あの娘のスクール水着を盗んだ ~ちょっとエッチな短編集~

かめのこたろう

文字の大きさ
41 / 81

彼女とナイトプールに来たらオムツ水着だったから思わずオッパイをビンタした。

しおりを挟む

 感情のままに衝動的に。
 久々のナイトプールという非日常に抱いていたドキドキワクワクを最も手酷いやり方で裏切られたような怒りとイライラのままに。

 ぺチンと。
 音がするほどやってやった。
 
 ぶるんと。
 赤いビキニブラに包まれた乳球が柔らかそうに揺れた。

 もちろん痛くは無いように加減はしたけど。
 怪我をさせることなんて論外、あくまでも「胸を殴られた」という刺激と自覚を与えつつ肉体にはなんらの損傷がないように。
 その程度の強さと勢いで。

 何かしら思い知らせてはやりたいけれど、致命的に険悪なムードにはなりたくない。
 彼女の気持を損なうことなく、なんとか自分の中に生まれた憂さを晴らしたい。
 
 そんな境界条件によって決定付けられたエネルギーのビンタでは、対象に与える影響がとても局所的で限定的なのは当たり前。
 いやらしさと悪戯心半々くらいのスキンシップだと思われるのが関の山。
 うれしはずかしバカップル的セクハラ風コミュニケーションくらいにしか捉えてもらえない。


 やだぁ!


 案の定、予定調和的な反応。
 照れて怒るような素振り、でも決して本気で嫌がってない。
 水着に包まれた決して小さくないオッパイを守るように身体を捩るその姿。 


 もぉエッチなんだからぁ。


 まさにそんな概念をそのまま形にしたかのような動きとポーズ、表情と声。
 身体全体から満ち溢れる一つの表現。
 大好きな女の媚態。

 見た目も中身も自分好みのイイオンナが肌も露な水着姿でそんな風にしているのは堪らなく愛おしいもののはずだった。
 本来ならこれ以上無いほどに可愛くいじましい思いに囚われて夢中になってしまうくらい価値あるものだったからこそ。


 今はそれが妙に勘に触る。
 だからこそ余計にイライラしてくる。


 それだけ細く括れたウエストを半ば以上覆い隠して包み込む、ハイウエストのビキニ水着のインパクトは凄まじかった。
 もはや見た目は完全にオムツにしかみえないそれを履いた彼女は、スタイルも顔の出来も他は全部完璧だったからこそ一点の瑕疵が齎す不整合さ、滑稽な不恰好さが突き抜けてしまっていた。

 およそ俺の持つ美的感覚とはかけ離れたものだった。
 どう見ても、どれだけ前向きに解釈しようとしてもダサいとかかっこ悪いとか、そういう心証から逃れることは不可能だった。
 なぜこんなものがまかり通るのか、今更ながら世の理不尽さを嘆きたくなる。
 こういうのが流行り始めたのを知った時に、まーた妙なものを無理やり押し出そうとしてるんだなぁってなんとなくその手の業界に抱いている不審感とか胡散臭さと共にまさか真に受けるヤツなんていないよなぁ、いたとしたらよっぽどセンスがアレなヤツだろうなぁって見下したような冷笑的な気分になったくらいなのに。
 よりによってそれを自分の彼女が意気揚々と久々のプールデートに着てきたのが判明した瞬間のショックといったら。

 前もって宣言されていた通り、確かに「ビキニ」ではあったけれど。
 そこはまったく間違ってはいないし、うそ偽りなどこれっぽっちもなかったけれど。

 でもその言葉の響きによってまんまとドキドキワクワクしていた己の単純さを呪いたくなった。
 数日前に二人で予定を立てていたときの、キャッキャウフフとすっかり無邪気に盛り上がっていた自分を過去に戻って殴り飛ばしてやりたくなった。


 そんな風に固まって凝視している俺の視線の意味を明らかに勘違いしている顔で無防備に見せ付けるように距離を詰めてくる彼女。

 挑戦的かつ愛媚びた視線。
 どこか自慢たらしい得意げな口元の微笑み。

 「こういうのが好きなんでしょ?」って女が男の嗜好を斜め上に勘違いしたとき特有のドヤ顔。

 馬鹿馬鹿しいような可笑しさがこみ上げてきて笑いそうになった。
 目の前でダメ押しみたいに「エヘっ」ってはにかまれた瞬間、とうとう限界を迎えてしまう。


 ぺちんっ。
 もう一度、今度は逆側のオッパイをビンタした。


 もお!


