鋼鉄幻獣ドラーケン

夏大好き

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第3話 風に舞う雪のように(後編)

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路地に響き渡った声にその場の一同が硬直する。
フウカが男たちの背後、路地の入口に目を向けると、そよかぜで出会った少年―――ガストの姿があった。

(ガスト!? でも、なんで…)

ガストはカームと話をしていたはずだ。
それでも今この状況では知り合いに会えたことが嬉しい。

「ちっ、ガストか…」

男の1人が舌打ち混じりに呟く。
どうやらガストと男は顔見知りのようだが、その口調から親しい間柄ではないことが分かる。
ガストに気を取られたのか、フウカの手を握る男の力が弱まる。
その隙を逃さず、フウカは男の手を振りほどく。

「あっ、こら!」

フウカは男の脇を抜け、ガストの元へ走り寄った。
親が助けに来てくれた小動物のように、その後ろに隠れる。

「ったく、何やってんだよ…」
「ごめんなさい…アス君が迷子になって…私、探さないとって」
「バーカ、アスなら1人で帰って来たぜ。お前が迷子になったってベソかいてな」
「えっ」

思わぬガストの報告にフウカは驚いた。
だが、確かにアスとはぐれたのは自分がよそ見をしている間で、アスは地元の子供である。
これで迷子になったというのは自分の方が適切だ。
何にせよアスの無事は確定したので喜ばしいことではあるのだが、ガストのズケズケとした物言いにフウカは不満を表す。

「それにしたってお前って…私は―――」
「分かった分かった。文句なら後で聞くからちょっと静かにしてろって!」

フウカの不満を雑に宥めたガストは改めて男たちに向き直る。
2人ともこの辺りじゃ有名な不良だ。
ガストたちにも何度か街の食堂で絡んできた。

「こいつは俺んとこのお客さんでね。悪いけど連れて帰るぜ」
「おいおい、ガスト。このままタダで帰らせるわけねぇだろ?」

男たちは威圧するように指をポキポキ鳴らした。

「見たところ今日はアラドの奴も、あのゴリラ女もいねぇ。お前1人で俺たちに勝てると思うか?」
「素直にお嬢ちゃんを渡した方が賢明だと思うがね」

ガストを1人だと見て、男たちは余裕の態度で語る。
確かに2対1ではガストの不利は明白だろう。
しかし、ガストもただ勢いで乗り込んで来たわけではなかった。
ガストは指をチッチッチと振る。

「お前らこそ俺の前で変なことはしない方がいいぜ?」
「あん?」

男たちがガストの態度を訝しむ。
いつも喧嘩になった時はユイの独壇場で、ガストが手を出しているところなど見たことない。
それでもこの自信はなんなのか。

「実は俺、シェリフにスカウトされてな。だから、お前らが暴れるなら捕まえることも…」
「な、なんだと!?」
「お前がシェリフ!?」

男たちに動揺が走る。
流石にこの連中でもシェリフの名は知っているようだ。
ガストは勝ち誇った態度で男たちを見返す。
とは言え、言葉だけで大人しくなるタマではなかった。

「んなこと言っても証拠はあるのかよ!」
「そうだ! 証拠を見せろ!」
「フッフッフ…証拠か」

ガストは態度を崩さない。
その様子に男たちもゴクリと喉を鳴らす。
ガストはカッと目を見開き、堂々と言い放った。

「証拠は―――ない!」
「…」

男たちだけでなくフウカも含め、この場にいる者が呆れ返った。
証拠もないのに何故ここまで余裕の態度を取れたのだろうか。
そんな馬鹿にビビってしまった己が恥ずかしくなり、男たちはガストに向かってくる。

