様々な恋の行方 短編集

原口源太郎

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見上げた空に

翌々年の月

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 会いたい。
 逢いたいよ・・・

 でも、決して会うことはできない。
 君はきっと僕の中にだけ、生きている。

 去年見た時と同じような丸い月が夜空に浮かんでいる。
 大きな街灯がともるように、辺りを明るく照らす丸い月。月の模様まではっきりと見える。
 だけど、なぜだかそれがにじんで、ぼやけて、なぜだか見ているのがすごくつらくなった。
 君の瞳に浮かんだ月。それを見ていたのは間違いない。君に見とれていたのも、間違いない。
 君といた時に感じた幸福は今も心に残っている気がする。

 去年、夜空を見上げたとき、君は月にいて、僕のことを見ているかもしれないなんて考えた。
 でも、今はそんな風には思わない。

 もう、決して会うことのできない君だから。

 今でも君のことが大好きだよ。

 

 だけど、もう忘れるよ。



                         終わり
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