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男達に好きなように弄ばれて無理やり何度もイかされて売られて堕ちていった私の話
しおりを挟む今日も二人だけの時間。
何も身につけない、生まれたままの私の身体をじっくりと眺める愛しい男(ひと)。
羞恥と歓喜に燃え上がる。
これから始まることを想像して疼いてしまう。
互いに思うことは一つ。
愛し、愛されたい。
無言で始まる心と身体の交歓。
今日はシャワーから。
溢れるばかりの水滴が私の身体を襲う。
痛いくらいの勢いが今は気持ちいい。
貴方の視線とゆっくりと這わされる手の平の感触に慄いてしまう。
ああ、そんなところまで。
前も後ろも。
ごくごくと喉を潤すための穴。
呼吸をするための穴。
体内で不要になったものを排出するための穴。
私の身体を維持するために存在するあらゆる恥ずかしい穴を水の流れと共にやさしく触れていく。
己を成り立たせるために必要不可欠なその機能性のゆえにこそ、他人には見せられない、触れさせられないとても生々しくプライベートな場所。
心を完全に許した存在にしか開陳できない、特別な場所。
そこを見られて触られている。
拒むこともできずになす術も無く受け入れて。
ただ耐える事しかできない私を嘲笑うように弄ぶ。
限界を迎えようとした寸前でやっと終わりを告げる。
私の身体を散々に責めさいなんだ激しい水流はみるみる小さくなっていき。
やがてはぴちょんぴちょんという僅かな残滓だけを残して止まった。
シャワーだけでこんなに追い詰められるなんて。
いいように翻弄されている悔しさと誤魔化しきれない確かな悦びが綯(な)い混じった気持ちに包まれる。
身体を拭くときも責めは続く。
自分ですることも許されない。
手にタオルを持った貴方にされるがまま。
お前は俺のものなんだって、そうしてまざまざと主張しているのね。
被虐的な想いに包まれたまま、それでも負けん気を発揮してこのままいいようにされる自分じゃないと己に言い聞かせる。
冷静になって主導権を奪われたままではいないようにと心を落ち着かせようとする。
そんな私のいじましい決心もいきなり全身を襲い始めた新たな感覚に一気に流されてしまった。
ぬるぬるとした粘性の高い液体を素肌に塗られ始めたのだ。
な、なにっ!?
なんなのっ!
いや、こんなのいやよっ!!
経験したことのない感覚に怯えてしまう。
そんな私のことなんてまるで意にかえさぬように無言で続く貴方の新たな責め。
全身がぬるぬるとしたものにどんどん犯されていく。
やがて満遍なくたっぷりと塗られ終わった頃には、歯噛みしながらも不快感とは別のものを感じて受け入れてしまっていた。
そうしてシャワーから続く、一連の事を終えた貴方の顔。
心行くまで納得するまで焦らずじっくりとこなした前準備の出来に満足そうな表情。
私の様子を窺う顔の中に浮かんだものを確認して、とうとうその時が来たことを理解する。
貴方を受け入れるときが来たのね。
今日も私の中に入ってくるのね。
そう思った瞬間には。
もう始まっていた。
それまでのじっくりと焦らすような緩慢な行為とは全く違う、荒々しささえ感じさせる強さと勢いでいきなり侵入される。
自分の身体の一部から立てられた音の大きさに驚きを感じる間もなく次の動きは始まっている。
私の生来の存在理由、由来と機能をありありと象徴する小さな突起。
何の前置きも無く触れられて。
やさしく撫でられたかと思った次の瞬間には、ちぎられるかと思うほど激しく揺さぶられていた。
そこをそんな風にされたら。
声がでちゃう。
逆らいようの無い衝動が私の中に生まれて大声で叫んでしまった。
いや、それは声なんてものではない、本能の形そのままの獣のような咆哮だった。
そして貴方の身体から純粋な力が伝わると、さらに私は強く激しく動き出す。
逞しい手と足が力強く動くたびに抗いようが無い反応を返してしまう。
自分の内部にある最も重要な器官、そこで繰り返されるピストン運動が巨大な鼓動を生み出していく。
入力されたエネルギーが自分の体の中で燃え上がって、何十倍何百倍の大きさになって出力されていくのがわかる。
気がついたら恍惚として真っ白な頭の中でこの何よりも幸福な二人の共同作業だけが私を支配していた。
己が存在する意味と価値をこれ以上無いほどの形で発揮させられて、世界に生まれた歓喜だけに包まれていた。
ありえない速度と力で私たちは何処までも突き進んでいき。
二人だけが共有するもので全ては満たされていく。
ああ、イってしまう。
イかされてしまう。
いつまでも。
どこまでも。
何度でも。
ああ、また。
やがて行き着くところまでイかされた先にある終焉。
静けさと残響、そして身体の奥にじんと灯ったままの余韻を抱き合って。
その時、私たちは確かに一つだった。
………
