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(54)結婚への第一歩
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狭い布団が敷かれた薄暗い部屋に、ガラスのビジューが散りばめられたランプだけが灯り、天井にキラキラした光が反射してる。
「ん」
喉が掠れて上手く声が出ない。
そんな私の声に気付いた一稀さんが、腕枕と反対の手で私の髪を梳くように撫でる。
「なーたん、起きたの」
「おはよ。今何時?」
「3時かな。喉乾いたよね、飲み物持ってこようか」
「ん。起きる」
体を起こそうとするものの全身が酷く怠くて、一稀さんに限界まで抱き潰されて気を失ったことを思い出した。
「やっぱり無理させちゃったね。ごめんね歯止めが効かなくて」
「本当にね」
振り返って一稀さんの鼻に噛み付く。
「ふふ。そんなのされたらまた勃っちゃう」
「もう無理だからね!?」
「分かってる。お茶で良いかな、持ってくるね」
キスをして布団から出ると、一稀さんは裸のままで、ヒタヒタと足音を鳴らしてキッチンに向かう。
ふとベッドを見つめると、マットレスが退けられていて、二人で激しく愛し合った光景が頭の中に蘇ってお腹の奥がキュンと疼いた。
それを誤魔化すようになんとか上半身を起こして、クローゼットにもたれて座ると、缶ビールとコップに入ったお茶を持ってきた一稀さんと目が合う。
「そんなセクシーな格好見せられると、また襲いたくなるんだけど」
一稀さんの視線が、私の胸元と剥き出しになった太腿に向けられて、慌てて布団を引き寄せて体を隠す。
「もう本当に無理だってば」
グラスを受け取ると、隣に潜り込んできた一稀さんの手が緩やかに私の内腿を撫でて、下生えをくすぐるように掴んで撫でる。
「ここ本当に柔らかいよね」
「知らないよ。どこのお姉さんと比べてるんだか」
布団越しに一稀さんの手を叩くと、それでも懲りずに指先が伸びて花弁に埋もれた蕾を暴かれる。
「あんっ、ちょっと、やめてってば」
「まだぷくってしてる」
「もうしないの!」
体の向きを変えて回避すると、グラスいっぱい注がれたお茶を飲んで、空になったグラスを一稀さんに突き返す。
「一稀さんは、なんでも度が過ぎるの」
「だってなーたん可愛いんだもん」
グラスを床に置いて、反対の手で掴んだままの缶ビールを揺らすと、蕩けるような甘い笑顔で一稀さんが妖艶に笑う。
「どこが可愛いの。だいたい好きって言ってくれるけどさ、こんな変な声だし顔も男みたいだし、背だって無駄に高いし胸も小さいし」
「そうやって自分の魅力に気付いてないところ」
「はあ?」
「低くてハスキーな甘ったるい声で俺を呼ぶ声が好き。抱き締めた時に喉元と鎖骨に掛かる熱い息遣いが好き。ユニセックスなのにセクシーで俺の本能を揺さぶる蕩けた顔が好き」
「恥ずかしいよ」
「手のひらにすっぽり収まる感度が良過ぎるおっぱいが好き。キスした時に小ぶりだけど肉厚な官能的な舌が好き。それからねえ」
「もういいよ、恥ずかしいってば」
咄嗟に布団を頭まで被ると、膝から下が剥き出しになってしまう。
「それから真っ直ぐな脚が好き。内腿にある厭らしいホクロが大好き。めちゃくちゃエロい」
言いながら一稀さんの手がゆっくりと足を撫でて、際どいところまで迫り上がってくる。
身体が熱くなって、覚えのある甘い痺れが足元から全身に広がっていく。これじゃまた一稀さんのペースだ。
「ダメ。もうしないって言ってるでしょ」
ガバッと布団を下ろすと、可笑しそうに肩を揺らす一稀さんと目が合った。
「本当、全部が可愛い。愛してるよ、奏多」
「一稀さんはズルいよ」
