追放された無能王子、実は最強の魔法使いだったので――聖女も女騎士もまとめて極上魔法でトロトロにしてやります。

小林ユキ

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第7話:崩壊の王宮――無能王子の帰還と、堕ちた至宝

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 重厚な王の間の扉が、アルスの魔力によって紙細工のように吹き飛ばされた。

「――よう。ずいぶんと景気が悪そうだな、父上。それに兄上も」

 静まり返る玉座の間。そこに歩を進めるアルスの左右には、信じられない光景が広がっていた。
 王国最強の剣、カトリーヌ。
 神の代弁者、聖女クラリス。
 二人はまともな服も纏わず、薄い布を羽織っただけの姿で、アルスの左右にぴたりと寄り添い、悦悦とした表情で彼を見つめていた。

「なっ……アルス!? 貴様、なぜ生きている! それにカトリーヌ、クラリス! その破廉恥な姿は何事だ!」

 玉座で震える国王と、顔を真っ赤にする兄王子。彼らにとって、二人は王国の権威そのものだった。だが、カトリーヌは冷笑を浮かべ、アルスの腕に自身の豊かな胸を擦り付ける。

「破廉恥? 心外ですわ。私は今、人生で最も『純潔』な状態なのです。アルス様の魔力だけを受け入れる、忠実な牝としてのね」

「そ、そんな……っ! クラリス、お前まで! 聖女ともあろう者が……!」

 兄王子の叫びに、クラリスは恍惚とした瞳で自身の腹部をなぞった。

「聖女……? ふふ、そんな呼び名はもういりません。私は今、アルス様に注がれた『極上魔法』を、お腹の中で大切に育てている最中なのですから……。ねえ、アルス様? また少し、魔力が足りなくなってきましたわ……」

「……そうか。なら、こいつらの前で『補充』してやろう」

 アルスが二人の腰を抱き寄せ、その場で魔法を解放する。
【源流魔術:王権蹂躙(マジェスティ・ブレイク)】。
 部屋中に桃色の霧が立ち込め、国王たちの視界を奪う。その霧の中で聞こえてくるのは、かつての英雄たちの、理性をかなぐり捨てた淫らな嬌声だった。

「ひぅっ、あ、ああぁぁぁっ! 王様たちの前で……アルス様の熱いの、入ってきちゃう……っ!!」

「あはっ、最高ですわ……っ! 見てください兄様、私が欲しかったのは、あなたの権力じゃなくて、アルス様のこの『魔法』だったのよぉぉっ!!」

 目の前で繰り広げられる、絶対的な忠誠の崩壊。
 アルスは絶望に顔を歪める国王たちを見下ろし、二人の深奥を同時に突き上げながら、冷酷に告げた。

「無能だと捨てた結果がこれだ。……さあ、次は貴様たちの番だ。この国ごと、俺の魔法でトロトロに溶かしてやろう」

「ひっ、ひぃぃ……っ! 化け物め、好きにしろ!」
「お、覚えていろアルス……っ、汚らわしい無能がぁ!」

 腰を抜かした国王と兄王子は、愛娘や部下であったはずの二人の痴態に耐えきれず、裏口から無様に逃げ出していった。
 静まり返る王の間に、アルスの冷笑と、事切れたように喘ぐカトリーヌとクラリスの吐息だけが残る。

「……逃げ足だけは速いな。さて、この国をどう料理して――」

 アルスが勝利の余韻に浸ろうとした、その時だった。

 突如として、玉座の背後の空間が、ガラスが割れるような音を立てて亀裂を生んだ。
 そこから溢れ出したのは、アルスの「極上魔法」とは対照的な、凍てつくほど冷酷で、禍々しい**「黒い魔力」**。

「――ククッ、素晴らしい。これほど純度の高い『苗床』は、人間界ではお目にかかれない」

 亀裂から這い出してきたのは、四本の腕と漆黒の翼を持つ、異形の存在。
 既存の魔術体系には存在しない、魔界の深淵に棲まう**上位悪魔(アーク・デーモン)**だった。

「……何者だ」

 アルスは一瞬、ひるんだ。
 最強の源流魔術を持つ彼でさえ、その悪魔が放つ「存在そのものの拒絶感」に、一瞬だけ魔力の循環を乱された。

 その、わずか一秒に満たない隙。

「その『極上』に染まった器、我らが王への献上品として頂いていくぞ」

「なっ……!?」

 悪魔の四本の腕から伸びた影の鎖が、未だ恍惚の余韻にいたカトリーヌとクラリスの身体を絡め取る。

「あ、アルス様……っ! 身体が、動か……っ!」
「嫌……っ! 離して、アルス様の熱いの、逃げちゃう……っ!!」

「待て!!」

 アルスが咄嗟に手を伸ばし、桃色の魔力を放つ。
 だが、悪魔は嘲笑うかのように漆黒の翼を広げ、二人を抱えたまま空間の亀裂へと飛び込んだ。

「源流魔術の使い手よ。女たちを返して欲しくば、魔界の門まで来い。それまで、この女たちが我らの魔力でどれほど無惨に上書きされるか……楽しみにしておくがいい」

「貴様ぁぁぁっ!!」

 アルスの咆哮も虚しく、空間の亀裂は一瞬で閉じ、王の間には静寂だけが戻った。
 手元に残ったのは、つい数秒前まで二人の熱を感じていた指先の感触だけ。

「……俺の女に、手を出したことを……地獄の底で後悔させてやる」

 アルスの瞳に、これまでにない冷徹な殺意が宿った。
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