おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

はぶさん

文字の大きさ
47 / 185

第四十七話『川の主と、初めての魚釣り』

しおりを挟む

燻製にパン、パスタとうどん。俺たちの食生活は、肉と小麦を中心に、驚くほど豊かになった。だが、夏の盛りのある日、俺はふと思った。
「たまには、さっぱりとした魚も食べたくなりますね」
ハードな作業が続いていたことへの息抜きも兼ねて、俺はみんなで『魚釣り』に行くことを提案した。
「魚を…釣るのか?私の任務は、魚を槍で狩ることだったが…」
リディアは、未知の体験に目を輝かせている。

まずは、道具作りからだ。俺は、森で手に入れた、しなやかで丈夫な木の枝を竿にする。そして、スキルで釣りに必要な小物を召喚した。

ポンッ!ポンッ!
【創造力:128/150 → 123/150】

『釣り糸』と、『釣り針とオモリのセット』。さらに、100均の『発泡スチロールブロック』をナイフで削り、手作りの可愛らしい『浮き』も作った。
それぞれの身長に合わせた三本の釣り竿が完成し、俺たちは餌のミミズを掘って、川辺の穏やかな淵へと向かった。

しかし、魚釣りは、三者三様の性格を浮き彫りにした。
俺は、慣れた手つきでのんびりと糸を垂れる。
一方、リディアは「待つ」という行為が苦手らしい。「ええい、なぜ食いつかんのだ!」と、竿をピシピシと動かしてしまい、逆に魚を逃してしまう。
そして、そんな俺たちに早々に見切りをつけたのが、シラタマだった。彼は竿を置くと、川の浅瀬に立ちこみ、水面をじっと凝視。次の瞬間、**バシャッ!**という水音と共に、見事にその前足で一匹の魚を叩き落としてみせた。白熊の本能が、ここに開花した。

「おお…!見事だ、シラタマ!」
シラタマの活躍に刺激されたのか、リディアもようやく落ち着きを取り戻し、俺の教え通りに、じっと浮きを見つめ始めた。
その、時だった。
彼女の浮きが、今までとは比較にならない勢いで、水中に引きずり込まれた。

「きたっ…!大きいぞ、これは!」
竿が、ありえないほどにしなっている。相手は、この辺りの川の主とでも言うべき大物だ。
「リディアさん、落ち着いて!」
俺の声を合図に、リディアの目つきが変わった。それは、もはや遊びではない。騎士の、獲物を仕留める目だ。彼女は驚異的な体幹と腕力で竿をさばき、数分にわたる死闘の末、水面に巨大な銀色の魚体を躍らせた。

その日の夕食は、もちろん魚のフルコースだった。シラタマが獲った小魚は唐揚げに。そして、リディアが釣り上げた川の主は、岩塩を振って、最高の木炭でじっくりと『塩焼き』にした。
炭火で焼かれた皮はパリパリと香ばしく、その下の身は、驚くほどふっくらとして、上質な脂が乗っていた。
リディアは、自分が釣り上げた一匹を、誰よりも誇らしげに、そして夢中で頬張る。
それは、戦場での勝利とは全く違う、穏やかで、満ち足りた味がした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

DIYと異世界建築生活〜ギャル娘たちとパパの腰袋チート

みーくん
ファンタジー
気づいたら異世界に飛ばされていた、おっさん大工。 唯一の武器は、腰につけた工具袋—— …って、これ中身無限!?釘も木材もコンクリも出てくるんだけど!? 戸惑いながらも、拾った(?)ギャル魔法少女や謎の娘たちと家づくりを始めたおっさん。 土木工事からリゾート開発、果てはダンジョン探索まで!? 「異世界に家がないなら、建てればいいじゃない」 今日もおっさんはハンマー片手に、愛とユーモアと魔法で暮らしをDIY! 建築×育児×チート×ギャル “腰袋チート”で異世界を住みよく変える、大人の冒険がここに始まる! 腰活(こしかつっ!)よろしくお願いします

精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。 異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。 夢は優しい国づくり。 『くに、つくりますか?』 『あめのぬぼこ、ぐるぐる』 『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』 いや、それはもう過ぎてますから。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

町工場の専務が異世界に転生しました。辺境伯の嫡男として生きて行きます!

トリガー
ファンタジー
町工場の専務が女神の力で異世界に転生します。剣や魔法を使い成長していく異世界ファンタジー

子育てスキルで異世界生活 ~かわいい子供たち(人外含む)と楽しく暮らしてます~

九頭七尾
ファンタジー
 子供を庇って死んだアラサー女子の私、新川沙織。  女神様が異世界に転生させてくれるというので、ダメもとで願ってみた。 「働かないで毎日毎日ただただ可愛い子供と遊んでのんびり暮らしたい」 「その願い叶えて差し上げましょう!」 「えっ、いいの?」  転生特典として与えられたのは〈子育て〉スキル。それは子供がどんどん集まってきて、どんどん私に懐き、どんどん成長していくというもので――。 「いやいやさすがに育ち過ぎでしょ!?」  思ってたよりちょっと性能がぶっ壊れてるけど、お陰で楽しく暮らしてます。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

小さいぼくは最強魔術師一族!目指せ!もふもふスローライフ!

ひより のどか
ファンタジー
ねぇたまと、妹と、もふもふな家族と幸せに暮らしていたフィリー。そんな日常が崩れ去った。 一見、まだ小さな子どもたち。実は国が支配したがる程の大きな力を持っていて? 主人公フィリーは、実は違う世界で生きた記憶を持っていて?前世の記憶を活かして魔法の世界で代活躍? 「ねぇたまたちは、ぼくがまもりゅのら!」 『わふっ』 もふもふな家族も一緒にたくましく楽しく生きてくぞ!

処理中です...