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第一章 非公式お茶会
9 新しい家族①
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Side:アレリオン9歳 冬
アレリオンはぐずぐずと泣いているアルフォードの頭を撫でながら、あの時は本当に大変だったなぁと振り返った。
アベルへの説明や問題解決もだが、解決した後にアシェルが屈託なく笑ってくれるようになるまで。そこまでが本当に長かった。
あれ以来アレリオンもアルフォードも、人の視線に含まれた感情に敏感になってしまった。
特に嫌な感情は、いくら言葉や表情を取繕っていても瞳には如実に表れる気がする。
「大丈夫だよ。あの後、1年くらいは大変だったけど……アシェはすっかり元気だろう。今日だって僕達を拒絶しなかったじゃないか……大丈夫だよ。」
返事はないが、腕の中で弟の頭が縦に動いた。
「僕達だってあの頃より大きくなったし……まだまだ大人には敵わないけどね。でも出来ることは増えてるし、大丈夫だよ。サーニャもいるし、アシェの侍女は昔から母上に仕えてくれていた人達ばかりだ。それに知ってるかい?サーニャはベルを、いつかアシェの侍女にする気でいるよ。楽しみだね。それにあの頃と違って、僕らは嫌な目をした人に気付けるようになっただろう?昔とは違うんだ。……ほら、泣くのを止めて冷やさないと。明日腫れた目でアシェに会うのかい?」
からかうように言うと、胸の中から温もりが逃げる。
目の前にはごしごしと目をこすり、涙を止めようと頑張るアルフォードがいた。
「っ……それは、やだ……。」
「じゃあ今日はもうおやすみ。ちゃんと目元は冷やしてね。僕もそろそろ寝るから。」
アシェルにしてやったように額におやすみのキスを落とすと、慌てて下がられた。
「子供扱いすんなっ。」
キッとこちらを睨むように威嚇している弟も可愛い。
すっかり涙も止まったようだ。
「もー寝る。兄上もおやすみ。」
ぱたぱたと早足で書庫を出るアルフォードを見送ったアレリオンは、自身も寝るため書庫を出た。
(父上の話はいったい何なんだろう。夜が明けなければいいのに……。)
灯の消えた部屋の中に小さなため息だけが残された。
========
Side:アシェル3歳 冬
乳母のサーニャに起こされて、家族で朝食を終えた後。
今日は朝から綺麗に飾り付けられた。
動きやすいワンピースでも、普段日中着ている装飾の少ないドレスでもない。
昨日の夜の様に家族で夕食を取る時も、日中より綺麗なドレスに着替えるのだが、今日のドレスはそれよりほんの少しだけレースやフリルがたっぷり使われている。
晩餐会などで着るという来客用のドレスだった。
目つきのせいか、淡すぎる配色のせいか。あまり子供らしい可愛い色合いは似合わない。
かといって原色に近いハッキリとした色だと、子供らしくもないし顔つきがきつく見えすぎてしまう。
アシェルは中間色か寒色の少し落ち着いた色を好んでいた。
今日は明るい紫をベースに、ところどころの装飾に葡萄色が締め色に入っているドレスだ。
スカートのすそには葡萄の葉をモチーフにした刺繍が入っている。
この色合いはとても好きで、同じような配色のドレスは多い。
本当は瞳の色のように淡い紫色も好きなのだが、全体的にぼやけたイメージになってしまうのでドレスには使っていない。
ドレスを仕立てるときは必ずサーニャが付き添ってくれて、まだ小さいアシェルの意見もきちんと取り入れてくれるのだ。
鎖骨にかかる銀髪はハーフアップにされ、まとめた部分に宝石でキラキラ輝く飾りをつけてくれる。
「ねー、さーにゃ。」
「どうされましたか?」
「またおきがえするよね?これ、よるまでじゃないよね?」
髪の毛を整えられながら鏡越しにサーニャを見やる。
いつも1日に数回着替える。
寝間着はもちろんだが、夕飯の前には必ず着替える。
前世の記憶が少し残っているアシェルからすると無駄に感じるのだが、貴族とは何度も着替えるものらしいのだ。
アシェルの1日は大体、朝シンプルめなドレスを着て朝ご飯を食べ。
平服というには上等なワンピースに着替えて少し遊び(兄のどちらかが剣術の稽古をしていることが多いので、日向ぼっこをしながら観戦している。)、またドレスに着替えて昼食を食べ。
