ノイジーガール ~ちょっとそこの地下アイドルさん適性間違っていませんか?~

草野猫彦

文字の大きさ
15 / 207
一章 ノイジーガール?

15 歌い手ルナ

しおりを挟む
 歌い手を一人プロデュースし、さらにユニットも立ち上げる。
 全て一人で出来ることではあるが、簡単であるかというとそんなはずもない。
 しかし有限の時間を、生き急ぐように使う俊は、しっかりと歌い手ルナのデビュー準備全てを整えた。
 重要なのは初期導線と、インフルエンサーへのアピール。
 このあたりYourtubeの事務所などであれば、さらに効果的な宣伝なども出来るのだろう。
 そこはもう、最初から一人でやるという限界であろう。

 とりあえず俊のチャンネルから、宣伝の映像も作った。
 東方界隈の動画を作るのは初めてで、こんなものが一つあっても、効果がどうかは微妙である。
 やらないよりはマシという言葉はあるが、やらない方がマシということも確かにあるのだ。
 それよりはSNSを使って、宣伝をし始める。
 月子にはルナの名前で新たにアカウントを作ってもらい、俊のサリエリと相互にフォロー。
 チャンネル登録者ほどではないが、俊のサリエリにはフォロワーがそれなりにいる。
 そしてついに、チャンネルが開設された。

 三曲ずつ、一日に投下していく。
 毎日一曲であると、その曲に興味がない場合、そもそも見られない可能性すらあるからだ。
 月子たちの選んだものと、俊の選んだもの、そしてそれとは別に過去のサリエリの楽曲による、ノイズのチャンネルへの投下。
 悔しいというか当たり前のことだろうが、やはり既存の有名曲のカバーをしているルナ名義の方が、再生数は多い。
「もう100再生いってる……」
「コメント多すぎ……」
 時間を夜に合わせたため、俊は自宅で通話をしながら、メイプルカラーのメンバーはルリの家に集まって、これを見ているらしい。

「初速はいい感じだな……」
 この日にルナが公開したのは、マリーゴールド、鳥の歌、そしてアンインストールの三つである。
 どれにも好意的なコメントが書かれ、その歌唱力を絶賛している。
 ただ仮面をして歌っている月子には、当然のようにツッコミが入りまくっているが。

 歌う難易度、認知度、分かりやすい歌唱力など、総合的に判断したつもりであるが、これが本当に正解なのかは分からない。
 充分に伸びているのか、それとも失敗しているのか、比較する対象がないからだ。
 メイプルカラーのメンバーにも、それぞれのアカウントで自然な感じで紹介もしてもらっている。
 俊もこれに合わせて、サリエリ名義で短い曲を発表し、そこでも告知をしているのだ。

 いきなりノイジーガールの投下、というのも考えた。
 しかしそれはさすがに、導線が短いだろうと考えたのだ。
(元の歌唱力はともかく、マスタリングの技術が微妙か)
 他の歌い手のものと比べると、高音域の響きと伸びが、圧倒的なものがほとんどだ。
 だがミックスした結果としては、声の個性が弱まっているかもしれない。
 ある程度は岡町の助けも借りたが、彼も基本的には作曲や演奏を担当するベーシストであり、専門のエンジニアではないのだ。



 ほぼ一発のテイクでOKだったマリーゴールドが、やはり一番伸びているか。
 公開してからしばらくは、ぼちぼちと増えていくのみであった。
 ルナ名義のアカウントが、どんどんと登録数を伸ばしているが、ノイズ名義の方はそこまででもない。
 導線はおそらく、サリエリ名義からが一番太いはずだ。
 SNSでの宣伝もあるが、そこが一番フォロワーである登録者が多い。
 ただ俊の場合はSNSよりもチャンネルの登録者の方が多い。

 SNSは遊びじゃない。
 そこは熾烈な宣伝の場所であると、どこかの誰かも言っていたような気がする。
 なんだかんだで楽曲作りを一番にする俊としては、習得する技術や方法にも限界はあるのだ。
(初手にノイジーガールは無理なはずだ)
 無理だと思ったからこそ、先に登録者数を増やしたかった。
「順調に伸びてはいるけど、期待していたほどじゃないか」
『開始一時間もしてないのに、200人も登録してくれているのが怖いんですけど……』
 それはそうと、コメント内容は確認しておかないといけない。

