氷の王子様と微笑みの男装令嬢

芯夜

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第三章 王立学院中等部二年生

119 三の森二日目②

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Side:アシェル13歳 春



二日目の野営ポイントである、三の森の中央付近に到着する。

トーマが野営の準備をしている間に、アシェル達はギルドからの依頼を達成できているかの確認作業をする。
今回の討伐依頼は連名で受けているので、どちらが倒したとかは気にしなくて良い。

討伐証明部位はまとめてマリクに預けたので、マリクが『ストレージ』から討伐証明部位を取り出した。
その傍ら、アシェルは依頼分の植物素材を確認する。

「植物素材の採取依頼は、今のエリアまでの分はちゃんと集まってるよ。」

「討伐証明部位は、ベアがあと一体だな。まぁ、明日の移動中に会うんじゃないか?」

ガルドが控えていたクエスト内容と照らし合わせて答えてくれる。

「じゃあ、クエストは大丈夫そうだね。ごめん、エト、マリク、アーク。暫く周囲を警戒しておいてくれる?結界張るのに少し時間が欲しいんだ。」

「今日はすぐ張らないんだな。分かった。っていっても、俺は上手く探査魔法サーチ使えねぇから、目視確認だけどな。」

「十分でしょ。任せた。」

冗談交じりに返答したエラートに返事をして、アシェルは『ストレージ』から羊皮紙を取り出して術式を刻む。
組み上げる術式の構想は既に決まっているので、書き写すだけだ。

「よし。こんなものかな。」

しっかりと書き上げた術式を見直し、間違いなくアシェルの期待する効果が得られるかを確認する。

「アーニャ、トーマ、ちょっと来てもらえる?」

アシェルが魔法を指導している二人を呼べば、すぐにやってくる。

「今から結界をアーニャに張ってもらおうと思うんだけど。トーマ、ゴブリンのクズ魔石を四つ出してもらえる?」

「はい。」

トーマはささっと『ストレージ』から小ぶりな魔石を四つ取り出した。

「アーニャは、このスクロールの四隅のマークを地面に書いて、普段アーニャ達が張る結界の範囲だけ囲んでくれる?上にはこの魔石を置いてね。」

「私達の普段の範囲ですね?分かりました。」

アシェルからスクロールを受け取ったアーニャが、テントや飲食スペースだけを囲んで四隅にマークを記し、魔石を置いて戻ってくる。

「出来ました。」

「じゃあそのスクロールを中央付近に置いて、ストレージの10倍の魔力を通して欲しいんだけど……先に練習する?」

アーニャは割と魔力の調整が上手なほうだ。
基準さえあれば、倍率を伝えるだけでその魔力を使うことが出来る。

「10倍ですね、大丈夫です。いきますね。」

深呼吸を一つして、アーニャがスクロールに魔力を通す。

テント付近の空気が澄んだものに変わった。

「……うん、大丈夫そうだね。アーニャ、魔力の残量は大丈夫そう?身体に不調はない?」

「はい、大丈夫です。」

「じゃあ、【朱の渡り鳥】用に結界スクロールを作ってあげるよ。使い捨てじゃない、昨日の粘土板みたいなやつ。割れやすいから、予備で使い捨てのスクロールをストレージに入れておいてね。効果としては、ホーンラビット程度の魔物は入れなくなる結界と気配遮断ステルスで匂いや気配を消してるのは、市販のスクロールと一緒。そこに弱めの認識阻害インビジが入ってて、これはそこに誰かいるとか、何があるとか分かってるなら問題なく見えるけど、何も知らない人だと気付きにくくなるって感じに調整してあるよ。あとは防音サイレスをつけてて、大声で叫ぶと結界の外まで漏れるけど、普通に会話する程度なら周囲には聞こえないから。籠められる魔力量は、最大でもアーニャの魔力の半分までにしてあるから、全快の時に沢山魔力を籠めようとしても枯渇するほどは使えないからね。魔石はクズ魔石で十分だし、今囲んだ倍くらいの面積までなら、さっきと同じ10倍の魔力量で結界を張れるよ。もっと広くしたい場合だけ魔力量を増やしてね。長々と説明したけど、質問はある?」

結界についてしっかり細部まで説明したアシェルは、先程から土魔法で創り出した『粘土』を捏ねている最中だ。
この粘土を成形して、術式を刻んで焼成すれば、持ち運びのしやすい風で飛んでいかないスクロールの出来上がりだ。

割れやすいことだけが本当に残念だが、これに衝撃緩和などの術式を刻むと、電池代わりの魔石を組み込まなくてはいけなくなる。
ストレージが使えるのならそこにいれておけばいいだけなので、割れやすさについては目を瞑ることにしている。

「贅沢すぎます……あ、効果時間とかはどんな感じですか?野営終了時間に合わせて結界を張らないといけないので。」

「あぁ、それなら心配しなくて良いよ。半日は余裕で持つからね。今日は魔力の訓練で解除キャンセルっていう、かなり汎用性の高い魔法を教えるから。それをスクロールに使って結界を解除して、スクロールをストレージに仕舞えば大丈夫だよ。」