そのままサーニャから色々学んだり時には兄弟でお茶をして、昼間より少し豪華なドレスに着替えて夕食を食べ。
お風呂に入れてもらい寝間着に着替えて眠るのだ。
できれば1日ワンピースで過ごしたい。
サーニャ曰く、兄達とするお茶会の前にも着替えさせたいらしいのだが断固拒否している。
格式が高ければ高いほど、ご令嬢は1日に何度も着替えるんだとか。
気分は着せ替え人形だ。
貴族でも男爵や子爵であれば、朝一度着替えて。そのあとは外出や来客など特別なことがなければ、次の着替えは寝間着を着る時らしい。
すごく羨ましい。
その話を聞いたときにサーニャに直談判したが、一声で却下された。
兄様達は、朝はシャツにスラックスとベストで冬にはジャケット、稽古の時は運動服のように動きやすい服に着替えていたりするが、座学の時は着替えているようには見えない。夕食の時は少し刺繍などの装飾が入った服装に着替えていて、そのあとは寝間着に着替えるのだろう。
アベルは朝起きたら王宮に出仕するための服に着替えて、晩御飯の前は着替えたり着替えなかったりだ。
休日に限り、きちんと夕食用に装飾の入った洋服に着替えてやってくる。
男女で着替えの頻度が違いすぎるのは何なのか。
それが貴族と言われればそれまでだが、なんとなく不公平だと感じてしまう。
お嬢様は本当に華美なドレスが苦手ですね、なんて苦笑いしながらサーニャは答えてくれる。
——だって豪華すぎて気後れするんだもの。
「旦那様のお話次第かと思われますよ。お客様と一緒に、昼食を兼ねたお茶会にするとおっしゃっていましたから。サーニャもお傍におりますからね。」
にこっと鏡越しに笑顔が見えた。
(サーニャが近くにいるのは心強いけど、所作に気を付けないとあとでお小言を言われちゃうわ……!)
普段はとっても優しいのだが、いざマナーや所作の勉強となるととっても厳しいのだ。
三つ子の魂百までというし、小さい時からしっかり身につけさせたいのだとは思う。
アシェルが恥をかかないためということは分かっていても、お上品な動作のお手本はサーニャだけだ。
兄達の綺麗な所作を参考にしすぎて、淑女らしく!と注意されたこともあった。
「さぁ、できましたよ、アシェルお嬢様。いかがですか?」
「ありがと、さーにゃ!」
「さぁ、少し早いですが、サロンに向かいましょうか。今日は食堂や応接室ではなく、サロンで軽食をいただきつつ、そのままお茶会に移行するようですから。」
さっと部屋付きの侍女達が扉を開き、サーニャはアシェルの後ろに控えた。
歩き出すアシェルの後ろを、サーニャは着いてきてくれる。
自室を出て、サーニャを引き連れたままサロンへ向かった。
サロンの扉をくぐると二人の兄はもう到着していた。
庭が見えるようになっている大きなガラス張りの窓から射しこむ陽の光に照らされた兄達は、にこっと微笑んでくれる。
装飾の入ったテーブルや椅子、天井が高く各所に意匠を凝らしたその室内に居る二人は、まるで絵画から抜け出してきたようだ。
普段より刺繍も装飾も多い衣装が、より一層絵画から抜け出した王子様のように見せていた。
「今日は一段とおめかししているね、とても可愛いよ。」
立ち上がったアレリオンが、二人が座っていた椅子の真ん中を引いてくれる。
アルフォードはアシェルの前までやってきて膝をつき、手を差し出してくれた。
「可愛いレディ、お手をどうぞ。」
アルフォードのエスコートに手を重ね、さすがに腕は組めないのでいつも通り手を引かれて椅子に座った。
アシェルが席について間もなく、アベルがメアリー母娘を連れてサロンにやってきた。
メアリーは昨日は腕の中で眠っていた、メルティーという女の子の手を引いている。
メルティーは母親そっくりなやわらかそうな亜麻色の髪の毛とぱっちり大きな瞳も母親譲りの赤茶色だが、その瞳は好奇心でキラキラと輝いている。
派手さのないピンクの可愛い、ふわふわのドレスを着ていた。
「もう揃っているね。まずは食事にしようか。」
円卓になっているため、アベルが座った隣から時計回りにメアリー、メルティーが座り。アルフォード、アシェル、アレリオンの順だ。
仕方がないとはいえメアリーの目の前の席になってしまったが、昨夜の失敗の挽回の意味も込めて一生懸命笑みを浮かべた。
