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第二の私
しおりを挟む聖女って聞くと金髪清純敬語キャラが浮かぶんですよねぇ...
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職業選択を終えた私はおばあさまがいる白い部屋に戻ってきました
「終わったかい?」
「はい、あんな貴重品を使わせて頂いてありがとうございます」
「..本当に被ったんだね」
「何か?」
「いや..なんでもないよ それじゃあ聖女になる第一歩を踏み出した...んだけどね 特に義務は無いんだ 聖女になったからこうしろみたいなものもない 昔はあったんだけどある聖女が改革してね...」
義務が無いんですか..ですが私はいわば聖女見習いです お祈りや炊き出し 兵士の方々の治療..やれることをやらないといけません
「では自主的にやらせていただきますね」
「そうかい...それと...髪色が変わってないかい?」
おばあさまに言われて自分の髪色が銀髪から金髪に変わっているのに気づきました
「あれ...なんででしょうか...聖人に就いたからですかね?」
『【仮面の演者】の職業クエストが開始されました このアナウンスはプレイヤーには聞こえません』
『【聖女】の職業クエストが開始されました』
『【聖女への第1歩】のクエストをクリアしました 報酬 【聖霊魔法】【聖女の覚醒】のクエストが開始されました』
クエスト?いつの間に始まってたんでしょうか...
「私も初めて見た変化だよ 特別な何かが貴方にはあるんだろうねぇ...」
「そうなんですかね...あ、そういえば自己紹介をしてませんでした 私 キリューと申します」
「キリューちゃんね 私はナタリーだよ よろしくね」
「よろしくお願いします!」
「ああ、そうだ キリューちゃん もし聖女として何か活動するなら偽名を作った方がいいよ」
偽名...ですか 確かにトラブルを起こして周りに迷惑が掛かるのは嫌ですね...
「..せっかくですしおばあさまがつけてくれませんか?」
「私かい?そうねぇ...リュシーというのはどうだい?」
「リュシー...良い名前ですね ありがとうございます!おばあさま!」
「良いんだよ それで..リュシー この後はどうするんだい?」
「この後は...お祈りしてきます」
「分かったよ 私はもう少しここでやる事があるからねぇ」
「そうですか...ではまたお会いしましょう!おばあさま!」
「ええ、またねぇ」
「それでは...祈りましょうか」
私自身はお祈りは初めてやるのですが...
私の知っているやり方で良いんでしょうか?
とりあえずやってみましょう
片膝を着いて合掌し目を閉じ 祈る
『わぁ..あたらしいせいじょだー!』
『あなたはなんのせいじょー?』
『ひさしぶりにみたー!』
何か..声が聞こえた気がするのですが...
「気の所為..ですかね?」
お祈りも終えましたし何をしましょうか...
そういえば私は今のところ東の森にしか行ってませんね...逆に西に行ってみるのも良いかもしれません
「それでは行ってみましょうか」
西は...荒野でした それも嫌な雰囲気が立ち込める...
「...進んでみましょう」
見た感じ 敵は居なそうでしたが...
しばらく進むと雰囲気が変わった気がしました
そこからついに敵が現れました...
「..人..ですか?」
人にしてはおかしいのです
体のあちこちが腐っており焦点の合ってない目 あー うー とうめき声しか出さない姿
そして私に対して敵意を持っている事です
普通の人とは全く違います
「どうしたんですか?」
「アァー」
「大丈夫ですか?調子が悪そうですが...」
「ヴァゥァー」
その人は私に気づいたのかこっちに近づいてきました
やはり何か助けて欲しいんでしょうか?
「近くに町がありますしそこに行きましょうか」
「アウアー」
案内しようと街の方を向いた時 私の肩を強掴まれました
「痛っ..力加減間違えてますよ..!!」
やんわり振り払おうとするも離してくれない
そんな時
「ヴァ...」
その人の首が飛んでいた
その人から出る血は赤ではなく...緑...、
「えっ...えっ?」
「魔物を相手に何を悠長に話しかけているんだ君は」
「へ?」
声の聞こえる方向を見るとそこには純白の鎧に身を包んだ大剣を背負う男性の方がいました
「ご、ごめんなさい!!迷惑掛けてしまいました...」
「いや、いい その様子だと知らなかったみたいだしな」
「すいません...」
「それで君は...一体何をしている?」
「私は何か出来る事が無いかとこちらに来てみたのです」
「ふむ...魔物は私があらかた片付けているから特に無いのだが...」
「そうなんですか..ありがとうございます!」
「む?何故君がお礼を言う?」
「貴方が魔物を倒してくれたことで救われた人も居るはずですから!その人の分とさっきの分のお礼です!」
「...そうか」
「それで..私はお礼として出来る事が少ないんです...一応回復させときますね!」
「ああ、頼む」
その方に向けて聖魔法の【ヒール】を行いました
「...上手いな」
「どうしました?」
「いや、何でもない」
「そういえば貴方はこの後 どうするんですか?」
「変わらず魔物を倒し続ける」
「そうですか...なら着いていっても良いですか?」
「なぜ?」
「魔物と戦い続けると傷や疲労が増えてしまいますから 使える魔法は少ないですが少しでも助けになればと...」
「...そうか なら頼む 遅れたが俺の名はシュバルツ 同僚からは【騎士】と呼ばれている」
「シュバルツさんですね!私の名前はリュシーです!よろしくお願いします!」
「よろしくな それじゃあ行くぞ」
「はい!」
その後 私はシュバルツさんと一緒に魔物を殲滅した
身体が腐ってるゾンビや骨のスケルトン 薄っら見える幽霊の魔物のレイスとかと戦いました
最初は【ヒール】や【キュア】でシュバルツさんを回復してただけでしたが聖魔法の熟練度が上がったのか新たに【ハイヒール】や【ターンアンデット】という魔法が使えるようになりました
ハイヒールはヒールの上位互換
ターンアンデットはゾンビやスケルトンといった魔物に大ダメージを与えられる魔法みたいです
それのお陰で途中からはシュバルツさんの援護をしながら魔物を倒せるようになってました
「上達速度が早すぎる...君は一体...?」
「どうかしました?」
「いや..何でもない」
「そうですか あ、ゾンビです!【ターンアンデット!】」
聖魔法は不思議です 他の魔法と違って詠唱が要りません
その代わり..ヒールなら治したいという思い
ターンアンデットなら安らかに眠るように という思いが必要みたいです
私もゾンビやスケルトン レイスといった魔物には安らかに眠って欲しいです
特にゾンビとかは生前が人だったんですからあんな状態になって生きても嬉しくないと思うんです..
