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第四十一話『煉瓦窯の火入れと、初めての手打ちうどん』
しおりを挟む俺たちの未来を焼き上げるための『レンガ焼成専用窯』が完成した。
だが、すぐに火を入れるわけにはいかない。
「この窯が完全に乾くまで、数日かかります。焦って火を入れたら、土壁が割れてしまうので」
俺の説明に、リディアもシラタマも、じっと我慢の子だ。その数日間、俺たちは来るべき大量生産に備え、来る日も来る日も粘土をこね、レンガの原型を作り続けた。
そして、ついに窯が完全に乾いた日。俺は朝一番に、窯に薪をくべ、小さな火を熾した。
「最初の火入れは、丸一日がかりの仕事です。ゆっくり、ゆっくり、窯自体を焼き締めていきます」
窯の温度が安定するまでの、長い、長い待ち時間。その時間さえも楽しむために、俺は新しい料理を提案した。
「最高のうどんを作りましょう!手打ちです!」
俺は小麦粉と岩塩、水をこねて、ずっしりと重い生地の塊を作る。だが、うどんの命である『コシ』を生み出すには、ここからが本番だ。
俺はスキルで100均の『厚手のビニール袋』を召喚すると、生地をその中に入れ、地面に置いた。
「さあ、リディアさん、シラタマ!この上で、踊るように踏んでください!」
「しょ、正気かユキ殿!食べ物を足で踏むなど、神への冒涜だぞ!」
リディアが本気で驚愕している。無理もない。
「大丈夫です、袋に入っていますから衛生的ですよ。これが、最高のコシを生むんです」
俺が手本を見せると、その奇妙な光景が面白かったのか、シラタマが「キュイ!」と駆け寄り、生地の上でぴょんぴょんと跳ね始めた。リディアも、最初は戸惑いながら、やがて楽しそうにステップを踏み始める。
三人(?)の奇妙で、笑いに満ちた共同作業。こうして、最高のうどん生地が完成した。
夜通し続いた火入れが終わり、窯がゆっくりと冷えるのを待つ。
そして翌日。俺たちは、固唾をのんで、窯の扉を開けた。
そこには――見事な焼き色の、完璧なレンガが、数十個、きれいに並んでいた。
「やった…!大成功です!」
「おお…!これだけの数があれば、燻製小屋も夢ではないな!」
俺たちの『レンガ量産計画』が、ついに軌道に乗った瞬間だった。
その日の昼食は、もちろん、成功を祝う『釜揚げうどん』だ。
打ち立て、茹でたての麺を、自分たちで作った陶器の器によそう。つけ汁は、燻製肉からとった出汁に、森で採れた香草を散らしただけのシンプルなもの。
だが、その味は格別だった。
つるつると滑らかで、噛めば押し返してくるような、力強いコシ。小麦の甘い香りが、口いっぱいに広がる。
「うまい…!こんなに歯ごたえのある麺は、初めてだ…!」
リディアも、シラタマも、夢中で麺をすする。その手は、最後まで止まることがなかった。
満腹のお腹をさすりながら、俺たちは積み上げたレンガの山を眺めた。
それは、俺たちの努力の結晶。
そして、次なる大プロジェクト『燻製小屋』の、輝かしい未来を約束する、希望の光そのものだった。
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