全員席に着くと、すぐに食事が運ばれてくる。
食事中はアベルからもう一度名前の紹介があった程度で、それぞれ静かに食事を食べたため、メアリーの視線はさほど気にならなかった。
メアリーからの視線ではなく、好奇心いっぱいなメルティーの視線が気になったくらいだ。
というよりも、アシェルは兄達に迷惑をかけないように食事をするのに必死だし、メアリーはもっと小さいメルティーの世話を焼いているので、視線どころではなかったともいう。
メルティーの世話を焼いているとき以外は、アベルの方を見ていたような気がするし。
食事を終えると、茶菓子と紅茶が運ばれてきた。
アシェルとメルティー用にリンゴジュースも用意される。
「さて……食事も終えたし、エンディット夫人のことを話そうか。」
全員に飲み物が行き渡り、使用人たちが後ろに下がった段階で、アベルが唐突に口を開いた。
「メアリー・エンディット夫人——とは呼んでいるが、旦那様だったエンディット伯爵は半年前に亡くなっていてね。現エンディット伯爵はメアリー夫人の旦那様の弟さんが引き継いでいる。仕事の関係でメアリー夫人と知り合い、私が王都にお招きしたんだ。」
誰も口を開かない。
アベルの姿を見る視界の片隅で、メルティーだけがジュースに口をつけ笑顔だった。
まだ小さいし、たとえ話を聞いたとしてもほとんど理解できないだろう。
メアリーは目を伏せていて表情は読み取れない。
アベルの話から、メアリーが未亡人だということが分かった。
「前伯爵が亡くなってから、メアリー夫人とメルティー嬢は伯爵邸を追い出されそうになっていてね。ご実家にも戻れないとのことだった。前伯爵の病気は希少例でね。仕事で伯爵の治療内容や経過なんかを教えてもらうためにお会いしたのだけど、住むところがなくなるならと王都にお招きしたんだ。あぁ、もちろん仕事だから、経費でのお招きだからね。」
アベルから話を聞いたアレリオンが声を上げる。
「医療の発展のためにも必要な仕事だったと理解はできました。ですが、父上のお話を聞いていると、夫人をお名前で呼ばれていますし、仕事以上に親密であるように感じます。今回エンディット夫人を我が家にお招きした理由をお尋ねしても?」
「うーん、いつもは誇らしいけど、こういう時はこんなに頭が回らなくてもと思ってしまうね。」
アベルは話の核心をついたアレリオンの言葉に苦笑をもらし、言葉を続ける。
「アンの予想通り、メアリー夫人とは仕事以上に懇意にさせていただいているよ。妻にしたいと考えているんだ。もちろん、お前たちに反対されるのであれば婚姻はしない。夫人だけでなく、メルティー嬢も一緒に我が家にくることになる。義理とはいえ、急に母親と妹が一気に増えることになるんだ。お前たちの心境としては受け入れるのは難しいと思うが、できれば妻として受け入れたいと思っているし、もし婚姻に至らなかったとしても我が家で一緒に暮らせないだろうかと考えている。……それも無理であれば、申し訳ないが我が家から生活費を援助してあげたいと。」
真剣なアベルの言葉に、子供3人で顔を見合わせた。
添い遂げるか、それが無理でも生活の面倒を見ようとしているところに、相当入れ込んでいるのが解る。
メアリーはぎゅっと胸元で両手を握り顔を伏せている。まるで祈りを捧げているようだ。
「それに、言い訳になってしまうとは思うが。いつまでもお前達に家のことを任せっぱなしなのも、親としてどうかと思ってね。お前達だけではなく、ウィルやサーニャにも必要以上に世話をかけてしまっているのは分かっているんだよ。メアリー夫人が覚えるまでは大変だろうが、お前たちが公爵夫人の代わりに、毎日を犠牲にする必要はないんだ。」
「父上の意志は分かりました。私は……父上が決めたことなので反対するつもりはありませんが、私達も急に母親だと言われても受け入れるまでに、時間がかかってしまうことだけはお伝えしておきます。あとはもう少しだけ、父上とエンディット夫人からのお話をお聞きしたいです。夫人から見て、いきなり子供になる私達のことをどう思っているかが気になりますし。お返事次第ではどのように関わっていくのか変わってきますので。」
