氷の王子様と微笑みの男装令嬢

芯夜

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第三章 王立学院中等部二年生

161 解毒剤を待ちわびる③

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Side:アシェル13歳 夏



痛みと熱で朦朧としていた意識が回復してきたのか、少しだけまだズキズキと痛んでいるのを感じながら瞼を持ち上げる。

体内の魔力反応が最後に覚えている形と違うのは、無事に解毒剤が出来たということだろうか。

「……て……だれ?」

乾いてかすれた声を出せば、握られているアシェルの手をぎゅっと強く握られた。

「気付いたのね。ここがどこだか分かる?」

ぼやけてピントの合いにくい視界に、リリアーデの顔が映った。
物凄く心配そうな表情をしている。

「りりぃ……ここ、ぼくの、へや……。」

「えぇ、そうよ。お水は飲めそうかしら?」

こくんと頷けば、アークエイドの姿も見えて、身体を抱き起してくれる。

「良かった……意識が戻ったんだな。」

アークエイドもすごく心配してくれていたようだ。
そして二人の顔は、どことなくやつれている。

丁寧な手つきでリリアーデから水を飲ませてもらい、ようやく張り付いていた喉が潤いを得た。

「ありがとう。……体内の魔力反応が違うから、解毒剤が出来た……んだよね?」

「そうだ。」

「えぇ。飲んだのは流石に覚えてないのね。でも、ちゃんと解毒剤は効いてるみたいだわ。熱も一時期のことを思えば、ずいぶん下がったみたいだし。『クリーン』。」

リリアーデのクリーンで、汗ばんでいた身体がスッキリとする。

「二人ともやつれてる……。実習の日から何日経ったの?」

「今日がちょうど10日目だ。」

「そんなに……?長い夢を見てた気はするけど、僕的に一晩寝たくらいの気分なんだけど……浦島太郎の気分だ。」

アークエイドの言葉に眉を顰めたアシェルの表現を、リリアーデだけが笑う。

「ふふ、そこまで言えるならもう大丈夫そうね。ご家族が揃ってるから、呼んできても良いかしら?」

揃っているとはどこまで揃っているのだろうか。

「それより、点滴抜いて欲しいな。あと、お腹が気持ち悪いから、トイレに行きたい。」

というよりも、オムツなどを着けている感じではないし、尿管などが入っている感覚もない。
10日間排泄はどうしていたのだろうか。もし寝具を汚すたびにクリーンや洗濯だと、アシェルがすごくいたたまれないのだが。

「そうね。もう経口摂取できそうだし、点滴は抜いてあげるわ。トイレに行くのは良いけど、わたくしも付き添うからね。中で一人にして気を失っても困るし。あと、スライムが二匹出てくるはずだから、びっくりしないでね。」

「スライム?」

何故トイレに行ってスライムなのか。

スライムというと、下水処理場などに居るはずなのだが。

「膀胱と直腸に一匹ずつ入ってるのよ。駄々洩れよりマシでしょ?」

「それはそうだけど……ってことは、この違和感はスライムが中に入ってるんだ。オムツとどっちがマシなのかな……人様に迷惑かけない分、スライムの方がマシか。」

「そもそも、こっちにはオムツは無いわよ。バルーンカテーテルもね。病院でもこうやって、スライムを活用するのよ。タンポンみたいに紐が出てるから、トイレで二本とも引き抜けば終わりよ。」

「へぇ……それは知らなかった。」

「アーク、少しアシェの身体を支えててね。アシェの身体の位置を動かすから。」

そう言ったリリアーデに腰骨の辺りを持たれ、よいしょという掛け声とともに身体が引きずられる。

それからゆっくり頭を起こされ、寝台に腰掛けるように足を下ろされる。
アシェルは力を入れていないのに、あっさりと寝台に座った状態になってしまった。こういうのも、看護師としての知識なのだろうか。

「さてと……点滴を抜くのは、お手洗いに行って無事に戻ってこれたらね。まずはわたくしに捕まって、立てるかしら?立っても気分が悪かったら、直ぐに座って頂戴ね。」

起立性低血圧を心配されているのだろう。
頷いて、後ろに倒れてしまわないようにアークエイドに支えられたまま、リリアーデの腕を掴んでゆっくりと立ち上がる。

「気分は大丈夫。ただ……足に力が入りにくいかも。」

「10日間も寝たきりだったんだもの。筋力が落ちて当たり前よ。ゆっくりでも歩けるかしら?」

「なぁ、リリィ。俺が抱えていった方が良くないか?」

「ダメよ。動けるようになったなら具合を見ながら動かさないと、筋力がどんどん落ちていく一方だわ。これもリハビリよ。アークはアシェの左脇に腕を入れて、こけそうになった時に支えられるようにしてあげて。さぁ、アシェ。頑張って歩きましょう?」

