上 下
60 / 120
連載

64話*

しおりを挟む

 緊張から開放されてホッと息を吐くと、すぐさまリュカが頭にキスしてくる。労わってくれるのは嬉しいが、我慢出来無くなるので、もう少し待ってほしい。それにオロバスの前だから、これ以上は駄目だぞ。

「ところでリュカ殿下。先程の怪我ですが、もしかしてわざと受けましたか?」

 そうなのか? 思わずリュカを見つめると、苦笑を零される。

「気付いていたんだね。剣を交えているうちに実力を探られているのはわかったし、怪我をさせないよう攻撃しているようでもあったから。だったらわざと怪我を負えば、動揺して隙が生まれるんじゃないかと思ったんだ」

 確かに、相手が手加減していると見極めたのであれば、戦略として有りだ。しかし痛みは相当のものだったはず。よく決断したな。

「それくらいしないと、勝てなかったから。――絶対に勝つと、ザガンと約束したから。その為に、貴方の優しさに付け込んでしまった。ごめんねオロバス」
「いえ。そうまでして勝とうとした強い意思に、私は負けたのです。リュカ殿下。坊ちゃまのこと、どうかよろしくお願いいたします」

 丁寧に頭を下げるオロバス。それに対し、リュカは力強く頷く。

「もちろんです。オロバス殿、俺達を認めてくださり、ありがとうございます」

 王子でありながら、敬語での返答。俺の親として敬意を示してくれたことが、とても嬉しい。

 オロバスは頭を上げると、俺に視線を移した。

「……リュカ殿下の傍におられるのでしたら、もう坊ちゃまとは呼べませんね。寂しいですが、これからはザガン殿とお呼びいたします」

 寂しいと言われると、俺も寂しくなってきてしまう。
 だが俺はザガンとして、リュカの傍にいると決めた。なので父上の執事から、坊ちゃまと呼ばれるわけにはいかない。

「助かる。それにどう呼ばれようと、俺がお前に育てられた事実は無くならない」

 少しでも寂しさを軽減させたくて告げれば、オロバスは驚いたように目を見開いたあと、珍しいことに喉を震わせた。





 友人達に声をかけ、ニナやベネットの体調を確認したあと、ギルドから出た。空は真っ白な雲が広がっているし、吐く空気も白いが、今のところ雪が降る気配は無い。

「それでは私は、シャルマンのところに行きます。避難民を受け入れたことで彼女の仕事が増えていますし、ザガン殿やノエルお嬢様の傍にいては、どうしても世話を焼いてしまいますからね。民間人である皆様には、窮屈に感じるでしょう」
「そうですね。オロバスがいなくても生活には困りませんし、みんな確実にストレスが溜まります」

 素直に同意するところがノエルらしいが、オロバスはまたもや微妙な顔をした。少しは名残惜しんでほしかったのだろう。
 ノエルは王都に戻っても、オロバスと毎日会えるからな。しかし俺は。

「……これきりというのは、俺は寂しい」

 昨夜再会したばかりで、しかも王都に戻ったら今のように話せなくなるかもしれない。だからなるべく、この都市にいる間に会っておきたい。

 そんな不満が思いっきり顔に出ていたからか、オロバスは柔らかく微笑んだ。

「ご安心ください、ザガン殿。1日1回、昼食後にはそちらに顔を出します。それに星の欠片入手後、王都までの道のりには、私も同行いたしますから」

 そうか、それなら良かった。ホッとすると、隣に立つリュカから苦笑が聞こえてきた。見上げると唇に軽くキスされ、ザガン可愛いと囁かれる。おい、オロバスが見て。

「はいはいはーい。オロバスさんにはもっといろいろ聞きたいから、来てくれるのは嬉しいよ」
「うむ。わらわも錬金術について、ご教授願いたい」
「それなら私は、全てにおいてお聞きしたいわぁ」
「私の知識で良ければ、いくらでも与えますよ」

