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かつて片思いしていたあのコは兄貴の彼女になって、今や毎日ウチでセックスしてるけどやっぱり嫌いになれない
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僕の初恋は儚(はかな)くも散ってしまった。
だけどその散り方ってもんがあると思う。
よりにもよって実の兄貴の彼女になるなんていくらなんでも酷すぎる。
中学の時に一緒のクラスになってからずっと片思い。
高校だって実を言えば彼女の進学先に合わせて選んだみたいなもん。
それがある日突然「俺の彼女だ」って兄貴に紹介されたときのショックといったら。
部活の先輩後輩で顔見知りだったのは知ってたけど、そんな様子も素振りもそれまで微塵もなかったんだから。
その絶望的な気持、泣き叫びたい想いには凄まじいものがあったけど、「ヨロシクね!」って満面の笑顔を目前にして心の奥底に完全に封じられてしまった。
しばらく立ち直れなかったけど。
でも何とか表向き、外ツラだけはがんばって平静を保ちながら新しい関係を少しづつでも受け入れる覚悟を固めたんだ。
でもそれは始まりに過ぎなかった。
本当の地獄はそれから毎日のように彼女が兄貴の部屋に通うようになってから。
何せそれなりに防音だとはいえ、なんの変哲もない量産型一戸建て一般住宅であるウチの二階で隣同しの部屋。
別にわざわざ聞こうとしなくても、ちょっとしたガタガタ音くらいは普通に聞こえてくる。
ましてや明らかにイチャコラしてるような雰囲気が伝わってきちゃうと、もう我慢が出来ない。
気がついたらぴったりと耳を壁に押し付けてる自分がいた。
勿論それでもはっきりとは聞こえないけど、だからこそ薄ぼんやりとヴェール越しに覗き見るようないろいろ想像を掻き立てられて夢中になってしまった。
ふと我に帰って客観的に今の自分の姿を想像するたびに死にたい気持に襲われたけれども。
失恋の心の痛みと好奇心と、悲痛と興奮が複雑に混じったようななんともいえない心境だった。
憧れのあのコがよりにもよって兄貴と生々しいことをしているかもしれないっていう状況は、僕に失恋のショックに浸る余裕も与えてはくれなかった。
さらには玄関からウチに上がってきたときとか、部屋からトイレに行くときとか、事あるごとにそんな彼女とでくわすんだからたまらない。
学校帰りの制服のまま、相変わらずサラッサラの髪を揺らしながら大きな瞳を弓なりにして「オッス! 元気ぃ?」とか笑いかけられるたびに、心臓が跳ね上がるのを隠し通すのに苦労した。
そんな大好きだった、一方的に憧れていた存在そのままの彼女がすぐそこ壁一枚隔てたところで、恋人どうしの男女が営むことをたぶんやってるんだろうから。
例によってはっきりとはわからなかったけど、一線を越えたんだろうときもなんとなく察した。
その日は特に何の音もしなくて、本当に二人ともいるんだろうかって思うほど静かだったから余計に何か只事ではないことが起こっているのを直感的にわかってしまった。
いたたまれなくなって一階の台所でジュースを飲んでから戻ろうとすると、丁度帰るところらしい彼女とばったり。
パッと見は全く何時もと変わらない、綺麗で可愛い彼女だけれど。
でも一瞬目を合わせてからすぐ逸らして「お邪魔しました~」って横を通り過ぎていくその様子に、なんともいえない照れみたいな、疚しいところを発見された犯人の動揺みたいなものがあるのを僕ははっきりと感じた。
女の子が大人になる瞬間。
そんなものを僕は見てしまったんだと思う。
それからはさらに大胆にあけっぴろげになっていった。
しばらくすると、もはやそういうことをしているのを隠す様子すらなくなった。
どうせバれてるんだからって感じだったんだと思う。
勿論、直接見せ付けられるとかはないし、そっくりそのままの音とか声が聞こえてくるってわけじゃない。