「舐めやがって、この野郎!」
「いや、マジで。明日になったら何か貰えると思うから!」
「知るかボケェ!」

もう聞く耳を持たない男たちの説得を諦める。
ガストはフウカを離れさせて指を鳴らす。

「チッ、しょうがねぇな…かかって来いやぁ!」





5分後、路地にはボロボロになって地に伏せるガストの姿があった。

「ぐ…やるな、あいつら」

男たちはガストをボコった後、その弱さに呆れたのか、さっさと立ち去っていった。
ガストは体を起こし、フウカの無事を確認する。
酷い状態だが、結果的にはなんとかなったので良しとしよう。
フウカがハンカチを取り出し、申し訳なさそうに手当てをする。

「ガスト…」
「ああ、気にすんな。これも男の勲章ってやつよ」
「喧嘩弱いんだね」
「ぐふっ」

今のでトドメをさされたガストは再び地面に倒れ込んだ。
助けた礼がこれではやってられない。

「ご、ごめんね! あんまりにも綺麗なやられっぷりだったから、つい…」

フウカの必死のフォローも空しく、ガストは数分意識を失った。





傷は痛むが動く分には回復したガスト。
Pギアでフウカを見つけたと伝える。

「さてと…アラドやカーム先生にも連絡したし、帰るか」
「本当にごめんね…私のせいで迷惑かけて」
「謝るんならカナードさんに言っときな。あの人、すごい慌てぶりだったからな」

カームに連絡した時も、電話越しにも安堵の息が聞こえてくるほどだった。
王女というのだから当然かもしれないが、カナードはフウカのことをとても大事に思っているようだ。

「それにしても…Pギアもろくに使えないなんてな。年寄りじゃねぇんだから」
「しょ、しょうがないでしょ! 使う機会なんてあんまりないんだから!」
「ふ~ん…」

王女の生活がどのようなものかは知らないが、同年代でPギアを使い慣れてない奴は初めてだった。
それでも確か身の回りの世話をする人間が多くいるとそんなものなのかとガストは自分を納得させる。

「しっかし、安心したら腹減ったなぁ…」

時間を見るともう昼を大きく過ぎていた。
本当なら、そよかぜに食料を運び込んでどこかで昼食を食べているはずだったが、思わぬ事態に巻き込まれたものだ。
グゥと腹が鳴る。
だが、それはガストの腹から出た音ではなかった。

「ん?」
「こ、これは…」

フウカが顔を真っ赤にして俯く。
王女と言ってもやはり同じ人間だ。当然腹も減るだろう。
あのようなことの後だと尚更だ。
ガストはなんとなくフウカに親近感を覚えた。

「はは、フウカも腹ペコか! なんだったら何か食って帰るか?」
「え、いいの?」
「つっても、また迷子になられても困るからな…」

この手のは気をつけていても、無自覚のまま迷子になるタイプだろう。
しかし、フウカが初めてではない。村の子供たちにもこういうタイプはいた。
そして、こういう時どうするかは決まっていた。

「ほら」
「えっ?」

差し出された手に戸惑うフウカ。

「手握っとけば迷子にもならないだろ」
「う、うん、そうだけど…ガストは気にならないの?」
「何が?」

キョトンとした顔でガストが答える。
フウカは気恥ずかしいが、ガストは全く気にしないようだ。
フウカは自分が子供扱いされているのではと思ったが、実際迷子になった手前何も言えない。

「…何でもない」

自分は他国とは言え、王女なのだが、先程からの対応といい、ガストは全く気を遣わない。
だが、不思議と悪い気はせず、こういった関係を友人というのだろうかとフウカは思った。
差し出された手を握る。
握ったガストの手は先程の男とは違い、優しい感じがした。
歩き出したガストに道を任せて移動し始める。

「この辺だと大味亭が近いか…昨日行ったばっかりだけど、まぁいいや」
「大味亭ってところに行くの?」

店の名前を聞いたフウカが尋ねる。
大味亭とは、随分開き直った店名だ。

「ああ、安くて量が多くて美味い俺の行きつけさ。王女様の舌に合うかは保証出来ないけどな」
「ううん、楽しみだわ」

外での食事は初めてだ。
ずっと城の中にいたフウカにとっては、今日体験する全てが新鮮なものだった。





近いと言うだけあって、数分歩くと大味亭には着いた。
外観はボロく、お世辞にも立派な店とは言えそうにない。
フウカは少し不安になったが、気にせずガストは勢いよく扉を開く。