アシェルの右脇に腕を突っ込んで、点滴の吊るされた支柱棒を持ったリリアーデに、にこやかな笑顔で言われる。

リリアーデの言うことは分かるが、もしかしてリハビリに関してはスパルタ思考なのだろうか。
それとも看護師の経験があれば、これが当たり前なのだろうか。

ゆっくりと足を踏み出せば、その歩幅に合わせて二人も付添ってくれる。

長すぎると感じる廊下を歩いてトイレに行き、リリアーデ見守りの元無事スライム二匹を取り出したアシェルは、また同じようにして寝台まで戻り、ヘッドボードを支えに寝台に座った。
そして約束通り点滴が抜かれ、自由の身となる。

「うん、見た感じ、もう歩くのは問題なさそうね。ただ、まだ一人で歩いちゃダメよ。急に力が抜けて転んじゃうこともあるからね。これくらいの筋力低下なら……そうね、一週間は必ず誰かに付添ってもらってちょうだい。身体の具合を見ながらで良いから、なるべく歩いたり座ったりしてること。じゃあ、ご家族を呼んでくるわね。」

注意事項を伝えてリリアーデは部屋を出て行く。

「アシェ……歩いたので気分は悪くなってないか?」

「うん、大丈夫だよ。ありがとう、アーク。それにしても付添いありでリハビリかぁ……手摺とかあれば一人でも良いんだけどなぁ。」

「ダメだ。好きなだけ付き合ってやるから、一人で寝台から降りるなよ。」

アークエイドにジトっとした眼を向けられる。
これはしばらく、アシェルに付きっきりでいるつもりなのだろう。

コンコンと扉が叩かれてから、アベルを始め家族が部屋に入ってくる。
メアリーやメルティーもちゃんと来ていた。

「アシェ。身体の具合はどうだい?」

「お父様……。まだ解毒はしてますが、計算するとあと一時間ほどで解毒し終わりそうです。ご心配をおかけしてしまって申し訳ありません。」

「そんなことは気にしなくて良いんだよ。我が子の心配をするのは当たり前のことなんだからね。手を貸してごらん。傷も痛むだろうし、さっさと解毒してあげるから。」

大人しくアベルに両手を差し出せば、アシェルの右手から不快感と共に魔力が流れ込んでくる。

下手に動きを阻害しないように、意識を残りの家族に向ける。

「お兄様達も……ご迷惑をおかけしました。解毒剤まで作っていただいて……僕が自分で、上手く解毒出来れば良かったんですが。」

しょんぼりと眉を下げるアシェルに、二人の兄はそっくりな表情で苦笑する。

「アシェはそんなこと気にしなくて良いんだよ。今回は状況が特殊すぎて、体内魔力が上手く働いてなかったんだ。仕方ないよ。」

「そうだよ。こんなの迷惑でもなんでもないから、気にするな。それより、解毒が済んだら、もう一度傷の処置があるからな。もう少しだけ痛いことをするけど、ごめんな。」

「いえ、処置は必要なことですし、痛いのは別に我慢できますので、問題ないです。」

当たり前のように我慢することを選ぶアシェルに、やっぱり二人はそっくりな顔で苦笑した。

「メアリーお義母様とメルも、僕の為に時間を取っていただいて申し訳ありません。解毒剤も効いていて、こうしてお父様が解毒もしてくれていますし、傷も処置が済めばなんともなくなりますから。」

「本当に……大丈夫なの?何かして欲しいこととかはないかしら?」

今日のメアリーの瞳には、ただただアシェルを心配している色しかない。
そのことに少し安堵する。
未だにどう関わるのが正解なのか解らない。

「いいえ、大丈夫です。もう平気ですから。」

「アシェ義姉様、無理だけはしないでくださいませね?わたくしでは何のお役にもたてないのですけれど。」

「メルも気にしないで。こうしてお見舞いに来てくれただけで十分だよ。」

きっと胸潰しを付けていない今のアシェルは、女性的な身体のラインが出ているのだろう。
メルティーの呼び方でそれを察する。

気遣ってくれるメアリーとメルティーに、にこりと微笑みを向ける。
それだけで、少し心配と不安の色が減ったように見える。

「さぁ、解毒は終わったよ。傷の処置をしようか。リリアーデ嬢、ずっと付き添いをお願いしていて悪かったね。もう処置は人手が足りているから、介助は要らないが……どうする?気になるなら最後まで見ていってもいいのだけれど。」

