氷の王子様と微笑みの男装令嬢

芯夜

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第二章 王立学院中等部一年生

45 王立学院入学初日②

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Side:アシェル12歳 春



学生寮は王立学院の敷地、校舎と時計台に挟まれる形で東側に4棟建っている。

I字型の寮が西側に、L字型の寮が東側にあり、校舎から時計塔に向かって伸びる道を挟んで北側2棟は女子寮、南側2棟が男子寮となっている。全て5階建てだ。

I字型の寮は使用人を連れてきていない下級貴族向け、L字型の寮は部屋数や間取りが多く高位貴族向けの寮になっている。

一応男女で分けられているが、高位貴族向けの寮は部屋数や間取りの兼ね合いもあり、時と場合によっては男女混ざることもあるようだ。大体女子寮、大体男子寮、といった具合になっている。

部屋番号と間取りは事前に連絡があり、入学前に家具などは運び込みが終了していた。
男子寮はI字型の3号棟とL字型の4号棟だが、幼馴染達は全員が4号棟だった。

「リリィも4なのー?」

「加護の都合で僕と同室なんだよ。」

「あーなるほどー。」

マリクの質問にデュークが答えたところで、4号棟の玄関ホールに辿り着く。

1階には寮生用の食堂と部屋がいくつかあるようだが、そのまま階段横のエレベーターに乗り込み4階を目指す。

「まずは俺だな。」

一番手のエラートの部屋は、4階の階段やエレベーターからほど近い部屋だ。

411号室と書かれた部屋の鍵を開けたエラートと、開けた先には一人の侍従の姿。

「お帰りなさいませ。お客様のご案内をしましょうか?」

「いや。軽く部屋を見た後また出るからいいよ。それより、選択授業のアンケート来てないか?アンケートと筆記具だけ用意しといてくれ。」

「かしこまりました。」

侍従はペコリとアシェル達にも礼をして、すぐそこの扉に消えていく。

「この部屋が応接間、んで、あっちの扉がキッチン。奥にトイレ、風呂、使用人室。向かいに書斎と空き部屋があって、一番奥が寝室だな。」

どこも広さが違うくらいで作りは変わらないだろ?というエラートの言葉に、アシェルは頭を悩ませる。

(うちに来た間取り図ってんだけど。侯爵家とそんなに差がある……?)