 サリエリ名義には、普通に新曲についての感想が多い。
 また突然のユニット結成を、祝福しながらも戸惑っているコメントも多い。
『俊さん、めっちゃコメント多いけど、読めないのが多い』
「そこにいる誰かに読んでもらえ。出来れば最初はコメントには全部返すんだぞ」
 この初期の対応で、どれだけコアなファン層を作れるか。
 初動は重要だ。翌日以降も投下すると返事をしておけば、この最初の人数を確保することが出来る。
 そして月子の歌を聴けば、他の曲も聴きたいと思うのが当然だと思う。
 ただ月子自身にコメント返しをするのが、とても大変というだけで。

 実際のところ、あれだけしっかりミックスしてマスタリングを行ったものの、他の歌い手との技術差がどれぐらいか、分からない者も多いのではないだろうか。
 俊はお高いヘッドフォンを使っているので明白だが、そのような環境の人間ばかりが聞いているわけでもない。
 月子の声は透明度が高く、硬質でありながら深く響いていくが、そこまでを聞き取れる環境で聞いている人間は少ないだろう。
 楽曲自体の力が飛びぬけている、ノイジーガールの公開までに、離れていったりはしないだろうか。
 これまでにも多くの楽曲を発表している俊であるが、あの曲への期待は大きい。
 それだけに反響が少なければ、評価されなければ、さすがにショックは大きいと思うのだ。

 ただチャンネルとユニットの、相乗効果は確かにあった。
 月子の歌っている曲の音源は、全て俊がアレンジしたものである。
 なので編曲に対する感想を書いていたりもするのだ。
 ルナのチャンネルから、サリエリのチャンネルに流れて、登録していく者が少しいるらしい。
 最近は登録数の伸びが停滞していたので、わずかずつでもこの動きは嬉しい。
 もっとも一番重要なのは、ノイズの登録者数が増えることだ。
 ルナよりも少ないのは、知名度の少ない俊の楽曲を使っているから、ある程度は当然のことである。



 夜に公開してから、その日は12時までほぼ付きっ切りで動きを見ていた。
 サリエリの登録者数はおよそ3万、そしてルナの登録数は1000人を突破した。
 数時間で0からこの数は、かなり驚異的ではある。
 ただネットというのは、本当に分からないものなのだ。
 ボカロ曲にしても、一度再生数が低下してから、何かのきっかけでまた一気に上昇、ということが普通にある。
(発表の順番を変えるか?)
 初動で登録者が増えているところに、一気に自信作を投下する。
 そこで一気にブーストがかかるかもしれない。
 しかし俊には、ほんのわずかに懸念があるのだ。
 それは本当に、ノイジーガールは一般にも受けるか、という問題だ。

 これまでに聞いてきたのは、ある程度聞く耳を持っていた人間ばかりである。
 もちろんネットで新しい音楽を探している奇特な者は、ほとんどがこの価値を分かると思う。
 創造性よりは分析力や、共感性の方が高い、評論家タイプと自己を認める俊が、それでも確信しているのだ。
 なのでいつかは、必ず結果は出るとは思う。
 しかしそれに、時間がかかってしまえば、また次の作品を作るのに、モチベーションが上がらないといけない。

 そう、俊は傑作を作ってしまった、と自分で思っている。
 明らかに自分の力を上回る作品が出来てしまった。
 当初はそれに浮かれることもあったが、やがて気づいた。
 次にはどんな作品を期待されることになるのだろう、と。
 これは創作者にとっては、恐ろしいことである。

 多くの創作者が、最初の作品が一番面白い、と言われる。
 それは二作目以降の作品が、何かの期待を受けていたり、雑念が混じったりするからだ。
 最初にガツンとヒットするものは、その最初の一つが、完全に己を曝け出したものであることが多い。
 創作者の背景全てを、最初の作品は抽出したものになる。
 なので一発屋、などとも呼ばれるのは、歌手のみならず小説家やマンガ家にも言えるのだ。

 一応次の曲には、既に着手している。
 普通は使わないコード進行やメロディラインを使って、オリエンタルなイメージを作っているのだ。
 ノイジーガールは曲自体のテンポは早いが、ボーカルのメロディラインはむしろゆったりしたところもあり、上手くバラード調になっている部分もある。
 これに対して次の曲は、普通にバラード調であることは間違いない。
 ノイジーガールはポップスのノリであるが、本質はロックだ。
 次のバラードは、単純なバラードではいけない。
 確かに月子の歌だけで、ある程度の評価の底上げにはなる。
 しかし彼女におんぶに抱っこでは、俊が作曲と作詞をする意味がない。