一応、最低限、最後の一線だけは守ってる風ではあったけど。
でももうそれ以外は完全にオープンな感じだった。
何せ彼女は普通にウチのシャワーを浴びていくんだから。
二人にとっては、付き合ってるんだからそれくらいはしょうがないって感じだったんだろう。
そしてもうその頃には僕もあんまり辛いとか悲しいとかの葛藤はほとんどなくなっていたんだ。
むしろ、思春期らしい好奇心と興奮でちょっとしたラッキースケベ的な場面に出くわすと喜んでいるような状態ですらあった。
恋とか愛とかいう湿っぽい対象ではなく単純に可愛くて性的な魅力がある異性、好きだけど執着するほどじゃない、意識はするけれどそこまで過剰じゃない、そういう存在にやっと彼女を認識できるようになりつつあったんだ。
あまりにも節操がなく、みっともないような気もしたけれど、世の中に満ち溢れている失恋なんてそんなものなのかもしれない。
何時までもじめじめと拘ってうじうじ思い悩んでいるよりはそうしてさっさと気持を切り替えられるほうがよっぽど健全だろう。
もはや兄貴の相手になってしまったという事実を受け入れてしまえば、単純にそれだけのことになりつつあった。
まぁ好きではあったし、性的にどうこうしたいとかいう想いはあるにはあるけど、どこか現実的ではないような。
初恋の女の子という偶像は失われ、「兄貴の彼女」っていう現実的な存在として割りきりが出来つつあったんだ。
そしてそれが決定的になったのが、あの日。
初めて彼女の裸を見てしまったあの時。
自分の部屋へ戻ろうと兄貴の部屋の前を通り過ぎようとすると、普段は必ず締まっている兄貴の部屋のドアが何故か10センチほど開いている。
特に彼女が来るようになってからは、(たぶん僕に気をつかって)きちんと締めていたはずなのにと、そのもの珍しさもあって思わずチラリと覗き見る。
どうせ見ても問題ないものしかないんだろうという僕の期待というか、諦めみたいなものは裏切られないはずだった。
いくら赤裸々になったとはいえ、これまで一切直接的に僕を挑発するようなものは見せたり聞かせたりしなかったのだ。
兄貴なりにこっちに気を使ってたってことなんだろう。
もちろん彼女も、常識的な範囲を超える露出だの行為だのを僕に晒したことなど一度もない。
だからベッドの上に生まれたままの格好でこちらにお尻を向けてうつ伏せでスマホを弄ってる彼女の姿に完全に虚を突かれた。
頭の中が真っ白になった。
その瞬間にはまずいとかヤバイとか、かつてあれほど憧れていた想像以上に柔らかそうで華奢で綺麗な身体を見て嬉しいとかエロいとか感じることも一切無く、ただただ驚きだけしかなかった。
ひたすらどこまでも衝撃的。
ただそれだけ。
薄暗い部屋にスマホの画面の明りでぼんやりと浮かび上がる白く滑らかな背中。
ぶらぶらと膝を曲げて揺らしている細い脚、その根元の彼女の大切な場所すらうっすらと。
なんて無防備な格好。
しかも、たぶんいろんな男女の行為の痕跡を身体中に満ち溢れさせている。
残念ながら経験が無いからよくわからないけど。
でも濡れた光をところどころ発していたり、丸めたティッシュがすぐ横に転がされていたり、なんとなくそうなんだと思った。
ついさっきまでやらかしていたんだろう。
本来ならばこれ以上無い卑猥で性的な光景のはずだった。
かつて大好きだった、やっと割り切れるようになったばかりの魅力的な女の子、その人のなによりの破廉恥な格好。
艶姿というには強烈すぎる。
あまりにも生々しい性の匂い、およそエロさだけが極まったような。
でも最初のショックから立ち直り始めた僕が、そんな彼女に感じたのはまったく性的興奮とはかけはなれたものだった。
全身に性行為の痕跡を生々しく残して憚らない彼女の姿に、何故かエロいとかいやらしいとかそんな感情はほとんどわかなかった。
もっと別の強烈な何か。
似てるけどまったく異なるもの。
もちろんエロっちい想いが完全に無かったわけじゃない。