そんな疑問を発する間もないまま、主人に言われた物の用意を終えた侍従が戻ってきた。

『ストレージ』に受け取ったものを仕舞ったエラートと共に、次の部屋へ向かう。

「あんがとな。いつ帰るか分かんないし、ゆっくりしててくれ。」

「行ってらっしゃいませ。」

エラートの侍従に見送られながら、次は5階を目指し階段を上った。



「番号が若い順から行く?僕が505でトワが506だよ。」

「俺は508だねー。」

「僕は512。」

「俺は511だ。」

「わたくし達は513ですわ。」

ノアールとエトワールの部屋は廊下の一番奥から二つ。

マリクの部屋はノアールの部屋の目の前だった。

それぞれ部屋に入り、使用人からアンケート用紙と筆記用具を貰って戻ってくる。

マリクの部屋を覗かせてもらったが、エラートの部屋より一回り広かった。しかしやたらめったら広いということはない。

それぞれアンケートを手に廊下に揃ったところで、アシェルは懸念点を先に話すことにする。

「ねぇ。僕のところに来た部屋の間取り、どうみてもマリクの部屋より二回りくらいでかいんだけど。しかも、この廊下に番号がないってことは、の先なんでしょ?」

アシェルが指さした先には、よくオートロック付きマンションで見る操作パネルのようなものと閉ざされた扉がある。

「悪いな。」

「なんでデュークが謝るの?え、これ何か特殊な状況に巻き込まれてる……?」

「特殊な状況であることに違いはないが、まぁ、夜にでも説明するよ。」

「とりあえず行くぞ。」




アークエイドが手持ちの鍵を機械に認証させれば、静かに自動ドアが開いた。

「うわぁ。ここだけセキュリティーばっちりだね。」

思わず呟くが、ますますこの先の部屋を割り当てられた理由が分からない。

長い廊下にあるのは6つの扉。
アークエイドとアシェルの部屋が隣り合っていて、リリアーデとデュークの部屋はアシェルの部屋の向かい側で廊下の突き当りの部屋だ。

それぞれ自分の部屋を開けに行くので、アシェルも512号室の鍵を開ける。

「ベルはまだいないみたいだから、皆僕の部屋にどうぞ。アークと、リリィとデュークも僕の部屋に来てー。」

余計な気遣いをしない方がいいだろうと、残る4人を自室へ招き入れる。
少し声を張り上げて廊下に向かって言えば了承の声が返ってきた。

「なんていうか。無駄に広くね?」

「応接間っていうか、ちょっとしたホームパーティー開けそうじゃないか?」

「見てみてー。ここ、真ん中を壁で仕切れるみたいだよー凄いねー。」

「あぁ、だから奥の部屋に続く扉が両開きなのか。よくできてるね。」

4人がそれぞれの感想を述べながら広すぎる応接間を見て回る。
広さ的にはエラートの部屋の応接間の倍以上、マリクの部屋の応接間の倍に若干劣るか同じくらいという感じだ。

「お茶用意してくるから座ってて。ここ広いから、応接セットも二つ持ってくるか迷ったんだけど、とりあえず皆が座れたらいいかなって思ってさ。大き目のワンセットにしたんだよね。」

4人に着席を促し「三人が来たらよろしく。」とだけ言い残して、応接間に隣接されたキッチンに入る。

キッチンはファミリー用のシステムキッチンよりも立派なものが入っており、大きな冷蔵庫まで置いてある。
一通り調理器具や茶器の類は持ち込んでいるが、料理人は連れてきていないので宝の持ち腐れとなる部屋だ。
イザベルに見つからないように、勝手にご飯を作って食べてもいいかもしれない。

沢山ある棚を物色し、目当ての茶道具一式と茶葉、焼き菓子とそれを乗せる皿を見つけた。
大き目の魔道ポットに水を満たして魔力を通し、それらをワゴンに乗せて応接間に戻る。

「あ、皆揃ったね。お湯が沸けるまでちょっと待っててもらえる?その間にアンケート用紙探してくるよ。」

アシェルはワゴンを応接セットの近くに置き、両開きの扉の奥へ進む。

左右にトイレとお風呂が二つずつある。
この時点で一人暮らしを想定されたものではないと思われる部屋だ。

廊下はT字になっていて突き当りには寝室があるのだが、その寝室には衣裳部屋が二つ付いている。

廊下を右に曲がれば使用人室があり、突き当りの両サイドは書斎になっている。

先に使用人室の隣の部屋を開けるが、そこにはアシェルの実験器具が並べられていた。
学院生活をするにあたって、部屋数があるからと丸っと持ってきたのだ。

寝室の隣の部屋の扉を開けると、そこに教科書などが並べられた本棚があった。
書き物机の上にアンケート用紙と、カリキュラムについての冊子があったためそれを手に取る。
万年筆も用意されていた。

(これは……絶対ベルは一旦この部屋に寄ったね。)

間違いなくイザベルが用意してくれたであろうことに感謝しながら、アシェルは応接間に戻った。

アシェルの席は当たり前のようにアークエイドの隣だ。

「お待たせ。お茶も淹れてくれたんだね、ありがとう。」

「これくらいならできるからね。さぁ、アンケート用紙埋めちゃいましょ?」

それぞれ冊子をぱらぱらとめくっていく。

必修科目は週に3コマあるようで、選択科目と被らない場所で1コマ取らないといけないようだ。

6年間で必修科目の単位、選択科目の単位を合わせて一定以上あればいいので、ぎっちり予定を詰めるも、ゆとりある予定にするも自由だ。
学内順位は必修科目のテストの点数で決まる。

