身の程は弁えてるので、静かに身を引かせてくれませんか!

日出祐祈

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魔物との戦闘

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 上空から物凄い速さで襲ってくる鳥の魔物の攻撃を躱しながら、わたしとロゼッタさんは連携して、ルイシスを守りながら戦う。

「シャンリィ、今だ!」
「はい!」

 ロゼッタさんが鉤爪の攻撃を素早く避け、魔物の脚を剣で突き刺した隙に、高く跳躍したわたしが魔物の胴体を魔剣フレデフォートで斬る。

「ギィィィィィィッ!」

 断末魔の叫びを上げ、魔物は地に落ちた。

「お、終わった……?」

 ほんの数分程度の攻防だったのに、訓練とは違う、一歩間違えたら死んでしまう戦闘だったからか、息切れがひどい。

「お疲れ、シャンリィ。よくやったね」
「ロゼッタさん……」

 激しく上下するわたしの肩を、ロゼッタさんが優しく労うようにぽんと叩いた。
 すごいな、ロゼッタさん。
 わたしと同じく、なぜ魔物が現れたかもわかっていないはずなのに、冷静に見える。
 やっぱり憧れちゃうな……。

「ルイシス様、一度お城に戻りますか」

 魔物の死骸を見下ろしながら、何かを考え込んでいる様子だったルイシスは、小さく頷いた。

「そうだね……」

 撤退が最善だと、わたしも思う。
 これは緊急事態だ。城に報告して、騎士団総出で他に魔物がいないか、大規模な捜索をしたほうがいい。

「では、急ぎ戻り……」

 戻りましょう、と言いかけたロゼッタさんの声を、不気味な鳴き声が遮る。
 そんな、まさか……。

「魔物が……ニ体も……」

 倒したばかりの鳥の魔物と同じ魔物がニ体、上空からギョロギョロした眼でこちらを見下ろしていた。
 ぶるっと手が震える。情けない。ここはまた、ロゼッタさんと連携して倒すしか─────

「ふう……。仕方ないね。シャンリィ、ルイシス様と先に行くんだ。ここは私が食い止める」
「え………」

 あの魔物を、ロゼッタさん一人で?

「そ、そんな……置いて行くなんて!」
「勘違いしないでくれ。死ぬ気はないし、私なら勝てると思う」
「えっ?」

 それはもちろん、ロゼッタさんは強いけど。
 でも、さっきだって二人がかりで一体倒すのがやっとだったのに。
 困惑しているわたしの肩を、ルイシスがぐいっと引き寄せた。
 ぎゃあっ、と飛び出そうになる悲鳴を、ぐっと飲み込む。

「ついに使うんだね。見学したいなあ、ダメ?」
「まだ完全には扱えないんです。巻き込まれてもいいなら、ご自由にどうぞ」
「それは勘弁。じゃあ、シャンリィちゃんと逃げてるよ」
「取り逃がすつもりはありませんが、万が一ということも考えられます。森からは出ず、身を隠していてください」
「わかってるよ」

 頑張ってね、なんて軽い一言を残して、ルイシスはわたしの手を握って走り出す。

「ちょ……、ロゼッタさん……!」
「シャンリィ、ルイシス様を頼んだよ」

 そう言って微笑んだロゼッタさんは、次の瞬間には上空を鋭く睨んだ。

「行けっ、ポポ、ピピ!」

 叫んだロゼッタさんの身体から、二つの球体が飛び出す。青と緑に輝くそれらは、まっすぐに上空に向かっていった。
 そこで、ロゼッタさんの姿は見えなくなってしまった。




 
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