「俺もいきなり新しい母親とか言われてもとは思うけど、父上が考えて決めたことなら反対しません。あとは兄上が決めた方針に従うつもりなんで。でもメルティー嬢は父親を亡くしたばかりで、いきなり俺たちが家族になるのは大丈夫なんですか?アン兄や俺は受け入れろと言われたら受け入れられるけど。父上達がどう思っているかってことより、アシェとエンディット嬢が、新しい家族と環境を受け入れられるかのほうが問題だと思ってます。」
「あしぇは——おとーしゃまがしあわしぇなら。いもーとがふえるのはうれしーです。」
アレリオン、アルフォード、アシェルの順に考えを述べる。
母親を知らないアシェルからすれば、仲のいい家族と離れ離れにならなければ、アベルが新しいお嫁さんを貰うのは問題ない。
子供の為に父の幸せを犠牲にする必要はないのだ。
心配事は昨日のような恐ろしい視線だが、今日は特に視線が合うこともないし、気にしすぎだったのかもしれない。きっとメアリーも緊張してしまっていたのだろう。
それよりも妹が増えるかもしれないことの方が気になった。
孤児院で育った影響もあるのか、年下の子供の面倒を見るのは好きだ。
母親がいないので弟や妹はできないと思っていたので、妹が増えるのは嬉しい。
孤児院育ちなので、血縁かどうかなど些細な差でしかないのだ。
きょろきょろと周りの顔を見比べながら、お菓子を摘まんでいるその顔にはおっきな疑問符が浮かんでいるメルティーは、小動物のようで可愛かった。
大人たちの会話はよく分かっていないのだろう。
話の流れ的に恐らくメアリーは義理の母親になる。そうアベルが望み、お兄様達は反対しなかった。
ということは、この可愛い女の子は義理の妹になるのだ。
だが、メルティーが我が家は嫌だというと、アベルの再婚話は流れてしまうかもしれない。この先義理とはいえ、年下の兄妹が増えることは無いだろう。
ということは、一緒に居れば楽しいと思ってもらえるように頑張らないといけない。
ぴょんと椅子から降りて、メルティーの隣に移動する。
その大きな瞳にアシェルが映ったのを確認してから声をかけた。
「あたし、あしぇる。める……いっしょ、あしょぶ?」
握手するように手を差し出すと、その手と顔を交互に診ていたメルティーの顔が綻んだ。
「うんっ!」
椅子から降りて手をとってくれたメルティーは満面の笑顔だった。
(お母さんの方は怖かったけど、メルティーはすっごく可愛い!家族になるなら、優しいおねーさんって思ってもらえるように頑張らないと!)
メルティーの手をとったあとに、アベルの許可を得ていないことに気が付いて慌てて視線をやる。
様子を見ていたのだろう。アベルは優しく笑った。
「いいよ遊んでおいで。サーニャ、二人についてあげてくれ。」
すっとサーニャがそばに寄ってくる。
「アル。アシェとエンディット嬢と一緒に遊んであげて。」
アレリオンに促されてアルフォードも近くにやってきた。
「じゃ、庭で遊ばせてきます。失礼します。」
席を立ったアルフォードは円卓へ一礼して、アシェル達を促してテラスから庭に出た。
メイディー公爵家の庭は、応接間やサロンの近くには観賞用の花が多いが、一番の見どころは広大な薬草園だ。
勿論見目麗しい薬草もあるのだが、花が咲くと薬効が落ちてしまうような植物の場合、蕾が出来る度に蕾をむしられてしまう植物も多い。カラフルというより緑のグラデーションが美しい庭だった。
恐らく王都のタウンハウス一の広さと思われる庭の他に、いくつかの温室も建っている。
定期的に卸したりするわけではないが、緊急時にはこの庭の薬草を提供したりしている。
メイディー家の子供達が錬金——薬を作る練習をするのも、この薬草園の植物を使用していた。
その広い庭を散策しながら、お喋りしながらゆっくり歩いた。
メルティーはとにかくよく笑う子供だった。
最近は自宅で勉強しているらしく、なかなか会えない乳兄妹のイザベルを彷彿とさせる明るさだ。
アシェルと同じくまだ言葉は不自由だが、色々なことに興味津々であれは?これは?と聞いてくる。
人見知りもなく「おねーたん。」とくっついてくるメルティーに、アシェルはめろめろだった。
メアリーは少し苦手だが、こんなに可愛い義妹ができるならプラマイゼロではなく、間違いなくプラスだ。
思いの他仲良くじゃれているアシェルとメルティーを見つめる保護者二人の視線に気づかず、1時間ほどのんびり友好を深めた。