 ……ないな。あっという間に女性陣に囲まれ、せがまれている。なら問題無いか。
 俺もオロバスに聞きたいことがあるが、この様子ではタイミングを見つけられるか微妙だ。

 悪魔ザガンが、どのような存在だったのか。少しだけ気になるので、そのうち聞けたら良い。





 シャルマン公爵のところへ向かうオロバスを見送り、元保護者の目が無くなった。そのせいで途端にソワソワしてしまい、リュカが不思議そうに首を傾げてくる。

「ザガン、どうしたの?」
「そ、その。リュカと2人きりになりたい」

 言っていて恥ずかしくなり、ぽぽぽぽと顔が火照った。それでも目を逸らさないでいると、リュカは蕩けるような微笑みをくれる。

「ザガン……。じゃあみんな、夕方まで自由行動ね。俺達は屋敷に戻るから、好きに過ごして良いよ」
「了解しました!」
「わかったよ。まったく、仕方無いねぇ」

 ノエル、ミランダ、他からも了承の言葉が返ってくる。まだ午前中なのに、窘めてくる者はいない。ベネットなど、昼食用の弁当はあるか、夕食はドア前に置いた方が良いかと聞いてくるほどだ。ありがたいが、それで良いのだろうか?

 ともかくリュカと共に、屋敷に戻った。気が急いて早歩きになっていたし、自室で2人きりになると、我慢出来ずにぎゅうぎゅう抱き付いてしまう。

「リュカ、リュカ」
「うんうん、俺が勝ったよザガン。褒めてくれる?」

 もちろん褒めるぞ。たくさん褒める。

 抱き締め返されるのが嬉しくて、早くセックスがしたくて、リュカをグイグイ押した。しかし押しすぎたせいか、彼は俺を抱き締めたまま、背中からベッドに倒れる。

「うわっ! っ……ごめん、ザガンだいじょ、……ザガン?」

 結果的に押し倒した体勢になったので、上に乗ったまま、たくさんキスを降らした。

「よくやったリュカ、さすがは俺のリュカだ」

 多大なる喜びと、愛しさ。怒涛の勢いで溢れてくる感情を少しでも伝えたくて、顔中にキスをする。いつもリュカが、俺にしてくれるように。

 くすぐったいのか、ふふっと笑うリュカ。決闘中はとても格好良かったが、幸せそうに受け入れてくれる今は、とても可愛い。

「リュカ、ん……リュカ。好き、大好きだ」

 額や頬だけでなく、唇にもキスをした。ちゅ、ちゅ、と音を立てて、何度も触れる。

「ん。ザガン、俺も大好きだよ。愛してる」

 唇を舐められたので、開けてみれば、舌先も舐められた。それだけでゾクゾクする。ふぁ、気持ち良い。腰を動かして、すでに勃起してしまっている股間を、リュカに押し付けるのも気持ち良い。
 はしたないと思うも、どうにも止まらない。いやむしろ、決闘を見ている時には身体が疼いていたのだから、2人きりになるまで我慢出来たことを褒めてほしい。

 いつもより制御が利かないのは、心の奥底……ザガンの魂さえも、リュカを求めているからだろう。もっともっと、リュカを感じたいと。

 しかしキスをしながら腰を押し付けていると、両手でガッと腰を掴まれ、そのまま持ち上げられてしまった。どうして止めるんだ?
 ムッとして顔を覗き込むと、鼻の頭にキスされる。

「ごめんねザガン。でもこのままじゃ、君にきちんと触れられなくて生殺しだから、服を脱ごう? ね?」

 ……ハッ。俺としたことが、急くあまり脱ぐのを忘れていた。しかもリュカは、決闘の為にしっかり防具を着込んでいる状態である。どうりであまり刺激を感じられず、もどかしかったわけだ。

「す、すまないリュカ」

 自分のウッカリに少々羞恥を覚え、リュカの上から退いた。それでも早く肌を合わせたくて、いそいそ服を脱ぐ。

「もう、ザガンったら。本当に可愛いんだから」

 リュカはちゅっと頭のてっぺんにキスすると、ベッドから立ち上がった。そして同じように脱ぎ始める。

 軽装だった俺は先に脱ぎ終えたが、服を畳んでいる余裕は無く、ベッド下に放置したまま。落ち着けずにソワソワ待っていると、全裸になったリュカも、ほとんど片付けずにベッドに上がってきた。

 腰に腕を回され、素肌が触れ合うのがとても気持ち良い。吐息を漏らすと、キスしながら俺をベッドに寝かせようとしてきた。いつもならば、抵抗せずに受け入れるのだが。

「リュカ、リュカ。今日は俺がしたい。駄目か?」

 胎内はすごく疼いているものの、リュカを気持ち良くさせてやりたいとも思う。だから、フェラに挑戦させてほしい。以前はあまり上手く出来無かったが、今回は頑張ってリュカをイかせるから。

