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鈴音
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離れていてもずっと友達だと思っていた葵の拒絶の言葉に、至は暫くベンチに座ったまま動けなかった。
もしかしたら葵の、兄の僚を亡くした悲しみを共有出来る他人は、自分だけ…
自分しかいない…という…
至の長年の自負は打ち砕かれた。
でも同時に、それ程に葵の悲しみが深いのも仕方無いと理解も出来た。
暫くどこに焦点を合わせるでも無く、ただ葵の事だけ考え呆然としていたら、いつの間にか小雨が止んで青空が見えた。
「こんなに葵を想っているのに…俺には、もう僚しかいないのか…」
至は、呟きため息を付き、新ためて僚の墓参りをする為、下って来た山道を戻り上りだす。
暫く登ると…
さっき妙な声が聞こえた当たりに、丁度下山してきたのだろう…
いかにも登山帰りの格好の中年女性二人が立って何か話していた。
至は、その横を通り過ぎようとした。
すると…
「ねぇ…やっぱり、誰かが呼んでるわよ。誰か、ケガでもしてるんじゃ…」
「でも…登山道から逸れたら危ないわよ」
女性二人の会話が、至の耳に入る
。
至は、さっき葵が言った忠告を思い出す。
そして…女性達に声をかけた。
「あの…何か声が、聞こえたんですか?」
女性達は、困惑した表情を至に向けた。
「そうなのよ…おーい、おーい、って、さっき何度も…誰かケガか何かしてるんじゃないかと思って」
「そうですか…」
至はそう言うと、さっき葵から受けた忠告そのままを女性達に告げた。
この先の廃別荘から、誰もいないのに声がするという事を…
すると…
「坊や、やーねぇ!幽霊とかお化けとかこの世にいるわけないじゃ無い。本当に、もしかしたらケガした人がいるかも知れない。私、ちょっと見て来る」
しっかりしていそうな方の女性がそう言い、リュックに吊るしていた鈴の音を鳴らしながら林の中に入って行く。
「ちょっとダメよ!」
もう一人の女性が止め…
「ダメですよ!警察に連絡しましょう!」
至も止めた。
だが、女性はどんどん入って行き、もう一人も釣られて付いて行く。
「あっ!ちょっと!ちょっと!」
至は、女性達の行った方を見ながら警察に電話しようと、斜め掛けしていたカバンからスマホを取り出し数字を押す。
しかし…
スマホは、圏外になっていた。
一度電源を落とし再起動を2回したが、やはりダメだった。
「うっ…嘘だろ?何でだよ?そんなめちゃくちゃ山奥でもないぞ!」
その間にも…
チリーン、チリーン、チリーン…
澄んだ寂し気な鈴の音が遠ざかる。
嫌な予感に、至も止めようと女性達の後を追う。
だが、彼女達の姿はすでに無く
て…
チリーン、チリーン、チリーン…
という鈴の音だけが頼りだった。
どんどんどんどん、木々の奥へ草木を掻き分け行く。
しかし、鈴の音は、
チリーン、チリーン、チリーン…
と、ずっと音の大きさが変わらないと言う事は、こんなに急いでも女性達との距離が縮まらない。
チリーン、チリーン、チリーン…
昼でも薄暗い山中にその音が響き、段々と不気味に感じだす。
そして、至の背後から、何かがペキッ、パリッ…と、土上に落ちている小枝や落ち葉を踏む音もする。
「誰だ?!」
至は振り返り、大きな声を出し辺りを見回したが、背後には誰もいなかった。
もしかしたら葵の、兄の僚を亡くした悲しみを共有出来る他人は、自分だけ…
自分しかいない…という…
至の長年の自負は打ち砕かれた。
でも同時に、それ程に葵の悲しみが深いのも仕方無いと理解も出来た。
暫くどこに焦点を合わせるでも無く、ただ葵の事だけ考え呆然としていたら、いつの間にか小雨が止んで青空が見えた。
「こんなに葵を想っているのに…俺には、もう僚しかいないのか…」
至は、呟きため息を付き、新ためて僚の墓参りをする為、下って来た山道を戻り上りだす。
暫く登ると…
さっき妙な声が聞こえた当たりに、丁度下山してきたのだろう…
いかにも登山帰りの格好の中年女性二人が立って何か話していた。
至は、その横を通り過ぎようとした。
すると…
「ねぇ…やっぱり、誰かが呼んでるわよ。誰か、ケガでもしてるんじゃ…」
「でも…登山道から逸れたら危ないわよ」
女性二人の会話が、至の耳に入る
。
至は、さっき葵が言った忠告を思い出す。
そして…女性達に声をかけた。
「あの…何か声が、聞こえたんですか?」
女性達は、困惑した表情を至に向けた。
「そうなのよ…おーい、おーい、って、さっき何度も…誰かケガか何かしてるんじゃないかと思って」
「そうですか…」
至はそう言うと、さっき葵から受けた忠告そのままを女性達に告げた。
この先の廃別荘から、誰もいないのに声がするという事を…
すると…
「坊や、やーねぇ!幽霊とかお化けとかこの世にいるわけないじゃ無い。本当に、もしかしたらケガした人がいるかも知れない。私、ちょっと見て来る」
しっかりしていそうな方の女性がそう言い、リュックに吊るしていた鈴の音を鳴らしながら林の中に入って行く。
「ちょっとダメよ!」
もう一人の女性が止め…
「ダメですよ!警察に連絡しましょう!」
至も止めた。
だが、女性はどんどん入って行き、もう一人も釣られて付いて行く。
「あっ!ちょっと!ちょっと!」
至は、女性達の行った方を見ながら警察に電話しようと、斜め掛けしていたカバンからスマホを取り出し数字を押す。
しかし…
スマホは、圏外になっていた。
一度電源を落とし再起動を2回したが、やはりダメだった。
「うっ…嘘だろ?何でだよ?そんなめちゃくちゃ山奥でもないぞ!」
その間にも…
チリーン、チリーン、チリーン…
澄んだ寂し気な鈴の音が遠ざかる。
嫌な予感に、至も止めようと女性達の後を追う。
だが、彼女達の姿はすでに無く
て…
チリーン、チリーン、チリーン…
という鈴の音だけが頼りだった。
どんどんどんどん、木々の奥へ草木を掻き分け行く。
しかし、鈴の音は、
チリーン、チリーン、チリーン…
と、ずっと音の大きさが変わらないと言う事は、こんなに急いでも女性達との距離が縮まらない。
チリーン、チリーン、チリーン…
昼でも薄暗い山中にその音が響き、段々と不気味に感じだす。
そして、至の背後から、何かがペキッ、パリッ…と、土上に落ちている小枝や落ち葉を踏む音もする。
「誰だ?!」
至は振り返り、大きな声を出し辺りを見回したが、背後には誰もいなかった。
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