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第四章 王立学院中等部三年生
233 デビュタント①
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Side:アシェル14歳 夏
7月初週の日曜日。
社交界シーズンの始まりを告げる、今年デビューする貴族令息令嬢の集まるデイパーティーと夜会が開かれる。
アシェルはまだ成人していないので、デイパーティーがデビュタントとなる。
その準備の為に、土曜日の今日は朝からメイディー邸に帰るつもりだったのだが、アシェルは朝一でムーランに捕まっていた。
「おはよう、アシェル。貴方、今日は実家に帰るのでしょう?その前にわたくしとお茶をしましょう。」
部屋の入口近くでうつらうつらしていたアシェルは扉を叩く音で目が覚め、大急ぎでイザベルに化粧を施してもらい寝間着から私服へ着替え、部屋には通さずにムーランの対応をしている。
だが、何故お茶に誘われたのかが分からない。
「アークと街にでも出かけるの?それだったら毒見は近衛に——。」
「違うわ。そうじゃなくて、アシェルとお茶をしたいって言ってるのよ。場所も街やわたくしの部屋ではなくて、モーリスの部屋よ。流石に、わたくしの部屋に殿方を招くわけにはいかないもの。明日の準備や打ち合わせもあるでしょうから、長く引き留めるつもりもないわ。だから、わたくしとお茶をしましょう。……急いで帰らないといけない用事があったりするかしら?」
既にモーリスの入れ知恵があったのか、ムーラン自身で考えて導き出した答えかは分からない。だが一応命令ではなく、アシェルの予定も気にしてくれているようだ。
「いや、お昼までに帰れれば良いから、今からお茶をするなら問題ないけど……。」
「ほんと!?じゃあ、早速モーリスの部屋に行きましょう。あ、ドレスコードは気にしなくて良いわ。お友達とお茶をするだけだし、お城じゃないんだもの。」
「わわっ。ベル、少しモーリス殿の部屋に行ってくるね。帰る準備だけよろしく。」
笑顔でアシェルの手を取ったムーランに引っ張られるようにして、モーリスの部屋に到着する。
モーリスの部屋はアークエイドの隣で、一番オートロックの扉に近い位置だ。
「ねぇ、ムーラン嬢……廊下を歩くだけにしても、ちゃんと護衛を傍に置いておいた方が良いよ?三人も居るんだから、一人だけっていうのはちょっと……。」
「今一人なの?わたくしには、何人居るかやどこに居るのかって分からないもの。最大で三人までって事しか知らないわ。でもそうね。夜から朝にかけては仮眠や交代の為に、人が少なくなる時間帯があるって聞いてるわ。モーリス、入るわよ。」
コンコンと扉を叩いたムーランは、入ると言いつつきっちり使用人の返事を待った。
見えない護衛は一人しかいないし、使用人を連れて歩いているわけでもないムーランの為に、入室許可に合わせて扉を開けようとしたら腕を掴まれそれを制される。
「扉はわたくしが開けるわ。今日のアシェルはお客様よ。」
「流石に、レディに扉を開けさせるわけには……。」
いくらお客様でも、本来ならここまで歩くのもエスコートをするべきだし、扉だって使用人や店員が居ないのなら男が開けるものだ。
エスコートは流石に身分的なものもあるし、人目も無いしで申し出なかっただけに過ぎない。
「アシェルは気にしすぎなのよ。いっつもにこにこして、誰にでも優しいんだから。今日くらい、誰かに甘えなさい。」
「扉を開けるのを譲るのと、甘えるのとでは違う気が……。」
ムーランと押し問答をしている間に扉が中から開き、扉を開けた今日は見えている護衛のクーフェの隣で、モーリスが苦笑していた。
「姉上、アシェル殿、ようこそ。これなら問題ないだろう?」
「モーリス、褒めてあげるわ。さぁ、アシェル、座ってちょうだい。」
無邪気な笑顔を浮かべたムーランに、押し込まれるようにして部屋に入る。
「本日はお招きいただきありがとうございます。お邪魔します。」
「どうぞ。あぁ、いつも通りで構わないからね。僕の部屋には信用できる人間しか連れてきていないし、今日の姉上の護衛もダーガとクーフェが良く知っている人物だから。」
「それで一人だけなんですね。」
「そういうこと。」
ムーランは自分の護衛について詳しくないようだが、やはりダーガとクーフェは護衛達の中でも位が高いのだろう。
モーリスの方が状況を把握していそうだ。