「いいえ。皆様の手技と技術は既に拝見して、信頼しておりますので。わたくしはこれで失礼しますわ。アシェ、さっき言ったことは、ちゃんと守ってリハビリするのよ。いいわね?」

「うん。ありがとう、リリィ。ゆっくり休んでね。」

「ふふ、それはわたくしのセリフだわ。それでは一足お先に失礼しますわね。」

カーテシーをしてペコリと頭を下げたリリアーデに、イザベルが見送りの為に付いて行ってくれた。

「じゃあ処置をするから、女性陣には応接間で待っていてもらおうかな。」

アベルの言葉に、メアリーとメルティーは少し迷いを見せる。

壊死した組織のある傷の処置など、血も出るし見た目も悪いし、わざわざ見るようなものではないはずだ。

「ほら。あまり人数が多いと、アシェが傷を診せてくれないかもしれないからね。処置の後はアシェには寝て貰うから、帰る前に言っておきたいことがあるなら、今言っておきなさい。」

アベルの意思が硬いことを感じて、メアリーもメルティーも一言ずつアシェルに言葉をかけてくれる。

「アシェルは女の子なんだから、あまり無茶をしてはダメよ。アシェルは大丈夫と思っていても、周りは心配するのだから。……わたくしも心配だったわ。早く回復するようにお祈りを続けるわね。」

メアリーもアシェルのことを心配してくれていたようだ。それに神様へのお祈りも捧げてくれているらしい。
そのことが、ちょっとだけこそばゆい感じがする。

「アシェ義姉様。お大事になさってくださいませ。また御夕飯をご一緒に出来るのを、楽しみにしてますわ。」

「ありがとう。」

アシェルが微笑みながら言った言葉を聞いて、二人は部屋を出て行った。

「アークも、もういいよ。自分の部屋に帰ってゆっくり休みなよ。」

「それは出来ない相談だ。」

「……あんまり傷見られたくないだけど。」

「今更だな。全ての処置に立ち会ってる。アシェは覚えてないだろうけどな。それに今から、綺麗に治して貰うんだから良いだろ?」

既に何度も見られているなら今更一緒かと、小さくため息を吐いて、背中を見て貰う為に寝台の上で滑るようにして身体を移動させる。
腕にも力を入れているので、背中の傷がズキズキと痛んだ。

寝台の端から処置が出来るように座って、何の躊躇いもなくシャツを脱げば、アークエイドが赤面する。
それから慌てて掛布団で前を隠された。

「だから、なんでそう全く恥じらいが無いんだっ。」

「何を恥ずかしがればいいのさ。別に見たことあるし良いでしょ。たくし上げるだけじゃ処置の邪魔になるし。」

「そういう問題じゃないだろっ。」

「じゃあどういう問題なのさ?」

「恥じらいと慎みを持てと言ってるんだ。」

そんな最近ではよくやるアシェルとアークエイドの掛け合いを、三人の家族が温かい目で見守る。

これだけ口が回るようになったのなら、もう安心だと。

「まぁ、殿下がアシェの裸を見慣れてるかどうかは置いておいて。処置を始めても良いかい?」

「はい。お願いします。」

「私とアンとで同時進行するから、早く終わるけれど痛む範囲は広くなるよ。麻酔は要るかい?」

「あってもなくても、どうせ痛いので要りません。」

「ふふ、そうかい。じゃあ、処置を始めるね。」

宣言通り、背中の二か所に触れられている感覚と痛みはあるが、どちらにしても傷全体が痛いので誤差の範囲だ。

ギュッと手を握りしめて痛みに耐えていると、その手にアークエイドの手が重ねられる。

「痛いんだろう。痛すぎて気分が悪くなったりしてないか?」

「まぁ、外傷だし、処置しててもしてなくても痛いから。それに、この後は痛くなくなる予定だしね。気分も悪くないよ、ありがとう。」

にこりと笑みを向けるが、アークエイドの心配そうな表情は変わらない。
上手く笑みを作れていなかっただろうか。

アークエイドに手を握られたまま、処置は続けられる。

二人がかりで壊死組織を切除された傷に、アベルによって『創傷治癒ヒール』がかけられた。

まだ引き攣れたような違和感はあるが、今までの様なズキズキと痛んでいる感じではない。
ずっと痛みがあったせいで、痛覚が誤作動しているだけだろう。
しばらくすれば馴染むはずだ。

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