あるいはかつて憧れていた女の子の裸を初めて見て改めて好きだ、付き合いたいって想いが湧き上がらなかったわけでもない。
同時に失ったはずの心の痛みも。
勿論あるにはある。
全く無いとはとても言えない。
他にも雑多な後ろめたい自分に正直で直接的な感情がいろいろあるにはあった。
だけどその時、僕が包まれたのはそういうものをすべてひっくるめてさらにその上にあるもっと原初的な衝動だったんだ。
人間の男が女性に感じる、「魅力」とか「美しさ」とか言われるものの最も深い感覚とでもいうか。
エロいとか可愛いとか綺麗とかいうのも所詮その一部で構成要素でしかない。
恋愛対象として好きだとか、性的な意味で求めたいとか、そういうあらゆる個人的なエゴを超えたところにある普遍的価値。
最も純粋で根源的な美しさみたいなものだったんだ。
とても美しい自然の造形物をみてわきあがる歓喜のような。
そんな情動、心の波動。
たぶん、「感動」っていわれるもの。
生来の己の存在理由を全力で満たしきっているものの美しさ。
一切飾らず天然自然にあるがままに存在することの尊さ。
「生きる」ということにどこまでも純粋に透徹して真っ直ぐな姿の放つ眩さ。
生命(いのち)そのものの輝き。
僕が彼女にまざまざと見せ付けられ教えられたのはそういうものだったんだと思う。
そのまま何も無かったように部屋に戻った僕は、計らずも覗き見してしまった後ろめたさとは対照的なその感覚に永らく浸っていた。
時間にして数秒、一瞬の邂逅が齎したもの。
生まれて初めて触れた、自分の中に形成されてしまった巨大で強烈な概念。
それは新たな価値観への目覚めに他ならなかった。
僕がかつて片思いして憧れていた女の子は相変わらず兄貴の彼女で毎日ウチに来てセックスしている。
ちょっと胸が痛いけど。
少しだけ哀しいけれど。
キワドイ場面や格好に出くわして、いやらしい気持を抱くことだってあるけれど。
そんないろんな雑念を超えて、圧倒的に素晴らしいものを教えてくれたんだ。
今すぐには無理だけど、いつか必ず僕も大好きな恋人を見つけたいと思う。
女の子って本当に素敵な存在なんだって、わかってしまったから。
了
だけどその散り方ってもんがあると思う。
よりにもよって実の兄貴の彼女になるなんていくらなんでも酷すぎる。
中学の時に一緒のクラスになってからずっと片思い。
高校だって実を言えば彼女の進学先に合わせて選んだみたいなもん。
それがある日突然「俺の彼女だ」って兄貴に紹介されたときのショックといったら。
部活の先輩後輩で顔見知りだったのは知ってたけど、そんな様子も素振りもそれまで微塵もなかったんだから。
その絶望的な気持、泣き叫びたい想いには凄まじいものがあったけど、「ヨロシクね!」って満面の笑顔を目前にして心の奥底に完全に封じられてしまった。
しばらく立ち直れなかったけど。
でも何とか表向き、外ツラだけはがんばって平静を保ちながら新しい関係を少しづつでも受け入れる覚悟を固めたんだ。
でもそれは始まりに過ぎなかった。
本当の地獄はそれから毎日のように彼女が兄貴の部屋に通うようになってから。
何せそれなりに防音だとはいえ、なんの変哲もない量産型一戸建て一般住宅であるウチの二階で隣同しの部屋。
別にわざわざ聞こうとしなくても、ちょっとしたガタガタ音くらいは普通に聞こえてくる。
ましてや明らかにイチャコラしてるような雰囲気が伝わってきちゃうと、もう我慢が出来ない。
気がついたらぴったりと耳を壁に押し付けてる自分がいた。
勿論それでもはっきりとは聞こえないけど、だからこそ薄ぼんやりとヴェール越しに覗き見るようないろいろ想像を掻き立てられて夢中になってしまった。
ふと我に帰って客観的に今の自分の姿を想像するたびに死にたい気持に襲われたけれども。
失恋の心の痛みと好奇心と、悲痛と興奮が複雑に混じったようななんともいえない心境だった。
憧れのあのコがよりにもよって兄貴と生々しいことをしているかもしれないっていう状況は、僕に失恋のショックに浸る余裕も与えてはくれなかった。
