息子を目の前で殺された若い母親がそのまま犯されちゃう話

かめのこたろう

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息子を目の前で殺された若い母親がそのまま犯されちゃう話

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「おかーさーん!」


 野原の先を行く息子の声。
 満ち足りた思いにふけながら若き母親は注意を促す。

「そんなに急ぐんじゃないの! ほらほら前を向いて!」

 言っているそばから脚をとられて息子がごろりと転がる様子が目に入る。
 しょうがないなと笑みを浮かべながら歩を進めていく。
 木々の間からもれる日の光、柔らかな風の感触を全身で感じる。
 辺りは瑞々しい生命で満ち溢れていた。
 今日も生きる糧を得られるであろう幸せな予感をかみ締めて。
 視界に映る豊かな自然の光景に目を細める。

 その母子はいつからか森の中で暮らしていた。
 父親はいない。
 二人だけの暮らし。
 未だ若さに溢れる年齢の母親と幼い子供だけの生活は不自由なことも命を脅かす危険もたくさんあったが。
 豊かな森の恵みがそれ以上の安寧を二人に齎してくれていた。

 あと数年もすれば息子も一人前になり。
 自分の役目もそうして一つ終わるのだと、日々の成長を見ながら思っていたそんなとき。

 それはやってきたのであった。

………

「おかーさん! 誰かいるよ!」

 息子のその声で顔を巡らせたその先、野原と森の境界線。
 こちらを窺う存在に気がついた。
 
 その瞬間、全身に満ちる緊張。
 恐怖と戦慄が母親を襲う。
 太い幹の影から半身を見せているその姿。

 底冷えのするような酷薄な光りを湛える切れ長の瞳。
 風雪と戦いに晒され続けた事が一目でわかる傷だらけの顔。
 子供の身体と同じ位の太く荒々しい盛り上がりを見せる腕。
 はちきれんばかりの筋肉の塊は内在する力の形そのものといった風情。

 その男は立ち上る禍々しいものを隠そうともせずに、自分をじっと窺っている。
 間違いない。
 己と息子を襲い、すべてを力で奪っていく簒奪者に違いない。

 じっと目を離さずに己の身を晒しているその様子。
 辺りには自分達以外の存在が無いことを確信したら一気に襲ってくるつもりに違いあるまい。
 遠めにもうかがい知れるほどの力強さに反してのその慎重な態度はどのような獲物も確実にしとめんとする現実的で計算高い狡猾さを感じさせ。
 既に相手が必勝を期していることを母親に理解させた。

「おかーさん……?」

 とっさに自分の側へと肩を抱いて寄せる。
 そして状況を確認する。

 周囲は遮蔽物も無い、野原。
 身を隠すことができる場所は無い。
 子供と一緒に真っ直ぐ逃げたとしても、追われれば逃げ切れないことは確実。

 ならば方法は一つ。

「……いい? よく聞いて。あたしが”走れ”と言ったら全力で家まで走って帰るのよ」

「え? おかーさんは?」

「おかあさんは後から行くから! 絶対に後ろを振り返ってはだめよ!」

 息子が生まれてこの方、見せたことが無いような鬼気迫る顔と声。
 その様子に息を飲んで青ざめつつも。

「……う、うん。わかった……」

 こくりと頷いた息子を堅く抱きしめる。

 ……この抱擁が最後になりませんように。

 そう切実に祈るも、自分達以外の存在が辺りに無いことを確信したのであろう男がのそりと動き出したようすに、力強く息子の背中を押した。

「さあ! 走って!!」

 息子が走り出した瞬間、男が猛然とこちらへ向かってきた。

 母親は己の中に沸き起こる恐怖を、逃げ出したい竦み上がりたいと望む本能を必死で押さえ。
 大地に脚を立て、両手を広げ、雄叫びを上げた。

 自分がこの男を相手どっているうちになんとか息子だけは逃す。

 それが母親が唯一選ぶことができた選択肢であった。

 数秒もしないうちに目の前に迫る巨大な存在。
 速度と質量が齎すエネルギーの塊、暴虐なほどの力が自分のすぐ眼前にある。

 既に命を捨て、覚悟を固めた母親が今にも訪れるであろう強烈なインパクトに備えたその瞬間。 
 壁のように見えた巨大な存在が小さくなり、己の視界から消えた。

 男がその巨体を小さくして屈みこみ、自分の脇を通り抜けた……そう気がついたときには息子と自分のちょうど中間あたりまで男は進んでいた。

「っ!?」

 唖然とする暇もない。
 危機感に慄きながらも身を翻して男を追う。

 早く早く。
 追いついて男を止めなくては。
 
 息子を男が追い、その男を母親が追うという追いかけっこは時間にして数瞬であったろう。
 母親が絶望に包まれる間もなく、息子へと迫る男が腕を振りかざして一撃を背中に与えんとする態勢になっていた。

 駈ける幼い背中に打ち下ろされる太い腕。

 刹那であったはずの一連の動きを母親は酷く緩慢に認識していた。
 吹き飛ばされた小さな身体が宙を舞う。

「いやーーーーっ!!」

 叫びながらもひた走る。
 その間にも止めを刺さんと倒れた息子の上にのしかかる男。

 やっと追いつくと、母親は男の身体に必死で打擲を加える。

「離れてっ! 離れなさいよっ!!」

 全力で叩きつづけるも男は背中を向けたまま頑として揺るがない。
 と、ゆらりと肩が動いたと思った瞬間。

 母親は頬に衝撃を感じた。
 感じたと思った瞬間、その感触は地面の土と草のものに変わっていた。

 殴られて昏倒したのだと理解したその時には。
 息子の身体が目の前で八つ裂きにされている真っ最中であった。

 視界が真っ赤に染まり、全身から力が抜けていく。
 ひゅーっと喉から音が漏れ出るだけ、倒れ付したまま動くこともできない。

 言葉もなく呆然とした母親の前で淡々と息子の身体は解体されていき。
 やがて肉塊となった。

 男は悠揚と立ち上がり、こちらを振り向く。
 何かを見せ付けるようなもったいぶった動き。
 真っ赤にそまった筋骨隆々たるその身体が示す男の象徴。
 幼い子供を破壊衝動にしたがってばらばらにした興奮か。
 これから始まることへの期待で呼び起こされた欲情か。

