おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

はぶさん

文字の大きさ
42 / 185

第四十二話『土台作りと、初めてのセメント』

しおりを挟む

燻製小屋の建設、その第一歩は、何よりも重要な『基礎工事』から始まった。
「頑丈な建物には、頑丈な土台が必要です。そして、頑丈な土台には、石と石を繋ぐ、強力な接着剤が要ります」
俺はそう言って、次なる挑戦を宣言した。『セメント』作りだ。

俺の知識によれば、この森のどこかにあるはずの石灰石を高温で焼けば、セメントの主原料である『石灰』が作れる。俺たちは、川の上流を目指して、材料探しのための小さな探検に出た。
「ユキ殿、この白っぽい石はそうではないか?」
リディアが指さした、きめ細かな白い岩石。間違いなく、極上の石灰石だった。

拠点に石灰石を持ち帰り、俺は先日完成したばかりのレンガ窯に火を入れた。
石灰石を高温で熱し、焼き上がったそれに、慎重に水を加える。すると、ジュウッという音と共に、石が崩れ、白い粉末へと変化した。まさに、大人の化学実験だ。
「安全第一ですからね」
俺は念のため、100均の『保護メガネ』と『厚手のゴム手袋』を召喚して、作業を進めた。

ポンッ!ポンッ!
【創造力:150/150 → 148/150】

こうして完成した自家製セメントに、砂と水を混ぜて『モルタル』を作る。
リディアが運んできた基礎石の間に、俺がモルタルを塗り込み、水平器を当てながら、完璧な土台を作り上げていった。
そして、土台が固まるのを待つ間、いよいよレンガ積みだ。
先日大量生産したレンガを、自作のモルタルで一段、また一段と積み上げていく。設計図通りに、火室と煙道の美しいアーチ構造が姿を現していく様は、圧巻だった。

夏の強い日差しの下での重労働。俺は、仲間たちのために、最高の夏の飲み物を用意した。
森で採れる酸っぱい果実を搾り、蜂蜜と水を加え、そこに育てていた『天然酵母』をほんの少しだけ。数時間置くだけで、酵母が糖分を分解し、シュワシュワと心地よい泡を生み出してくれる。
川の水で冷やした『森のレモンスカッシュ』の完成だ。

「うむ!この甘酸っぱさと、喉を弾ける泡が、労働の疲れを忘れさせてくれるな!」
リディアも、シラタマも、初めて飲む天然の炭酸飲料の虜になったようだった。

その日の作業終わり。
俺たちの前には、がっしりとした石の土台と、そこから力強く立ち上がる、緋色のレンガで作られた火室と煙道が完成していた。
まだ小屋の形にはなっていない。だが、それは俺たちの食生活に革命を起こす、工房の、力強い心臓部だった。
俺たちは、レモンスカッシュを飲みながら、夕日に照らされるその光景を、大きな満足感と共に眺めていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。 異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。 夢は優しい国づくり。 『くに、つくりますか?』 『あめのぬぼこ、ぐるぐる』 『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』 いや、それはもう過ぎてますから。

DIYと異世界建築生活〜ギャル娘たちとパパの腰袋チート

みーくん
ファンタジー
気づいたら異世界に飛ばされていた、おっさん大工。 唯一の武器は、腰につけた工具袋—— …って、これ中身無限!?釘も木材もコンクリも出てくるんだけど!? 戸惑いながらも、拾った(?)ギャル魔法少女や謎の娘たちと家づくりを始めたおっさん。 土木工事からリゾート開発、果てはダンジョン探索まで!? 「異世界に家がないなら、建てればいいじゃない」 今日もおっさんはハンマー片手に、愛とユーモアと魔法で暮らしをDIY! 建築×育児×チート×ギャル “腰袋チート”で異世界を住みよく変える、大人の冒険がここに始まる! 腰活(こしかつっ!)よろしくお願いします

町工場の専務が異世界に転生しました。辺境伯の嫡男として生きて行きます!

トリガー
ファンタジー
町工場の専務が女神の力で異世界に転生します。剣や魔法を使い成長していく異世界ファンタジー

子育てスキルで異世界生活 ~かわいい子供たち(人外含む)と楽しく暮らしてます~

九頭七尾
ファンタジー
 子供を庇って死んだアラサー女子の私、新川沙織。  女神様が異世界に転生させてくれるというので、ダメもとで願ってみた。 「働かないで毎日毎日ただただ可愛い子供と遊んでのんびり暮らしたい」 「その願い叶えて差し上げましょう!」 「えっ、いいの?」  転生特典として与えられたのは〈子育て〉スキル。それは子供がどんどん集まってきて、どんどん私に懐き、どんどん成長していくというもので――。 「いやいやさすがに育ち過ぎでしょ!?」  思ってたよりちょっと性能がぶっ壊れてるけど、お陰で楽しく暮らしてます。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

処理中です...