着席を促され応接セットのソファに腰掛けると、隣にムーランが座る。
断られることは考慮していなかったのか、既にケーキスタンドやスコーンも用意されている。
あとは紅茶を淹れるだけでお茶会は始められそうだ。
いつもモーリスの傍にいる護衛はダーガとクーフェだけだ。
侍女達も三人しか連れてきていない。
ただ気の利くモーリスのことなので、しっかりダーガにもクーフェにも睡眠は取らせているのだろう。
侍女に紅茶を淹れて貰いながら、アークエイドが居ないのに何故呼ばれたのか分からないアシェルは首を傾げる。
もしこれでアークエイドが居たのなら、アシェルは味見要員で呼ばれたのだと分かるのだが。
そんなアシェルを見て、モーリスは苦笑した。
「姉上……アシェル殿をどうやってお誘いしてきたんですか?」
「一緒にお茶をしましょうってお誘いしたわ。駄目だったかしら?」
「うーん、間違ってはいないけれど……。今日アシェル殿をお招きしたのは、社交界デビューのお祝いをしたくて呼んだんだよ。明日は、僕らは公務になるから。アシェル殿に個別にお祝いを言うことは出来ないからね。」
「お祝い?特にデビュタントはお祝いするような事じゃ……。」
「こっちじゃお祝いしないの?アスラモリオンでは必ず10歳の時にデビューって決まってるから、デビューする時は家族や友人がお祝いするものなのよ。だから、今日のアシェルはお客様よ。」
二人はアシェルをお祝いするために招いてくれたらしい。
この辺りは国による文化の違いなのだろう。
「そうだったんだ、ありがとう。でも、僕に気を使ってくれなくても良いのに……。」
「わたくしがアシェルをお祝いしたいから呼んだのよ。……迷惑だったかしら?」
「ううん、そんなことないよ。とても嬉しい。」
「良かったわ。それと……ごめんなさい。本来なら、アークエイド様がパートナーだったのでしょう?メイディーのデビューは、それぞれが護衛する王族がパートナーになるしきたりだと聞いたわ。」
そんな明確なしきたりではないのだが、単純に王族を守る為にはパートナーとして出席したほうが都合が良いというだけだ。
というより護衛や指名依頼が無ければ、出来ればパーティーに参加したくないというのが我が家の男達だ。
そんな時間が在ったら、実験室に籠って好きな実験をしていたい。
「ムーラン嬢が気にすることじゃないよ。僕のお兄様がパートナーとして出席してくれることになってるし、アークは公務だから。公務の邪魔をしてまでパートナーにならないといけない訳じゃないしね。」
表情を曇らせてしまったムーランの褐色の髪を、慰めるように撫でてやる。
喜怒哀楽の激しいムーランだが、最近では周囲への気配りも出来るようになった。
相変わらず少し高圧的な物言いであるものの、それは生まれた身分によるものだろうし、あまり下手に出て臣下達からなめられてしまうよりいいだろう。
アシェルの手の下で、ムーランの表情が嬉しそうに笑みを作る。
それでも口から出てくる言葉は、少しツンデレを感じさせる物言いだ。
「アシェル。軽々しくレディの頭を触るものではないわ。わたくしは許してあげるけれど、誰彼構わずこんなことをしてはダメよ。いつも思うけれど、こんなことをしてたらアシェルが自分のことを好きなんじゃないかって勘違いするご令嬢が増えるわ。」
「ムーラン嬢は僕に撫でられるのは嫌?」
「わたくしは許すと言っているでしょう。わたくしはアークエイド様のことが好きなのよ。これくらいで勘違いしたりしないわ。アシェルは今婚約者が居ないから良いようなものの、誰にでもこんな態度だと、婚約者がヤキモチを妬いてしまうわよ。」
「ふふっ、心配してくれてるの?大丈夫だよ、僕にヤキモチを妬くような子は居ないから。そんなのを気にして、可愛い子を愛でれなくなってしまう方が嫌だな。」
「もうっ、わたくしは真面目に心配しているのよ?」
アシェルの手の下でぷくっと頬を膨らませてしまったムーランに、ぽんぽんと叩いて頭を撫でる終わりを告げる。
「ありがとう、ムーラン嬢。でも確かに、僕がムーラン嬢を撫でているところを見られたら、アークがヤキモチ妬いちゃいそうだね。ムーラン嬢に手を出すなって怒られちゃいそうだ。お行儀は悪いけど、チョコレートから頂いても良い?」
モーリスに「どうぞ。」と許可を貰ってチョコレートを口にするアシェルの隣で、ムーランは小さく「逆だわ。」と呟いた。
その呟きは小さすぎてアシェルの耳には届かない。