 禍々しいまでに雄渾なファロスがただ天に向かい聳え立っていた。

 かつて息子であった物体にうつ伏せで顔だけを向け続けている母親は視界の隅で男がオスの象徴をまざまざと屹立させているのを映していたが、なにも反応を返すことはできない。
 ただ涙を浮かべて眼をかき開き、視線を一点に固定してひゅーひゅーと呼吸を続けるだけ。

 男はそんな母親を嘲笑い。
 その背後へ回る。

 うつぶせになった若いオンナのしなやかな肢体、艶やかな背中と丸い臀部が目に映る。
 繁殖に適した健康的で美しい姿。
 その光景に男の本能がごくりと喉を鳴らさせる。

 己の中に生まれた衝動に従い、いざ蹂躙せんと、ぐっと背中を上から押さえた。
 瞬間、我に返った母親、上半身を起こそうと首を回して背後の男を振り返る。

 その瞳に宿る、激情の嵐。

 絶望と。
 憤怒と。
 憎悪。

 歪み噛み締められた口から漏れ出す言葉にも溢れんばかりに。


「よくもっ……殺してやる……殺してやるーーーーっ!!」


 叫びながら腕を振り、届くところは全て攻撃を加えんとする。
 魂からの呪詛を発しながら続ける必死の抵抗。

 しかしどれだけ母親が感情を爆発させて、全身全霊を尽くしたとしても互いの間に存在する残酷なほどの物理的格差を埋めることはできなかった。
 体格と重さ、力と速さ。
 生まれ持ってのあらゆるものが違う。
 
 背中を押さえられていながらの女の抵抗は何ほども男に影響を与えることはなかった。
 最早、相手になんらの痛痒も与えることが不可能なのは明らかであった。

 それでも止まることはない。
 不自由な態勢のまま、渾身の力を込めて振るわれる腕と足の動きはやむことはない。

 結果など関係なかった。

 彼女にはもう赤黒い衝動に従って、ひたすら叫び動きづつけることしかできなかったのだ。
 目の前で二つとない、愛する我が子を引き裂かれた者にできることなど他に何があるのか。


「ぐぅっ!」


 そんな彼女の激しい動きも心の中に渦巻く激情もまったく気にした様子も無いままに荒々しく押し付けられたものの感触。

 固く。
 太く。
 恐ろしいほどに逞しい。
 
 奪い、壊し、犯すという邪悪な意思をそのまま形にしたような。
 さらなる絶望の象徴そのもの。
 己の最も無防備で脆弱な場所に宛がわれた瞬間、これからの運命を否応なく理解させられる。
 だからこそ最後の一瞬まで彼女は抵抗をつづけた。
 迫りくるものから全力で逃れようと。

 しかし無情にもその時はきた。


「ああああーーーーっ!!」


 辺りに響く悲痛の声。
 あとは暴虐な支配者による一方的な捕食行為そのものが淡々と展開されていくだけであった。

 やがてすべてを貪り尽くされた母親は全身を脱力させて横たわる。
 座り込んだ男の横で四肢を投げ出し動かない。
 その顔は紅潮し、涙の後を残しながら痛みとそれ以外の感覚に歪み。
 だらしなく放り出した足の間からは、この悲惨の象徴が溢れ漏れ出るまま。 

 静寂の中に流れ続ける、男の静かな呼吸の音と母親のすすり泣き。
 月光が照らす森の間に開けた野原の一角。
 
 辺りには何時しか死臭が立ち込め始めていた。


………
……



「16号は無事妊娠したようですね」

「ええ、よかったわ。あれで子供が出来ないのだけは避けたかったから。彼女は人間で言えば20歳。まだまだ若いし、がんばってほしいわね」

「……でも複雑です。熊の習性とは言え、オスに子殺しをされるとメスは発情して、そのオスと交尾をするんですから」

「自然の摂理ってそういうものよ。私達の倫理や道徳観念が通用する世界ではないわ」

「そうですね、あらためて生物の多様性を思います。……ただ」

「なぁに?」

「それでもふと考えちゃうんですよね。私達があの子と同じ状況になったら、どんな風になっちゃうんだろうかなって」

「……ふふふ、そういう感性は嫌いじゃないけど。生物学者がもつのはいいことなのか、ちょっと悩んじゃうわね」

「いえ、唯のセンチメンタルだっていうのは自分でもわかっていますから」

「ならいいわ。じゃあ引き続きトレースをお願いね。次の出産時には映像記録もとりたいから」

「はいっ!」


 ………。



 白衣を着た二人の女が見つめるその視線の先。
 モニターの光が映す暗い森の中には。
 傷ついた身体を抱くように蹲くまる、一匹の獣の姿があった。








 了
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感想 1

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みんなの感想(1件)

フライ
2020.01.02 フライ

タイトルで既に興奮します!

この母親いい匂いなんでしょうね〜

2020.01.04 かめのこたろう

(o´∀`)b

解除

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