さらには玄関からウチに上がってきたときとか、部屋からトイレに行くときとか、事あるごとにそんな彼女とでくわすんだからたまらない。
学校帰りの制服のまま、相変わらずサラッサラの髪を揺らしながら大きな瞳を弓なりにして「オッス! 元気ぃ?」とか笑いかけられるたびに、心臓が跳ね上がるのを隠し通すのに苦労した。
そんな大好きだった、一方的に憧れていた存在そのままの彼女がすぐそこ壁一枚隔てたところで、恋人どうしの男女が営むことをたぶんやってるんだろうから。
例によってはっきりとはわからなかったけど、一線を越えたんだろうときもなんとなく察した。
その日は特に何の音もしなくて、本当に二人ともいるんだろうかって思うほど静かだったから余計に何か只事ではないことが起こっているのを直感的にわかってしまった。
いたたまれなくなって一階の台所でジュースを飲んでから戻ろうとすると、丁度帰るところらしい彼女とばったり。
パッと見は全く何時もと変わらない、綺麗で可愛い彼女だけれど。
でも一瞬目を合わせてからすぐ逸らして「お邪魔しました~」って横を通り過ぎていくその様子に、なんともいえない照れみたいな、疚しいところを発見された犯人の動揺みたいなものがあるのを僕ははっきりと感じた。
女の子が大人になる瞬間。
そんなものを僕は見てしまったんだと思う。
それからはさらに大胆にあけっぴろげになっていった。
しばらくすると、もはやそういうことをしているのを隠す様子すらなくなった。
どうせバれてるんだからって感じだったんだと思う。
勿論、直接見せ付けられるとかはないし、そっくりそのままの音とか声が聞こえてくるってわけじゃない。
一応、最低限、最後の一線だけは守ってる風ではあったけど。
でももうそれ以外は完全にオープンな感じだった。
何せ彼女は普通にウチのシャワーを浴びていくんだから。
二人にとっては、付き合ってるんだからそれくらいはしょうがないって感じだったんだろう。
そしてもうその頃には僕もあんまり辛いとか悲しいとかの葛藤はほとんどなくなっていたんだ。
むしろ、思春期らしい好奇心と興奮でちょっとしたラッキースケベ的な場面に出くわすと喜んでいるような状態ですらあった。
恋とか愛とかいう湿っぽい対象ではなく単純に可愛くて性的な魅力がある異性、好きだけど執着するほどじゃない、意識はするけれどそこまで過剰じゃない、そういう存在にやっと彼女を認識できるようになりつつあったんだ。
あまりにも節操がなく、みっともないような気もしたけれど、世の中に満ち溢れている失恋なんてそんなものなのかもしれない。
何時までもじめじめと拘ってうじうじ思い悩んでいるよりはそうしてさっさと気持を切り替えられるほうがよっぽど健全だろう。
もはや兄貴の相手になってしまったという事実を受け入れてしまえば、単純にそれだけのことになりつつあった。
まぁ好きではあったし、性的にどうこうしたいとかいう想いはあるにはあるけど、どこか現実的ではないような。
初恋の女の子という偶像は失われ、「兄貴の彼女」っていう現実的な存在として割りきりが出来つつあったんだ。
そしてそれが決定的になったのが、あの日。
初めて彼女の裸を見てしまったあの時。
自分の部屋へ戻ろうと兄貴の部屋の前を通り過ぎようとすると、普段は必ず締まっている兄貴の部屋のドアが何故か10センチほど開いている。
特に彼女が来るようになってからは、(たぶん僕に気をつかって)きちんと締めていたはずなのにと、そのもの珍しさもあって思わずチラリと覗き見る。
どうせ見ても問題ないものしかないんだろうという僕の期待というか、諦めみたいなものは裏切られないはずだった。
いくら赤裸々になったとはいえ、これまで一切直接的に僕を挑発するようなものは見せたり聞かせたりしなかったのだ。
兄貴なりにこっちに気を使ってたってことなんだろう。
もちろん彼女も、常識的な範囲を超える露出だの行為だのを僕に晒したことなど一度もない。