「んーやっぱり薬草学や錬金は選択科目だよね。」

「むしろ、それ必修に入れられたら困るよ。」

「ノアでもそう思うんだ。ってことは俺とかさらに無理な奴じゃん。」

「イザベルだっけ?アシェの侍女は、この使用人コースの講義受けるの?」

「うん。その中から一通り受けれるものは受けるって。」

アシェルとアスノームの双子で話す。

アシェル達には縁のない話だが、貴族は行儀見習いとして王宮や高位貴族の家で使用人になる、という就職を希望する者は多い。
使用人と一口に言っても、部屋付きになる侍女や侍従から、洗濯や掃除などの雑用をする使用人、さらに大きいくくりでみれば庭師や料理人達もそれにあたる。

満遍なく講義を受けると言っていたイザベルは、一体何を目指しているんだろうか、と思ってしまわなくもない。

エラートとシルコットの双子は必修科目を見ているようだ。

「やっぱりダンスは必修か、苦手なんだよなぁ。」

「エトは背が高いから、相手のご令嬢を選びそうだな。」

「そうね。あんまり背丈に差があると、すっごく首痛くなるのよねぇ。」

「小柄な令嬢だと振り回すみたいになっちまうんだよな。すっげぇ気ぃ使う。」

「リリィと練習したらどうだ?女性平均くらいはあるから、エトでも組みやすいんじゃないか?」

「それもありかもな。」

そしてマリクとアークエイドは実技の内容を検討しているらしい。

「魔法学基礎って必修なのー?苦手な人とかどーするんだろうねー。」

「基礎は生活魔法レベルだそうだ。ある程度使えるならスキップできるみたいだぞ。逆に剣術や体術系は選択だな。」

「見てみてー。魔法学中級の生徒と武術系で成績のいい生徒は、魔の森での実地訓練もやるんだって!」

「それは楽しみだな。」

魔法学の授業は、最初の一か月間の授業で定められた基準を満たしていれば修了扱いになり、次の段階の講義を受けることができる。
上位の講義は同じコマなのでスケジュールの調整も必要ない。

それぞれの好みや、今後の進路などで一年のうちに何を取るのか決めていく。
可能な限り一人きりにならないようにスケジュールを決めていくが、錬金はアシェル一人になってしまった。
こればかりは仕方ないが、薬草学が一人にならなかったのはアークエイドが一緒に受講するからだ。