 じっと見つめると、リュカは小さく首を傾げてきた。

「えっと。勝ったご褒美に、ザガンの可愛いお口で咥えてくれるってこと?」

 別に口は可愛くないが、反論する必要も無いのでコクコク頷く。するとリュカはホッと吐息を零した。

「ありがとうザガン。ご褒美、嬉しいよ」

 クッションに背中を預けるリュカ。その股の間に陣取り、すでに勃起しているペニスを見つめる。やはりデカくて全部は咥えられそうにないので、舌と手でどうにかイかせよう。

 顔を近付ければ、リュカのニオイがした。脳を刺激し、胎内をさらに疼かせてくる官能的なニオイ。たまらない。
 先端に軽くキスしてから、立派なペニスを咥える。そして舌で舐めつつ、両手で竿を包んで刺激した。すぐに先走りが滲んできて、咥内がパチパチした魔力に刺激される。気持ち良い。

「……ん、んふ……、……ん、ん」
「美味しそうに頬張ってて、すごく可愛い。ふふ、おめめもトロンとしてるね」
「ん……」

 頭を撫でられ、頬や唇にも指が触れてくる。咥えながらもリュカを見上げると、頬が赤らんでいるし、気持ち良さそうに吐息を零していた。

 感じてくれることは嬉しいが、いつも俺を抱いている時の表情なせいか、さらに胎内が疼いた。奥までリュカを感じたくて、アナルがひくひく収縮してしまう。どうしても尻が揺れる。
 そうなると当然、リュカに気付かれるわけで。

「……ザガン。そろそろ可愛くてエッチなお尻に、俺のペニスを入れてほしいんじゃないかな?」

 優しい声で囁かれ、頬を撫でられた。それだけで気持ち良くて、うっとりしてしまう。促されるまま、頷きたくなる。だがしかし。

「その。一度リュカの精液を、飲んでみたい……のだが」

 いつも胎内から吸収しているリュカの魔力を、口からも摂取してみたい。もっともっと、リュカを俺のものにしたい。そんな欲望が溢れて止まらない。このような思考、引かれてしまうだろうか?

 恐る恐るリュカを見つめると、リュカは優しく微笑んでくれた。

「もちろん駄目じゃないよ。そんなに俺を望んでくれるなんて、すごく嬉しい。愛してるよザガン」

 ちゅっと頭のてっぺんにキスされた。歓喜で心がムズムズして、頬が綻びそうになる。なので頬を引き締めようとしたら、むむむっと変な声が漏れてしまい、またリュカに笑われた。

「ふふ、本当に可愛いなぁ。ああそうだ。俺がイけるまで、ザガンのエッチなお尻には、触手を入れておいてあげるね。そうすれば、もどかしさが薄らぐでしょ?」

 リュカの腕から触手が出てきて、背中をスルスル這っていく。くすぐったさに震えているうちに、尻の間から窄まりへと、先端が移動してきた。軽くつつかれたあと、ゆっくり胎内に侵入してくる。
 位置的にアナルは見えないだろうに、とてもスムーズだ。魔力操作、すっかり上達したな。

 ちなみに慣らさなくても括約筋を通過してしまったが、それはきっと、触手がペニスの半分ほどの太さだからだろう。もしくは昨夜射精された精液が奥に残っており、蠕動するのに合わせて漏れてきたか。
 とにかく、尻を突き出したらぽっかり空く、なんてことになっているわけではないはずだ。

「ザガン、どう? もうちょっと太い方が落ち着くとか、もっと奥まで入れてほしいとか、何か要望ある?」
「ん……大丈夫だ。……ふぁ、……ん」

 締め付けられるものが無くて収縮するたび切なかったが、この太さなら充分胎内を満たしている。それにリュカの魔力を感じられ、心地良い。

「……ん、……ん、ん……んむ」

 改めてフェラに挑戦。ちゅうちゅう先端を吸ったり、咥えた状態で、上下に動かしたり。竿にもたくさんキスしつつ、舐めていく。もちろん両手での愛撫も忘れない。

「ん、気持ち良いよザガン。は……手の方、ペニスを包むように持って……そう。それでもう少し、強めに擦ってくれると、もっと良いかも。お口は咥えたままね」

 リュカに言われた通り、少しでも感じてくれるように刺激していく。するとだんだん色っぽい声が聞こえてくるから、俺もどうしようもなく興奮した。きゅうきゅうと、触手を締め付けてしまう。触手にも僅かに感覚があるので、たぶん伝わっているはず。

