おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

はぶさん

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第五十五話『黄金色の収穫と、恵みの循環』

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秋の気配が深まるある日の朝、俺は畑の前に立ち、その光景に息を呑んだ。
夏の間に青々と茂っていた小麦の穂が、見渡す限り一面、黄金色の海となって風に揺れている。豊かな実りの重さに、一つ一つの穂が深く、感謝するように頭を垂れていた。
「リディアさん、シラタマ!見てください!俺たちの小麦が、ついに収穫の時を迎えましたよ!」
それは、俺たちがこの世界で、自分たちの手で、初めて主食を収穫する、記念すべき瞬間だった。

「よし、始めましょう!」
ポンッ!
【創造力:150/150 → 145/150】
俺はDランクの農具、『草刈り鎌』を数本召喚した。リディアに一本手渡すと、彼女は剣とは違うその湾曲した刃を、興味深そうに眺めている。
俺たちは黄金色の海へと足を踏み入れた。ザッ、ザッ、というリズミカルな音と、乾いた小麦の香ばしい香りが、秋の澄んだ空気に満ちていく。騎士としての体力を持つリディアは、すぐにコツを掴み、力強く、そして正確に小麦を刈り取っていった。

刈り取って数日間乾燥させた小麦の束を、拠点前の広場に広げた『レジャーシート』の上に山と積む。ここからが、収穫のクライマックス、『脱穀』だ。
俺とリディアが、木の棒で力強く、しかしリズムを合わせて束を叩く。パラパラ、パラパラと、黄金色の雨がシートの上にこぼれ落ちていく。それは、俺たちの汗と努力が、確かな「実り」へと変わる音だった。

脱穀を終えた後には、ずっしりと重い小麦粒の山と、ふかふかの『麦わら』の山が残った。
それを見つけたシラタマが、最高の遊び場を見つけたとばかりに、助走をつけてダイブ!ふかふかの麦わらに顔をうずめ、幸せそうに手足をばたつかせている。その様子を見て、ヤギのメイ親子もやってきて、新鮮な麦わらを「美味しい!」とばかりに夢中で食べ始めた。俺たちの収穫が、動物たちの喜びにも直接繋がっている。この光景が見たかったんだ。

「この藁は、寝床や餌だけじゃない。もっと素敵な使い道があるんです」
俺は、古くから伝わる『麦わら細工』で、収穫物を入れるためのカゴを編むことを提案した。
まずは、編み始めのガイドとなる道具を召喚する。

ポンッ!ポンッ!
【創造力:145/150 → 140/150】
Eランクの『木製プレート』と、同じくEランクの『刺繍糸』セットだ。
水に浸して柔らかくした麦わらを、プレートの周りに沿わせながら、一本一本、丁寧に編み上げていく。
「む…!だが、以前ボディタオルを編んだ時に比べれば、指が言うことを聞くな」
リディアは、そう呟きながら、驚くほどの集中力で作業に没頭している。彼女の不器用だった指先は、日々の暮らしの中で、確実に「創造する手」へと変わっていた。

数時間後。俺たちの前には、形は不揃いながらも、温かみのある手作りの『麦わらカゴ』が、いくつか完成していた。仕上げに、取っ手の部分をカラフルな刺繍糸で補強する。
リディアは、自分が編み上げたカゴを、愛おしそうに持ち上げる。そして、そのカゴで、先ほど収穫したばかりの、黄金色の小麦の粒を、そっとすくい入れた。
カゴの中で、サラサラと音を立てる、自分たちの手で得た恵み。

その時、彼女はふと、自分の手のひらを見つめた。
節くれだって、少し硬くなった、自分の手。
それは、もはやただ剣を握るためだけの手ではない。仲間と共に種を蒔き、道具を作り、そして今、収穫の恵みを受け止めている、「創造する者の手」だ。
その事実に、彼女は、言葉にならない静かな感動に、胸を震わせるのだった。
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