「そのスクロールはダンジョンでも使えますか?魔の森に討伐に来ることもあれば、ダンジョンに潜ることもあるのですが。」

「うん、場所は選ばず使えるから。防音サイレスは森での野営より、ダンジョン攻略を視野に入れて組み込んでいるよ。質問と、あと何か追加してほしい機能とかある?」

二人がぶんぶんと首を横に振る。

「じゃあ僕は【朱の渡り鳥】に渡すスクロールを作り上げちゃうから。トーマ、時間取ってごめんね。アーニャ、悪いんだけどエト呼んで貰える?」

「わかりました。」

エラートを呼んで貰う間に、捏ねた粘土を表面が滑らかで厚みのある正方形に整える。

浮かせたままの粘土に、今回専用に用意した、陶芸などに使われる釉薬を詰めたペンを使って、ペン先で刻んだ溝に魔力を通した釉薬を流し込んでいく。

途中でエラートがやってきたので、『ストレージ』から出した結界の粘土板を手渡す。

「はい、今日の結界。昨日のより弱い奴だからよろしく。」

「りょーかい。また新しい術式組んでるのか?」

「新しいっていうか、僕らの結界の劣化版かな。【朱の渡り鳥】にプレゼントしようと思って。」

「なるほどな。ま、結界張ってくるわ。」

「お願いね。」

丁寧に粘土板を削りながら、魔力入りの釉薬を流す作業を繰り返す。
それを組んだ術式分書き込んで、全体の最終チェックをする。

空気が変わったので、エラートが結界を張ったようだ。

「よし。『綺麗に焼けてね』。」

宙に浮かせた粘土板から距離を取り、焼成作業に入る。

千度を超える温度で焼き上げ、ゆっくりと温度を下げていく。

本当の陶芸だともっと色々注意することがあるのかもしれないが、しっかり焼けて硬くなって、釉薬が術式を描けていて、割れなければ良いのだ。

焼き上げた粘土板の術式と、ひびがないかの最終チェックを行う。

「よし、完成。アーニャ、これは割れやすいから、使う時以外はストレージに入れておいて。いい、ストレージの10倍だからね。術式の裏面に10って文字を彫ってあるから、分からなくなったらコレを見て。」

「わわ、何から何までありがとうございます!こんな凄いモノ……本来いくらかお支払いしないといけないくらいですよ。訓練もしてもらってるのに。」

「僕は今回の討伐で、ギルドに降ろす分とは別に素材を貰ってるから良いんだよ。むしろ、三の森は素材の宝庫だから、貰いすぎな位かもだね。あ、アーニャの持ってるマナポーション見せて貰っていい?あと、どこで買ったか教えて??」

どうぞと、三本のマナポーションを手渡される。

今日の道中、アーニャが転んでしまった時に割れていないか確認していたのだが、チラリと目に入って気になっていたのだ。
それを焚き火の灯に透かして確認する。

「ダンジョン前の広場で屋台販売してるお薬屋さんのです。店主の名前は……なんだっけ?」

「ガンツさんですよ、アーニャさん。」

「あ、そうそう。ガンツさんっていう、多分ドワーフっぽい背の低いおじさんでした。」

トーマのフォローを受けながらアシェルの質問に答えてくれる。

「そっか。次はそこから買っちゃだめだよ。効かなくはないけど粗悪品だね。はいこれ。僕が作ったマナポーションを代わりに装備しておいて。一本はアーニャが今から飲む分ね。トーマはマナポーション持ってる?」

「はい。アシェルさんに教えて頂いてから、僕も身に付けるようにしてます。アーニャさんと同じところで買ったマナポーションです。」

レッグホルスターを見て身に着けているとは思ったが、ちゃんとマナポーションを用意していた。
暗い色味だったのでマナポーションだとは思っていなかったが。

受け取った三本も先程と同じように光に透かす。

「これもだね。っていうか、粗悪品過ぎるでしょ。なんで全部濃度がバラバラなのさ。どういう作り方したらこんな雑なものが出来上がるわけ。」

ぶつぶつと文句を言いながら、新しいマナポーションを4本トーマに手渡す。

「トーマも一本飲んでね。それと今度からマナポーションを買うときは、面倒でも王立病院で買うか、王立病院指定の薬屋さんがあるから。そこのチラシを貰って、探していくと良いよ。きちんと経験と技量のある薬師が作っているお薬が、適正価格で買える場所だからね。」