——大きくなったメルティーは、なんとなくその時のことを覚えていて「キラキラした部屋に王子様達とお姫様がいると思っていたら、庭では天使様と女神様だった。」と語っている。
アレリオンはぐずぐずと泣いているアルフォードの頭を撫でながら、あの時は本当に大変だったなぁと振り返った。
アベルへの説明や問題解決もだが、解決した後にアシェルが屈託なく笑ってくれるようになるまで。そこまでが本当に長かった。
あれ以来アレリオンもアルフォードも、人の視線に含まれた感情に敏感になってしまった。
特に嫌な感情は、いくら言葉や表情を取繕っていても瞳には如実に表れる気がする。
「大丈夫だよ。あの後、1年くらいは大変だったけど……アシェはすっかり元気だろう。今日だって僕達を拒絶しなかったじゃないか……大丈夫だよ。」
返事はないが、腕の中で弟の頭が縦に動いた。
「僕達だってあの頃より大きくなったし……まだまだ大人には敵わないけどね。でも出来ることは増えてるし、大丈夫だよ。サーニャもいるし、アシェの侍女は昔から母上に仕えてくれていた人達ばかりだ。それに知ってるかい?サーニャはベルを、いつかアシェの侍女にする気でいるよ。楽しみだね。それにあの頃と違って、僕らは嫌な目をした人に気付けるようになっただろう?昔とは違うんだ。……ほら、泣くのを止めて冷やさないと。明日腫れた目でアシェに会うのかい?」
からかうように言うと、胸の中から温もりが逃げる。
目の前にはごしごしと目をこすり、涙を止めようと頑張るアルフォードがいた。
「っ……それは、やだ……。」
「じゃあ今日はもうおやすみ。ちゃんと目元は冷やしてね。僕もそろそろ寝るから。」
アシェルにしてやったように額におやすみのキスを落とすと、慌てて下がられた。
「子供扱いすんなっ。」
キッとこちらを睨むように威嚇している弟も可愛い。
すっかり涙も止まったようだ。
「もー寝る。兄上もおやすみ。」
ぱたぱたと早足で書庫を出るアルフォードを見送ったアレリオンは、自身も寝るため書庫を出た。
(父上の話はいったい何なんだろう。夜が明けなければいいのに……。)
灯の消えた部屋の中に小さなため息だけが残された。
========
Side:アシェル3歳 冬
乳母のサーニャに起こされて、家族で朝食を終えた後。
今日は朝から綺麗に飾り付けられた。
動きやすいワンピースでも、普段日中着ている装飾の少ないドレスでもない。
昨日の夜の様に家族で夕食を取る時も、日中より綺麗なドレスに着替えるのだが、今日のドレスはそれよりほんの少しだけレースやフリルがたっぷり使われている。
晩餐会などで着るという来客用のドレスだった。
目つきのせいか、淡すぎる配色のせいか。あまり子供らしい可愛い色合いは似合わない。
かといって原色に近いハッキリとした色だと、子供らしくもないし顔つきがきつく見えすぎてしまう。
アシェルは中間色か寒色の少し落ち着いた色を好んでいた。
今日は明るい紫をベースに、ところどころの装飾に葡萄色が締め色に入っているドレスだ。
スカートのすそには葡萄の葉をモチーフにした刺繍が入っている。
この色合いはとても好きで、同じような配色のドレスは多い。
本当は瞳の色のように淡い紫色も好きなのだが、全体的にぼやけたイメージになってしまうのでドレスには使っていない。
ドレスを仕立てるときは必ずサーニャが付き添ってくれて、まだ小さいアシェルの意見もきちんと取り入れてくれるのだ。
鎖骨にかかる銀髪はハーフアップにされ、まとめた部分に宝石でキラキラ輝く飾りをつけてくれる。
「ねー、さーにゃ。」
「どうされましたか?」
「またおきがえするよね?これ、よるまでじゃないよね?」
髪の毛を整えられながら鏡越しにサーニャを見やる。
いつも1日に数回着替える。
寝間着はもちろんだが、夕飯の前には必ず着替える。
前世の記憶が少し残っているアシェルからすると無駄に感じるのだが、貴族とは何度も着替えるものらしいのだ。
アシェルの1日は大体、朝シンプルめなドレスを着て朝ご飯を食べ。
平服というには上等なワンピースに着替えて少し遊び(兄のどちらかが剣術の稽古をしていることが多いので、日向ぼっこをしながら観戦している。)、またドレスに着替えて昼食を食べ。
そのままサーニャから色々学んだり時には兄弟でお茶をして、昼間より少し豪華なドレスに着替えて夕食を食べ。
お風呂に入れてもらい寝間着に着替えて眠るのだ。
