妹が私の婚約者を奪うのはこれで九度目のことですが、父も私も特に気にしていません。なぜならば……

オコムラナオ

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妹は、嫌がった。

思春期の初め頃を過ごした人ならわかってもらえるかもしれないが、私の妹も、性に対する興味と抵抗が心の中で対立を起こしていた。

加えて妹は学園にも行けなくなるほど、他人全般に対しても恐怖心を抱いていた。

ゆえに誰かと会わせるということ自体、難しい状況だった。



父は、若い男の血を優先して買うことで、何とか妹が飲める血を増やしていった。

しかし妹は意識が朦朧とするまで血を飲むことを避け、その状態になった彼女に何とか私と父が飲ませることで、ようやく事なきを得ていた。

父も私も、疲れ初めていた。

しかし気持ちは全く変わらなかった。

「何としてでも、妹を生かす」

その強い意志だけが、私たちを突き動かした。

父にとってはどうだったかわからないが、その感情は亡き母の呪いなどではなく、私にとっては加護のようなものに思えた。

どんなに幸せでも、自分の人生に生きる意味を見いだせない人はたくさんいる。

私は血を分けた妹に死んでほしくないという強烈な望みがあったので、同年代の子のようなどこか乾いた、幸せだけれどどこか虚無に取り憑かれた、抜け殻のような思春期を過ごさずに済んだ。

私の毎日は、妹の命を救うという使命で一杯だった。

だから父が私のための縁談を持ってきたとき、全くその気にはならなかった。

「お前もそろそろ、そういうことを考える歳だろう。

どうだ、私の知人が勧める人と会ってみないか?」

正直、私は自分のことなんてどうだってよかった。

恋愛がどうだ、婚約者がどうだ……

でもそれが、父の思いやりであることもわかっていた。

『妹のためだけに全てを投げ出す必要はない。

お前は一人の女性として、良い家の男にもらわれて、幸せになる権利があるんだ』

直接的にそう言われたわけではないけれど、私は父から感じる思いやりの気持ちを、無下にすることなんてできなかった。
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