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第五十七話『手作りバターと、熱々の幸福』
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秋の涼しい風が、拠点の木々を揺らし、乾いた葉を舞わせるようになったある日。俺は、薪小屋に積まれた薪の壁を眺めながら、この季節にぴったりの、ある料理を思いついた。
「リディアさん、シラタマ!今日は、この小麦粉とヤギのミルクを使って、体を芯から温める、特別なオーブン料理を作りましょう」
その料理の名は『グラタン』。そして、そのために不可欠な、最後のピース…『バター』作りに、俺たちは挑む。
俺はヤギのミルクをしばらく置いて分離させた、濃厚な生クリームを桶に集めた。バター作り専用の道具(バターチャーン)などない。だが、俺には100均の知恵がある。
ポンッ!
【創造力:125/150 → 110/150】
俺が召喚したのは、Cランクの、誰もが知るごく普通の『蓋付きのガラス保存瓶』だ。
「これを、ひたすら振り続ければ、脂肪分と水分が分かれて、バターができるんです」
俺が手本を見せ、瓶をリズミカルにシェイクする。腕が疲れてきたところで、リディアに瓶をパスした。
「リディアさん、お願いします!愛情を込めて!」
「うむ!これは、新しい訓練か!」
リディアが騎士のスタミナで高速シェイクし、飽きてきた頃には、シラタマがボール遊びのように前足でゴロゴロと転がして手伝って(?)くれた。
最初は「チャプチャプ」と軽い音を立てていた液体が、次第にとろみを増し、やがて、瓶を振る音が「ゴトッ、ゴトッ」という鈍い音に変わった。
「…音が、変わったぞ!」
瓶の中を覗き込むと、そこには見事な黄色いバターの塊と、白く濁った液体が、綺麗に分離していた。
バターと分離した液体を指し、リディアが尋ねる。
「ユキ殿、この水は捨てるのか?」
「いえ!この『バターミルク』も宝物ですよ。パンケーキを焼く時に入れれば驚くほどフワフワになりますし、肉を漬け込めば、すごく柔らかくなるんです」
俺の言葉に、リディアは食材の奥深さに改めて感心していた。
そして、いよいよグラタンの心臓部、ホワイトソース作りだ。
鉄鍋に出来立てのバターを溶かし、小麦粉を加え、木べらで混ぜて『ルー』を作る。
「いいですか、リディアさん。これが、あらゆるクリームソースの基本になる魔法の素です」
俺の小さな料理教室に、彼女は真剣な眼差しで頷く。そこにミルクを少しずつ加えて伸ばしていくと、とろりとした、純白の魔法が完成した。
畑で採れたホクホクのイモと、自家製の絶品ベーコンを、このソースと惜しげもなく絡める。俺たちが作った陶器の器にこんもりと盛り付け、準備は万端だ。
熱せられた石窯の中へ、俺たちの期待を乗せた器を滑り込ませる。
やがて、窯から取り出されたグラタンは、表面が美しいキツネ色にこんがりと焼け、中のソースはぐつぐつと命のように煮えたぎっていた。バターとミルク、そしてベーコンが焼ける、天国のような香りが立ち上る。
スプーンをグラタンに入れると、焼き目のついた表面が「サクッ…」と心地よい音を立てた。
一口食べると、表面のカリッとした食感、中のソースのとろりとした舌触り、イモのホクホク感、ベーコンの力強い歯ごたえ…その食感のコントラストが、口の中で最高のハーモニーを奏でた。
火傷しそうになりながらも、シラタマも夢中で頬張っている。
「…温かいな…」
リディアが、ぽつりと呟いた。
それは、ただ料理が温かいだけではない。自分たちの手で作り上げた、最高の食材と、仲間との時間が、彼女の心を、芯から温めてくれている証だった。
「リディアさん、シラタマ!今日は、この小麦粉とヤギのミルクを使って、体を芯から温める、特別なオーブン料理を作りましょう」
その料理の名は『グラタン』。そして、そのために不可欠な、最後のピース…『バター』作りに、俺たちは挑む。
俺はヤギのミルクをしばらく置いて分離させた、濃厚な生クリームを桶に集めた。バター作り専用の道具(バターチャーン)などない。だが、俺には100均の知恵がある。
ポンッ!
【創造力:125/150 → 110/150】
俺が召喚したのは、Cランクの、誰もが知るごく普通の『蓋付きのガラス保存瓶』だ。
「これを、ひたすら振り続ければ、脂肪分と水分が分かれて、バターができるんです」
俺が手本を見せ、瓶をリズミカルにシェイクする。腕が疲れてきたところで、リディアに瓶をパスした。
「リディアさん、お願いします!愛情を込めて!」
「うむ!これは、新しい訓練か!」
リディアが騎士のスタミナで高速シェイクし、飽きてきた頃には、シラタマがボール遊びのように前足でゴロゴロと転がして手伝って(?)くれた。
最初は「チャプチャプ」と軽い音を立てていた液体が、次第にとろみを増し、やがて、瓶を振る音が「ゴトッ、ゴトッ」という鈍い音に変わった。
「…音が、変わったぞ!」
瓶の中を覗き込むと、そこには見事な黄色いバターの塊と、白く濁った液体が、綺麗に分離していた。
バターと分離した液体を指し、リディアが尋ねる。
「ユキ殿、この水は捨てるのか?」
「いえ!この『バターミルク』も宝物ですよ。パンケーキを焼く時に入れれば驚くほどフワフワになりますし、肉を漬け込めば、すごく柔らかくなるんです」
俺の言葉に、リディアは食材の奥深さに改めて感心していた。
そして、いよいよグラタンの心臓部、ホワイトソース作りだ。
鉄鍋に出来立てのバターを溶かし、小麦粉を加え、木べらで混ぜて『ルー』を作る。
「いいですか、リディアさん。これが、あらゆるクリームソースの基本になる魔法の素です」
俺の小さな料理教室に、彼女は真剣な眼差しで頷く。そこにミルクを少しずつ加えて伸ばしていくと、とろりとした、純白の魔法が完成した。
畑で採れたホクホクのイモと、自家製の絶品ベーコンを、このソースと惜しげもなく絡める。俺たちが作った陶器の器にこんもりと盛り付け、準備は万端だ。
熱せられた石窯の中へ、俺たちの期待を乗せた器を滑り込ませる。
やがて、窯から取り出されたグラタンは、表面が美しいキツネ色にこんがりと焼け、中のソースはぐつぐつと命のように煮えたぎっていた。バターとミルク、そしてベーコンが焼ける、天国のような香りが立ち上る。
スプーンをグラタンに入れると、焼き目のついた表面が「サクッ…」と心地よい音を立てた。
一口食べると、表面のカリッとした食感、中のソースのとろりとした舌触り、イモのホクホク感、ベーコンの力強い歯ごたえ…その食感のコントラストが、口の中で最高のハーモニーを奏でた。
火傷しそうになりながらも、シラタマも夢中で頬張っている。
「…温かいな…」
リディアが、ぽつりと呟いた。
それは、ただ料理が温かいだけではない。自分たちの手で作り上げた、最高の食材と、仲間との時間が、彼女の心を、芯から温めてくれている証だった。
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