そんな思いがあるからかゾンビに対してターンアンデットを使う時は強すぎて眩しくなります
シュバルツさんは驚いてましたが特に何も言いませんでした
そんなこんなで続けていくと気づけば夜になっていました
「..まずいな」
「どうしたんですか?」
「夜のこの辺りは...今の私でも倒すのが難しい敵が出現する...私が時間を気にしてれば..すまない...来たぞ!!」
焦った顔をしたシュバルツさんがいきなり飛んできた闇魔法の攻撃を払いながらそう言いました
「あれは...」
攻撃の主は...ローブを羽織った...スケルトン?
それにしては雰囲気が強い
「...会うのは2回目だな...」
「あの魔物は一体...」
「あれはリッチだ スケルトンの最上位互換と思えばいい 闇魔法を巧みに操る魔法使いだ」
それは確かに厄介だ
見た感じ かなり強そうだ
「前衛は俺がやる 後衛からの援護を頼む!」
「分かりました!」
シュバルツさんが大剣を手に持って瞬時にリッチに詰めるがリッチは何か魔法を使ったのか即座に距離を取ってしまう
「ちっ!!また影渡りか!」
シュバルツさんを援護しながら考える
影渡り...影を移動することだと思いますが..今は夜 曇りのせいで月明かりが薄いです
ならここら辺一体は闇も当然
つまり自由に動けるのでは?
なら...
「【 光球】!!」
照らせばいい話です
リッチがシュバルツさんに詰められて移動しそうになった瞬間に周囲を照らし移動出来ないようにします
「カカカ!?」
「助かった!」
シュバルツさんがリッチに強烈な一撃を与えましたがその間に光球がリッチの闇魔法に潰されていたのか移動してしまった
「くっ...」
距離を取ったリッチは弾幕のように闇魔法を放ってきた
私は光魔法で対抗しつつ またリッチに詰めようとするシュバルツさんを援護する
そうして詰めて 私がまた光魔法で移動出来ないようにした瞬間
シュバルツさんの大剣を避け 周りの光球を破壊し私の目の前にリッチが現れる
「なっ..!?」
「えっ..!?」
いきなりこちらに攻撃を仕掛けてきたので避けようとするが完全には避けられず左腕が消し飛ばされる
「う..あっ...」
痛いです こんな痛み..実際に腕を切り飛ばされたらこんな痛みなんでしょう...
苦痛で顔が歪みそうになるのを我慢する
「大丈夫か!?」
シュバルツさんが急いでこちらに来るも間に合わなそうだ
そこで私は痛みに耐えながらも思い出した
博士さんから貰ったあれを
私が装備すると心の中で念じるとそれは私の周りに出てくる
「十字架..!?」
「カカ!?」
その十字架を操りリッチを吹き飛ばす
左腕が消えてしまったので片方しか上手く操作が出来ない
左の十字架は防御に使おう
「私は...大丈夫..です...早く...リッチを..!!」
激痛が身体に走る 左腕から血が出続けている
ヒールで血を止めようかと思ったがそこに回す労力すら惜しい
「この前戦ったやつはこんな強さじゃなかったはず...」
その時 ぞわりと何か嫌な物がくる感触がした
「シュバルツさん!!何か..来ます!!」
シュバルツさんはそれを聞いてこちらに下がってきた
リッチは何か魔法を詠唱しておりもう放つ準備が出来そうだ
「私が..時間を稼ぎます その間にシュバルツさんは...リッチをお願いします」
「だが...」
「じゃないと2人とも死にます!!」
「っ...分かった..だが死ぬなよ..私と違って君は死んだら終わりだ」
「勿論です!」
あれ?なんか勘違いされてます?まぁ、訂正はまた今度で良いでしょう
私は2つの十字架と【魔法陣】を媒介にして光魔法を発動します
戦闘中に上がった熟練度によって新しく出た魔法です
「【光よ 我が命の元に集いたまえ】」
光が魔法陣に収束し始めます
「【我が道を塞ぐ悪しき敵を葬り給え】」
完全に収束し終えた光はもう爆発するんじゃないなというくらい光っていました
「【光線】!!」
「カカカカ!!!」
私が発動した光線と闇のビームがぶつかり合って拮抗し強い衝撃波を生み出します
私は吹き飛ばされないように踏ん張りつつ魔力を送り続けます
「くっ..魔力がどんどん減ってきます...」
リッチの魔法が強力な為 それに強さを合わせ あわよくば越えようと魔力を注ぎ込みますが段々と押されていきます
「大丈夫...シュバルツさんが何とかしてくれます..!!」
お互いの魔力が尽きたのか分からないですが更に強い衝撃波を生み出した後 私は吹き飛ばされました
消えゆく意識で最後に見たのはリッチに向けて輝く大剣を振り下ろしたシュバルツさんの姿でした
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