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エピローグ 束の間の平和
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終戦後、大日本帝国は解体され、その名称も日本国と呼称されるようになった。省庁には解散したものもあれば、新たに作られたものもある。復員省などはその最たる例だろう。
その中で、外務省は解散されなかった組織だ。今ではGHQの窓口組織としての機能も備えていた。
渡辺誉はGHQと接する機会が多い部署へ異動となった。それは大いに有意義な価値をもたらす時間でもあった。
まず、米ソは協調関係になかったという事実だ。これには、渡辺も驚いた。アメリカに連動してソ連は対日戦に参戦し、北北海道まで進行していたと思っていたからだ。
だからこそ、たびたびGHQ内で堂々とソ連批判をする米英代表の姿を不思議に感じていた。ルーズベルト政権とトルーマン政権の考えの不一致という真実を知ったのは後の事であった。
GHQにおける最大の焦点は、今後の日本の占領政策にほかならない。第1次大戦の天文学的な賠償金がドイツ国民にヒトラーを選ばせたように、その後の敗戦国への対応は一歩間違えれば民主主義的な手法でもって強大な敵が生まれてくるのだ。日本が賠償金ではなく軍需機器などの資本設備でもって賠償を行うこととなったのは、そういう流れから生じたのだった。
ただ、満州や南樺太、北部朝鮮に作られた日本軍や民間企業の設備は、既にソ連により持ち去られており、米英にしても自国より劣る性能の工業機械は不要だった。欧米各国の植民地だったアジアは今や独立運動の兆しが強く、この時期に各種機器を譲渡するとなると、それはそれでまた問題だった。
賠償のみならず、憲法作成についても大きな問題を含んでいた。
連合各国は将来日本による報復を恐れ、完全に非武装化した国を作るべきだとしていた。それは、憲法に“軍隊を持たない”という夢物語な話を明文化すべきだというほどだ。その考えに米英を除く大部分が賛成しているのだから、もし民主主義を自称するのであれば賛成多数で憲法に明記すべきだろう。
もちろん、ソ連や中国といった近隣諸国は賛成側だ。占領が終了した後に占領することは見え透いていた。だからといって、太平洋を挟んだ米国が日本の占領を続けるとなると、その負担は莫大なものとなる。
なにより、ソ連軍は北海道を占領しているのだ。機甲部隊が南下を始めると軍隊を持たない日本には勝ち目はない。それとも米ソが開戦するとでもいうのか。
渡辺は日々GHQ内部で繰り広げられる、終わりのない論戦を見聞きしていた。そして確信したこともあった。それは、米ソ間で間違いなく衝突が起きるだろう、ということだった。
これは直接的のみならず、間接的なものも含んでいる。沖縄占領軍と北北海道占領軍が日本本土を戦場に、または朝鮮半島の両軍が半島で戦うことは予想できる。それとも両国が占領地を属国として独立させ、間接支援の下で争うか。
今日明日に始まる事はないだろうが、両国はそれほど緊迫した関係だと認知できるほどではあった。
終戦から5年後の1950年。渡辺の確信は現実のものとなる。
久遠の海へ ー最期の戦線ー 終
その中で、外務省は解散されなかった組織だ。今ではGHQの窓口組織としての機能も備えていた。
渡辺誉はGHQと接する機会が多い部署へ異動となった。それは大いに有意義な価値をもたらす時間でもあった。
まず、米ソは協調関係になかったという事実だ。これには、渡辺も驚いた。アメリカに連動してソ連は対日戦に参戦し、北北海道まで進行していたと思っていたからだ。
だからこそ、たびたびGHQ内で堂々とソ連批判をする米英代表の姿を不思議に感じていた。ルーズベルト政権とトルーマン政権の考えの不一致という真実を知ったのは後の事であった。
GHQにおける最大の焦点は、今後の日本の占領政策にほかならない。第1次大戦の天文学的な賠償金がドイツ国民にヒトラーを選ばせたように、その後の敗戦国への対応は一歩間違えれば民主主義的な手法でもって強大な敵が生まれてくるのだ。日本が賠償金ではなく軍需機器などの資本設備でもって賠償を行うこととなったのは、そういう流れから生じたのだった。
ただ、満州や南樺太、北部朝鮮に作られた日本軍や民間企業の設備は、既にソ連により持ち去られており、米英にしても自国より劣る性能の工業機械は不要だった。欧米各国の植民地だったアジアは今や独立運動の兆しが強く、この時期に各種機器を譲渡するとなると、それはそれでまた問題だった。
賠償のみならず、憲法作成についても大きな問題を含んでいた。
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今日明日に始まる事はないだろうが、両国はそれほど緊迫した関係だと認知できるほどではあった。
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久遠の海へ ー最期の戦線ー 終
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