抱き締められて、当たり前のようにキスをする。
「俺ね、奏多のためなら、もう日本に戻っても良いのかなって思う時がある」
「え、そんなのダメだよ」
「だけどやっぱりこんな風にそばに居たいからさ。何時間も掛けて来て、僅かな時間しか過ごせないのは堪えるよ」
「それは私だってそうだけど」
左手の薬指に光る指輪を見て、胸が詰まるような思いになる。
「俺はさ、いつも後から気付いて後悔するから。もう二度とそうなることがないようにしたいんだ」
「だけど私は、一稀さんにそんなことさせたら一生後悔する。それに私ね、実は考えてることがあって」
「なにを」
「まだ上手く交渉出来てないから話さなかったんだけどね、輸入家具の取引先で、臨時職員だけど雇ってもらえそうなルートがあるの。あとは日本語学校の教師とかね」
「え、なーたんがイギリスに来るつもりってこと」
「うん。私元は高校の英語の教師だったから、海外に行ったことはないけど英語が使えないわけじゃないの」
「なーたん」
「それでね、……へっ、へっ、ぶぇえっくしゅん」
「え、今?」
一稀さんは爆笑しながら私を抱き寄せて膝に乗せると、後ろからギュッと抱き締めてくれて、その温かさに気持ちが落ち着く。
「もうヤダこのくしゃみ」
「なんで、可愛いじゃない」
そう答えながらも一稀さんは、笑うのを我慢するように、お腹を抱えて体を揺らしている。
「ほらー。可愛くないじゃん、やっぱり」
「そんなことないよ。隙がなさそうなのにそういうところがさ」
凄く可愛い。そう言って一稀さんは耳元に囁く。
「本当に。そんなこと言ってくれるの一稀さんだけだからさ。勘違いしちゃうよ」
「俺はさ思ってることしか言わないよ」
「じゃあイギリスに行っても良い?」
「奏多は後悔しないの」
「なにかを諦めるんじゃなくて、チャレンジしに行くから後悔はしないと思う」
「だったら嬉しいし、歓迎するよ」
はにかんだ一稀さんと甘い甘いキスをして、冷えた体を温め合うように抱き締め合って布団に潜り込んだ。
「ん」
喉が掠れて上手く声が出ない。
そんな私の声に気付いた一稀さんが、腕枕と反対の手で私の髪を梳くように撫でる。
「なーたん、起きたの」
「おはよ。今何時?」
「3時かな。喉乾いたよね、飲み物持ってこようか」
「ん。起きる」
体を起こそうとするものの全身が酷く怠くて、一稀さんに限界まで抱き潰されて気を失ったことを思い出した。
「やっぱり無理させちゃったね。ごめんね歯止めが効かなくて」
「本当にね」
振り返って一稀さんの鼻に噛み付く。
「ふふ。そんなのされたらまた勃っちゃう」
「もう無理だからね!?」
「分かってる。お茶で良いかな、持ってくるね」
キスをして布団から出ると、一稀さんは裸のままで、ヒタヒタと足音を鳴らしてキッチンに向かう。
ふとベッドを見つめると、マットレスが退けられていて、二人で激しく愛し合った光景が頭の中に蘇ってお腹の奥がキュンと疼いた。
それを誤魔化すようになんとか上半身を起こして、クローゼットにもたれて座ると、缶ビールとコップに入ったお茶を持ってきた一稀さんと目が合う。
「そんなセクシーな格好見せられると、また襲いたくなるんだけど」
一稀さんの視線が、私の胸元と剥き出しになった太腿に向けられて、慌てて布団を引き寄せて体を隠す。
「もう本当に無理だってば」
グラスを受け取ると、隣に潜り込んできた一稀さんの手が緩やかに私の内腿を撫でて、下生えをくすぐるように掴んで撫でる。
「ここ本当に柔らかいよね」
「知らないよ。どこのお姉さんと比べてるんだか」
布団越しに一稀さんの手を叩くと、それでも懲りずに指先が伸びて花弁に埋もれた蕾を暴かれる。
「あんっ、ちょっと、やめてってば」
「まだぷくってしてる」
