嫌だっ……」
「ん? 痛くはないだろう?」
「ひんっ……」
彼は今、僕を仰向けにした体勢で腰を抱えつつ、お尻の中に指を入れている……。
痛くはない、確かに痛くはなかった。けれど、そこに指を入れられて、神聖魔法を使われた僕はどうしたらいいんだ。
怪我の防止と回復と、浄化作用のある魔法なのだそうだ。便利過ぎる。
助かるよ、助かるんだ、もちろん助かるとも! だけど!
それはそこにそういう意図で使っていい魔法ではないだろ!?
ちなみに肉食獣人の爪は普段、先端が指の肉に埋もれた形でおさまっているため、中を傷付ける心配はない。攻撃する時にだけ爪が長く伸びる仕組みだから心配はいらないと、指を入れる直前、彼が丁寧に教えてくれた。……とても大事なことだな、うん。
入り口から入って浅いところに、かすめるだけで身体が跳ねる場所があり、そこを何度もこりこりと攻められて、さっきから声が止まらない。
力の入らない手でウォルの胸を押し返そうとしたら、あまりにも鼓動が速くて、びっくりして手を離した。
彼の目を見たら、焼け焦げそうな目でずっと僕を見ている。こんな、涙とよだれで絶対みっともない顔を。
「ぁ、あ……」
狙い澄ましたように、いっそう強まる求愛の香り。
まんまと抵抗の力が抜けてしまった。そのくせ、お尻に入ったウォルの指はぎゅっと締め付けてしまう。
彼は嬉しそうな匂いを発して、僕のそこを見た。
自分でもわかる。僕の中心はもうすっかり勃って、ずっと液をたらしている。
さんざん僕に変な声を出させた後、ようやく指が引き抜かれた。
お互いにどんな状態なのか、見なくとも嗅覚でだいたい察せてしまうんだけれど、僕はつい好奇心でそこを見てしまった。
僕のそれと比較するのは大間違いな、ウォルの立派な凶器……。
ごくりと喉が鳴り、本当にものすごく、今さらな疑問が湧いてきた。
「あ、の、ウォル……」
「ん?」
「ウォルは、僕を、その……」
言い淀むと、僕よりも察しの良い狼は、すぐにピンときた顔になった。
「前々からキスをしたかったし、抱きたいと思っていたが、それがどうした?」
「あ、え……う……」
「全身真っ赤になって震えているおまえは、いじらしいし可愛い。むしろ以前のおまえは、見た目があんまりにも小さくて弱そうだったもんだから、ヘタに手を出せそうにないと思っていたがな。……今は、前より旨そうだ」
食べ頃の兎を見下ろし、狼が舌なめずりをする。
こんなギラついたヤバい瞳で、こんなヤバいセリフを言われて、なのに僕の鼓動は恐怖ではなく、歓びでどくどく高鳴っている。
もしかして自分は、ヤバい男に引っかかってしまうタイプだったのだろうか?
両足を抱え上げられ、羞恥と期待で涙目になりながら、ゆっくりとウォルの大きなものを受け入れた。僕に痛みを与えることなく、それはずぶずぶと奥まで到達し、一番深いところまで嵌まりこむ。
そこを突かれた瞬間、強烈な快感が腰から脳天まで突き抜けて、全身がびくんとしなった。
「あ、あぁあ……!」
「ふっ……く……」
「……ぁ、……ウォル、ウォル……」
どうしよう。本当に彼が僕の中に入っている。
目尻から散った雫を、ウォルがキスで吸い取ってくれるのにさえ感じてしまう。
はふはふと浅い息を繰り返し、彼のぬくもりと初めての快楽にうっとりと目を細め――
「んっ?」
目を見開いた。僕の中の、浅いところにある弱い部分が、内側からぐぐ……と押されている?
「え? ……あっ、あっ? ウォルっ、なに、なにこれっ?」
「ああ、これはな」
狼が少し気まずそうな顔になった。
いわく。狼族の男根は、挿入後、抜けないように内側で、コブができる、らしい。
そのふくらんだ部分が、ちょうど僕の弱点の位置にあって、押し付けるように当たっていると……。
「……あの、ウォル。ごめん。一旦、ぬいてくれないか、な……」
「無理だ」
「ひぁっ!? ――あっ、あうっ!?」
奥の感じる場所を突きながら、ウォルは僕の腰を抱え込み、繰り返し揺さぶってきた。
「やっ、やぁあっ! ウォルっ、ぬいてっ! おねがっ……ぬいてぇっ……!」
「無理だと、言ったろ。くそっ、かわいいな……」
「あっ! ひっ! あんっ! だめぇっ……あぁああ……っ!」
腰を抱えた手が、兎の尻尾を握ってくる。弱点である尾の付け根をこすりながら、容赦なく胎の最奥も抉り、のけぞった胸に舌を這わせる。
彼の攻めは徹底していた。どこもかしこも強烈な快感に襲われ、僕の理性はどこかへ吹き飛ばされ、自分のものと思えない嬌声がしきりに口から漏れてしまう。
やがて中に出された瞬間、僕も同時に達していた。出される感触にぶるりと震えながら、自分の先端からもとぷとぷと溢れさせてしまった。
でも、まだ終わらない。
「悪い。俺のは長いんだ。今から謝っとく」
「あ、あぅ、……あんん……」
――謝るタイミングが遅いよ!? そういうのは先に言うべきじゃないのか!
なのに、口から出るのはうっとりと甘えた声ばかり。
また奥にたくさん出されて、一度達した僕のものも、すぐにむくりと復活してしまった。
「レン……」
僕を好きだと、大切だと、全力で訴えてくるこの香りがいけない。
これのせいで、僕はいつだっておかしくなってしまう。
「すき……ウォル……すき……」
そう伝えたら、嬉しそうに細められる瞳も、全部、全部好きだ。
この気持ちも、どうせ彼にはバレバレなんだろうけれど。
「レン……俺の番だ……俺の……」
「……ウォルぅ……ぁあぁ……」
僕は長い時間をかけて、彼のすべてを使ってとろかされ、隅々まで美味しくいただかれてしまった。
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読みに来てくださってありがとうございます。m(_ _"m)
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所用により次回は11/6以降の更新になります。
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