「アシェル殿は準備の為に実家に戻るんだろう?あまり時間がないだろうし、早速だけどこれが僕からのお祝い。アシェル殿なら見たことのある術式が多いと思うけど、僕らの国で発行している術式の書物だよ。どれもダミーのない綺麗な術式ばかり載っているし、辞書みたいに逆引きも出来るから。是非アシェル殿の術式開発に役立ててほしいな。」
モーリスから手渡されたのは、分厚い書物が三冊もあった。
失礼して中をぱらぱらとめくると、基本的な術式から普段使いではないようなものまで。
多種多様な術式が記載されている。
「嬉しいけど、これ、かなり高いんじゃない?それを三冊も……貰っても良いの?デビューのお祝いにしては豪華すぎると思うんだけど。」
「うん。是非アシェル殿に貰ってほしいんだ。それに著者は祖父だから、特別に取り寄せたわけでも無いしね。今は色々あって疲れているだろうけど、余裕が出来たら僕とまた色々語り合ってほしいんだ。本なんかより、そうやって共通の話題で話してくれる友人の方が貴重だからね。」
モーリスらしい理由とプレゼントの選択に、ありがたく書物たちを貰うことにする。
「ありがとう、モーリス殿。見たことのない術式も載っているし、かなり楽しめそうだよ。」
「喜んでもらえて良かったよ。」
「わたくしからはコレをプレゼントするわ。」
ムーランから手渡されたラッピングを開けると、出てきたのは綺麗な装飾の施された懐中時計だった。
アスラモリオンの皇族を示す家紋まで入っている。
「これは皇族の家紋でしょ?流石に僕が持ってるのは不味いんじゃない?」
「モーリスからのプレゼントは受け取れて、わたくしからのは受け取れないって言うの?それに確かに皇族の家紋だけれど、わたくしの名前もアシェルの名前も入れているわ。アシェルの為に作らせたんだもの。それさえあれば、いつアスラモリオンに遊びに来ても大丈夫よ。」
言われて確認してみれば、確かにムーランの名前とアシェルの名前まで刻まれている。
さすがに他国の皇族の家紋と名前の入ったものは、デビューのプレゼントにしては豪華すぎないだろうか。
家紋と名前が無かったとしても一体いくらするのだろうかという位、各所に宝石があしらわれ繊細な細工が施してある。
アシェルがどう返事をしていいか分からず戸惑っていると、モーリスが苦笑して補足する。
「アシェル殿が嫌でなければ、受け取ってやってもらえるかな?姉上なりに悩んだみたいだし、アシェル殿は姉上の初めての友人だから。それさえ見せればアスラモリオンで身分証になるし、留学が終わったとしても遊びに来てほしいっていう気持ちも含まれているんだよ。」
「モーリス!余計なことは言わなくて良いのよ!」
「友人……ありがとう、ムーラン嬢。アスラモリオンに行く機会が出来るかは分からないけど、懐中時計は大切に使わせて貰うよ。」
「最初からそうやって、素直に受け取れば良いのよ。」
照れてプイっと顔を背けてしまっているが、ムーランなりに考えた結果、友人の証として懐中時計を贈ってくれたのだろう。
ただの友人に贈るには豪華すぎるが、その気持ちを有り難く受け取ることにする。
それから軽食やデザートを摘まみながら、少しだけお喋りする。
といってもアシェルはほとんど何も手をつけず、紅茶を飲みながらムーランの話を聞いていた。
主な内容はアスラモリオンでの暮らしや、王都にくるまでの旅行中の話だ。
「うちの国はとにかくお祭り騒ぎが好きなのよ。常夏のせいかヒューナイトみたいに社交界シーズンは決まってないから、しょっちゅうどこかでパーティーがあったわ。島を統轄する領主に呼ばれることもあるのだけれど、移動するだけでも大変なのよね。ヒューナイトみたいに街道が通っていれば良いのに。」
「姉上は船酔いしないから良いじゃないか。僕は船に揺られるのはどうも苦手だよ……。アシェル殿は船に乗ったことはあるかい?」
「僕は王都から出たことが無いんだよね。出ても、冒険者活動ですぐ近くにある魔の森までなんだ。実は、メイディー領にすら行ったことなくて。でも友人がアスノーム出身だから、船酔いが辛いっていう話は聞いたことあるよ。」
「あら……それじゃあいつか招待しようと思ったけれど、船の経験が無いのにいきなり大海を越えるのは大変ね。わたくしが遊びに来たほうが良さそうだわ。」
「そもそもムーラン嬢はアークと婚約したら、どっちで暮らすのかっていう問題もあるんじゃないの?ヒューナイトなら会いやすいだろうけど。アスラモリオンに行っちゃうと、なかなか皇族が海を渡ってっていうのは難しそうな気がするな。」