 と口にしつつ、今度はもはや嫌がる素振りも見せない。
 ぶるんっと揺れるままに、むしろ誇らしげにこちらに向かって突きつけてくる。
 どこか嬉しそうな感じが忌々しい。
 オムツ水着を着ているヤツがいっちょまえに気分を出して盛り上がってるのがなんだかとても腹立たしい。


 終いにはアホらしい気分が極まって、どうでもよくなってきた。
 じゃれ付いてくるコイツを上の空で相手しながら、自分の中に閉じこもっていく。
 遠い視線で自問自答を始め、外界と遮断した精神で独り思考に逃げていく。
 もはやナイトプールにきていることすら意識の外へと流れていく。


 そういえば、オッパイをビンタというのは我ながら理に適っていたと思う。
 こうして振り返るに中々悪く無い、いや寧ろ今となっては最適な選択肢をとっていたなと自画自賛してしまう。

 まず俺はオッパイにそんなに拘っていない。
 あまり性的なアイコンとして認識していない。

 いや、もちろん「そういうとき」にはちゃんと必要不可欠なものだとして取り扱うけど。
 きちんと自分も相手も盛り上がって気持ちよくなるようにするけど。
 でも普段、日常的に目に入ったり、触れたりしてもさほどのモノではない。
 それ以外の腕とか肩とか、足の裏とか手の平みたいな性的意味合いの薄いものとさほど変わらないものでしかない認識なのだ。

 何故ならオッパイはお尻とは違うから。
 女体の背面腰の下、臀部についた魅惑の塊とは根本的に異なる存在だから。
 まっさらな平常心でいるときに性的な意味を見出すことなどできないのだ。

 世の中にはオッパイを最重要視して尋常じゃないこだわりを持っている人間が少なからずいるのは否定できない事実ではある。
 確かにほとんどの男はオッパイが好きだろう。
 そこは否めない。

 だから世間一般にオッパイはイコール「性的」ということになってしまっているきらいがある。
 ほとんどの女は、男はすべてオッパイさえ出せば興奮するくらいに思ってるんじゃないだろうか。
 男達はみんな普段から注意深くそこを探して視線で追っていて、見つかってしまったら最後、自分達は常に性的に消費されているとでも思い込んでいないだろうか。
 もはやそれが持てる者の「常識」で「当たり前の感覚」にすらなってるかもしれない。
 持たざる者は皆そうだというステレオタイプなイメージ……というよりある程度は多分に真実を含んだリアルな実情であるのかもしれない。

 だがそんなのは所詮、「そういうヤツ」だけに通じる論理でしかない。

 中にはオッパイなんてどうでもいいと思っている人間だっている。
 とても信じられないかもしれないけど、どれだけそこが大きかったりやわらかかったりして、丸出しにされて見せ付けられてさらには触るようなことをしても、いいとこ「ああ、そうですね」くらいの感覚しか抱かないような人間だって存在するのだ。
 「その気になれば性的なものとして扱うことも出来るけど、別に特別な意味を見出さずにいることもできる」というヤツだって少なからずいるはずなんだ。
 
 現に俺がそうだから。
 正直、尻と比べたら何ほどのモノかと思う。


 だから性的な意味を見出さずに接触可能であるというのは、ビンタをする対象としてはとても有意だったのだ。
 そこさえクリアしてしまえば、後は物理的なロケーション、形状材質からしてもはや殴るためにあるとしか思えないのがオッパイなのだ。

 あれだけ無防備に空中に晒して前面に突出させており、形といい位置といいなんとも素敵な塩梅である。
 さほど意識せずに労せずに、手を振れば丁度当たるところにこれ見よがしにおいてある。
 さらには構造的にも脂肪の塊のようなものなんだろうし、ある程度の衝撃を与えるとなると脆弱で致命的な他の重要器官とはまったく安心感が違う。
 いや、もちろん乱暴に蔑ろにしていいというつもりはないけれど、相対的には人体の中でも特に安全に接触可能な部位の一つだという認識はそう間違っていないはず。
 そもそも赤子に散々飲んだり吸ったり掴まれたり揉まれたりといじられることを前提に出来ているものだろうから、それも当然と言えば当然なのだ。

