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(25)曖昧に濁してきた罰が降った気がした
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翔璃に家に行くのは遅くなるとメッセージを入れると、あっさり了解の返信が来たので、カナダから来た男友だちとご飯を食べると正直にメッセージを送り直す。
【場所教えて。迎えに行くから早く終わらせて】
やっぱりそうなるよねと思いつつ、私だって逆のケースで、なんとも思ってない相手だって聞かされても、デートしたことがある相手だったらやっぱり気分は良くない。
本人がなんとも思ってないからって、二人きりでご飯を食べに行くような親しい間柄だと色々勘繰ってしまう。
(やっぱり断るべきだったよね)
スマホをカバンにしまうと、パウダールームで化粧をさっと直して、外で待っているルークと合流する。
今夜食事をするのは、ルークが泊まっているホテルのレストランだ。
居酒屋とかにしてくれと頼み込んだけど、久々に会えたんだからと珍しくルークが折れず、ムードたっぷりのホテルレストランでのディナーになってしまった。
「そんなに嫌かい?」
「久しぶりに会えたのは嬉しいけど、二人きりなのはお互いに良くないと思うけど」
さりげなく腰に手を添えて、私をエスコートする自然な動きに戸惑って頭を抱える。だってルークにも確か恋人はいるはずだ。イーサンやエリオットを交えて仲間で呑むのとは訳が違う。
「どうして? やましいことなんかないのに」
「それなら居酒屋でいいじゃない。どうしてこんな」
「キミと会うのに、僕かどれだけ孤独な時間を耐えたと思ってるの」
「孤独って、恋人が居るでしょ」
席について向かい合うと、おかしなことを言うルークの顔を覗き込む。
「だってそうしないとキミは僕のそばに居てくれなかったじゃないか。あんなのは全部フェイクだよ」
「変な冗談やめてよ。私たちはずっと仲の良い友だちでしょ、フェイクだなんて彼女たちに失礼だよ」
「だったら、僕が本気でキミを口説けば恋人になれたのかい?」
「ルーク、本当にどうしたの、なんか変だよ?」
「冗談だよ。そんなに怒らなくてもいいじゃないか。それより素敵な指輪だね。少し見せてくれないか」
私に左手を出せと言いながらテーブルに手を置くと、ルークはフィアンセが居たなんてねと切ない顔をする。
「黙ってた訳じゃなくて、忙しくてそれどころじゃなかったから」
ここしばらく社内で起きた嫌がらせの話をしながら、催促されて左手を出すと、思いの外強い力で手を掴まれてギョッとする。
「ちょっと、突然なんなの」
「憎らしいほどキミに似合ってるね。フィアンセとやらは、キミをちゃんと愛してるらしい」
言われた言葉の意味を考えた本当に僅かな隙に、痩せたんじゃないのかと意味深に笑ったルークに指輪を引き抜かれる。
「なにするの、返してよ」
「そうだね。久々に会えたっていうのに、さっきからずっと逃げたそうにしてるから、食事が終わるまで僕が預かっておくよ」
「なんの冗談なの。お願いだから返して」
「食事が終われば返すよ。だから今はフィアンセのことは忘れて、僕との時間を過ごして欲しい」
「ルーク……」
こんな強引なことをする人だっただろうかと思いながら、それでもここで騒げば他の客の迷惑になる。
きっと喚いて取り返すのは簡単だけど、友だちとして築いてきた絆を疑いたくはなかった。
これが私の甘さなんだと思う。
「キミにそんな悲しい顔は似合わないよ。笑ってよミトマ」
「悲しい顔にさせてるのは誰なの。指輪を返してくれたら笑うわよ。そんなことぐらい分かるでしょ」
「本当に高飛車なクイーンだね、キミは」
皮肉を込めて呟かれた言葉が痛いくらい胸に刺さる。
私はルークが私に向ける想いに、気付いてて気付かないフリを続けてきた。
友だちの壁をあえて越えない付き合い方を選んだつもりだったけど、それを危うい関係性と知りながら、友人としての関係が壊れるのが嫌で、はっきりと拒絶の言葉を伝えたこともなかった。
ルークをこんな風にしたのは私なんだと、取り上げた指輪を小指の先にはめる彼の皮肉な微笑みを、黙って見つめるしか出来なくなる。
「せっかくの料理が台無しになる。いただこうよ」
「……そうね」
胃酸が逆流したように急にお腹が痛くなる。
目の前にサーブされる料理を口に運びながら、吐き気を催すのを誤魔化してワインを流し込む。
ルークがイーサンやエリオットの話をするけれど、私は額に玉のように浮かんでくる冷や汗を手の甲で拭う。
「そんなに僕との食事はつまらないかい?」
「そうね、脅迫めいた食事じゃなければ、充分に再会を喜べたと思う」
「酷いな、脅迫だなんて」
