氷の王子様と微笑みの男装令嬢

芯夜

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第四章 王立学院中等部三年生

234 デビュタント②

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Side:アシェル14歳 夏



昨夜はアベル特製の睡眠薬を夕方には飲んで、たっぷり睡眠を取って。

朝一からサーニャとイザベルが付きっきりで、デイパーティーの支度をしてくれた。
今日ばかりは、一時期部屋付きとして仕えてくれていたシェリーの侍女達も総出だ。

デイパーティーと言っても一般参加は11時開場で、デビューする人とそのパートナーが11時30分から入場できる。12時開始なのでそれまでに会場入りすればいい。

だが、邸は王宮に近いので移動に一時間もかからないのに、朝の6時には起こされた。

普段より少し早い時間に起こされて寝惚け眼のまま、朝風呂に入れられて徹底的に全身を磨かれ。
本来なら朝食抜きだが、アシェルの場合はスープをしっかり飲めとイザベルに言われ。

ドレスを着せられ、装飾品をつけられ、化粧に髪の毛と。
女性の身支度とはこんなに時間がかかるのかと思うほど、徹底的に準備された。

アシェルはされるがままになっていただけなのに、既に疲労困憊である。

最後に5cmのヒールを履かされる。

もう身長が伸びるのは打ち止めかなと思うアシェルは165cm。アレリオンは170cmなので、辛うじてアレリオンを追い抜かず、気持ち小さいくらいの背丈になるようにだろう。
ヒールは踵部分の高さなので、実際の伸び率は少しだけ短い。

男の子たちはもう少し伸びそうなので、羨ましい限りだ。

アシェルの準備が終わったのを確認すると、侍女達はイザベルを残して出て行く。
こんな時だけ手伝わせてしまっているのに、アシェルはお世話が苦手なのを分かっていて席を外してくれるのだ。

「ねぇ、ベル。もしかして社交パーティーに行くってなったら、毎回こうなのかしら?」

「着崩れてしまうので、背筋はシャンと伸ばしてください。当たり前です。殿方であればここまでいたしませんが、貴族令嬢は可能な限り磨き上げて準備するのが基本です。支度を任せて頂く侍女として、主を綺麗に着飾ってパーティーに送り出すのは当たり前のことです。」

「でも、昨日もお風呂に入ったのに、また朝から入って、マッサージとかまでしなくても良くないかしら……。確かに気持ち良いけれど、昨日だってマッサージはしてもらったわよ?マッサージだって、いつもより長かったし……。」

上半身、下半身、顔と頭と、三か所も同時進行されていたのに、いつもイザベルがマッサージしてくれるよりも時間をかけて、丁寧に全身を解してもらった。

湯船に浸かる時間だっていつもより長くて、寝不足で栄養不足なアシェルがのぼせないように、休憩を挟みながらゆっくり身体を温められたのだ。

このお風呂とマッサージの時間を無くすだけでも、準備にかかる時間はかなり短くなるだろう。

「アシェル様……そもそも、毎日のお風呂が早過ぎるという認識をしてくださいませ。本来であれば一時間は入浴していただいて、お風呂上りにマッサージです。それをアシェル様が長すぎるというので、30分にしてますし。学院に入ってからは、その間に可能な限りマッサージも行っているのですよ?アシェル様が見下されないようにというのもありますが。アシェル様の準備を手抜きすれば、邸に仕える使用人全員の沽券に関わるのです。」

「使用人達にまでとばっちりがいくの?」

「当たり前です。使用人の繋がりは馬鹿にできませんし、ここで変な噂が立てば、花嫁修業代わりに勤めている使用人達の婚活にも影響が出ます。マナーや所作は本人の資質ですが、身の回りのお世話や支度は私共の技術になりますので。アシェル様の装いを見て、ここの使用人であれば良い相手がいるかもしれない、と思っていただかなくてはならないのです。それと……主を馬鹿にされるのは、とてもじゃないけど許せません。というわけで、今後もパーティーに出席される時にはフルコースを受けて頂きます。このフルコースは、最低条件だと思ってくださいませ。」

その口ぶりから、本当なら毎日の磨き上げもきっちり行いたいんだろうなと思うが、ここまでではないにしても毎日一時間もお風呂に入るのは苦行過ぎる。
アシェル的には、シャワーで10分15分で十分なのだから。そんな時間があれば、本を読むか実験をしたい。

「分かったわ。パーティー前にはちゃんとお世話を受けるから、毎日は今まで通りでもいいかしら?毎日一時間もお風呂に入りたくないわ。」

「出来たら毎日と言いたいところですが……せめて金曜日だけでもお願いできませんか?アシェル様さえ良ければ月曜日も入れて、週2で集中ケアを受けて頂きたいです。流石に付け焼刃だけでは、限界があります。今はアシェル様の調子が悪いので何も言われていませんが……普段のケアが疎かと判断されると、母から侍女を押し付けられる可能性がありますよ。」