「……そうね。今回の留学だって、無理を言ってお父様に許可を頂いたのよね。臣下達に、わたくしから陛下にお願いすれば許可は出るからって言われたけど……。わたくしがあまりにもしつこかったから、モーリスまで巻き込んじゃったんだと思うわ。」
「姉上、僕のことは気にしないでください。僕的には、国に居るよりこちらの方がのびのび生活出来ているんですから。ただ……姉上は少し臣下の言うことを真に受けすぎるきらいがあるので、少し考える時間を作ったほうが良いかもしれないけど。」
「……アシェルもそう思う?」
いきなりアシェルに話を振られても、ムーランがアスラモリオンでどんな生活をしていたかや、どんな臣下達に囲まれていたのかが分からない。
アシェルが思うのは、ムーランは意図的に世間知らずであるように教育されていると感じるだけだ。
「ムーラン嬢の国での普段を知らないから、なんとも言えないけど……。いくら信用できると思っている家族や友人の助言でも、その言葉の意味や周りに与える影響を自分で考える必要はあると思うよ。例え誰かの助言で何か行動を起こしたとしても、その行動の責任はムーラン嬢にあるから。特にムーラン嬢の場合は権力者だし、ムーラン嬢を隠れ蓑に悪事を働こうって輩も居ないとは限らないからね。来年には僕らも成人だし、周りに言われたからやりましたって言い訳が出来るのは、子供の内だけだから。」
「耳が痛いわ……。アシェルに色々教えて貰って、わたくしが今までどれだけ我儘を言っていたのか、ようやく分かったんだもの。……少し自信がないわ。」
「大丈夫だよ。最近のムーラン嬢は、モーリス殿の言うこともちゃんと聞いて考えることが出来てるでしょう?そうやって、頭っから話を聞かないって決めつけたり、この人の言うことは全部信用するっていうのを止めればいいだけだから。誰かに何かをやれって言われても、自分で考えてみて、それが本当にやらないといけないことなのか、周りから見てそれをしたムーラン嬢がどう見えるのか……。そういうのを一度、自分で考える時間を作ればいいと思うよ。感情が豊かなのはムーラン嬢の魅力だけれど、それに漬け込む人間もいるだろうからね。」
「……自分で考えて……。すぐに全部変わるのは難しいかもしれないけれど、頑張ってみるわ。」
ムーランは信用できると思った相手からの意見を素直に取り入れようとする分、悪いほうに助長することもあれば、今回のようにきちんと自分の考え方を改めることも出来る。
最近ではモーリスからの注意やアドバイスも受け入れているようだし、そろそろアシェルはアークエイドとムーランの傍に居なくて良いのかもしれないと思う。
というよりも、女だと発表してしまえば、今までのように隣に居るのは難しいだろう。
アシェルが今まで二人の傍に居ても許されたのは、アークエイドの護衛で臣下としての立ち位置を崩さないように心がけていたからだ。
女が騎士になったという話を聞いたことが無いし、婚約者になる可能性のある男女の。それも男側と仲が良い女など、醜聞以外の何物でもないだろう。
そもそも貴族令嬢の就職先と言えば、婚姻を結んで永久就職か、高位貴族や王宮の使用人になるかだ。
辛うじて魔法庁や、医療従事者として勤める人間がいるくらいだろうか。
そしてそれは、モーリスに対しても言える。
アシェルが王族と仲の良い男だから、少しくらい親し気に話していても問題が無いだけだ。
聞けば国に婚約者がいるらしいし、国外で女性と親しくしているという噂が流れるのは良くないだろう。
せめて本当に男だったらと思わなくもないが、アシェルはどう足掻いても女なのだ。
正式に発表してしまえば、今まで通りではいられないことは分かっている。
ただ学院入学から明日まで猶予を貰えて、その間に性別を気にしないでくれる友人達が出来た。それだけでもとても恵まれているのだ。
「そろそろお暇するね。侍女を待たせてしまってるから。二人とも、プレゼントありがとう。ずっと大事にするよ。」
また少しお喋りした後アシェルが微笑めば、二人も笑みを返してくれる。
二人とはなんだかんだと仲良くなれたと思っているだけに心苦しいが、騙してしまってごめんねと心の中で謝っておく。
発表まで何も知らなければ、国に戻っても言い訳が出来るだろう。
「アシェル、明日のデビュー頑張ってね。もし疲れたら、さっさと休憩室に逃げるのよ。」
「助けてあげたくても、僕らは当日何もできないから。じゃあ、また明日ね。」
「うん、また明日。」
二人に別れを告げ、アシェルは一人部屋まで戻った。
