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15.久しぶりのデート①
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スペイン旅行から早いもので一ヶ月。六月になって蒸し暑くて天気の安定しない日々が続き、気分も少し滅入ってきている。
千颯くんはこのところ忙しく、なかなか週末も都合がつかなくて、私たちは旅行以来まともに顔を合わせていない。
そんな中、今日なら少し時間が取れそうだと連絡があり、仕事帰りにご飯を食べにいくことになった。
「どうしたの高橋さん、なんかソワソワしてる」
「え、そうですか」
井口さんに声をかけられてハッとする。
「そうよ。お昼過ぎからなんだか落ち着かない感じ」
「すみません」
「謝ることはないわよ。なんだか楽しそうで羨ましい」
井口さんはニコッと笑って、私にキャンディを手渡すとさらに楽しそうに微笑む。
「いいわね。うちも今日は外食にしちゃおうかな」
「たまにはいいんじゃないですか」
「そうよね? 旦那に連絡しよ」
井口さんは早速スマホを手に取ると、有言実行よねとイタズラっぽく笑った。
私もしっかりしなくてはと小さく息を吐くと、残りの仕事を片付けて、予定通り定時に仕事を終わらせる。
「お疲れ様でした。お先に失礼します」
井口さんと手を振り合ってフロアを出ると、千颯くんにメッセージを打ちながらエレベーターに乗り込み一階まで降りる。
千颯くんも今日は早く仕事が終わるらしく、メッセージはすぐ既読になって、待ち合わせ場所が送られてきた。
お店の予約をすでに取っているらしく、今日行くお店は千颯くんの職場の近くだそうだ。
会社を出て最寄り駅とは別の駅に向かい、千颯くんと合流するために電車に乗り込んだ。
「スズ! こっち」
「ごめん、お待たせ」
「そんな待ってないよ。じゃあとりあえず店に行こうか」
「うん」
久々に会う仕事モードの千颯くんは、スーツがよく似合っていてやっぱり息を呑むほどかっこいい。
そんな風に観察していることに気付いたのか、千颯くんは苦笑しながら私を見る。
「そんな顔で見つめてどうしたの」
「いや、スーツ姿は久しぶりに見たなと思って」
「惚れ直した?」
「うん。かっこいい」
私の返事は予想外だったみたいで、千颯くんは急に咳払いして赤くなる顔を誤魔化そうとした。
「やだ、ちぃちゃん。照れてるの」
「うるさいな」
「可愛いね」
「こら」
ギュッと抱き寄せられてバランスを崩し、咄嗟に千颯くんにしがみつく。
「危ないよ、ちぃちゃん」
「俺を揶揄ったりするからです」
「ごめんって」
「反省してるならいいよ」
そのまま腕を組んで歩き始めると、駅からほど近い商業ビルの中に店があるらしく、千颯くんに案内されるままエレベーターに乗り込んだ。
「今日は突然だったから、近場の店にしちゃってごめんね」
「なんで謝るの。別にいいよ」
「そう? この店結構美味しいから、連れてきたかったんだ」
「そうなんだね」
個室のないお店らしく、店内を進んで窓際の席に案内されると、四人掛けのテーブルに向かい合って座る。
「とりあえずビールでいい?」
「うん」
「じゃあビール二つ」
千颯くんが慣れた様子でビールを頼むと、店員は一旦席を離れていった。
「しかし梅雨が近いからかな。最近ずっと蒸し暑いね」
「だよね。スーツ暑いんじゃない?」
「暑いよ。Tシャツと短パンで仕事したい」
「なにそれ」
くだらない話をしながらメニューを見て、千颯くんのオススメを参考に注文する料理を決める。
ビールが運ばれてきたタイミングで注文を済ませると、すぐにグラスを合わせて乾杯した。
「お疲れ様、乾杯」
「乾杯」
少し外を歩いただけで汗ばんだ体に、キンキンに冷えたビールが染み渡る。疲れが一気に吹き飛ぶようなそんな感覚だ。
「あぁあッ、美味しい」
「本当に美味そうに飲むね」
たわいない話をしながら次々と運ばれてくる料理に箸をつけると、千颯くんは突然思い出したように話を切り出した。
「そういえばね、母さんがスズを連れてこいってうるさくて」
「おばさんが?」
「ほら、一緒にスペイン行っただろ? じいちゃんとばあちゃんから色々聞いたみたいで、フィアンセってどういうことなんだって」
「だから言ったじゃん。それはちぃちゃんが悪いよ」