 チラリとリュカの顔を確認してみると、蕩けた碧眼で見下ろしてきていた。ううぅ、好きだリュカ。もっともっと、気持ち良くさせてやりたい。

 必死にペニスを愛撫すると、リュカの腰の震えが大きくなっていく。頭を撫でていた手が、後頭部に固定される。それでも無理矢理ペニスを喉奥まで咥えさせる、なんてことはしてこない。

「ん、はぁ……ザガン、そろそろ、イきそう……っ」

 コクコク頷いて、飲む準備をした。咥内に余裕を持たせつつ、先端を緩く咥えて、とにかく掌でさすって刺激する。するとすぐに、震えるペニスから精液が飛び出てきて、喉を濡らされた。

 ん、これがリュカの味か。リュカの精液だからか、魔力が含まれた精液とはこういうものなのかは判断付かないが、爽やかで美味く感じる。

 パチパチした刺激をもたらしてくる光の魔力を、じっくり舌で味わってから、ゆっくり嚥下した。
 自分にしては大胆な行動を取ったが、胃からもリュカの魔力を吸収していくと思うと、恥ずかしくも嬉しくなる。好きだ、好きだリュカ。

 しかしリュカは、何故か心配そうな顔で、俺を覗き込んできた。

「ザガン、大丈夫? 不味くて吐きそうになってたり、気持ち悪くなってたりしてない?」
「? 大丈夫だぞ。それとももしかして、リュカは俺の精液を、とてつもなく不味く感じていたのか?」

 俺の精液をよく飲んでいるし、いつも美味いと言っていたが、もしかして違ったのだろうか。
 首を傾げると、すぐさま否定してきた。

「ううん、とても美味しいよ。でもザガンが俺のをどう感じるかは、わからなかったから」

 なるほど。属性が違うのだから、きっと味もそれぞれ違うだろう。それに互いの属性や相性によっても、違う可能性がある。
 だがそんなもの、杞憂だ。

「リュカの精液なのだから、平気に決まっている」
「……ザガンったら、どれだけ俺を喜ばせてくれるの? 君が愛しすぎて、どうにかなっちゃいそうだよ」

 両手でそっと頬を包まれ、労るように優しくキスされた。すぐに離れたものの、反射的に閉じていた目を開ければ、泣きそうな綺麗な微笑を見つける。それに触れ合っているところから、とてつもない喜びと愛が伝わってくる。

 俺を心から愛してくれるリュカ。だからこそ、俺も自分自身の中に、これほどの愛があることを知れた。

「リュカ、リュカ。好きだ、好き……ぁ、ん?」

 抱き締められて、胸や腹がぴったり密着すると、指でくぱっとアナルを広げられた。いつの間にか胎内に入っていた触手は消えており、緩んだアナルに熱いペニスが触れてくる。しかも一呼吸さえ置かずにヌプヌプ入ってきて、奥まで侵入される。

「ふぁ、あっ……、あ、ん――……♡」

 いっぱいに満たされ、背筋を駆け上がっていく快感。愛しい圧迫感に、背中が大きく戦慄いた。

 気持ち良い、気持ち良い。リュカのペニス、とてつもなく気持ち良い。
 ずっと我慢していたからか、入れられただけでイっている。しかも射精していない。快楽が胎内から全身へと広がっていき、ガクガク痙攣する。

「あ、あうっ……ふぁあ、あ、……あ♡」
「はっ……すごく蠢いてる。ふふ、甘えるように吸い付いてきてるよ。気持ち良いねザガン。もっと、気持ち良くなろうね」

 震えていると、そっとベッドに倒され、奥をトントンつつかれた。抱かれている腰が甘く疼いて、どうしてもペニスを締め付けてしまう。するとさらに快感が湧いて、また軽くイってしまった。
 気持ち良いけれど、このままではイきっぱなしになってしまう。

 どうにか快楽を逃がそうと、下腹部から力を抜いた。ペニスを締めなければ、少しは落ち着くはずだから。
 しかし緩んだせいか、ちゅぷんと、結腸奥までリュカが侵入してくる。