そしてイザベルと共に、メイディー公爵家のタウンハウスへと戻ったのだった。
7月初週の日曜日。
社交界シーズンの始まりを告げる、今年デビューする貴族令息令嬢の集まるデイパーティーと夜会が開かれる。
アシェルはまだ成人していないので、デイパーティーがデビュタントとなる。
その準備の為に、土曜日の今日は朝からメイディー邸に帰るつもりだったのだが、アシェルは朝一でムーランに捕まっていた。
「おはよう、アシェル。貴方、今日は実家に帰るのでしょう?その前にわたくしとお茶をしましょう。」
部屋の入口近くでうつらうつらしていたアシェルは扉を叩く音で目が覚め、大急ぎでイザベルに化粧を施してもらい寝間着から私服へ着替え、部屋には通さずにムーランの対応をしている。
だが、何故お茶に誘われたのかが分からない。
「アークと街にでも出かけるの?それだったら毒見は近衛に——。」
「違うわ。そうじゃなくて、アシェルとお茶をしたいって言ってるのよ。場所も街やわたくしの部屋ではなくて、モーリスの部屋よ。流石に、わたくしの部屋に殿方を招くわけにはいかないもの。明日の準備や打ち合わせもあるでしょうから、長く引き留めるつもりもないわ。だから、わたくしとお茶をしましょう。……急いで帰らないといけない用事があったりするかしら?」
既にモーリスの入れ知恵があったのか、ムーラン自身で考えて導き出した答えかは分からない。だが一応命令ではなく、アシェルの予定も気にしてくれているようだ。
「いや、お昼までに帰れれば良いから、今からお茶をするなら問題ないけど……。」
「ほんと!?じゃあ、早速モーリスの部屋に行きましょう。あ、ドレスコードは気にしなくて良いわ。お友達とお茶をするだけだし、お城じゃないんだもの。」
「わわっ。ベル、少しモーリス殿の部屋に行ってくるね。帰る準備だけよろしく。」
笑顔でアシェルの手を取ったムーランに引っ張られるようにして、モーリスの部屋に到着する。
モーリスの部屋はアークエイドの隣で、一番オートロックの扉に近い位置だ。
「ねぇ、ムーラン嬢……廊下を歩くだけにしても、ちゃんと護衛を傍に置いておいた方が良いよ?三人も居るんだから、一人だけっていうのはちょっと……。」
「今一人なの?わたくしには、何人居るかやどこに居るのかって分からないもの。最大で三人までって事しか知らないわ。でもそうね。夜から朝にかけては仮眠や交代の為に、人が少なくなる時間帯があるって聞いてるわ。モーリス、入るわよ。」
コンコンと扉を叩いたムーランは、入ると言いつつきっちり使用人の返事を待った。
見えない護衛は一人しかいないし、使用人を連れて歩いているわけでもないムーランの為に、入室許可に合わせて扉を開けようとしたら腕を掴まれそれを制される。
「扉はわたくしが開けるわ。今日のアシェルはお客様よ。」
「流石に、レディに扉を開けさせるわけには……。」
いくらお客様でも、本来ならここまで歩くのもエスコートをするべきだし、扉だって使用人や店員が居ないのなら男が開けるものだ。
エスコートは流石に身分的なものもあるし、人目も無いしで申し出なかっただけに過ぎない。
「アシェルは気にしすぎなのよ。いっつもにこにこして、誰にでも優しいんだから。今日くらい、誰かに甘えなさい。」
「扉を開けるのを譲るのと、甘えるのとでは違う気が……。」
ムーランと押し問答をしている間に扉が中から開き、扉を開けた今日は見えている護衛のクーフェの隣で、モーリスが苦笑していた。
「姉上、アシェル殿、ようこそ。これなら問題ないだろう?」
「モーリス、褒めてあげるわ。さぁ、アシェル、座ってちょうだい。」
無邪気な笑顔を浮かべたムーランに、押し込まれるようにして部屋に入る。
「本日はお招きいただきありがとうございます。お邪魔します。」
「どうぞ。あぁ、いつも通りで構わないからね。僕の部屋には信用できる人間しか連れてきていないし、今日の姉上の護衛もダーガとクーフェが良く知っている人物だから。」
「それで一人だけなんですね。」
「そういうこと。」
ムーランは自分の護衛について詳しくないようだが、やはりダーガとクーフェは護衛達の中でも位が高いのだろう。
モーリスの方が状況を把握していそうだ。
着席を促され応接セットのソファに腰掛けると、隣にムーランが座る。
断られることは考慮していなかったのか、既にケーキスタンドやスコーンも用意されている。
あとは紅茶を淹れるだけでお茶会は始められそうだ。