「いやいや、俺は結婚を前提に付き合ってるから嘘は言ってないよ」
「それを屁理屈って言うんだよ」
千颯くんはこのところ忙しく、なかなか週末も都合がつかなくて、私たちは旅行以来まともに顔を合わせていない。
そんな中、今日なら少し時間が取れそうだと連絡があり、仕事帰りにご飯を食べにいくことになった。
「どうしたの高橋さん、なんかソワソワしてる」
「え、そうですか」
井口さんに声をかけられてハッとする。
「そうよ。お昼過ぎからなんだか落ち着かない感じ」
「すみません」
「謝ることはないわよ。なんだか楽しそうで羨ましい」
井口さんはニコッと笑って、私にキャンディを手渡すとさらに楽しそうに微笑む。
「いいわね。うちも今日は外食にしちゃおうかな」
「たまにはいいんじゃないですか」
「そうよね? 旦那に連絡しよ」
井口さんは早速スマホを手に取ると、有言実行よねとイタズラっぽく笑った。
私もしっかりしなくてはと小さく息を吐くと、残りの仕事を片付けて、予定通り定時に仕事を終わらせる。
「お疲れ様でした。お先に失礼します」
井口さんと手を振り合ってフロアを出ると、千颯くんにメッセージを打ちながらエレベーターに乗り込み一階まで降りる。
千颯くんも今日は早く仕事が終わるらしく、メッセージはすぐ既読になって、待ち合わせ場所が送られてきた。
お店の予約をすでに取っているらしく、今日行くお店は千颯くんの職場の近くだそうだ。
会社を出て最寄り駅とは別の駅に向かい、千颯くんと合流するために電車に乗り込んだ。
「スズ! こっち」
「ごめん、お待たせ」
「そんな待ってないよ。じゃあとりあえず店に行こうか」
「うん」
久々に会う仕事モードの千颯くんは、スーツがよく似合っていてやっぱり息を呑むほどかっこいい。
そんな風に観察していることに気付いたのか、千颯くんは苦笑しながら私を見る。
「そんな顔で見つめてどうしたの」
「いや、スーツ姿は久しぶりに見たなと思って」
「惚れ直した?」
「うん。かっこいい」
私の返事は予想外だったみたいで、千颯くんは急に咳払いして赤くなる顔を誤魔化そうとした。
「やだ、ちぃちゃん。照れてるの」
「うるさいな」
「可愛いね」
「こら」
ギュッと抱き寄せられてバランスを崩し、咄嗟に千颯くんにしがみつく。
「危ないよ、ちぃちゃん」
「俺を揶揄ったりするからです」
「ごめんって」
「反省してるならいいよ」
そのまま腕を組んで歩き始めると、駅からほど近い商業ビルの中に店があるらしく、千颯くんに案内されるままエレベーターに乗り込んだ。
「今日は突然だったから、近場の店にしちゃってごめんね」
「なんで謝るの。別にいいよ」
「そう? この店結構美味しいから、連れてきたかったんだ」
「そうなんだね」
個室のないお店らしく、店内を進んで窓際の席に案内されると、四人掛けのテーブルに向かい合って座る。
「とりあえずビールでいい?」
「うん」
「じゃあビール二つ」
千颯くんが慣れた様子でビールを頼むと、店員は一旦席を離れていった。
「しかし梅雨が近いからかな。最近ずっと蒸し暑いね」
「だよね。スーツ暑いんじゃない?」
「暑いよ。Tシャツと短パンで仕事したい」
「なにそれ」
くだらない話をしながらメニューを見て、千颯くんのオススメを参考に注文する料理を決める。
ビールが運ばれてきたタイミングで注文を済ませると、すぐにグラスを合わせて乾杯した。
「お疲れ様、乾杯」
「乾杯」
少し外を歩いただけで汗ばんだ体に、キンキンに冷えたビールが染み渡る。疲れが一気に吹き飛ぶようなそんな感覚だ。
「あぁあッ、美味しい」
「本当に美味そうに飲むね」
たわいない話をしながら次々と運ばれてくる料理に箸をつけると、千颯くんは突然思い出したように話を切り出した。
「そういえばね、母さんがスズを連れてこいってうるさくて」
「おばさんが?」
「ほら、一緒にスペイン行っただろ? じいちゃんとばあちゃんから色々聞いたみたいで、フィアンセってどういうことなんだって」
「だから言ったじゃん。それはちぃちゃんが悪いよ」
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「それを屁理屈って言うんだよ」
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