「おーっす、おばちゃーん」
「あら、ガスト、2日連続とは珍しいね」

中に入ると厨房から女将が顔を出した。
どうやらこの店は女将1人で切り盛りしているらしく、他の店員の姿はない。
また、幸いなことに昼時を過ぎているからか、他に客の姿もなかった。
これならフウカの正体がバレる心配もなさそうだ。
フウカが帽子を深く被り直していると、女将も見慣れない客の存在に気づいた。

「ガストが女の子連れとはさらに珍しいじゃないか。デートはもっとオシャレなとこに行かないと駄目だよ?」

ニヤニヤしながら女将が茶化す。
デートという表現にたまらず恥ずかしくなるフウカだが、ガストは気にした様子もない。
何だか失礼じゃないかと不満を覚えるが、今は余計なことは言わないでおく。

「バカ言ってないで注文、カツ丼2つな」
「カツ丼?」

知らない料理名に不思議そうな顔をするフウカ。
城の料理人たちは作ってくれなかった物だ。

「ここはカツ丼が一番だからな。俺のオススメだ」
「そうなんだ」
「やれやれ、カツ丼とは…まぁ、ウチはお嬢さんに合いそうなモンは出せないからね。了解、ちょっと待ってな」

女将はそう言うと厨房に戻り、注文に取り掛かった。
ガストとフウカは厨房前のカウンターに座る。
ここでやっと本当に一息つける。
待つ間、黙っているのもなんなのでガストはフウカに話を聞くことにした。

「フウカはなんだってこんなとこ見て回ろうと思ったんだ?」
「…私の父、キャンディアの前王はレオーネとの戦争で多くの人を傷つけたわ」
「つってもレオーネ側だってキャンディアに色々やっただろ」
「そうだけど…父は…」

自分がここに来た理由。カナードにも伝えてないかとだ。
とは言え、カナードなら察しているかもしれないが。
フウカは話すべきか悩んだ。
チラリとガストの顔を見る。今日出会ったばかりの自分を身を呈して助けてくれた少年だ。
王女という立場も気にせず話してくれる、初めての人。
フウカは今日の感謝も込めて、ガストに打ち明けようと決めた。

「私のお母さ…母は、前線への慰問に訪れた時にレオーネが仕掛けてきた戦闘に巻き込まれて亡くなったの」

突然の告白にガストは驚いたが、フウカの真剣な表情を見て、口を挟まず耳を傾ける。

「それから父はただ憎しみのまま戦うようになった。両国が疲弊して、レオーネ側から和平交渉が来ても父は応じなかった。王だっていうのに前線に出て、戦い続けて…亡くなった」

フウカは淡々と語るがその胸中は想像もつかないくらいの悲しみがあるだろう。
王女と言ってもフウカも戦争で傷を負った子供の1人なのだ。

「父が私情にとらわれていなければ、犠牲になった人は少なかったと思うの。それこそ、そよかぜの子たちの何人かは家族を失わなかったかもしれない」

話が戻ってきた。
だからフウカはそよかぜに来ていたのだ。
自分の父親のせいで身寄りのなくなった幼い子供たちと会っておくために。

「何様と思われるかもしれないけど、私は娘として父がレオーネにしたことを直に見ておきたかった。それがここに来た理由。明日もまた別の場所に行くつもり」

フウカは語るべきは語ったと小さく息を吐く。
ガストも思ったより真面目な話だっただけに反応しづらい。
こう言った話は昔から苦手なのだ。
なので、返すべき言葉は決まっていた。

