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27.疑念③
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「お兄ちゃんが心配しちゃうだろうし、お母さんの様子が気になったことにしといてくれる?」
「分かった。話したかったらいつでもいいよ。明日と明後日珍しく休みなんだよね」
「だったら家族といてあげて」
「そうやって全方向にイイコちゃんしないの。しんどい時は声あげないとダメよ」
「分かった。ありがとう」
「それから、さっきから鳴ってるそれ、どうにかしなさい」
義姉がバッグを指差して私を軽く睨む。
「婚約者なんだから、ちゃんと話をしないと。結婚生活は長いのよ?」
「……はい」
バッグからスマホを取り出すと、案の定千颯くんは私の家に来たみたいで、開けて欲しいとメッセージが届いている。だから友だちの家に泊まると嘘をついて返信した。
「涼葉ちゃん、彼のこと愛してるんでしょ?」
「……うん」
「いつまでも逃げてられないんだからね」
「分かってるってば」
実家に着くと義姉と玄関前で別れ、突然の訪問に驚く母に迎えられて中に入る。
「どうしたのよ急に」
「最近ずっと来れてなかったから。それより腰はもう大丈夫なの?」
「おかげさまで。お夕飯食べたの?」
「ああ、そういえば食べてないや」
リビングのソファーに腰を下ろして生返事で答えると、早速お茶を入れてくれた母は、こんな時だけ勘が働くのか、隣に座って真面目な顔をした。
「どうしたのよ。千颯くんと喧嘩でもしたの?」
「なんで」
「だって呼びもしないのに、うちに来るなんて滅多にないじゃない」
「それがどうしてちぃちゃんと関係あるの」
「これでも母親よ? 顔に書いてあるわ」
困った子ねと溜め息を吐き出すと、母はテレビのリモコンを取ってテレビをつけた。
「……ちぃちゃん、私と結婚する気あるのかな」
「ちょっと、マリッジブルーにでもなったの」
「分かんない。ちぃちゃんがなに考えてるのか分かんなくなった」
情けない声で泣き言を呟くと、母は呆れたように困った顔をする。
「千颯くんのなにが不満なの」
「……喧嘩した」
「なにがあったの?」
優しい声に涙が溢れて来る。今日あった出来事を掻い摘んで説明すると、間髪入れずにあなたが悪いと言われてしまった。
「なんで幼馴染みです、なんて言ったの」
「だって、凄く仲良さそうに腕まで組んでたし」
「そこは、私の婚約者になんの用ですかって噛み付かないと」
「そんな大人気ない」
「だったらウジウジするんじゃありません。大人の余裕を持って、毅然として千颯くんに説明させればいいだけの話でしょうに」
「だって、相手のプライバシーがあるからとか、言い訳がましいんだもん」
「千颯くんは弁護士だもの。その女の人が依頼主だから個人的なことは話せないって言ってたんでしょ?」
「そうだけど……」
テレビのバラエティ番組の笑い声に、自分が笑われている気がしてくる。
千颯くんの言い分を聞くべきだって頭では分かっているけれど、この目で見た事実は変わらない。だからこそ胸が締め付けられて悲しくなる。
理由はどうあれ、私の希望よりもあの時一緒にいた人の都合を優先して、ちゃんとした説明をしてくれないことがもどかしくて仕方なかった。
「分かった。話したかったらいつでもいいよ。明日と明後日珍しく休みなんだよね」
「だったら家族といてあげて」
「そうやって全方向にイイコちゃんしないの。しんどい時は声あげないとダメよ」
「分かった。ありがとう」
「それから、さっきから鳴ってるそれ、どうにかしなさい」
義姉がバッグを指差して私を軽く睨む。
「婚約者なんだから、ちゃんと話をしないと。結婚生活は長いのよ?」
「……はい」
バッグからスマホを取り出すと、案の定千颯くんは私の家に来たみたいで、開けて欲しいとメッセージが届いている。だから友だちの家に泊まると嘘をついて返信した。
「涼葉ちゃん、彼のこと愛してるんでしょ?」
「……うん」
「いつまでも逃げてられないんだからね」
「分かってるってば」
実家に着くと義姉と玄関前で別れ、突然の訪問に驚く母に迎えられて中に入る。
「どうしたのよ急に」
「最近ずっと来れてなかったから。それより腰はもう大丈夫なの?」
「おかげさまで。お夕飯食べたの?」
「ああ、そういえば食べてないや」
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「どうしたのよ。千颯くんと喧嘩でもしたの?」
「なんで」
「だって呼びもしないのに、うちに来るなんて滅多にないじゃない」
「それがどうしてちぃちゃんと関係あるの」
「これでも母親よ? 顔に書いてあるわ」
困った子ねと溜め息を吐き出すと、母はテレビのリモコンを取ってテレビをつけた。
「……ちぃちゃん、私と結婚する気あるのかな」
「ちょっと、マリッジブルーにでもなったの」
「分かんない。ちぃちゃんがなに考えてるのか分かんなくなった」
情けない声で泣き言を呟くと、母は呆れたように困った顔をする。
「千颯くんのなにが不満なの」
「……喧嘩した」
「なにがあったの?」
優しい声に涙が溢れて来る。今日あった出来事を掻い摘んで説明すると、間髪入れずにあなたが悪いと言われてしまった。
「なんで幼馴染みです、なんて言ったの」
「だって、凄く仲良さそうに腕まで組んでたし」
「そこは、私の婚約者になんの用ですかって噛み付かないと」
「そんな大人気ない」
「だったらウジウジするんじゃありません。大人の余裕を持って、毅然として千颯くんに説明させればいいだけの話でしょうに」
「だって、相手のプライバシーがあるからとか、言い訳がましいんだもん」
「千颯くんは弁護士だもの。その女の人が依頼主だから個人的なことは話せないって言ってたんでしょ?」
「そうだけど……」
テレビのバラエティ番組の笑い声に、自分が笑われている気がしてくる。
千颯くんの言い分を聞くべきだって頭では分かっているけれど、この目で見た事実は変わらない。だからこそ胸が締め付けられて悲しくなる。
理由はどうあれ、私の希望よりもあの時一緒にいた人の都合を優先して、ちゃんとした説明をしてくれないことがもどかしくて仕方なかった。
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