輝かしい日々は儚いものだった。
貴方が私に会いに来る頻度。
見つめるときの表情。
ふれたときの感触。
全てが遠くない将来に訪れるであろう、破局を予感させる。
そして不安と不審に包まれながらもどうすることも出来ずに時は流れて。
やがて自分が想像していたよりも遥かに恐ろしく過酷な運命が待ち受けていることを知る。
まさか。
まさか他の男に金銭で私を売り渡すなんて。
あまりのことに現実を受け入れられない。
実際に起こっている事実なのだと認識できない。
だから事態が刻々と動いていっているあいだ、私はただぼうっとすることしかできなかった。
精神が壊れないように、考えることを止めてしまっていた。
そして気がつけば。
見知らぬ男に私は好きなようにされていた。
あのヒトとはまるで違う、乱暴な手つき。
シャワーなんてろくに浴びさせてくれない、いつでも突然に、何の前準備もなく。
でも私の身体はそんな扱いにも素直に反応していた。
どれだけ心では拒否しても、生まれ持った器官を有効に機能させられることに否応も無く悦びを見出してしまっていた。
そうして、これが自分の本性なのか、誰が相手でも浅ましく身体を許してしまうのが己なのかという葛藤に包まれながらも、新たな日々をどうしようもなく受け入れさせられて。
少しずつそこにもやっと自分の居場所を見つけかけたと思ったら。
また私は売られた。
前ほどのショックは無かった。
なんとなく、ああまたかという想いが生まれただけだった。
ただそうして始まった新たな男の扱いにも心とは裏腹に素直な反応を始める己の身体に怒りだけを覚えて。
自分自身の浅ましさに絶望しながら経験だけが積み重なっていく。
また売られるまでにそう時間はかからなかった。
もうそれからは何も葛藤が生まれることは無かった。
ただ冷えて固まった心を抱えて、自分の上を通り過ぎていく男たちの生み出す刺激に身体で反応を続けた。
そうして売られては身体を使われ、売られては使われることを何度繰り替えしたのか。
何時しか私は自分の身体がぼろぼろになっていることに気がついた。
思えば、最初に売られてから碌に身奇麗にさせてもらった記憶も無い。
恐らく傍から見たら、私はもう見苦しいほど汚らしく醜くい姿を晒してしまっているのだろう。
そんな私に最後の男も見切りをつけたのか。
もう別の人間に押し付けることも諦めたようだった。
それまで押し込められていた場所から出されて、見知らぬところに誘(いざな)われる。
巨大な建造物、雑多なものがあふれるそこ。
理性ではなく本能でそこがどんな場所なのか、感じ取った。
そこには「死」の気配が充満していたからだ。
全身を一色に染めた衣服、仮面をかぶった男達。
彼らが何をしているのか、何を司る者たちであるのかを察するのは容易いことであった。
その姿形、手に持った得物(えもの)から立ち昇る禍々しいものこそが雄弁すぎるほどの身の証。
私の最後の男は彼らにこの身を引き渡すと。
一度もふりむきもせず立ち去って行った。
そうして一人ぼっちで不気味と悲惨の雰囲気だけに支配された場所に取り残された私。
だが孤独を感じることは無かった。
仮面の男達が私を拘束して押し込んだ、その奥にはたくさんの同じ境遇のものたちがひしめいていたからだ。
無言で視線を交わす、その中には束の間の共感と互いを哀れむ憐憫が浮かび。
またすぐに逸らす。
何故ならもう死の音がすぐそこに聞こえているから。
どうせあと少しで終わることがわかりきっているから。
……グシャっ!!
……グシャっ!!
途轍もない質量のものを大きな力で一気に動かして何かを完膚なきまでに破壊する音。
とても長い時間と手間をかけられて生み出された、複雑な組成の被造物をなんの思いいれもなく感情をこめることなくバラバラに粉々に分解してしまう音。
どんどん自分の番が近づいていく。
無機質に機械的に流れるように処理されていってしまう。
あと6番目。
……ああ、もうあと3番目。
考える間も無くその時は迫り。
遂にその時が訪れる。
凄まじい力で身体が宙高く引き上げられたかと思ったら、周囲を壁に囲まれた穴に落とされて。
一気に四方から加えられた巨大な圧力が私を襲った。
冷たく硬い鉄の壁が私を瞬時に壊しつくして小さく圧縮した。
身体の中を流れていたあらゆる液体を垂れ流しながら。
己を構成していた組成物をひしゃげ歪ませてこぼれ落としながら。
明らかに不可逆な変形を全身に加えられ、もうどうやっても戻りようが無いほど自分の身体が破壊されたことを理解した瞬間。
凄まじい激痛の只中で全ては一度真っ赤に染まり、そして暗転して何もかも無くなった。
「Nissan typeS30,Datsun 280Z」、”フェアレディ”と名づけられた私の一生はそうして終わりを告げた。
了
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