できれば1日ワンピースで過ごしたい。
サーニャ曰く、兄達とするお茶会の前にも着替えさせたいらしいのだが断固拒否している。
格式が高ければ高いほど、ご令嬢は1日に何度も着替えるんだとか。
気分は着せ替え人形だ。
貴族でも男爵や子爵であれば、朝一度着替えて。そのあとは外出や来客など特別なことがなければ、次の着替えは寝間着を着る時らしい。
すごく羨ましい。
その話を聞いたときにサーニャに直談判したが、一声で却下された。
兄様達は、朝はシャツにスラックスとベストで冬にはジャケット、稽古の時は運動服のように動きやすい服に着替えていたりするが、座学の時は着替えているようには見えない。夕食の時は少し刺繍などの装飾が入った服装に着替えていて、そのあとは寝間着に着替えるのだろう。
アベルは朝起きたら王宮に出仕するための服に着替えて、晩御飯の前は着替えたり着替えなかったりだ。
休日に限り、きちんと夕食用に装飾の入った洋服に着替えてやってくる。
男女で着替えの頻度が違いすぎるのは何なのか。
それが貴族と言われればそれまでだが、なんとなく不公平だと感じてしまう。
お嬢様は本当に華美なドレスが苦手ですね、なんて苦笑いしながらサーニャは答えてくれる。
——だって豪華すぎて気後れするんだもの。
「旦那様のお話次第かと思われますよ。お客様と一緒に、昼食を兼ねたお茶会にするとおっしゃっていましたから。サーニャもお傍におりますからね。」
にこっと鏡越しに笑顔が見えた。
(サーニャが近くにいるのは心強いけど、所作に気を付けないとあとでお小言を言われちゃうわ……!)
普段はとっても優しいのだが、いざマナーや所作の勉強となるととっても厳しいのだ。
三つ子の魂百までというし、小さい時からしっかり身につけさせたいのだとは思う。
アシェルが恥をかかないためということは分かっていても、お上品な動作のお手本はサーニャだけだ。
兄達の綺麗な所作を参考にしすぎて、淑女らしく!と注意されたこともあった。
「さぁ、できましたよ、アシェルお嬢様。いかがですか?」
「ありがと、さーにゃ!」
「さぁ、少し早いですが、サロンに向かいましょうか。今日は食堂や応接室ではなく、サロンで軽食をいただきつつ、そのままお茶会に移行するようですから。」
さっと部屋付きの侍女達が扉を開き、サーニャはアシェルの後ろに控えた。
歩き出すアシェルの後ろを、サーニャは着いてきてくれる。
自室を出て、サーニャを引き連れたままサロンへ向かった。
サロンの扉をくぐると二人の兄はもう到着していた。
庭が見えるようになっている大きなガラス張りの窓から射しこむ陽の光に照らされた兄達は、にこっと微笑んでくれる。
装飾の入ったテーブルや椅子、天井が高く各所に意匠を凝らしたその室内に居る二人は、まるで絵画から抜け出してきたようだ。
普段より刺繍も装飾も多い衣装が、より一層絵画から抜け出した王子様のように見せていた。
「今日は一段とおめかししているね、とても可愛いよ。」
立ち上がったアレリオンが、二人が座っていた椅子の真ん中を引いてくれる。
アルフォードはアシェルの前までやってきて膝をつき、手を差し出してくれた。
「可愛いレディ、お手をどうぞ。」
アルフォードのエスコートに手を重ね、さすがに腕は組めないのでいつも通り手を引かれて椅子に座った。
アシェルが席について間もなく、アベルがメアリー母娘を連れてサロンにやってきた。
メアリーは昨日は腕の中で眠っていた、メルティーという女の子の手を引いている。
メルティーは母親そっくりなやわらかそうな亜麻色の髪の毛とぱっちり大きな瞳も母親譲りの赤茶色だが、その瞳は好奇心でキラキラと輝いている。
派手さのないピンクの可愛い、ふわふわのドレスを着ていた。
「もう揃っているね。まずは食事にしようか。」
円卓になっているため、アベルが座った隣から時計回りにメアリー、メルティーが座り。アルフォード、アシェル、アレリオンの順だ。
仕方がないとはいえメアリーの目の前の席になってしまったが、昨夜の失敗の挽回の意味も込めて一生懸命笑みを浮かべた。
全員席に着くと、すぐに食事が運ばれてくる。
食事中はアベルからもう一度名前の紹介があった程度で、それぞれ静かに食事を食べたため、メアリーの視線はさほど気にならなかった。