「もうしないの!」
体の向きを変えて回避すると、グラスいっぱい注がれたお茶を飲んで、空になったグラスを一稀さんに突き返す。
「一稀さんは、なんでも度が過ぎるの」
「だってなーたん可愛いんだもん」
グラスを床に置いて、反対の手で掴んだままの缶ビールを揺らすと、蕩けるような甘い笑顔で一稀さんが妖艶に笑う。
「どこが可愛いの。だいたい好きって言ってくれるけどさ、こんな変な声だし顔も男みたいだし、背だって無駄に高いし胸も小さいし」
「そうやって自分の魅力に気付いてないところ」
「はあ?」
「低くてハスキーな甘ったるい声で俺を呼ぶ声が好き。抱き締めた時に喉元と鎖骨に掛かる熱い息遣いが好き。ユニセックスなのにセクシーで俺の本能を揺さぶる蕩けた顔が好き」
「恥ずかしいよ」
「手のひらにすっぽり収まる感度が良過ぎるおっぱいが好き。キスした時に小ぶりだけど肉厚な官能的な舌が好き。それからねえ」
「もういいよ、恥ずかしいってば」
咄嗟に布団を頭まで被ると、膝から下が剥き出しになってしまう。
「それから真っ直ぐな脚が好き。内腿にある厭らしいホクロが大好き。めちゃくちゃエロい」
言いながら一稀さんの手がゆっくりと足を撫でて、際どいところまで迫り上がってくる。
身体が熱くなって、覚えのある甘い痺れが足元から全身に広がっていく。これじゃまた一稀さんのペースだ。
「ダメ。もうしないって言ってるでしょ」
ガバッと布団を下ろすと、可笑しそうに肩を揺らす一稀さんと目が合った。
「本当、全部が可愛い。愛してるよ、奏多」
「一稀さんはズルいよ」
抱き締められて、当たり前のようにキスをする。
「俺ね、奏多のためなら、もう日本に戻っても良いのかなって思う時がある」
「え、そんなのダメだよ」
「だけどやっぱりこんな風にそばに居たいからさ。何時間も掛けて来て、僅かな時間しか過ごせないのは堪えるよ」
「それは私だってそうだけど」
左手の薬指に光る指輪を見て、胸が詰まるような思いになる。
「俺はさ、いつも後から気付いて後悔するから。もう二度とそうなることがないようにしたいんだ」
「だけど私は、一稀さんにそんなことさせたら一生後悔する。それに私ね、実は考えてることがあって」
「なにを」
「まだ上手く交渉出来てないから話さなかったんだけどね、輸入家具の取引先で、臨時職員だけど雇ってもらえそうなルートがあるの。あとは日本語学校の教師とかね」
「え、なーたんがイギリスに来るつもりってこと」
「うん。私元は高校の英語の教師だったから、海外に行ったことはないけど英語が使えないわけじゃないの」
「なーたん」
「それでね、……へっ、へっ、ぶぇえっくしゅん」
「え、今?」
一稀さんは爆笑しながら私を抱き寄せて膝に乗せると、後ろからギュッと抱き締めてくれて、その温かさに気持ちが落ち着く。
「もうヤダこのくしゃみ」
「なんで、可愛いじゃない」
そう答えながらも一稀さんは、笑うのを我慢するように、お腹を抱えて体を揺らしている。
「ほらー。可愛くないじゃん、やっぱり」
「そんなことないよ。隙がなさそうなのにそういうところがさ」
凄く可愛い。そう言って一稀さんは耳元に囁く。
「本当に。そんなこと言ってくれるの一稀さんだけだからさ。勘違いしちゃうよ」
「俺はさ思ってることしか言わないよ」
「じゃあイギリスに行っても良い?」
「奏多は後悔しないの」
「なにかを諦めるんじゃなくて、チャレンジしに行くから後悔はしないと思う」
「だったら嬉しいし、歓迎するよ」
はにかんだ一稀さんと甘い甘いキスをして、冷えた体を温め合うように抱き締め合って布団に潜り込んだ。
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