 今までにない反応に、月子たちはかなり遅くまで起きていたらしい。
 だがこれぐらいなら、俊にはある程度の経験がある。
 それでも反応はかなりのものだろう、とは思う。
 次に公開される曲に対する期待が大きいし、コメントでは歌ってほしい曲、などというのが挙げられている。
「歌手つながりかアニソンつながりが多いのか……」
 まだ少ないが、月子がどういう傾向を期待されているのか、それが分かっくるのでありがたい。

 月子からのメッセージはないが、それを代筆したらしいメイプルカラーのメンバーからはメッセージがあった。
 再生数がどんどん増えていっていることに対する、パニックになったような文面が多かった。
「お、ち、つ、け、と」
 俊はこの程度のことは、普通に経験している。
 特にあの、月子たちにも話していない三つ目のチャンネルは、悪ノリ以外の全てを排除した楽曲があって、それが一番再生されているのは強烈な皮肉ではある。

 俊はこの日も、普通に大学に通う。
 既に始まってしまって、もう予定を変えることはない。
 今からでも公開の順番などは替えることは出来るが、おそらくそれは意味がない。
 何かをやったつもりになるだけのことは、絶対にやってはいけない。
 曲のクオリティを上げるというなら別だが。

 とりあえず歌い手ルナの初動は、失敗とは言わない程度には成功した。
 あとはどう伸ばしていくかだが、ここは月子の歌の一点突破で狙っていける。
 メジャーなカバー曲は、俊がアレンジしてしまう。
 特にハイテンポな曲は、出来るだけバラードに近くしてしまうことが、月子にとっては歌いやすい。
 もっとパワーを前面に出した、ハイテンポの曲も上手く歌えるようにならないといけない。
 だがそれは、もう少し先の話となるだろう。

 今考えるのは、相乗効果だ。
 歌い手ルナに対して、今はまだサリエリの方が圧倒的に強い。
 ただルナの知名度がもう少し上がれば、他にカバーされているメジャーな曲を、全て歌っていけばいい。
 圧倒的な声の力で、他の歌い手や、オリジナルを上書きしていく。
 才能の暴力で、世間を圧倒していくのだ。
 そもそも月子の声質というのは、嫌悪感をほぼ抱かせないタイプのものではあるのだ。



 数字の上昇にただ注目している者とは違い、俊は次を考えている。
 歌い手とボカロPのユニットというのは、次にはインディーズなりメジャーなりからの声がかかったり、あるいはなんらかのコンテストに応募するというのもある。
 俊が恐れているのは、月子だけを引き抜こうとする動きが出てこないか、ということだ。
 月子の立場からすれば、アルバイトをしながら歌い手としてアイドルとして、地道に暮らしている今は、それなりに充実しているだろう。
 彼女はおそらく、さほどの欲はない。もっと楽な生活がしたい、という程度の欲望は誰にでもあるものだ。

 月子を引き抜くということは、俊から月子を取り上げるというだけではなく、メイプルカラーからも抜けさせることである。
 俊だけなら彼女が、生活のために転ぶことはあるかもしれない。
 だがメイプルカラーまで裏切る、ということは考えにくい。
 あそこは彼女の、居場所であるからだ。

 メイプルカラーと月子のラインを切らない。
 それが俊にとっても、利益となることになっている。
 下手にメジャーに取り込まれたら、音楽性を変えられる危険がある。
 俊もある程度は自分の音楽性を変えることに抵抗はないが、月子はそれ以上である。
 彼女は俊の作った曲やアレンジに、感覚的な注文をつけたことがない。
 これだけ歌えて、まだ赤ん坊のレベルなのだ。

 子供の頃から音楽に囲まれ、多くの時間を音楽に積極的に捧げてきた俊。
 それに対して月子は、確かに三味線と民謡によって、生き残るための音楽を強制されてきた。
 俊はもう自分が、本当に純粋に音楽が好きなのか、それとも既に執着になってしまっているのか、微妙に分からない。
 しかし月子は音楽が嫌いになる要素があったのに、今も歌っている。
 ここから彼女は、まだまだ成長するだろう。
 その先に何が待っているのか、考えたら少し怖くなってしまうこともある。
 彼女を追いかけていけば、その先には自分の音楽もあるのだと思える。

 二日目の公開も、上手く再生数が増えていく。
 これは歌い手ルナのチャンネルは早々に、収益化はしそうである。
 ただそれだけで食っていけるというものではなく、ほんのお小遣い程度。
 まだまだ音楽一本で食っていくわけにはいかない。