「アークも薬草学受けるんだね。」

「あぁ。知らないよりは知ってた方がいいしな。」

「器用だし魔法の扱いも上手いんだから、錬金の授業も取ればいいのに。」

取得単位が少ないのは問題だが、多い分には問題ない。
アシェルが冗談めかして言うと、アークエイドは少し悩んでいるようだった。

「アシェの錬金を見てると、次元が違いすぎてな。」

「器具なしじゃ想像しにくい?何なら一回やってみる?道具は一式持ってきてるし、錬金なら僕が教えて上げれるよ。」

「……。逆にアシェにとって授業は退屈になるんじゃないか?」

「そんなことないよ。一般的なことを知ってるかって言われたら怪しいかもだし。これを機にしっかり復習しようかなって。」

あくまでもアシェルの錬金は独学なのだ。
器具なしの錬金も感覚によるところが大きく、きっちり勉学として学ぶべきだろう。

「なになに、アシェが錬金術披露してくれるの?みたいわ!」

耳聡く聞きつけたリリアーデとそれに乗り気な幼馴染達を、アシェルは実験器具を置いた部屋に案内した。



「割れやすい物も多いから、触らないようにしてね。」

普段邸で使っていたように並べられ、収納されている器具を確認しながら注意を促す。
基本的にガラス製の物が多く割れ物注意だ。

「さて……何作ろうか?」

「前はマナポーションだったわよね。」

「うん、リリィにあげたやつはそうだね。」

「そもそも俺ら、アシェの錬金みたことなんだよな。」

エトワールの言葉に、そういえばアスノーム兄弟には見せたことがなかったなと思う。

「じゃあ一般的な錬金と、メイディー家ならではの僕が普段してるのと、どっちもやろうか。」

『ストレージ』からマナポーション二本分の材料と薬瓶を取り出し、それぞれ半分ずつ左右に分けて置いた。
試験管の形をした薬瓶はスタンドに立てておく。

「左が通常、右が器具なしでやるから見ててね。」

アシェルがそういうと、それぞれ見やすい場所を探して立ち位置を変えた。

「まずはフラスコの中に水を入れてマナリア草以外の薬草を入れて沸騰させる。水道の水でももちろん良いよ。」

左側は丸底のフラスコを加熱用の台にセットし『水』を満たす。マナリア草だけを取り除いた薬草達をフラスコに投入し、アルコールランプに『火』を点ける。

小さなボウルに『氷』『水』を作り、ビーカーの下にアルコールランプをセットしたものとマドラー、ろ過機の下に薬瓶をセットする。

「これはあとで薬液を冷やすために使う。ビーカーはそのあと煮詰めるために。ろ過機は最後に不純物を取り除くため、布巾は火傷しないようにだね。」

厚手の布巾を手元に置いたら、シート状のまな板の上でダガーを使いマナリア草だけを細かく刻む。
そして『乾燥』させる。

「他の薬草はそのまま入れるんだけど、マナリア草だけは乾燥させるんだ。これは魔法で乾燥させてもいいし、自然乾燥でもいいけど、魔法使った方が劣化が少ないかな。」

そうして説明しながら準備をする間に、フラスコの中のお湯がポコポコと泡を立てて沸騰したことを知らせる。

「よし、じゃあ同時進行で行くよ。まずは右で『水球』を作って中に薬草を入れる。で、『加熱』して沸騰させる。これで左のフラスコと同じ状態だね。」

アシェルの右手の上に水球ができ、薬草を投入された水球もぽこぽこと泡を吐き始めた。

「で、右にもマナリア草を入れないといけないから風魔法で『みじん切り』にして『回転する気流』の中で『乾燥』させる。気流を産むのは効率よく乾燥させるためだから、別に乾燥だけでもいいよ。」

左手の上では、風魔法で出来た玉の中で細かくなったマナリア草が舞っている。

「で、まずは薬液を冷やす。」

布巾を取り、フラスコを氷水の中に浸けた。
ガラスが割れそうなものだが、特殊な素材なのか急冷しても割れることはない。アルコールランプの火は消しておく。
右手の水球は『冷気』で包み、温度を下げていく。

「ぬるま湯……人肌くらいだね。そこまで下げたら冷やすのを止めてマナリア草を入れる。」

そう言って左手の中身を右手の水球へと投入する。
左側のフラスコの中に温度計を入れ、38度を下回ったところで引き上げ、ビーカーの中へまな板の上のマナリア草を入れた。そしてビーカーの下のアルコールランプに『火』をつける。

「左の方はこのままかき混ぜながら煮詰めていくよ。右の方は『水流でかき混ぜ』ながら『圧縮』して余分な水分を抜いて、薬液の濃度を上げていく。で、土魔法を使って『ろ過機』を作って、それを通しながら薬瓶に移せば完成。」

体積を小さくした右手の水球を、左手で作った漏斗状のろ過機を通して薬瓶に詰める。

薄青色のマナポーションの完成だ。

おぉーと歓声が上がる中、ビーカーの中身をかき混ぜる。

「今出来上がったくらいの色味が一番効果のいいマナポーションの色だよ。煮詰めていくと青味が増していくからね。向こうが透けないくらい青いポーションは不味いし、逆に効き目悪いから煮詰めすぎには注意かな。」