メアリーからの視線ではなく、好奇心いっぱいなメルティーの視線が気になったくらいだ。
というよりも、アシェルは兄達に迷惑をかけないように食事をするのに必死だし、メアリーはもっと小さいメルティーの世話を焼いているので、視線どころではなかったともいう。
メルティーの世話を焼いているとき以外は、アベルの方を見ていたような気がするし。
食事を終えると、茶菓子と紅茶が運ばれてきた。
アシェルとメルティー用にリンゴジュースも用意される。
「さて……食事も終えたし、エンディット夫人のことを話そうか。」
全員に飲み物が行き渡り、使用人たちが後ろに下がった段階で、アベルが唐突に口を開いた。
「メアリー・エンディット夫人——とは呼んでいるが、旦那様だったエンディット伯爵は半年前に亡くなっていてね。現エンディット伯爵はメアリー夫人の旦那様の弟さんが引き継いでいる。仕事の関係でメアリー夫人と知り合い、私が王都にお招きしたんだ。」
誰も口を開かない。
アベルの姿を見る視界の片隅で、メルティーだけがジュースに口をつけ笑顔だった。
まだ小さいし、たとえ話を聞いたとしてもほとんど理解できないだろう。
メアリーは目を伏せていて表情は読み取れない。
アベルの話から、メアリーが未亡人だということが分かった。
「前伯爵が亡くなってから、メアリー夫人とメルティー嬢は伯爵邸を追い出されそうになっていてね。ご実家にも戻れないとのことだった。前伯爵の病気は希少例でね。仕事で伯爵の治療内容や経過なんかを教えてもらうためにお会いしたのだけど、住むところがなくなるならと王都にお招きしたんだ。あぁ、もちろん仕事だから、経費でのお招きだからね。」
アベルから話を聞いたアレリオンが声を上げる。
「医療の発展のためにも必要な仕事だったと理解はできました。ですが、父上のお話を聞いていると、夫人をお名前で呼ばれていますし、仕事以上に親密であるように感じます。今回エンディット夫人を我が家にお招きした理由をお尋ねしても?」
「うーん、いつもは誇らしいけど、こういう時はこんなに頭が回らなくてもと思ってしまうね。」
アベルは話の核心をついたアレリオンの言葉に苦笑をもらし、言葉を続ける。
「アンの予想通り、メアリー夫人とは仕事以上に懇意にさせていただいているよ。妻にしたいと考えているんだ。もちろん、お前たちに反対されるのであれば婚姻はしない。夫人だけでなく、メルティー嬢も一緒に我が家にくることになる。義理とはいえ、急に母親と妹が一気に増えることになるんだ。お前たちの心境としては受け入れるのは難しいと思うが、できれば妻として受け入れたいと思っているし、もし婚姻に至らなかったとしても我が家で一緒に暮らせないだろうかと考えている。……それも無理であれば、申し訳ないが我が家から生活費を援助してあげたいと。」
真剣なアベルの言葉に、子供3人で顔を見合わせた。
添い遂げるか、それが無理でも生活の面倒を見ようとしているところに、相当入れ込んでいるのが解る。
メアリーはぎゅっと胸元で両手を握り顔を伏せている。まるで祈りを捧げているようだ。
「それに、言い訳になってしまうとは思うが。いつまでもお前達に家のことを任せっぱなしなのも、親としてどうかと思ってね。お前達だけではなく、ウィルやサーニャにも必要以上に世話をかけてしまっているのは分かっているんだよ。メアリー夫人が覚えるまでは大変だろうが、お前たちが公爵夫人の代わりに、毎日を犠牲にする必要はないんだ。」
「父上の意志は分かりました。私は……父上が決めたことなので反対するつもりはありませんが、私達も急に母親だと言われても受け入れるまでに、時間がかかってしまうことだけはお伝えしておきます。あとはもう少しだけ、父上とエンディット夫人からのお話をお聞きしたいです。夫人から見て、いきなり子供になる私達のことをどう思っているかが気になりますし。お返事次第ではどのように関わっていくのか変わってきますので。」
「俺もいきなり新しい母親とか言われてもとは思うけど、父上が考えて決めたことなら反対しません。あとは兄上が決めた方針に従うつもりなんで。でもメルティー嬢は父親を亡くしたばかりで、いきなり俺たちが家族になるのは大丈夫なんですか?アン兄や俺は受け入れろと言われたら受け入れられるけど。父上達がどう思っているかってことより、アシェとエンディット嬢が、新しい家族と環境を受け入れられるかのほうが問題だと思ってます。」