「悪ふざけはやめて。こんなことしても、貴方を友だち以上に見ることは出来ないの」
フォークを置いてから口元をナプキンで拭って、早く指輪を返して欲しいと真正面からルークの目を見つめる。
「そうだろうね。キミはずっと僕には応えようとしなかった」
「それが分かってるなら、どうして今頃になって困らせるようなことするの。ルーク、貴方はそんな人じゃないでしょ」
「僕がどんな人間か、見ようともしなかったのに、知った風に言うのはやめてくれ」
「ルーク」
ぐうの音も出ない。
こんなに思われてることに気付いてたのに、私はその気持ちを見えないフリしてた。
私がもし逆の立場ならどうだろう。もしかしたらいつの日か叶うかも知れない、そんな淡い期待を抱かせるだけ抱かせて、叶える気なんか一切ない。
そんな残酷な話があるだろうか。
「僕が心から愛してるのはキミなんだよミトマ。僕はキミに出会ってから今日までずっと、その隣に立てるように努力してきた。七年だよ、七年だ」
「はっきりと、貴方を拒まなかった私がいけないの」
期待させるような曖昧な態度を取った。
あのままカナダに居たら、もしかしたら今そばにいるのは、指輪をはめてくれたのは、目の前にいるルークだったかも知れない。
だけど私は知ってしまった。誰よりそばにいて私のことを好きでいてくれた翔璃のことを。それに自分がどれほど翔璃を好きなのか自覚してしまった。
「私がいけないの。好きでもないのに思わせぶりな態度を取ったから」
「違うよミトマ、キミは繊細な人だ。だから人を傷付けることが出来ない。僕はそれを分かってた。だけど日本に帰るなりフィアンセだなんて、僕はなんのために」
「貴方がどう思おうと、私には愛してる人が居るの。ごめんなさい、そうとしか言えない」
「僕たちが過ごした時間はその程度なのかい」
「貴方は私の掛け替えのない友だちよ。だけどそれ以上じゃないの」
テーブルの下の荷物置きに置いたカバンから、スマホのバイブ音が聞こえる。多分ルークのスマホじゃない、これは翔璃からの連絡だ。
私はルークの目を見つめてもう一度お願いする。
「貴方の想いには応えることが出来ないの。友だちとして、祝うのが無理でも受け入れて欲しい。私はようやく彼と向き合えたの、自分に自信が持てたの」
「僕の方がキミを愛してるよ」
「違うわルーク。あの人ほど私を愛してる人なんて居ないの」
「キミは笑顔で酷いことを言う」
ルークは私の手を取ると、あの日の翔璃みたいに薬指に口付けようとする。
私は咄嗟に手を引いて、至極真面目に本当にやめてと改めてルークを見つめると、彼はいよいよ観念して指輪を返してくれた。
【場所教えて。迎えに行くから早く終わらせて】
やっぱりそうなるよねと思いつつ、私だって逆のケースで、なんとも思ってない相手だって聞かされても、デートしたことがある相手だったらやっぱり気分は良くない。
本人がなんとも思ってないからって、二人きりでご飯を食べに行くような親しい間柄だと色々勘繰ってしまう。
(やっぱり断るべきだったよね)
スマホをカバンにしまうと、パウダールームで化粧をさっと直して、外で待っているルークと合流する。
今夜食事をするのは、ルークが泊まっているホテルのレストランだ。
居酒屋とかにしてくれと頼み込んだけど、久々に会えたんだからと珍しくルークが折れず、ムードたっぷりのホテルレストランでのディナーになってしまった。
「そんなに嫌かい?」
「久しぶりに会えたのは嬉しいけど、二人きりなのはお互いに良くないと思うけど」
さりげなく腰に手を添えて、私をエスコートする自然な動きに戸惑って頭を抱える。だってルークにも確か恋人はいるはずだ。イーサンやエリオットを交えて仲間で呑むのとは訳が違う。
「どうして? やましいことなんかないのに」
「それなら居酒屋でいいじゃない。どうしてこんな」
「キミと会うのに、僕かどれだけ孤独な時間を耐えたと思ってるの」
「孤独って、恋人が居るでしょ」
席について向かい合うと、おかしなことを言うルークの顔を覗き込む。
「だってそうしないとキミは僕のそばに居てくれなかったじゃないか。あんなのは全部フェイクだよ」
「変な冗談やめてよ。私たちはずっと仲の良い友だちでしょ、フェイクだなんて彼女たちに失礼だよ」
「だったら、僕が本気でキミを口説けば恋人になれたのかい?」
「ルーク、本当にどうしたの、なんか変だよ?」
「冗談だよ。そんなに怒らなくてもいいじゃないか。それより素敵な指輪だね。少し見せてくれないか」
私に左手を出せと言いながらテーブルに手を置くと、ルークはフィアンセが居たなんてねと切ない顔をする。
「黙ってた訳じゃなくて、忙しくてそれどころじゃなかったから」
ここしばらく社内で起きた嫌がらせの話をしながら、催促されて左手を出すと、思いの外強い力で手を掴まれてギョッとする。