「そんな違いがあるんですね。勉強になります。ダンジョン前の広場で売ってるくらいなので、効果が高いと思ってました。」

「このマナポーションもアシェルさんが作ったんですよね?凄く飲みやすいです。ガンツさんのところのは凄く渋いんですよね。」

「ってことは青が濃いめのを飲んだんだね。ねぇ、アーク。悪質な薬屋がダンジョン前広場にあるみたいなんだけど。こういうのってどうやったら摘発できる?」

回収した6本を見せて振りながらアークエイドに問う。
こういうのは分かる人に聞くに限る。

「アシェが悪質というならそうなんだろうが……まずは何をもって悪質とするかの陳情書が必要だ。形式は無いから、用件が伝わればいい。あとは可能なら現物があること。それらを持って騎士団に報告して、現場を確保できればってところだな。」

「んー、どっちにしても街に戻ってからか。こういう身の程知らずは早く潰したいんだけど。」

『ストレージ』から取り出した折り畳みテーブルの上に、薬瓶スタンドを二つ置いた。
片側に粗悪品、片側にアシェルが作ったマナポーションを並べる。
ついでに便箋と万年筆にバインダーだ。

「急ぎなら、モイちゃん呼んで届けてもらおーか?夜は飛べないけど、明日の朝だったらお手紙運べるよー。」

マリクの言うモイちゃんとは、マリクがテイムしているフォレストイーグルだ。

ホーンラビットのラビちゃんはラビットだからラビちゃんで、フォレストイーグルは森でテイムしたイーグルなのでモイちゃんと命名したらしい。

きっちりテイムが効いている魔物は、家畜と違って主と魔力パスが繋がっている。
遠距離でも従魔へ簡単な指示が出来るのだ。

「ほんと?じゃあお願いしようかな。どこに持って行ってもらおうか。」

「なぁ、モイちゃんは何時くらいから飛べる?親父の出勤前に間に合うなら、親父に届けたほうが確実だぞ。メイディーが粗悪品って言うんだ。親父ならすぐに動くけど、下っ端が受け付けたら後回しにされる可能性がある。」

「今時期ならー5時くらいにはここに越させて、5時30分にはエトの邸まで飛ばせるよー。早いならちょーせいするけど。」

「いや、それでいい。俺からの手紙も付けておいて、玄関の近くには警備がいるから、そいつらに渡してくれればいい。」

「おっけー。じゃあ、明日の朝にモイちゃん呼んどくねー。」

「ごめんね。ありがとう。エト、便箋とペン要る?」

「いや、手持ちがあるからいい。ただ、その板の予備あるか?」

「あるよ、どうぞ。」

バインダーの予備を渡し、キャンプチェアに腰掛けた二人は便箋にペンを走らせる。

エラートの方は、門番向けに父親に見せてほしい旨と、父親向けにアシェル・メイディーの意見であることが。
アシェルの方は、カドラス卿というよりも騎士団向けにこの粗悪品についての意見書だ。

あとは食事を始めるだけとなった面々は、キャンプチェアに座りアシェルの様子を見守っている。
しかしアシェルは目の前にある粗悪品の品定めをしていて、視界には入ってなかった。

「色が薄いのから濃いのまであるけど、匂いもまちまちだな。はぁ、ほんと、なんで?マナポーションの材料ってスタンダードな取り扱いやすいものばかりでしょ。よっぽど粗悪品じゃない限り、仕上がりに差ができにくい初心者向けの錬金なのに。うわ、苦い、渋い、効果微弱。そりゃ煮詰めすぎたらこうなるよ。っていうか、これちゃんと濾過してる?微細な素材が沈殿してるんだけど。渋くなったのはコレのせいか。っていうか、無駄に突出してるやつはエキナセアだね。よりによって一番苦い奴。あとは……。」

報告の手紙ではなく、検分結果をレポート用紙に書き連ねていた手を止める。

「ねぇ、アーク。こっちが粗悪品。こっちが僕の作った奴。違い、分かるよね?」

以前にピッタリな完成の色が分からないと言われたことを思い出し、アークエイドに聞いてみた。

「流石に分かるぞ。アシェのはどれも綺麗な青色で澄んでいる。不純物もないし、個体差もない。対してもう片方のは、一番薄い色と濃い色の差が激しいし、いくつかは不純物が入ってるな。ただ、中央に並んだ二本の差は分からない。アシェが並べてるから違うんだろうけどな。あと、アシェの言うベストな色合いはないな。製作者がバラバラで、勉強中の習作だと言われれば納得できる出来だ。」

「じゃあさ、マナポーションに入ってる材料は、全部言える?」

期待する答えを得たうえで、アークエイドにさらに問う。
これは一緒に受講している錬金の授業で習っている。

「マナリア草、エキナセア、マロウ、ジャーマンカモミール、セージ、ローズマリーの6種類のはずだ。」

「そうだね。そのうち刻む加工が必要なのは?」

「マナリア草だけだ。」

「正解。せっかくだからさ、マリクとエトも一緒に、あとで味見して比べようか。ご飯できてるから待たせるのも悪いしね。」

ひとまずメモに区切りをつけ、食事を開始する。

今日もトーマの作った美味しいスープと、自分達が狩った魔物肉で焼き肉パーティーだ。
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