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2022年夏 せせらぎの水の不思議

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 ママと僕がTちゃんと会った後に僕たちが会った人々はたくさん居たしたくさん触れ合った。パパは当然そうだし、ジィージの家にもパパの実家にも行ってるから、20人くらいになる。

 仕事をしているパパはTちゃんからの連絡を受けてからが大変だった。芋づる式に接触者は増えていくから、パパは会社に実情を報告している。パパの心配をよそに、相手がマスクしてたんだし、今、発熱してきた訳でもないから大丈夫だろうとなり、念の為に明日も休めとなったらしい。パパのお盆休みが1日増えた。パパの実家もおおらかなものだった。

 これが2年前ならTちゃんからの連絡ではなく、保健所からの連絡指示となり、濃厚接触者として自主的な或いは半ば強制的な軟禁状態から絶対隔離のようにとなっていた。罹患者は落ち度がある者、配慮が足らぬ者のような扱いをされることもあった。保健所の検査場所一つ設置するのにも地域が反対したりした。人と伴に疫病ももたらすと駅を造ることに反対した明治時代、ゴミ焼却施設でムシロ旗で反対した昭和時代と同じだ。

 2年足らずで、社会も人々もおおらかになってきたのは、フィーバーが何度か変容して危険度から高感染に性質が変わったせいか、ワクチン接種が進んだせいなのか、感染の詳細が分かったせいなのか、分からない。けど、普通のインフルエンザのようには、なかなかならない。対応した薬がないのだから対処法しかない。

 次の日、熱もない僕たち家族は薬剤師のいるドラッグストアーから抗原検査キッドを一つ2000円で購入して自主検査した。陰性だった。

 お盆休みが増えた。僕らは大きな湖に開けた大きな公園で夏を惜しむかのように鳴き叫ぶ大量の蝉たちの聲を木陰で楽しみ、せせらぎの水で涼を楽しんだ。夏を惜しむのは蝉たちだけではない、周囲の人達も同じだ。

 水は面白い。そこにあるのに掴めない不思議さ。有るようで無いのに存在する。せせらぎの流水で遊びながら、物質の不思議さに僕は没頭した。

 真夏の30度を超える暑さが続いていた頃、ジィージは僕のためにジィージの家で遊ぶための小さなビニールプールを買ってくれてたけど、暑さのタイミングだとか、僕の体調(暫くの下痢が1月弱)とかでチャンスを逃した。来年の夏までお預けだ。

 ビニールプールはママ友の家に呼ばれたときに2回ほど入れた。最初は水が怖かったけど、慣れてくれと水はやはり不思議だ。有るようで無い存在。色即是空だ。

 
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