「うっ……それはヤだ。……週2回だけ我慢したらいい?それなら頑張る。」

「はい、よろしくお願いいたしますね。では、そろそろ馬車へ参りましょうか。」

イザベルに言われ時計を見るが、10時を少し過ぎたあたりだ。
流石に早すぎるのではないだろうか。

「申し上げておきますが、馬車は並びます。デイパーティーですので夜会程ではありませんが、王立学院の入学式の日並みには並びます。入学式のように、近くで降りて歩くことは出来ませんからね?それと11時30分になったら、アシェル様は真っ先に会場に入らなくてはなりません。入場は、暗黙の了解で家格順だと決まっておりますから。ノアール様はアビゲイル様と共に入場されますが、家格の基準はノアール様ですので、ノアール様はアシェル様の次になります。」

そういえば家庭教師から既にアークエイドがデビューを済ませたので、アシェルは最初に会場入りしろと言われたなと思う。
理由までは聞いていなかったのだが、家格順だと言われてようやく合点がいった。

「ギリギリ……じゃ駄目ってことよね。分かったわ。アン兄様はもう準備は出来ているかしら?」

「少し前に、準備が出来たと連絡が入っております。」

「それを早く言ってちょうだい。アン兄様を待たせてしまっているわ。」

アレリオンのことだから、間違いなく廊下に立ってアシェルが出てくるのを待っているだろう。

そう予想して扉を開けて貰えば、予想通り。
しっかり盛装を着こなしたアレリオンが立っていた。

「アン兄様、お待たせいたしました。」

「ううん。アシェの着飾った姿を想像しながらだったから、待つ時間も楽しかったよ。やっぱり僕の妹は可愛いね。可愛いアシェに誰か言い寄ってくるかもと思うと、アシェを他の男の目に晒したくないな。」

「アン兄様もとても素敵ですわ。瞳の色にそっくりな淡い紫が、とても良くお似合いです。ただ……わたくしも同じ色だと、病的に見えてしまいませんか?」

アレリオンはアベル譲りの茶褐色の髪の毛で、肌の色もアシェルやアルフォード程色白ではない。
それ故、光が当たったアメジストのような少し明るめの淡い紫を基調とした服でも、とても綺麗に着こなしているように見える。

対してアシェルはと言えば、髪は銀髪で色白だ。
少し暗めのカラーであれば映えるのに、今日はアレリオンと同じ淡いカラーを基調としているドレスだ。

暗めのアメジスト色を締め色にすることで、ぼやけすぎない程度にはドレスの印象もあるのだが、それでも最低限しか濃いめの色は使われていない。
ドレスのスカートが広がれば、中から濃い紫が出てくるが、普通に歩いているだけでは淡い色しか目に付かないだろう。

パートナーとしてお揃いなのは分かるがここまで淡い色を基調にしてしまうと、アシェルには似合わないのではないかと思う。

当たり前のことだが、アレリオンは腰に華美な装飾の施されたホルスターを着けている。
アシェルもスカートの下の両太腿には、見えないにもかかわらず華美な装飾の施されたレッグホルスターを装着している。

「とても儚い妖精さんみたいで綺麗だよ。さぁ、馬車に行こう。今日は魔法を使ってはいけないからね?」

「分かっていますわ。お父様と約束しましたもの。」

アレリオンの腕を取り馬車までエスコートしてもらう。

イザベルが言った通り、高級住宅エリアから城壁の南門に続く街道は、沢山の馬車で埋め尽くされていた。





王宮で開かれるパーティーは、大小問わず王宮の南西にあるパーティーホールで行われる。
ホールの中が区切れるようになっていて、用途に合わせて会場を仕切ったりしているようだ。

ホールの前はロータリーになっていて、城の南門からパーティーホールまで馬車で来れるようになっている。

非公式お茶会で毎月のように王宮の敷地内に来ていたが、いつも北東にある離宮が会場だった。
この南西にあるホールに来たのは初めてだ。

ちなみに、しっかり一時間くらい馬車に缶詰めにされていた。

今アシェルがアレリオンにエスコートしてもらって馬車から降りているように、一組ずつ馬車を降りるようだ。
ロータリーは大きいので、数組ずつ降りれば良いのにと思ってしまう。

ただ降りた人から王宮の使用人達が案内してくれて、どうやら会場に入る順番で並べてくれているようだ。
アシェルはアレリオンと腕を絡めたまま、扉に一番近い場所まで案内された。