いつもモーリスの傍にいる護衛はダーガとクーフェだけだ。
侍女達も三人しか連れてきていない。
ただ気の利くモーリスのことなので、しっかりダーガにもクーフェにも睡眠は取らせているのだろう。
侍女に紅茶を淹れて貰いながら、アークエイドが居ないのに何故呼ばれたのか分からないアシェルは首を傾げる。
もしこれでアークエイドが居たのなら、アシェルは味見要員で呼ばれたのだと分かるのだが。
そんなアシェルを見て、モーリスは苦笑した。
「姉上……アシェル殿をどうやってお誘いしてきたんですか?」
「一緒にお茶をしましょうってお誘いしたわ。駄目だったかしら?」
「うーん、間違ってはいないけれど……。今日アシェル殿をお招きしたのは、社交界デビューのお祝いをしたくて呼んだんだよ。明日は、僕らは公務になるから。アシェル殿に個別にお祝いを言うことは出来ないからね。」
「お祝い?特にデビュタントはお祝いするような事じゃ……。」
「こっちじゃお祝いしないの?アスラモリオンでは必ず10歳の時にデビューって決まってるから、デビューする時は家族や友人がお祝いするものなのよ。だから、今日のアシェルはお客様よ。」
二人はアシェルをお祝いするために招いてくれたらしい。
この辺りは国による文化の違いなのだろう。
「そうだったんだ、ありがとう。でも、僕に気を使ってくれなくても良いのに……。」
「わたくしがアシェルをお祝いしたいから呼んだのよ。……迷惑だったかしら?」
「ううん、そんなことないよ。とても嬉しい。」
「良かったわ。それと……ごめんなさい。本来なら、アークエイド様がパートナーだったのでしょう?メイディーのデビューは、それぞれが護衛する王族がパートナーになるしきたりだと聞いたわ。」
そんな明確なしきたりではないのだが、単純に王族を守る為にはパートナーとして出席したほうが都合が良いというだけだ。
というより護衛や指名依頼が無ければ、出来ればパーティーに参加したくないというのが我が家の男達だ。
そんな時間が在ったら、実験室に籠って好きな実験をしていたい。
「ムーラン嬢が気にすることじゃないよ。僕のお兄様がパートナーとして出席してくれることになってるし、アークは公務だから。公務の邪魔をしてまでパートナーにならないといけない訳じゃないしね。」
表情を曇らせてしまったムーランの褐色の髪を、慰めるように撫でてやる。
喜怒哀楽の激しいムーランだが、最近では周囲への気配りも出来るようになった。
相変わらず少し高圧的な物言いであるものの、それは生まれた身分によるものだろうし、あまり下手に出て臣下達からなめられてしまうよりいいだろう。
アシェルの手の下で、ムーランの表情が嬉しそうに笑みを作る。
それでも口から出てくる言葉は、少しツンデレを感じさせる物言いだ。
「アシェル。軽々しくレディの頭を触るものではないわ。わたくしは許してあげるけれど、誰彼構わずこんなことをしてはダメよ。いつも思うけれど、こんなことをしてたらアシェルが自分のことを好きなんじゃないかって勘違いするご令嬢が増えるわ。」
「ムーラン嬢は僕に撫でられるのは嫌?」
「わたくしは許すと言っているでしょう。わたくしはアークエイド様のことが好きなのよ。これくらいで勘違いしたりしないわ。アシェルは今婚約者が居ないから良いようなものの、誰にでもこんな態度だと、婚約者がヤキモチを妬いてしまうわよ。」
「ふふっ、心配してくれてるの?大丈夫だよ、僕にヤキモチを妬くような子は居ないから。そんなのを気にして、可愛い子を愛でれなくなってしまう方が嫌だな。」
「もうっ、わたくしは真面目に心配しているのよ?」
アシェルの手の下でぷくっと頬を膨らませてしまったムーランに、ぽんぽんと叩いて頭を撫でる終わりを告げる。
「ありがとう、ムーラン嬢。でも確かに、僕がムーラン嬢を撫でているところを見られたら、アークがヤキモチ妬いちゃいそうだね。ムーラン嬢に手を出すなって怒られちゃいそうだ。お行儀は悪いけど、チョコレートから頂いても良い?」
モーリスに「どうぞ。」と許可を貰ってチョコレートを口にするアシェルの隣で、ムーランは小さく「逆だわ。」と呟いた。
その呟きは小さすぎてアシェルの耳には届かない。
「アシェル殿は準備の為に実家に戻るんだろう?あまり時間がないだろうし、早速だけどこれが僕からのお祝い。アシェル殿なら見たことのある術式が多いと思うけど、僕らの国で発行している術式の書物だよ。どれもダミーのない綺麗な術式ばかり載っているし、辞書みたいに逆引きも出来るから。是非アシェル殿の術式開発に役立ててほしいな。」