 だから今回のようにある程度の刺激を伴う接触を試みる場所としては、オッパイで間違いなかった。
 女の身体の中でも比較的痛みが少なく壊れる恐れもなく、ほどほどに痛覚と精神を刺激して相互に殴ったことと殴られた実感を持つには相応しい場所だったのだ。
 

 唯一のネックは性的な意味を見出すか否かという一点だけだった。
 
 これがオッパイに特別なこだわりを持つ人間だったなら違ってきただろうけど。
 人によるとオッパイを殴ること自体が性的な意味を持ってしまう恐れがあったのだろうけど。

 幸い、自分はそうじゃなかった。
 こと、俺にとってはほっぺたをそうすることと感覚としてはあまり変わらないのだ。
 むしろ顔を殴るよりよほど安全で優しいやり方であったとすら思う。

 自分がオッパイに特別な執着を持たない人間で本当に良かった。
 この運命の配剤によって俺と彼女は不幸にならずに済んだのだと確信に至った。
 そしてそのオッパイと反比例するかのような尻への関心こそが、オムツ水着への憎悪に繋がってしまったのかもしれない。


 ずっと上の空のまま相手していた彼女へと、どれくらいぶりかに意識を戻す。


 いつの間にか水から上がったらしく、南国風の趣で演出されたプールサイドに備え付けのオサレなバーカウンタで毒々しい派手な色のカクテルを飲みながら、相変わらず楽しそうに俺に話しかけているらしいけど、それはどうでもいい。

 ちらりとこれまで意識的に直視しないようにしていたものへ、それなりの覚悟を持って視線を移す。
 ああ、そこには相変わらずのオムツ水着。
 これが夢ではないことをまざまざと見せ付けてくる。

 腹巻みたいに下腹まで隠した、間延びした印象のこの形状。
 どうやらこれが妙に身体の遠近感を狂わせて異様な感覚を覚えるのだろうと、苦い嫌悪感を押し殺して冷静に分析してみる。
 提供サイドの売り文句やら名目的にはこのデザインは足長に見えるってことになっているらしく、確かにそう見えなくもない気はする。
 少なくとも実際より胴長短足のように見えずに済むような視覚効果があるのは事実なのだろう。

 でも本来はウリであるはずのその機能性が逆にマイナスになってしまっているような。
 というのも、どうもその視覚効果が原因で全体的にバランスが悪いような印象を持つのだ。

 「スタイリッシュ」というよりは、どこかデッサンが狂ったような奇形的イメージというか。
 なんとなく不安ですわりが悪く、落ち着かない気持にさせるのかもしれない。

 単純に、胴が短く足が長く見えればいいってものでもないのだろう。
 特に誤魔化す必要が無い、元からスタイルがいい彼女が着た結果を見る限り、見た目の印象に寄与して前向きな効果を齎しているようにはとても思えない。

 特に腰骨の上まであるショーツライン、この中途半端な肌の露出の仕方がなんとも下半身を間抜けた印象に見せるのだ。
 本来はメリハリのあるラインで魅惑的に演出されるべき臀部の盛り上がりを平坦に不恰好に見せてしまうのだ。
 つまりは俺が女の体の中でも一番拘っている部位を最も醜悪に台無しにしてしまうのがこのオムツ水着というものなのだ。


 自分がこうも受け入れられない理由の一端がやっとわかったような気がした。
 

 不快感の原因らしきもの、理由みたいなものがはっきりとしたせいか、少し気分が軽くなった。
 とりあえず、さっさとプールを出ることを決める。
 そして今夜はこれからどこか適当な場所で彼女を嫌って程、飽きるほど激しく濃密に抱くことを心に誓う。


 オムツ水着で散々イライラさせられた分、セックスはすごく盛り上がりそうな期待があった。
 その時には尻だけではなく、オッパイもきちんと丁重に紳士的な扱いをしてあげようと思った。





 了
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...