「ま、話は分かった。でも、それで迷子になってたら格好つかないよなぁ」
「なっ、それは!」
「冗談だよ、冗談」

ガストの憎まれ口にフウカが赤くなる。
先程までの重い雰囲気が壊れる。
怒るフウカの態度は、王女ではなく年頃の少女のものだった。

「もう…だったらガストの話を聞かせてよ」
「俺の?」

突然、自分のことを聞かれ目を丸くする。

「そうよ、ユイやアラドとジャンク屋をしてそよかぜを援助してるってカーム院長から聞いたけど…なんで?」

訪れたタイミングが悪かったのか、カームも中途半端なところしか話してないようだ。
せっかく空気が和らいだのに、自分のろくでもない身の上話をするのは気が引ける。
しかし、フウカが自分のことを話してくれた以上、こちらだけダンマリというのも悪い。
観念してガストは自身の過去を語った。

「まぁ、大した話じゃねぇよ。昔は田舎の村に住んでたけど、村が誰かに襲われて無くなったからチビたちを連れてネメアに来た。そんで、そよかぜにチビたちを預けて、俺たち3人はジャンク屋で日々の食い扶持を稼いでる。そんだけさ」
「…ごめんなさい」

予想通りフウカは悪いことを聞いたと沈んでしまった。
こうなるのが嫌だったが仕方ない。

「気にすんなよ。お互い戦争のせいで親がいなくなった似た者同士ってことよ」
「そうかな」
「そうだよ」

なんてことないように言ったおかげかフウカの表情も和らぐ。
また憎まれ口の1つでも叩いておくかと思ったが、その前に別の方からフォローが入った。

「まったく、若いモンが暗い話ばっかりしてんじゃないよ」

女将が出来立てのカツ丼をガストとフウカの前に並べる。
いい匂いが鼻腔を刺激し、フウカとパァっと明るい顔になる

「ガストのはサービスで大盛にしといたからね」
「サンキュー! んじゃ食べようぜ、フウカ」
「う、うん」

フウカが慣れない手つきで割り箸を割る。
変な割り方になってしまったが、使う分には問題ない。
ガストはそれを待ち、手を合わせる。

「いただきまーす!」
「い、いただきます」

我慢の限界だったのか、ガストはすぐさまガツガツと頬張る。
対照的にフウカは恐る恐る一切れのカツを持ち上げる。
未知の料理に警戒していたが一口食べるとフウカは目を見張った。

「おいしい!」
「そうかい? そりゃよかった」

フウカのリアクションに女将は恥ずかしげに頬をかいた。
カラッと揚がったカツの衣が出汁が吸い込み、卵とごはんによく合う。
フウカ自身でも、はしたないと思っても箸が止まらず、どんどん食べてしまう。

「気に入ったみたいだな」

横ではすでに食べ終わったガストが、しみじみとその様子を見ていた。
早寝早飯がガストの得意技だ。
手持ちぶさたになったガストが支払いを済ませていると、ふと気になることを思い出した。

「つか、おばちゃん、暗い話って言ってたけど、どこから聞いてた?」
「どこからも何も…こんなとこに座られたら嫌でも耳に入ってくるさ」

全部聞かれていたようだ。
つまり、フウカの正体も筒抜けだろう。
バレないようカナードに言われていたのに、これは失敗だ。

「ええとだな、フウ…こいつはその…たまにおかしなことを言うやつで―――」
「はいはい、別に言いふらしたりしないから心配しなさんな」
「感謝するぜ、おばちゃん」

女将の計らいで心配は杞憂に終わった。
ガストが胸を撫で下ろしている横で、フウカは呑気にカツ丼を頬張っていた。

「ごちそうさまでした」

綺麗にフウカも食べ終わり、店を後にする。

「また来なよ、お嬢ちゃん」
「はい、必ず」

女将ともすっかり打ち解けたようで何よりだ。
ガストはフウカの手を握り、再びそよかぜに向かって歩き出した。





帰りの道中、フウカがガストに気になっていたことを尋ねる。

「そう言えばガスト、シェリフにスカウトされたって言ってたけど、あれは本当なの?」
「本当、本当。嘘みたいな本当の話だって」

暇潰しにガストはこれまでの出来事をフウカに聞かせた。
売り物を求めて朝から晩まで外を走り回った。
そんな話を聞いて、目が輝くフウカ。

「すごい、ジャンク屋って冒険者みたい」
「まぁな。つっても、しばらくはシェリフで真面目にお仕事だろうけど」
「シェリフかぁ…どっちにしろガストたちはみんなの役に立つことをするんだね。それに比べて私は…」

