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第三十九話『初めての陶芸と、創造レベル3』
しおりを挟むダイニングテーブルを囲む食事が日常になって数日、俺は一つの小さな問題に気づいていた。手作りの木の器は温かみがあって良いのだが、シチューをよそうと汁が染み込み、油汚れも完全には落ちきらない。
「もっと丈夫で、手入れが楽な器が欲しいですね。…よし、作りましょう。『陶器』を!」
俺の宣言に、リディアは「陶器…粘土を焼く、あれか!」と目を輝かせた。
最初の仕事は、最高の材料である『粘土』探しだ。俺たちは川の上流へと向かった。すると、畑の神様であるつちのこが、いつの間にか俺の肩に乗っており、ある一点を小さな手で指し示した 。そこを掘ってみると、驚くほどきめ細かく、滑らかな、極上の粘土層が眠っていた。
拠点に戻り、次の課題に取り掛かる。陶芸の心臓部、『ろくろ』作りだ。
専門的な道具などあるはずもない。だが、俺の頭の中の100円カタログには、完璧な代替品があった。
「これです!この回転機構さえあれば!」
ポンッ!
【創造力:50/120 → 35/120】
俺が召喚したのは、Cランクのキッチン用品、『レイジースーザン(回転台)』。
この回転台を軸受けにして、木の板や棒を組み合わせ、俺は数時間で、滑らかに回転する「手回しろくろ」を完成させてしまった。
「さあ、いよいよ本番です!」
俺はろくろの上に粘土を乗せ、水をつけながら、ゆっくりと回し始める。だが、土は気まぐれだ。少し力を入れすぎると、ぐにゃりと形が崩れてしまう。
「むぅ、もどかしい!私に代われ!」
見かねたリディアが挑戦するが、彼女が粘土に触れた瞬間、その怪力で、粘土は無残に押し潰されてしまった。
いくつかの失敗を経て、俺はついに、手のひらに収まる、シンプルで美しい『カップ』の成形に成功した。
それを慎重に乾燥させ、石窯の隅で、薪を惜しみなく使って高温で焼き上げる。
数時間後。
火ばさみで窯の中から取り出したそのカップは、もはやただの粘土ではなかった。美しい緋色を帯び、叩けばキンと澄んだ音がする、正真正銘の『陶器』へと生まれ変わっていた。
俺が、その熱を帯びた、人類最古の発明品の一つを、感慨深く手に取った、その瞬間。
脳内に、鮮やかな光がほとばしった。
【――創造レベルが 3 に上がりました!――】
「お…!」
【――『創造力』の最大値が 120 → 150 に上昇しました!――】
【――新しいDIYレシピを習得しました:『レンガの作り方』――】
【――特定の創造行為を達成したため、新しい『称号』を獲得しました!:『クラフトマスター』――】
【――称号効果:工具・素材アイテムの召喚コストが、常に5%軽減されます!――】
レベルアップだ…!土から全く新しい性質の道具を生み出したことが、大きな経験値になったらしい。
『創造力』の上昇もさることながら、『レンガの作り方』という新しい知識は、今後の俺たちの生活を、文字通り土台から変えてしまう可能性を秘めていた。
俺は、新しく生まれ変わった自分のステータスと、まだ温かい、世界でたった一つの自作のカップを、興奮気味に、そして誇らしげに見つめていた。
レンガがあれば、もっと頑丈な家が作れる。常設のパン窯も、燻製小屋も、夢じゃない。
俺たちのスローライフは、また一つ、大きな可能性の扉を開いたのだった。
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