モーリスから手渡されたのは、分厚い書物が三冊もあった。
失礼して中をぱらぱらとめくると、基本的な術式から普段使いではないようなものまで。
多種多様な術式が記載されている。
「嬉しいけど、これ、かなり高いんじゃない?それを三冊も……貰っても良いの?デビューのお祝いにしては豪華すぎると思うんだけど。」
「うん。是非アシェル殿に貰ってほしいんだ。それに著者は祖父だから、特別に取り寄せたわけでも無いしね。今は色々あって疲れているだろうけど、余裕が出来たら僕とまた色々語り合ってほしいんだ。本なんかより、そうやって共通の話題で話してくれる友人の方が貴重だからね。」
モーリスらしい理由とプレゼントの選択に、ありがたく書物たちを貰うことにする。
「ありがとう、モーリス殿。見たことのない術式も載っているし、かなり楽しめそうだよ。」
「喜んでもらえて良かったよ。」
「わたくしからはコレをプレゼントするわ。」
ムーランから手渡されたラッピングを開けると、出てきたのは綺麗な装飾の施された懐中時計だった。
アスラモリオンの皇族を示す家紋まで入っている。
「これは皇族の家紋でしょ?流石に僕が持ってるのは不味いんじゃない?」
「モーリスからのプレゼントは受け取れて、わたくしからのは受け取れないって言うの?それに確かに皇族の家紋だけれど、わたくしの名前もアシェルの名前も入れているわ。アシェルの為に作らせたんだもの。それさえあれば、いつアスラモリオンに遊びに来ても大丈夫よ。」
言われて確認してみれば、確かにムーランの名前とアシェルの名前まで刻まれている。
さすがに他国の皇族の家紋と名前の入ったものは、デビューのプレゼントにしては豪華すぎないだろうか。
家紋と名前が無かったとしても一体いくらするのだろうかという位、各所に宝石があしらわれ繊細な細工が施してある。
アシェルがどう返事をしていいか分からず戸惑っていると、モーリスが苦笑して補足する。
「アシェル殿が嫌でなければ、受け取ってやってもらえるかな?姉上なりに悩んだみたいだし、アシェル殿は姉上の初めての友人だから。それさえ見せればアスラモリオンで身分証になるし、留学が終わったとしても遊びに来てほしいっていう気持ちも含まれているんだよ。」
「モーリス!余計なことは言わなくて良いのよ!」
「友人……ありがとう、ムーラン嬢。アスラモリオンに行く機会が出来るかは分からないけど、懐中時計は大切に使わせて貰うよ。」
「最初からそうやって、素直に受け取れば良いのよ。」
照れてプイっと顔を背けてしまっているが、ムーランなりに考えた結果、友人の証として懐中時計を贈ってくれたのだろう。
ただの友人に贈るには豪華すぎるが、その気持ちを有り難く受け取ることにする。
それから軽食やデザートを摘まみながら、少しだけお喋りする。
といってもアシェルはほとんど何も手をつけず、紅茶を飲みながらムーランの話を聞いていた。
主な内容はアスラモリオンでの暮らしや、王都にくるまでの旅行中の話だ。
「うちの国はとにかくお祭り騒ぎが好きなのよ。常夏のせいかヒューナイトみたいに社交界シーズンは決まってないから、しょっちゅうどこかでパーティーがあったわ。島を統轄する領主に呼ばれることもあるのだけれど、移動するだけでも大変なのよね。ヒューナイトみたいに街道が通っていれば良いのに。」
「姉上は船酔いしないから良いじゃないか。僕は船に揺られるのはどうも苦手だよ……。アシェル殿は船に乗ったことはあるかい?」
「僕は王都から出たことが無いんだよね。出ても、冒険者活動ですぐ近くにある魔の森までなんだ。実は、メイディー領にすら行ったことなくて。でも友人がアスノーム出身だから、船酔いが辛いっていう話は聞いたことあるよ。」
「あら……それじゃあいつか招待しようと思ったけれど、船の経験が無いのにいきなり大海を越えるのは大変ね。わたくしが遊びに来たほうが良さそうだわ。」
「そもそもムーラン嬢はアークと婚約したら、どっちで暮らすのかっていう問題もあるんじゃないの?ヒューナイトなら会いやすいだろうけど。アスラモリオンに行っちゃうと、なかなか皇族が海を渡ってっていうのは難しそうな気がするな。」
「……そうね。今回の留学だって、無理を言ってお父様に許可を頂いたのよね。臣下達に、わたくしから陛下にお願いすれば許可は出るからって言われたけど……。わたくしがあまりにもしつこかったから、モーリスまで巻き込んじゃったんだと思うわ。」