「ちょっと、突然なんなの」
「憎らしいほどキミに似合ってるね。フィアンセとやらは、キミをちゃんと愛してるらしい」
言われた言葉の意味を考えた本当に僅かな隙に、痩せたんじゃないのかと意味深に笑ったルークに指輪を引き抜かれる。
「なにするの、返してよ」
「そうだね。久々に会えたっていうのに、さっきからずっと逃げたそうにしてるから、食事が終わるまで僕が預かっておくよ」
「なんの冗談なの。お願いだから返して」
「食事が終われば返すよ。だから今はフィアンセのことは忘れて、僕との時間を過ごして欲しい」
「ルーク……」
こんな強引なことをする人だっただろうかと思いながら、それでもここで騒げば他の客の迷惑になる。
きっと喚いて取り返すのは簡単だけど、友だちとして築いてきた絆を疑いたくはなかった。
これが私の甘さなんだと思う。
「キミにそんな悲しい顔は似合わないよ。笑ってよミトマ」
「悲しい顔にさせてるのは誰なの。指輪を返してくれたら笑うわよ。そんなことぐらい分かるでしょ」
「本当に高飛車なクイーンだね、キミは」
皮肉を込めて呟かれた言葉が痛いくらい胸に刺さる。
私はルークが私に向ける想いに、気付いてて気付かないフリを続けてきた。
友だちの壁をあえて越えない付き合い方を選んだつもりだったけど、それを危うい関係性と知りながら、友人としての関係が壊れるのが嫌で、はっきりと拒絶の言葉を伝えたこともなかった。
ルークをこんな風にしたのは私なんだと、取り上げた指輪を小指の先にはめる彼の皮肉な微笑みを、黙って見つめるしか出来なくなる。
「せっかくの料理が台無しになる。いただこうよ」
「……そうね」
胃酸が逆流したように急にお腹が痛くなる。
目の前にサーブされる料理を口に運びながら、吐き気を催すのを誤魔化してワインを流し込む。
ルークがイーサンやエリオットの話をするけれど、私は額に玉のように浮かんでくる冷や汗を手の甲で拭う。
「そんなに僕との食事はつまらないかい?」
「そうね、脅迫めいた食事じゃなければ、充分に再会を喜べたと思う」
「酷いな、脅迫だなんて」
「悪ふざけはやめて。こんなことしても、貴方を友だち以上に見ることは出来ないの」
フォークを置いてから口元をナプキンで拭って、早く指輪を返して欲しいと真正面からルークの目を見つめる。
「そうだろうね。キミはずっと僕には応えようとしなかった」
「それが分かってるなら、どうして今頃になって困らせるようなことするの。ルーク、貴方はそんな人じゃないでしょ」
「僕がどんな人間か、見ようともしなかったのに、知った風に言うのはやめてくれ」
「ルーク」
ぐうの音も出ない。
こんなに思われてることに気付いてたのに、私はその気持ちを見えないフリしてた。
私がもし逆の立場ならどうだろう。もしかしたらいつの日か叶うかも知れない、そんな淡い期待を抱かせるだけ抱かせて、叶える気なんか一切ない。
そんな残酷な話があるだろうか。
「僕が心から愛してるのはキミなんだよミトマ。僕はキミに出会ってから今日までずっと、その隣に立てるように努力してきた。七年だよ、七年だ」
「はっきりと、貴方を拒まなかった私がいけないの」
期待させるような曖昧な態度を取った。
あのままカナダに居たら、もしかしたら今そばにいるのは、指輪をはめてくれたのは、目の前にいるルークだったかも知れない。
だけど私は知ってしまった。誰よりそばにいて私のことを好きでいてくれた翔璃のことを。それに自分がどれほど翔璃を好きなのか自覚してしまった。
「私がいけないの。好きでもないのに思わせぶりな態度を取ったから」
「違うよミトマ、キミは繊細な人だ。だから人を傷付けることが出来ない。僕はそれを分かってた。だけど日本に帰るなりフィアンセだなんて、僕はなんのために」
「貴方がどう思おうと、私には愛してる人が居るの。ごめんなさい、そうとしか言えない」
「僕たちが過ごした時間はその程度なのかい」
「貴方は私の掛け替えのない友だちよ。だけどそれ以上じゃないの」
テーブルの下の荷物置きに置いたカバンから、スマホのバイブ音が聞こえる。多分ルークのスマホじゃない、これは翔璃からの連絡だ。
私はルークの目を見つめてもう一度お願いする。
「貴方の想いには応えることが出来ないの。友だちとして、祝うのが無理でも受け入れて欲しい。私はようやく彼と向き合えたの、自分に自信が持てたの」
「僕の方がキミを愛してるよ」
「違うわルーク。あの人ほど私を愛してる人なんて居ないの」
「キミは笑顔で酷いことを言う」
ルークは私の手を取ると、あの日の翔璃みたいに薬指に口付けようとする。
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