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山川家の居間で美菜がソファに座り、シュークリームを食べながらテレビを見ている。
壮大が部屋に入ってくるなり美菜の前にひざまずいた。両手をついて頭を下げる。
「なに、なに? どうした?」
美菜は驚いた表情で壮大を見た。
「おねーさま、お願いがあります」
「な、なによ。お金ならもう貸さないよ」
「私、山川壮子こと山川壮大は藤森友加里さんに恋してしまいました。どうか私と一緒に友加里さんの居場所を捜してください」
「は?」
美菜は突然の告白に驚いてシュークリームを口に入れたまま固まる。
「そう、分かった。ありがとう。また電話する」
そう言って美菜は電話を切った。
「やっぱりバイト先にも電話で急に辞めると伝えたみたい。詳しいことは何も話さなかったみたいだよ」
美菜は心配顔で見つめる壮大に言った。
「おかしいよ、これは。普通じゃない」
壮大が言った。
「あんたも普通じゃないけど。友加里さん、男だったのかな」
「まさか」
壮大と美菜は喫茶店のテーブルに並んで座り、コーヒーを飲んでいる。
そこに博美がやってくる。
「こんにちわ」
「急に呼び出してごめんね」
「いえいえ、暇してますから」
そう言って博美は美菜の前に座る。
「お、やっぱりいい男」
博美は壮大を見て言った。
コーヒーを注文するとハンドバッグからメモを取り出す。
「できる範囲で調べてみたんだけど。バイト先に届けてある住所は壮大君が言ってたアパートと同じ。部屋の番号も一緒。男の藤森さんが住んでいた部屋。勤務時間は10時から午後の6時。勤務態度はまじめで私生活もまじめ。モテたけど彼氏らしい存在はなし」
壮大と美菜は真剣な表情で博美の話を聞いている。
「以上」
博美は読み終えたメモをしまった。
「それで私、思ったんだけど、友加里ちゃんて結婚してたか、男と同棲してたんじゃない?」
「いや、それはないと思う。アパートの人たちに聞いてみたんだけど、みんな藤森という人とは親しく話したことがなくて、たまに行き会って頭を下げるくらいだったけど、一人で暮らしていたのは間違いないし、知らない人が藤森さんの部屋に入っていくのを見た人もいなかった」
壮大が言った。
「じゃ、どういうこと? 友加里さんも実は男で、あんたみたいに女装してたってこと? だとしたらあんたなんて足元にも及ばないほど完璧に演じてたことになる」
「まさか。男だったとは思えないよ」
「男じゃないよ。それは一緒に働いてた私が保証する。彼女は間違いなく女です」
「そうだよね。なんだか不思議な人。それで、どうやって捜す?」
「電話番号で身元が特定できないかな?」
壮大が言った。
「それは無理でしょう。詐欺の電話番号ならネットで調べれば出てくるでしょうけど」
「確か友加里ちゃん、一度中学の時の同級生と行き会ったって言ってた。その子も東京で働いてるって」
「連絡先とかわかります?」
壮大が身を乗り出した。
「知らない。でも確か勤め先を聞いたな。えーとえーと、確か大手だったんだよね。いいとこに勤めてるじゃんて言った覚えがある」
博美は眉間にしわを寄せて考える。
壮大は祈るような眼差しで博美を見る。
「そうだ、思い出した!」
壮大が部屋に入ってくるなり美菜の前にひざまずいた。両手をついて頭を下げる。
「なに、なに? どうした?」
美菜は驚いた表情で壮大を見た。
「おねーさま、お願いがあります」
「な、なによ。お金ならもう貸さないよ」
「私、山川壮子こと山川壮大は藤森友加里さんに恋してしまいました。どうか私と一緒に友加里さんの居場所を捜してください」
「は?」
美菜は突然の告白に驚いてシュークリームを口に入れたまま固まる。
「そう、分かった。ありがとう。また電話する」
そう言って美菜は電話を切った。
「やっぱりバイト先にも電話で急に辞めると伝えたみたい。詳しいことは何も話さなかったみたいだよ」
美菜は心配顔で見つめる壮大に言った。
「おかしいよ、これは。普通じゃない」
壮大が言った。
「あんたも普通じゃないけど。友加里さん、男だったのかな」
「まさか」
壮大と美菜は喫茶店のテーブルに並んで座り、コーヒーを飲んでいる。
そこに博美がやってくる。
「こんにちわ」
「急に呼び出してごめんね」
「いえいえ、暇してますから」
そう言って博美は美菜の前に座る。
「お、やっぱりいい男」
博美は壮大を見て言った。
コーヒーを注文するとハンドバッグからメモを取り出す。
「できる範囲で調べてみたんだけど。バイト先に届けてある住所は壮大君が言ってたアパートと同じ。部屋の番号も一緒。男の藤森さんが住んでいた部屋。勤務時間は10時から午後の6時。勤務態度はまじめで私生活もまじめ。モテたけど彼氏らしい存在はなし」
壮大と美菜は真剣な表情で博美の話を聞いている。
「以上」
博美は読み終えたメモをしまった。
「それで私、思ったんだけど、友加里ちゃんて結婚してたか、男と同棲してたんじゃない?」
「いや、それはないと思う。アパートの人たちに聞いてみたんだけど、みんな藤森という人とは親しく話したことがなくて、たまに行き会って頭を下げるくらいだったけど、一人で暮らしていたのは間違いないし、知らない人が藤森さんの部屋に入っていくのを見た人もいなかった」
壮大が言った。
「じゃ、どういうこと? 友加里さんも実は男で、あんたみたいに女装してたってこと? だとしたらあんたなんて足元にも及ばないほど完璧に演じてたことになる」
「まさか。男だったとは思えないよ」
「男じゃないよ。それは一緒に働いてた私が保証する。彼女は間違いなく女です」
「そうだよね。なんだか不思議な人。それで、どうやって捜す?」
「電話番号で身元が特定できないかな?」
壮大が言った。
「それは無理でしょう。詐欺の電話番号ならネットで調べれば出てくるでしょうけど」
「確か友加里ちゃん、一度中学の時の同級生と行き会ったって言ってた。その子も東京で働いてるって」
「連絡先とかわかります?」
壮大が身を乗り出した。
「知らない。でも確か勤め先を聞いたな。えーとえーと、確か大手だったんだよね。いいとこに勤めてるじゃんて言った覚えがある」
博美は眉間にしわを寄せて考える。
壮大は祈るような眼差しで博美を見る。
「そうだ、思い出した!」
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