 いずれはメジャーレーベルに所属することを、考えるべきではある。
 しかしそれは、まだだいぶ先になるとも思う。
 月子がメイプルカラーから離脱する己を、許せるようになってからのことだ。
 それに俊としても、ユニットの音楽性を完全に確立してから、所属する会社は決めたい。
 ノイジーガールなどはかなり普通のPOPSであるが、完成すればオルタナとメタルの要素があるロックになるはずだ。
 作成してきた曲やアレンジを見れば、俊には音楽性などなく、ただ器用に流行を追っているように見えるかもしれない。
 だが根底にあるのは、やはり違うのだ。
 誰かの魂に爪痕を残すような、そんな音楽を作りたい。
 その数が10万や100万を超えてようやく、俊はこの閉塞感から半ば解放されるだろう。



 二日目の公開曲はチェリー、フォニイ、ダンシング・ヒーロー。
 この中ではダンシング・ヒーローは原曲に近い。
 それが関係しているのかどうか分からないが、再生数が伸びない。
 チェリーはやはり安定して伸びていて、一番顕著なのがフォニイであった。
 これはかなりバラードアレンジをしているので、それがツボにはまった人間が多かったのだろう。
 ただこの二日目には、まだ登録人数が少ないこともあってか、コメントには率直な意見が多い。
 ほとんどは「仮面外せ」であるというのは笑える。

 ここまでの公開してきた歌を見て、リクエストしてくる人間も多くなっている。
(いずれはライブ配信して、投げ銭にも対応すべきかな)
 ただライブ配信であると、突発的な事態に対応できない。
 ライブ配信の形を取った、録画の配信というのが無難なところであろうか。
 しかし全くコメントに対する反応がなければ、見ている方も不信感を抱くかもしれない。

 月子が意外なほど、人前で歌うことにプレッシャーを感じないことは、路上で歌ったことや、ステージに立っていることで分かっている。
 ただ記録として残ってしまうものを、どうすればいいのやら。
 これは将来的に、どういう形で音楽を発信していくか、という問題とも絡んでいる。
 いずれは大きく展開するために、大手の事務所に所属し、レコード会社とも契約しなければいけなくなる可能性は高い。
 商業的な成功を達成するためには、どこかでネット配信だけの活動からは脱却する必要がある。

 俊にはあの夢の啓示が、はっきりと記憶に残っている。
 かなり大きなライブハウスであったとは思うのだが、自分の知っている場所ではない。
 そしてステージに立っていたのは、自分と月子の他には、おそらく四人。
 ひょっとしたら三人以下かもしれないと思うが、二人以上は絶対にいた。
 あれはバンドを組む必要がある、という意味ではなかったのではないだろうか。
 実際に完成形のノイジーガールは、明らかにギターヒーローを必要としたライブ楽曲であった。

『聞いてくれる人増えて、嬉しいですね』
「そうだな。ただ問題は四日目なわけで……」
 ノイジーガールが本当に受けるのかどうか、自信はあっても不安は消えない。
 自信があるからこそ逆に、それを否定されてしまった場合、ショックは大きいだろう。
 多くのweb小説家が初投稿作を完結させられなかったり、ボカロPが一曲か二曲で消えていくというのは、それだけ思い入れが強いからであるのかもしれない。

 一度や二度受け入れられなかったぐらいで、挫折するのは意味が分からない俊だ。
 誰だって最初に作るものは、おおよそ稚拙であるというのが当たり前。
 まあ小説家の中には、初めて書いた小説が大きく評価される、という人間もいるらしいが、そういった人間も全く文章を書いたことがないわけがない。
 俊の場合はある程度の成功体験もあるため、次にすぐに向かうことが出来る、
 それでも自信作が否定されれば、ある程度ショックは受けるのだ。
 これは創作をする上では、どの分野でも避けられない痛みであろう。

 ただノイジーガールは、いずれ作り直す必要はあると思う。
 それまでにまず、ノイズとしての二曲目を作る必要があるが。
 つまづいて転んでも、そこでうずくまっている暇はない。
 吸収すべきものは多く、そこから引き出すものも多い。
 天才どもはもう、既にメジャーシーンにいたりする。 
 それを思うと俊としても、得体の知れない焦りに支配される。
(あの女がデビューしたのは18歳だった)
 今の月子と同じ年齢で、メジャーシーンに登場したのだ。
 俊とは状況が違うから、比較することの意味はないのかもしれない。
 だがそれでも、俊の中の焦燥感はなくならない。
『ノイジーガールなら、絶対に大丈夫ですよ』
「そうだといいな」
 冷たく聞こえるように言いながらも、俊は次に月子が歌うカバー曲のアレンジを行っていたりしたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

処理中です...