おとどけもの

原口源太郎

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 チャイムの音がした。
 僕はちょうどヘッドホンをして曲を作っているところだった。だけどそれほど大きな音量で音を鳴らしているわけじゃないから、ある程度外の音も聞こえる。
 ドアを開けると、ジーパンにシャツを着た長髪の男が立っていた。見たことのない男だった。
「おたくが清原大河さん?」
 男が尋ねた。
「はい」
「俺は河村。これから毎月、おとどけものを持ってくるから。よろしく」
「あ、はい」
「入るぞ」
 そう言うと、河村は部屋に入り、ドアを閉めた。そしてその場にしゃがみ、持っていたバッグから十センチくらいの四角い包みを取り出して床に並べた。
「おとどけものは三つだ」
 そう言ってから、最後に大きな封筒を取り出した。
「これに配達先の住所と受け渡しの方法、配達の日時が入っている。それに今月の報酬も」
 封筒は直接僕に渡してくれた。
「それじゃあ」
 そう言って河村は部屋を出ていった。
 封筒には封印がしてある。
 僕は床に置かれた箱を一つ拾い上げた。思ったよりも軽い。頑丈に包装されている。軽く振ってみたけれど、何の物音もしなかった。

 配達の日が来た。同じ日に二軒。次の日に一軒。
 僕は二つの小さな四角い包みをカバンに入れて部屋を出た。時間は十分すぎるほどある。通りでタクシーを捕まえて指定された住所まで行くつもりだった。
 地図上のルートはあらかじめ決めてあった。もし事故や何かで渋滞に巻き込まれてタクシーが動けなくなっても、別の通りへ行ってタクシーを拾うとか、近くの駅まで行って電車で配達先に向かえるように考えてあった。おとどけものは指定された時間に必ず届けなければならないのだから。
 僕は大通りでタクシーを捕まえると、乗り込んだ。

 タクシーのシートに座り、僕はなぜだか緊張していた。普通なら何事もなく目的地に着くのが当たり前なのに、無事着けないのではないかと、とても不安だった。
 しかし、何事もなくタクシーは僕の言うなりの道を通って目的地に到着した。まだ指定された時間までに二時間もあった。
 二時間後にまたこの場所に来るように頼み、僕はタクシーを降りた。
 そこは都内でも有数の高級住宅地で、僕はぶらぶらと歩いて時間を潰した。丁度いい機会だったので、次に来た時に時間を潰せる場所を探した。それほど配達先から遠くない通りに面した場所にファミレスを見つけ、次からはそこで時間を潰すことに決めた。
 指定時間が近づき、僕はおとどけものの配達先へと向かった。
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