「ひんっ……? あ……ッ♡? ――……ッ♡」

 ブワブワブワッと押し寄せてくる悦楽。あまりの刺激に、またもやイってしまった。ビクビク腰が跳ねる。すごく気持ち良くて、イったまま下りられなくなる。

「ひ……あっ、あんっ……ん、んうぅ……っ♡」
「ん、はぁ……ザガンの中、すごく締め付けてくる」
「リュカ、リュカぁ……ん、んひぃ……っ」

 奥の奥までリュカに満たされるのは、とてつもなく気持ち良かった。だがこのままでは、あまりの感覚におかしくなりそうだ。うう、リュカ、助けてくれリュカ。

 感じすぎて涙が零れた。ぐずぐず泣いてしまう。
 するとすぐに、結腸奥からペニスが抜かれた。そして濡れた眦に、ちゅっとキスされる。鼻を啜りながらも瞼を開けると、リュカが優しく微笑んでくれた。

「ごめんねザガン、ちょっとつらかったね。次はゆっくり時間を掛けて、一緒にイこうか」

 額に張り付いていた前髪をすかれ、頭を撫でられる。コクリと頷くと、黒髪にそっとキスされる。

 しばらくはペニスを結腸手前で止めたまま、あやすようにたくさんキスしてくれた。背中や腹も撫でてくれる。リュカの優しい温もりに包まれると、幸せで満たされる。

 数分もすれば湧いてくる快感が緩やかになり、ちょうどいい心地良さに、吐息が漏れた。

「リュカ……、あ……ん、ん……ぁふ……♡」
「はぁ……ザガンの中、あったかくて、ふわふわしてて、とても気持ち良いよ」

 リュカの蕩けた声と表情に、胸がきゅんと甘く疼く。俺で気持ち良くなってくれていることが、とても嬉しい。

 緩やかな快感を堪能しているうちに、自ら腰を動かすようになっていた。胎内が勝手に、埋まっているペニスを締め付けてしまう。

「ふぁ、ぁ……あん……ん♡」

 動いてほしい。そんな言葉をいちいち言わなくても、リュカは俺の様子を窺いながら、ペニスを動かしてくれた。狭まっている中をずりずり擦られると、たまらなく感じる。ふぁ、気持ち良い。

 キスしたり、頬を擦り合わせたりしているうちに、律動が激しくなっていった。胎内を強く擦られ、奥を抉られ、掻き混ぜられて、ぐちゅぐちゅ艶かしい音が鳴る。
 リュカ、リュカ好きだ。ああ、もう。

「ふぁ、あ……イく、リュカ……あ、あん、ん、ん――……ッ♡!」
「ん、んく……ザガンッ、……は、う」

 全身を駆け巡っていた快楽が、外に弾けていく。震えながら射精する。
 胎内に埋まっているペニスを強く締め付けたからか、それともイくと宣言したからか、リュカも俺のすぐあとに射精した。ブワッと胎内に広がる熱。パチパチ刺激してくる光の魔力。

 頭のてっぺんから足の指先までがリュカで満たされ、幸福感に包まれる。ふわふわと気持ち良くて、さらに震える。

「ぁ……ん……リュカ、リュカ……ふぁ♡」
「うんうん、気持ち良いね。俺も、すごく気持ち良かったよ。ふふ、ザガン。俺だけのザガン」

 涙で濡れていた頬にキスされ、眦にもキスされ、それから唇にもちゅっとキスされる。くすぐったくて、心があたたかくなる。愛しいリュカをたくさん感じられて、とても幸せだ。

 頬が緩んでつい笑みが零れると、すぐに可愛いと囁かれた。あまりにも早く反応するものだから、どうにも照れくさくて、顔を隠すようにリュカの首筋にスリスリ頬を寄せる。するとリュカも、とても幸せそうに笑った。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

悪役に転生させられたのでバットエンドだけは避けたい!!

BL / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:91

ようこそ幼い嫁候補たち ③

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:427pt お気に入り:9

悪役令息にならなかったので、僕は兄様と幸せになりました!

BL / 連載中 24h.ポイント:2,385pt お気に入り:2,680

【完結】似て非なる双子の結婚

恋愛 / 完結 24h.ポイント:6,745pt お気に入り:3,748

偽勇者は他力本願で勇者を超えてしまったので、本物になる事にした

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:7

あまりものの神子

BL / 連載中 24h.ポイント:34,248pt お気に入り:1,520

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。