だからベッドの上に生まれたままの格好でこちらにお尻を向けてうつ伏せでスマホを弄ってる彼女の姿に完全に虚を突かれた。
頭の中が真っ白になった。
その瞬間にはまずいとかヤバイとか、かつてあれほど憧れていた想像以上に柔らかそうで華奢で綺麗な身体を見て嬉しいとかエロいとか感じることも一切無く、ただただ驚きだけしかなかった。
ひたすらどこまでも衝撃的。
ただそれだけ。
薄暗い部屋にスマホの画面の明りでぼんやりと浮かび上がる白く滑らかな背中。
ぶらぶらと膝を曲げて揺らしている細い脚、その根元の彼女の大切な場所すらうっすらと。
なんて無防備な格好。
しかも、たぶんいろんな男女の行為の痕跡を身体中に満ち溢れさせている。
残念ながら経験が無いからよくわからないけど。
でも濡れた光をところどころ発していたり、丸めたティッシュがすぐ横に転がされていたり、なんとなくそうなんだと思った。
ついさっきまでやらかしていたんだろう。
本来ならばこれ以上無い卑猥で性的な光景のはずだった。
かつて大好きだった、やっと割り切れるようになったばかりの魅力的な女の子、その人のなによりの破廉恥な格好。
艶姿というには強烈すぎる。
あまりにも生々しい性の匂い、およそエロさだけが極まったような。
でも最初のショックから立ち直り始めた僕が、そんな彼女に感じたのはまったく性的興奮とはかけはなれたものだった。
全身に性行為の痕跡を生々しく残して憚らない彼女の姿に、何故かエロいとかいやらしいとかそんな感情はほとんどわかなかった。
もっと別の強烈な何か。
似てるけどまったく異なるもの。
もちろんエロっちい想いが完全に無かったわけじゃない。
あるいはかつて憧れていた女の子の裸を初めて見て改めて好きだ、付き合いたいって想いが湧き上がらなかったわけでもない。
同時に失ったはずの心の痛みも。
勿論あるにはある。
全く無いとはとても言えない。
他にも雑多な後ろめたい自分に正直で直接的な感情がいろいろあるにはあった。
だけどその時、僕が包まれたのはそういうものをすべてひっくるめてさらにその上にあるもっと原初的な衝動だったんだ。
人間の男が女性に感じる、「魅力」とか「美しさ」とか言われるものの最も深い感覚とでもいうか。
エロいとか可愛いとか綺麗とかいうのも所詮その一部で構成要素でしかない。
恋愛対象として好きだとか、性的な意味で求めたいとか、そういうあらゆる個人的なエゴを超えたところにある普遍的価値。
最も純粋で根源的な美しさみたいなものだったんだ。
とても美しい自然の造形物をみてわきあがる歓喜のような。
そんな情動、心の波動。
たぶん、「感動」っていわれるもの。
生来の己の存在理由を全力で満たしきっているものの美しさ。
一切飾らず天然自然にあるがままに存在することの尊さ。
「生きる」ということにどこまでも純粋に透徹して真っ直ぐな姿の放つ眩さ。
生命(いのち)そのものの輝き。
僕が彼女にまざまざと見せ付けられ教えられたのはそういうものだったんだと思う。
そのまま何も無かったように部屋に戻った僕は、計らずも覗き見してしまった後ろめたさとは対照的なその感覚に永らく浸っていた。
時間にして数秒、一瞬の邂逅が齎したもの。
生まれて初めて触れた、自分の中に形成されてしまった巨大で強烈な概念。
それは新たな価値観への目覚めに他ならなかった。
僕がかつて片思いして憧れていた女の子は相変わらず兄貴の彼女で毎日ウチに来てセックスしている。
ちょっと胸が痛いけど。
少しだけ哀しいけれど。
キワドイ場面や格好に出くわして、いやらしい気持を抱くことだってあるけれど。
そんないろんな雑念を超えて、圧倒的に素晴らしいものを教えてくれたんだ。
今すぐには無理だけど、いつか必ず僕も大好きな恋人を見つけたいと思う。
女の子って本当に素敵な存在なんだって、わかってしまったから。
了
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