途端に表情が陰るフウカ。
ガストからすると、わざわざ他所の国を見に行ったり、式典に参加するほうが大変そうだが。
今日、少しの間だが、フウカと過ごしてこの娘は王女としての責任を果たそうと必死なのだと感じた。
息抜きになることでもあればいいが、これまで話した様子ではそういった趣味もなさそうだ。
少し考えたガストは立ち止まって、自分のPギアを取り出す。
そして、フウカの方に腕を突き出した。

「えっ?」

ポカンとするフウカだが、ガストの意思を理解し、慌ててカバンの中からPギアを取り出す。
それを受け取り、ガストは素早く操作してフウカに返す。

「俺たちの連絡先入れといたから暇があれば連絡してきな。毎回すぐにってわけにはいかないかもしれないけど、話し相手くらいにはなってやるよ」
「あ、ありがとう…」

フウカは返されたPギアを大事にそうに抱きしめ、カバンにしまった。
そんな反応をされるとガストの方もなんだか恥ずかしい。
フウカの手をぶっきらぼうに握る。

「さて、もういい加減帰らないと叱られそうだしな。急ぐぞ!」
「…うん!」

2人はそよかぜに向かって駆け出した。





フウカをそよかぜに送り届け、用事も済んだガストたちは、ジャンク屋本部にトラックを返却し、帰路についた。
そんな中、アラドとユイは不気味な沈黙を保ったまま、ガストの左右を固めていた。
そして、もうすぐ家に着くというところでアラドが動いた。腕をガストの首に回し軽く締め付ける。

「な、なんだよ!」
「なんだよじゃねぇよ。何、王女様とイチャついて帰って来てんだ。荷物運びサボりやがって」

アラドの怒りももっともだった。
そよかぜに持っていった荷物は、ガストがフウカが寄り道をしている間にアラドとユイが運び込んだらしい。
ユイの漫画コレクションも預け、後日送ってもらうらしいが、カームの細腕であの量をなんとかするにはかなりの時間がかかりそうだが…。

「しかも、フウカの連絡先をゲットするなんてナンパじゃない!」

ユイからは肘でつつかれる。
昨日に続き、今日も怪我をしているので軽くでも遠慮してもらいたいが、そんな気遣いをする2人ではなかった。

「まぁ、私たちの連絡先も教えたのは評価するけど」

ユイとフウカは気が合うのか、少し話しただけでかなり仲良くなっていた。
別れ際に一番惜しんでいたのもユイだった。

「だったら良いじゃねぇか…痛い、痛い!」

アラドの腕に力が入る。
ギブギブと腕をタップすると少し弱まった。

「お前がサボったおかけでこっちは非常に疲れた。晩飯はお前の奢りだ、決定」
「えぇ…俺、もう持ち合わせ少ないんだけど…」

格好つけてフウカの分も奢ってしまい、ガストの少ない所持金は風前の灯火だった。

「どうせ夕飯分の材料も残してないし、諦めなさい」

ユイからトドメをさされる。
奢る奢らない、どちらにせよ外食は避けられないようだ。

「へいへい…分かりましたよ。店は俺が決めていいのか?」
「それくらいは権利をやろう」
「どんなお店に連れてってくれるの? 王女様をエスコートしたガスト様は」

意地悪っぽくユイが笑いかける。
大した店など行けるはずもないと分かりきった上での質問だ。
ガストの中で行き先は決まっているが、なんとも言いづらい。
珍しく小声でガストは呟いた。

「……大味亭で」

アラドの腕がほどかれる。散々、ガストをいじった2人はさっさと家への歩みを再開する。
こうしてガストは2日連続、3回目の大味亭に出向くことが決定したのだった。
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