あの娘のスクール水着を盗んだ ~ちょっとエッチな短編集~

かめのこたろう

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彼氏の喘ぎ声があまりにも気持悪かったから首絞めて殺そうとした女の子の話

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 カレシである男が「このまま死んでしまいたい」って言ったときのあまりの気持悪さに愕然とした。


 お互い今正にイッた直後、余韻がやっと始まったばかりのベッドの上。
 私が上の体勢、見下ろす場所から放たれた言葉。

 その震えながら弱弱しい媚びと甘えに満ち溢れて感極まったような響き。
 名実共に自分を受け入れた女との交わりの終点、全てを晒してひけらかしている今の状況に最大限に依存した女々しさの極地。
 
 そういう「気を許した相手に見せる男の気持悪さ」を体現したそのもののような在り様に、その瞬間まで心を高揚させて耽溺していたもの全てが根こそぎ台無しにされてしまった。


 煌びやかな夜の街、待ち合わせしたイルミネーションの美しさも。
 遅くも無く早くもない歩調、組んだ腕から感じるぬくもりも。
 食事をしながら展開される知的で雰囲気たっぷりのやりとりも。

 それら全ての過程を一切無駄なく活用して一心不乱に只管目指していた場所。
 高められ昂ぶらせて育んだものが一気に爆発して解放される瞬間。
 
 定型化された煩雑な儀式と反復運動の繰り返しの末にやっと至った快感の極地が。
 

 それを齎してくれた筈の存在、その当人に全部台無しにされてしまった。


 「気持良すぎて今この瞬間に死んでしまいたい」みたいな概念、言葉などそう珍しいものでもない。
 まあ、他の場所とタイミングで聞いていれば笑って済んだかもしれない。
 あるいは共感して心を震わせて、盛り上がってしまったかもしれない。

 でもよりによってこのときこの瞬間。
 良くも悪くも私自身の感覚と感性が最も研ぎ澄まされて敏感になっているこの時に。
 心と身体という私の存在全てで齎されたものを堪能して浸りたい、それだけに染まりたいっていう一番大切な時に。

 そんな一方的に気分を出されてナルシズム全開で喘ぐように呟かれても萎えることしかできないじゃないか。
 自己愛的な醜悪さを見出して軽蔑するしかないじゃないか。


 なんて間の悪いというか。
 感覚を疑ってしまうというか。


 外見と中身、経済力に社会的立場。
 全てが今の自分にとって最良の相手であることは疑いようが無いからこそ、余計に腹立たしい。
 さっきまで散々こちらも盛り上がって唯一絶対、運命の相手だと信じ込めていたからこそ恨めしい。
 他に一切の瑕疵がないからこそ、突然振って湧いた納得しかねる不条理が嘆かわしい。


 私の方だけ醒めさせやがって。
 萎えさせやがって。
 現実に戻しやがって。


 今この瞬間も中に入ったままのモノの感触が酷く厭わしい、煩わしいものになってくる。
 こんなものが自分の内側にあるのが我慢できない、絶え難い不快感と嫌悪へと変わっていく。
 受け入れた何もかもを全て吐き出して綺麗に洗い流して消毒し、すっきりさっぱり浄化してやりたい衝動に襲われる。


 そんな無自覚に汚されたことのあらゆる不快感、純粋な怒りと苛立ちは明確な殺意に昇華された。
 もういっそ、言葉通り本当に殺してやろうという確固な意思が結実しあふれ出した。


 ぐっと。


 仰け反っていた無防備な首を絞めてやる。
 男にしては華奢な、だけど私に比べたらよっぽど太くて無骨なそこを最初は優しく、徐々に力を込めていく。

 うっとりと受け入れていた顔からすぐに余裕が無くなり、赤黒くなって脂汗をかき始めるまでさほど時間はかからなかった。
 私の手首を掴んで引き離そうともがいて暴れだす。
 局部はつながりながらも、分離しようと上下左右に揺れる互いの身体。
 

 そうはさせてなるものかと、私は必死で絞め続ける。
 

 そうやって結構がんばってはいたのだが。
 結局男と女では力が違っていた。
 最初は無防備なところを不意をつけたから優勢だったけど、最終的には体力や腕力の差が出てしまった。

 必死の力で均衡していたのが徐々に押され始め。
 やがて一気に両手を引き離されると、すごい勢いで咳き込み始める。


 涙目で必死に空気を吸う、何らの気取りも虚飾も無い剥き身の振る舞い。
 明らかに怯えて信じられないものを見るような表情。


 傑作だった。


 そしてこれだけ気持悪い想いをさせられて腹が立ったのにも関わらず、何故かこれっぽっちも別れようと思うことは無かった。
 たぶん、そういうのとは別に無性に恋人を殺してやりたくなるときがなんとなくあるのかもしれない。


 要はあの時あの瞬間のカレの気持悪さは思わず殺してもしょうがないほどのものだったという、ただそれだけのことだったんだろう。





 了
 
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