「姉上、僕のことは気にしないでください。僕的には、国に居るよりこちらの方がのびのび生活出来ているんですから。ただ……姉上は少し臣下の言うことを真に受けすぎるきらいがあるので、少し考える時間を作ったほうが良いかもしれないけど。」
「……アシェルもそう思う?」
いきなりアシェルに話を振られても、ムーランがアスラモリオンでどんな生活をしていたかや、どんな臣下達に囲まれていたのかが分からない。
アシェルが思うのは、ムーランは意図的に世間知らずであるように教育されていると感じるだけだ。
「ムーラン嬢の国での普段を知らないから、なんとも言えないけど……。いくら信用できると思っている家族や友人の助言でも、その言葉の意味や周りに与える影響を自分で考える必要はあると思うよ。例え誰かの助言で何か行動を起こしたとしても、その行動の責任はムーラン嬢にあるから。特にムーラン嬢の場合は権力者だし、ムーラン嬢を隠れ蓑に悪事を働こうって輩も居ないとは限らないからね。来年には僕らも成人だし、周りに言われたからやりましたって言い訳が出来るのは、子供の内だけだから。」
「耳が痛いわ……。アシェルに色々教えて貰って、わたくしが今までどれだけ我儘を言っていたのか、ようやく分かったんだもの。……少し自信がないわ。」
「大丈夫だよ。最近のムーラン嬢は、モーリス殿の言うこともちゃんと聞いて考えることが出来てるでしょう?そうやって、頭っから話を聞かないって決めつけたり、この人の言うことは全部信用するっていうのを止めればいいだけだから。誰かに何かをやれって言われても、自分で考えてみて、それが本当にやらないといけないことなのか、周りから見てそれをしたムーラン嬢がどう見えるのか……。そういうのを一度、自分で考える時間を作ればいいと思うよ。感情が豊かなのはムーラン嬢の魅力だけれど、それに漬け込む人間もいるだろうからね。」
「……自分で考えて……。すぐに全部変わるのは難しいかもしれないけれど、頑張ってみるわ。」
ムーランは信用できると思った相手からの意見を素直に取り入れようとする分、悪いほうに助長することもあれば、今回のようにきちんと自分の考え方を改めることも出来る。
最近ではモーリスからの注意やアドバイスも受け入れているようだし、そろそろアシェルはアークエイドとムーランの傍に居なくて良いのかもしれないと思う。
というよりも、女だと発表してしまえば、今までのように隣に居るのは難しいだろう。
アシェルが今まで二人の傍に居ても許されたのは、アークエイドの護衛で臣下としての立ち位置を崩さないように心がけていたからだ。
女が騎士になったという話を聞いたことが無いし、婚約者になる可能性のある男女の。それも男側と仲が良い女など、醜聞以外の何物でもないだろう。
そもそも貴族令嬢の就職先と言えば、婚姻を結んで永久就職か、高位貴族や王宮の使用人になるかだ。
辛うじて魔法庁や、医療従事者として勤める人間がいるくらいだろうか。
そしてそれは、モーリスに対しても言える。
アシェルが王族と仲の良い男だから、少しくらい親し気に話していても問題が無いだけだ。
聞けば国に婚約者がいるらしいし、国外で女性と親しくしているという噂が流れるのは良くないだろう。
せめて本当に男だったらと思わなくもないが、アシェルはどう足掻いても女なのだ。
正式に発表してしまえば、今まで通りではいられないことは分かっている。
ただ学院入学から明日まで猶予を貰えて、その間に性別を気にしないでくれる友人達が出来た。それだけでもとても恵まれているのだ。
「そろそろお暇するね。侍女を待たせてしまってるから。二人とも、プレゼントありがとう。ずっと大事にするよ。」
また少しお喋りした後アシェルが微笑めば、二人も笑みを返してくれる。
二人とはなんだかんだと仲良くなれたと思っているだけに心苦しいが、騙してしまってごめんねと心の中で謝っておく。
発表まで何も知らなければ、国に戻っても言い訳が出来るだろう。
「アシェル、明日のデビュー頑張ってね。もし疲れたら、さっさと休憩室に逃げるのよ。」
「助けてあげたくても、僕らは当日何もできないから。じゃあ、また明日ね。」
「うん、また明日。」
二人に別れを告げ、アシェルは一人部屋まで戻った。
そしてイザベルと共に、メイディー公爵家のタウンハウスへと戻ったのだった。
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