異世界ハーレム譚 〜最弱スキルでなぜかモテモテ！？〜

8

「やっと転生者を見つけました」

　その声は冷たく、どこか哀しげ。

　ハルトたちの屋敷の上空――夜の闇を裂いて降り立ったのは、純白の法衣を纏う一人の女性。

　肌は透き通るように白く、黄金の髪が宙に浮く。
　手には神紋の入った杖。
　そして、彼女の背には光の翼があった。

「私はアレシア。神に仕える使徒の一人。あなたに、選択を与えに来ました」

　～～～

音もなく、ハルトの前に現れたアレシア。
それにハルトは警戒を強める。

そして響く声。


「あなたの力、そして“魅了”のスキル。それはこの世界の理を乱し女神の支配に反するものです」

「俺を殺すのか？」

ハルトが剣を構えると、彼女は首を振る。

「いいえ。私は、あなたを救いたいのです」

次の瞬間、彼女はハルトの手を取った。

「今なら。私と共に来れば、生き延びられます。この世界の女たちの愛に呑まれる前に。快楽に溺れ、滅びる前に」

（涙を流してる？）

ハルトは感じ取った。アレシアもまた、“魅了”にほんのわずかに反応していることを。

だが、それを拒み続ける理性と神への忠誠心。それは堕ちる直前の、危うい女の色香だった。

～～～

「私は、人に触れてはならぬ身。ですが、あなたの罪を知るには……体で感じなければならない」

そう言って、彼女は静かに衣を脱いだ。

神聖な身体。傷一つない滑らかな肌。だが、目を閉じるその表情には抗えぬ欲望が滲んでいた。

「魅了、発動」

　ハルトがそっと触れた瞬間。

「あっ♥」

彼女の身体がピクリと震えた。光の翼が一瞬だけ歪み、白い肌が赤く染まっていく。

「だめっ、これ以上は。でも、もっと、知りたい。あなたの罪を♥」

　その夜、アレシアは自らを戒めるようにハルトに身を預けた。
　涙と熱と快楽と、聖と穢れが混ざり合う、背徳の一夜だった。

～～～

　翌朝。

「私は、あなたに堕ちました。もう前ような神には戻れないでしょう」

彼女は静かに熱っぽく微笑んだ。
そして、杖を消失させ自らの翼を閉じる。

「わたしは、女神の命に逆らいます。これからは、あなたを護るために剣を振う。そう誓います」

「い、いいんですか？」

「えぇ。貴方の罪深き力。それをわたしが、この身で受け止め続けて差し上げます」

　そして新たな仲間。堕ちた神の使徒アレシアがハルトのハーレムに加わったのであった。