「あしぇは——おとーしゃまがしあわしぇなら。いもーとがふえるのはうれしーです。」
アレリオン、アルフォード、アシェルの順に考えを述べる。
母親を知らないアシェルからすれば、仲のいい家族と離れ離れにならなければ、アベルが新しいお嫁さんを貰うのは問題ない。
子供の為に父の幸せを犠牲にする必要はないのだ。
心配事は昨日のような恐ろしい視線だが、今日は特に視線が合うこともないし、気にしすぎだったのかもしれない。きっとメアリーも緊張してしまっていたのだろう。
それよりも妹が増えるかもしれないことの方が気になった。
孤児院で育った影響もあるのか、年下の子供の面倒を見るのは好きだ。
母親がいないので弟や妹はできないと思っていたので、妹が増えるのは嬉しい。
孤児院育ちなので、血縁かどうかなど些細な差でしかないのだ。
きょろきょろと周りの顔を見比べながら、お菓子を摘まんでいるその顔にはおっきな疑問符が浮かんでいるメルティーは、小動物のようで可愛かった。
大人たちの会話はよく分かっていないのだろう。
話の流れ的に恐らくメアリーは義理の母親になる。そうアベルが望み、お兄様達は反対しなかった。
ということは、この可愛い女の子は義理の妹になるのだ。
だが、メルティーが我が家は嫌だというと、アベルの再婚話は流れてしまうかもしれない。この先義理とはいえ、年下の兄妹が増えることは無いだろう。
ということは、一緒に居れば楽しいと思ってもらえるように頑張らないといけない。
ぴょんと椅子から降りて、メルティーの隣に移動する。
その大きな瞳にアシェルが映ったのを確認してから声をかけた。
「あたし、あしぇる。める……いっしょ、あしょぶ?」
握手するように手を差し出すと、その手と顔を交互に診ていたメルティーの顔が綻んだ。
「うんっ!」
椅子から降りて手をとってくれたメルティーは満面の笑顔だった。
(お母さんの方は怖かったけど、メルティーはすっごく可愛い!家族になるなら、優しいおねーさんって思ってもらえるように頑張らないと!)
メルティーの手をとったあとに、アベルの許可を得ていないことに気が付いて慌てて視線をやる。
様子を見ていたのだろう。アベルは優しく笑った。
「いいよ遊んでおいで。サーニャ、二人についてあげてくれ。」
すっとサーニャがそばに寄ってくる。
「アル。アシェとエンディット嬢と一緒に遊んであげて。」
アレリオンに促されてアルフォードも近くにやってきた。
「じゃ、庭で遊ばせてきます。失礼します。」
席を立ったアルフォードは円卓へ一礼して、アシェル達を促してテラスから庭に出た。
メイディー公爵家の庭は、応接間やサロンの近くには観賞用の花が多いが、一番の見どころは広大な薬草園だ。
勿論見目麗しい薬草もあるのだが、花が咲くと薬効が落ちてしまうような植物の場合、蕾が出来る度に蕾をむしられてしまう植物も多い。カラフルというより緑のグラデーションが美しい庭だった。
恐らく王都のタウンハウス一の広さと思われる庭の他に、いくつかの温室も建っている。
定期的に卸したりするわけではないが、緊急時にはこの庭の薬草を提供したりしている。
メイディー家の子供達が錬金——薬を作る練習をするのも、この薬草園の植物を使用していた。
その広い庭を散策しながら、お喋りしながらゆっくり歩いた。
メルティーはとにかくよく笑う子供だった。
最近は自宅で勉強しているらしく、なかなか会えない乳兄妹のイザベルを彷彿とさせる明るさだ。
アシェルと同じくまだ言葉は不自由だが、色々なことに興味津々であれは?これは?と聞いてくる。
人見知りもなく「おねーたん。」とくっついてくるメルティーに、アシェルはめろめろだった。
メアリーは少し苦手だが、こんなに可愛い義妹ができるならプラマイゼロではなく、間違いなくプラスだ。
思いの他仲良くじゃれているアシェルとメルティーを見つめる保護者二人の視線に気づかず、1時間ほどのんびり友好を深めた。
——大きくなったメルティーは、なんとなくその時のことを覚えていて「キラキラした部屋に王子様達とお姫様がいると思っていたら、庭では天使様と女神様だった。」と語っている。
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