「アシェル、今日は一段と綺麗ね。アレリオンとお揃いなのね。」

「良かった。思ったよりも馬車が多いし、間に合わないんじゃないかと思ったよ。とても綺麗だね。」

アシェルに真っ先に声をかけてくれたのは、アビゲイルとノアールだ。

アビゲイルはノアールの瞳のシトリン色を基調に、茶褐色の締め色の使われたドレスを。
ノアールは黒を基調に、アビゲイルの瞳の色に合わせた菖蒲色の締め色の使われた盛装だ。

「アビー様、ノア。ありがとうございます。お二人も盛装がとてもよく似合っていますわ。」

馬車の中でアレリオンに今日はあまり喋るなと言われていたが、挨拶くらいなら良かっただろうかとアレリオンの横顔を盗み見る。
これくらいなら問題なさそうだ。

「今年はやっぱりデビューする人は少なそうだね。」

「仕方ないわ。アスラモリオンの皇族が来ているんだもの。パーティーへの参加者は多いみたいだけれど、様子見で今年は止めておこうって貴族も少なくないと思うわ。参加者の方は、メイディーの秘蔵っ子を見たくてってところかしら。」

アシェルからすればかなりの人数が開場を待っているように見えるのだが、これでも少ないらしい。

ただ、メイディーの秘蔵っ子とはもしかしなくてもアシェルのことなのだろうか。

首を傾げているアシェルに、アレリオンが補足してくれる。

「父上はあちこちでアシェの自慢をしているけれど、今日までデビューさせていないからね。医療従事者の間では、10歳でアークエイド殿下と一緒にデビューさせるだろうって噂されていたから。アシェの名前は、薬を取り扱う人間の中では有名だしね。」

「お父様が?……アン兄様の方が凄いと思うわ。わたくしは錬金のための時間を、お兄様達より沢山頂いているだけに過ぎないもの。」

「アシェはもっと自信を持って良いと思うよ。」

そうは言われても、家族は他にもやる事があって、錬金だけに打ち込める時間が少ないだけだ。
アシェルにはその時間があるから、新しい薬の開発やじっくりと実験が出来ているに過ぎない。

あまりピンと来ていなさそうなアシェルにアレリオンが苦笑する。

そこに聞き慣れた声がかかった。

「おっし、ギリギリセーフだな。アシェ、ノア。デビューおめでとう。」

「エトもでしょ。デビューおめでとう。パートナーのご令嬢は見たことのない方だね。紹介してもらえる。」

そろそろ開場という時間に到着したのはエラートだった。
確かにその腕には、見たことのない赤毛の小麦肌の少女をエスコートしている。

「あぁ、こいつは来年入学なんだ。ミランダっていう、まぁ幼馴染みたいなもんだな。コンラート地方の侯爵令嬢で、家同士の付き合いがあるんだ。」

「ただいまご紹介に預かりました。ケーニス侯爵が娘、ミランダ・ケーニスと申します。エト様のご友人にお会いできて光栄ですわ。」

可愛らしい笑みを浮かべたミランダが、カーテシーで挨拶をしてくれる。

「アビー様は知ってるよな?その婚約者のノアール・アスノーム。もう一人がアシェル・メイディーと、その兄のアレリオン・メイディーだ。」

エラートの紹介に合わせて、アシェル達も礼をしていく。

「よろしくお願いしますわ。でも……エト様の幼馴染の女性って、シルコット嬢だけではありませんでしたっけ?」

「あー。ミラは気にすんな。」

「婚約者の居ないご令嬢が、エト様と仲が良いなんて聞いていませんわ。」

「ミラには関係ねぇだろ。」

「ありますわっ。わたくしをお嫁さんにしてって、ずっと言ってるでしょう?」

「しねぇって言ってんだろ。」

「デビューのパートナーに選んで頂けたから、ようやくその気になったと期待してましたのに。」

「相手が居なかったから仕方なくだ。」

「つまり、エト様がお誘いするご令嬢はいらっしゃらないということですわよね?……でしたら良しとしますわ。」

どうやらエラートは、ミランダからアタックされているらしい。
デビューのパートナーに選ばれれば浮足立つのも分かる気がする。

「エトも今日デビューなんて知らなかったわ。皆来年の夜会でだと思っていたから。」

「まぁな。親父にもうデビューしとけって言われたんだよ。パーティーは苦手だけど、今年ならデビューする人間が少ないから楽だろうって。パーティーに出席する回数が増える方が面倒だってのに。」

「ふふっ。エトらしい理由だわ。」

立ち話をしている間に開場を告げられる。

今からアシェルの人生を大きくひっくり返すデイパーティーが始まる。
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