Love letter

原口源太郎

文字の大きさ
1 / 15

1

しおりを挟む
 とある高校に秘密結社のような組織がある。少数精鋭のメンバーによりほぼ毎日極秘集会が開かれ、頻繁に重大な活動が行われているにも関わらず、その存在を知る者はほとんどいない。
 その組織の名は『青山見守り会』。またの名を『青山澄香ファンクラブ』という。


 通りをけたたましくサイレンを鳴らしながらパトカーが走り抜けていく。
 表通りから住宅街へと入ったところにその高校があった。
 校門の前に数台のパトカーが止まっていて、近くには黄色いテープで非常線が張られている。
 しばらくすると、警察の特殊車両らしき車が野次馬の群れをかき分けるようにして高校の敷地中へと入っていった。
「下がって下がって。もっと下がって!」
 制服姿の警察官が、不安そうな表情で高校の校舎を見る人々に怒鳴っている。
 多くの野次馬の中にはその高校の生徒もいた。
「こんな大騒ぎになっちゃってヤバイんじゃないの? さっき行った車、爆弾処理の車だよ、きっと」
 人々から少し離れた場所で二人の高校生がひそひそ声で話をしている。
「大事な目的のためだ。気にすんな」
 もう一人の度の強いメガネをかけた生徒が小声ながら力強い口調で言った。

 朝の、これから授業が始まるという直前に、高校の敷地内に爆弾を仕掛けたという一報があった。
 学校側はすぐに警察に連絡をするとともに、生徒たちを学校の外へと避難させた。
 警察の車両が続々と高校付近に到着するると、教師たちは警察の許可を得て生徒たちを帰宅させた。しかしそのままそこに居続ける者、一旦家に帰ってからまた様子を見に来た者などがいた。その中にこの騒ぎを起こした張本人たち、小声で会話をしている二人もいた。
 度の強いメガネをかけた男がスマホを取り出し、電話をかける。
「まだ見つからない? 家に帰ったのか? 平がそっちに行ってる? わかった。俺も確認に動く」
 メガネの男が電話を切った。
「もう少しここにいて様子を見ててくれ。俺も適当なところを捜してみる。暗くなったら帰ってくれ」
 メガネの男はもう一人に指示を与えた。
「おっけー」
「じゃ」
 メガネの男はその場を離れていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...