ビーカーの中はまだ青が薄すぎる。

「土魔法のろ過機は上から下に向かって、大きい砂利から細かい砂みたいな感じにして通してあるよ。これは実際のろ過機を見て構造を理解してから作ったほうがいいね。」

「そもそも真似しようと思っても無理だからな?」

アシェルの言葉へ冷静にアークエイドの突っ込みが入る。

「えー皆なら魔力量しっかりあるし、頑張ったらいけるかもだよ?」

「魔力操作の訓練をどれだけやればできるんだろうな。」

「んー3年くらい?それくらいで器具なしで創薬出来るようになったけどな。」

「一緒にするな。」

「練習してみなよ、出来る様になったら手軽に作れて楽しいよ?あ、ビーカーの方はもういい具合だね。これくらいで引き上げると、このあとろ過して冷めるまででいい感じになるんだよね。」

魔法だけで仕上げたマナポーションよりもほんのり淡い色合いの液体を、セットしておいたろ過機に通す。

「あとはぽたぽた垂れてきて完成だよ。実演はこんな感じ。」

どうだった?とにこやかなアシェルに対して、驚きと感動を示すアスノームとシルコットの双子達にエラート。アークエイドとマリクだけが「どうも何も。」と呟いている。

「もうできてるのと、さっきのビーカーのやつー。色の違いわかんないよー。」

「俺もだ。」

「大丈夫、慣れたらココだ!って分かるようになるから。」

アシェルも感覚を掴むまでに何度も試行錯誤したものだ。

「まぁ、完成のタイミングだけは分からなかったが、こうやって見ているとできそうな気はするな。」

「でしょ!せっかくなら一緒に錬金の講義受けようよ。」

「そうする。」

「やったぁ、ありがとう、アーク。」

一緒に同じ授業を受けてくれることが嬉しくて微笑みかけると、アークエイドも微笑み返してくれた。

こうして錬金の実演会を交えたカリキュラム決定は無事終わり、皆それぞれの部屋へ戻っていった。
戻る前に、双子達には王都組最後のお茶会でいただいた入学祝を渡しておいた。
沢山ある消耗品達を、是非学業に役立ててほしいと思う。

最後までデュークだけが残り、そっと耳打ちしてくる。

「アシェがこの部屋な理由だが。空きがあることもだが、リリィの相手として上位だからだ。俺とリリィが同室なのも、潜在消費を起こしてしまった時のことを考慮されている。」

「つまり、リリィの対応をデュークがどうにかできない時に、僕も頑張れってことだね?」

「そういうことだ。これは学院側で決定したらしい。それと個人的な理由を言えば、男ばかりの寮だから、アシェはココの方が安心じゃないか?王族や寮の性別分けとは違う人間でも安心できるように、セキュリティの厳しいエリアになってるからな。」

「あんまり気にしてなかったけど、そういう見方もあるのか。大浴場とかじゃないし、あまり気にしてなかったや。」

さすがにお風呂が共用だったら危なかったよね、とアシェルは笑うが、デュークは呆れた表情をしている。

「貴族で大浴場はありえないからな。リリィもそうだが、もう少し男女の関係に危機感を持ってくれ。」

「心配してくれてありがとう。でもアル兄様と違って、僕女顔じゃないし。あ、男装解いてくつろいでるときは気を付けるようにするよ、ありがとう。」

絶妙に意味が伝わってないとデュークは感じながら、リリアーデに近い価値観のアシェルにこれ以上言っても無駄だと諦めることにした。

「そうしてくれ。じゃあ、お邪魔しました。」

「ん、じゃあまた明日ね。」

デュークを見送って、実験室の片づけをしているとイザベルが入ってくる。

まだ片付けていなかった茶器達を見られて「やはり私もここに住みます!」と息まいていたイザベルをなんとか宥めて、夜は1号棟の割り当てられた部屋に帰るように約束させたのだった。
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