あの娘のスクール水着を盗んだ ~ちょっとエッチな短編集~

かめのこたろう

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托卵子が育ての父親に求められて受け入れちゃうみたいなやつ

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 父が有罪判決を受けて服役することになった。
 罪状は児童虐待と強制性交。

 同居している娘こと、私と関係を持っていたことだった。

 元々母がいないというだけで、父子家庭としては特別なところなど何もない一般的なものだったろうと思う。
 少なくとも物心ついてからこっち、生活に関して不満も不安も特に感じたこともない。
 幼いころに離れ離れになった母親のことはほとんど覚えていなかったが、片親になってから父は過不足なく子育てをしてくれていたのは確実ではある。
 私という当事者に何らの問題も想起させえぬ程度にはやりこなしていたのだから。

 だから父子家庭という状況状態についても特に気にしたことも精神的葛藤なりも抱いたことはなかったのだ。
 今時片親世帯など珍しくもない、同級生にもいくらでもいたし。
 まあそういうもんなんだろうなという程度の認識。

 ただ、そんなありふれた父子家庭の一つだという認識が少々変わってしまったのが中学に入って間もないころ。
 私が父の実子じゃないというのを知ってしまってから。

 別に父から直接言われたわけでもない、たまたま偶然にひょんなことで判明した事実。
 私が不倫していた母と別の男との子供だということ。
 それも長年明かさずに、父の子供と嘯いて育てられていたこと。

 実の子供じゃない赤ん坊を自分の実子だと偽られ育てさせられたという、いわゆる托卵子が私だったらしいと。
 初めて詳細に把握した両親の離婚事由は中々に衝撃的ではあった。

 でもどこかで納得するようなところもないではなかった。
 なんとなく父として育ててくれた彼の振る舞いや接し方、言動などなど。
 振り返ればその片鱗らしきものがあったかもしれないと。

 一度も怒鳴られたことなどなかった。
 ましてや暴力行為など。
 ただただ真綿でくるむような接し方で。
 よく言えばやさしい、悪く言えばひたすら甘いというか。
 そういうところがどこか必要以上に遠慮がちだったような。
 ある種の他人行儀感とでもいうか。

 まあそんなのもみんな後付けの解釈ではあるけれど。
 判明した衝撃の事実ゆえにこそ、そんな認識を事後的に当てはめようとしただけのことかもしれない。

 所詮明示的に言語化されたり表象化されるわけでもない、私の主観だけのこと。
 物理的事象として顕在化してる事実としては、高校に入って間もなくのころから父に身体を触られるようになったということだけである。

 最初はほんの何気なく、親子の軽いスキンシップ以上のものではなかった。
 でもそれがすぐに「そういうこと」を意味する行為になるのにさほど時間はかからなかった。

 私が一切拒絶しなかったのもエスカレートしていった理由の一つだとは思う。
 何故ならどこかでしょうがないという諦観めいたものがあったのだ。

 なにせ私は托卵子。
 彼の実子じゃない。

 それも結果的に破綻したとはいえ、かつて愛した女の面影があるのだろうから余計に男というものを刺激せずにはいられないのだと思った。
 そういう相手の状況やら、これまで育てられた間に受けてきた小さくない義理やら恩やらが混ざり混ざって、思春期の未成熟な精神ながらに相手を慮ろうとでもしたのだろうか。
 なんとなくこれくらいならとずるずる受け入れてしまっていた。

 直接的に関係を持つまでにそう時間はかからなかった。
 その時点ではもうお互い、特に言葉にせずとも示し合わせたみたいに自然と交わっていた。

 これがすごく苦痛で嫌で嫌で仕方がなかったらまた話は別だったのだろうけど。
 困ったことに私にとって性行為というものはさほど抵抗が無いものだった。

 だからといって積極的にやりたいわけでもハマり込むほど夢中というわけでもなかったけど。
 ようは好きでもないし嫌いでもない。
 自分から求めるようなことはありえないけど、必死で拒絶するほど嫌じゃない。

 私にとってセックスというのはその程度のものでしかなったのだ。

 それよりもこれまで自分の子供でもないのにこうまで面倒見てくれて、経済的不安も生活苦もなく教育の機会も余すことなく与えてくれた人間に対して、これくらいならまあいいかという。
 なにより愛していたのだろう妻に酷い裏切りをされた彼の心の痛みやら葛藤やらを想像してしまい、むしろ同情的になってしまっていたというか。

 今思うと、多分私は彼が好きだったのだ。
 異性としてはじゃなくても、少なくとも家族や同居人程度の関係者としては。
 実子じゃないと知ってから、恐らくそういう感覚に違和感も抵抗も無意識になくなっていたのかもしれない。

 身体を求められることもむしろ当然のような気すらしていたと思う。
 自分が嫌じゃなければ、ことさら困ったことでも悪いことでもないと。

 行為自体についてもさほど負の心証を抱くほどのものはなかったし。
 没頭して溺れるほどじゃないけど、してるときの身体反応は我ながら興味深かったし。
 まあそれなりに楽しめないわけでもない。
 どんなものでも快感を見出せば、やぶさかではないものである。


 ただ偶々それをする相手が、求めてきた男が育ての父親だったというだけ。
 血縁が無いけど、法的には親子ということになってるという。
 事象としてはただそれだけのことだったんだろうけど。

 
 ある日突然、世間やら社会やらと呼ばれる外部世界を則る厳然とした法則に照らされた途端、それは人倫に悖る鬼畜な不法行為になった。
 恐らく定期的に顔を出しにきていた叔母だろうと思うが、どこかしら何かしらの理由で暴かれた私たちの関係が問答無用で裁かれることになったと。

 それは酷く暴力的で一方的としか言いようがないものだった。
 毎日平和に慎ましく、特に何も問題なく住んでいた私たちの生活はある日いきなりセンセーショナルに取りざたされて取り返しがつかないほど滅茶苦茶に破壊されてしまった。


 優しく穏やかな、血のつながらない父親だった彼はどれだけ社会的制裁をされても飽き足らないような鬼畜な性犯罪者になってしまった。
 どこにでもいる普通の女子高生だった私は、凌辱的性犯罪の憐れな被害者というひどく差別的かつ好機の視線にさらされて尊厳らしきものなど微塵も残らないほど踏みにじられ続けた。


 社会の正義と司法的判断の正しさが結果的に私にもたらしたのは、それまでの安寧とはまるで違ううそ寒い絶望的な生活だけだった。
 それまで碌に付き合いもなかった親戚とやらに引き取られてから始まったのはそんな日々だった。

 ああ、あの穏やかな日々はもうどこにもない。
 ここにあるのは只、腫物を扱うような隔絶と薄汚い穢れたものを見るような軽蔑。
 肉親の情などどこにもない。

 たかがセックスで失ったものの大きさ。
 父であった人を失くした喪失感。

 私は今、ここを出て経済的に独立することしか考えられない。
 ただ恐らくまともな仕事についてそれを実現するのは難しいだろう。

 最悪、身体を売るようなことすらしなくてはいけないかもしれない。
 それでも。

 ここに居続けるよりはよっぽどマシだと思うのである。
 性的虐待もどんな不法行為もないこの場所は、それくらい最低で最悪なのである。





 了
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