王子様は、婚約者へのかわいい?遅い反抗期!(王子様の世話役が王子様の婚約者になり、王子様と元世話役の距離感がバグりました!)(改訂版)

みゃー

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「サラ様……サラ様……」

 低い優しい声でオレリアは、何度も何度もサラの長い金髪を続けて優しく撫でる。

「う~ん……」

 サラも寝ぼけるフリをしながら、オレリアのサラを撫でる指にずっと恍惚としていた。

(いい……オレリアの指好き……太くて固いのに……気持ち良くて好き……すごく気持ちいい……)

 そして……

 目覚めているのに……

 オレリアへのちょっとした反抗心からまだ起きられないフリを続けた。

 しかしその内、オレリアの手が、サラの額にきた。
 そのオレリアの手付きも、大切な壊れモノを触るように優しい。

「サラ様。熱はないようですが……医師をよびましょうか?」

 オレリアの声は、凄く心配そうだった。

 サラは、そのオレリアが心配してくれてるのがうれしいのと、医師がキライなのとで瞼をバッと上げた。

 そして、ベッドの上オレリアに背を向けて横になっていたのを体を反転させた。
 すると、サラの顔のすぐ真上に、ベッドに座っていたオレリアの端正な顔があった。

 自然とサラとオレリアは、無言で見詰め合う形になった。

 同時に、サラは一瞬、心臓が止まるんじゃないかと思う程、ドキっとした。

 サラは、オレリアの顔も見慣れているはずだし……
 どうしてだろうと思う。
 小さい頃から、こんな風によく顔を近づけて呼び起こされるなんて日常だったはずなのに。

 そして、しばらくただ見詰め合う内に、サラは、自然とオレリアの形の良い滑らかな唇が気になってそこに視線がいった。
 サラの美しく煌めくアメジスト色の瞳でそれを見詰める。

 すると……

 オレリアは、急にフイっと横を向き、ベッドから降りた。

(えっ?!……)

 そのなんとなく冷たく見えたオレリアの態度に、サラの心臓はキュッとなる。
 そしてサラは、呆然としてしまう。

 だが、そんなサラを一人置いていくように、オレリアはいたって何もないかのように尋ねた。

「ご気分はいかがですか?医師を呼びますか?」

「……医師はいい……大丈夫、もう起きられる……」

 サラは、オレリアの態度が釈然としないまま、それを隠すように上半身起き上がり普通に答えた。

 するとオレリアは不意に、サラにうれしい提案をしてきた。

「なら、サラ様……今朝は、私と一緒にバルコニーで朝食を取りませんか?」

「えっ?!……」

 サラは、オレリアに対してはいたって単純だった。
 落ち込んだり喜んだり忙しいが、サラの表情が、一気に明るくなった。

 小さい頃からずっと、サラが朝食を食べる時は一人が多くて、世話人だったオレリアがいつも毎日近くに座っていてそれを見守っていてくれた。
 そしてやっとオレリアがサラの婚約者になり、やっと一緒に食事が許されるようになったのに……
    今度はオレリアが忙しくなり、サラと一緒に食事したのは、婚約者になって二カ月間でたった10回ほどだった。

    今は殆どサラは一人で食事し、部屋の端にはメイド達が控えているだけで、サラは、オレリアのいない食事に寂しい思いをしていたから。

「それに今日は丸一日、私はサラ様と一緒にいられます。何をしますか?乗馬?カードゲーム?それともチェス?」

 そのオレリアの追加の提案は、サラの今までの憂鬱を吹き飛ばし、体をフワフワとさせた。

「ほっ、本当に?!」

 サラは我慢出来ず、幼子のような笑顔で破顔した。

「ええ……私は、ずっとサラ様のお側にいますよ」

 オレリアは、さっきの冷た気な態度が嘘のように優しく微笑んだ。
 逞しく、それなのに理知的で、欲望など一切持っていないかのような禁欲的な聖職者のような潔い、いつものオレリアらしい微笑みだった。

 サラに、心からの安堵が戻った。

「オレリアと朝食を食べながら何をするか決める!」

 心を弾ませサラは言って、即ベッドを降りて身支度しようとした。

 しかし……

 不意にサラは、自分がもっと幼い時から知ってる、オレリアの体温、ぬくもりを欲した。
 そしてベッドに足を崩し座ったまま、両腕をオレリアに思いきり伸ばした。

 これは、世話役のオレリアに抱擁をせがむ時のサラの幼少時のお決まりのポーズだった。
 昔のオレリアは、サラが幼少時このポーズをしたら、必ず優しく抱き締めてくれた。

 さすがにサラも16歳になったし、このポーズをするのは6年ぶり位だったが、なんとなく今ならオレリアが昔のように抱き締めてくれるのではと期待した。

「……」

 しかし……オレリアは、何故か無言のまま一度下を向き暫くそのままでいると、やがてふと真剣な顔をサラに向けた。
 それはサラが又ドキっとするほど、凄く大人の艶を纏った憂いの表情とも言うべきものだった。
 そしていつもの、聖職者のようなオレリアの表情では無かった。

(アレ?……)

 オレリアの予想外の表情に、サラの急浮上した気持ちはすぐ沈下した。

 そして、その後のオレリアの言葉が、更にサラを傷つけた。

「サラ様……それは出来ません……どうか、どうか……サラ様……お願いですから、早く大人になって下さい……では、私は先にバルコニーの方に行っておりますので……」

 そう言ってオレリアは、さっとサラの寝室を早足で去って行った。

(オレリア……早く大人になれって、そんな事、分かってる。分かってるよ。でも、久しぶりに、ちょっと、ちょっとだけ甘えたかっただけなのに?……婚約者なのに……以前みたいにちょっとだけ甘えてもダメなのか?オレリア……)

 以前の世話役のオレリアなら微笑み、優しくすぐにサラを抱き締めてくれた。

 最近明らかにサラは、オレリアが婚約者になってから、オレリアとの距離感が分からなくなっていたが……
 今のオレリアの態度で更に分からなくなってしまった。

 さっきは、あんなに心が弾んで幸せだったのに……

 サラはベッドの上で一人、窓のカーテン越しの朝の柔らかな光を浴びながら、しばらく指一本動かす気すらなれず寂し気に佇んだ。














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