死にかけたので転生します。

大桃

文字の大きさ
上 下
5 / 12
男爵令嬢リディア・クラベル

リディア・クラベルの人生5

しおりを挟む
お腹はどんどん大きくなった。

夫からは妊娠したことを喜ぶ内容の手紙が来たことをメリッサから口頭で伝えられた。

リディアはこれまで夫が手紙さえ送ってくれないのだと思っていたがどうやらメリッサがわざと知らせていなかっただけなのだと知った。

そして妊娠が分かって3か月目の時にメリッサの姪でフィデルの従姉妹だというマーリーン・レジナ嬢がお手伝いという名目で屋敷にやってきた。

しかしお手伝いとは名ばかりでマーリーンはもともとリディアが使っていたフィデルの寝室の隣の部屋を自室としまるで自分がフィデルの妻かのようにふるまい始めたのだった。

メリッサとマーリーンはそうしてどんどんリディアを追い詰めていった。

リディアはそんな環境下でもおなかの赤ちゃんのためにと負けじと生きた。

リディアを大切に育ててくれた家族のために、そんな家族が支援する公爵領の人たちのためにも今リディアが逃げ出すわけにはいかなかった。

リディアのお腹は日々大きくなった。

そんな中生まれてくる子供のために、とリディアは小さな手袋と靴下を編んでいた。

本当は服を編んであげたかったが、公爵家から糸と針をこっそり持ち出すにはばれない量しか持ち出せなかった。

毎日少しずつ、丁寧に、

そうして完成するころにリディアは産気づいた。
しおりを挟む

処理中です...