135 / 161
襲撃
6☆阿倍野の棟梁の娘
しおりを挟む
高良は異界を正確に導かれて、阿倍野家と香茂家を繋ぐ橋の下から出た。
阿部野と香茂家の眼鏡橋は架け橋なだけで水は流れていない。
だが、高良の足もとは川のように屋敷の方に流れていた。
(これはどういうことだ?)
と不思議に思った瞬間、ブワッと自宅の方向から熱風を感じて驚愕する。
香茂屋敷が燃えている。
「な、なんてことだ!」
真夜中、屋敷が轟々と燃えていた。
「くそっ!」
高良は橘の事を守るために異界を通ってきたのに、家が大変なことになっていて、そちらを優先したが、そこには、橘も咲羅子もいた。
「橘、桜庭の姫!無事でよかった!」
高良の声を聞いて橘は狐耳をぴくりとさせたが、火の勢いを増す屋敷の前に水を溜めた桶の前に座って儀式の様に念を送っている。
そんな橘の様子を見護る香茂家の家族はみんな無事でいる。
高良はその事に安心しホッとする。
家がなくても家族が無事ならそれでいい。
「母さんたちが無事でよかった……それにしても、どうして……」
大体の検討は高良はつく。
「突然黒い服を着た奴らが現れて火をつけたのよ!大切な古書物も丸ごとね!」
牡丹は怒りで叫びながら説明する。
それは黒御足の一族だと高良はゾッとする。
阿倍野ではなく、香茂の方も襲撃するなんて……
邪魔するものは排除するということなのだろうか……?
「火をつけて消えたわ!なんなの!レッドスパイの輩ってほんっと金持ち嫌いよね!くそどもがぁぁ!見つけ次第、致命傷で済ませてやるわ!」
母の牡丹の口悪く言う通り金持ちを妬んでの犯行だろうか?
と高良は思いを巡らす。
「瞬殺はしないんだね……」
三鷹は苦笑して母に言った。
家を燃やされて気落ちどころか烈火の如くに怒り狂う母は強いと思う。
「わたしが命を奪うのは気分悪いじゃない!」
キッと怒りの瞳を三鷹に向けて当然に言う。
自分が原因で致命傷でも、最終的に命を奪ってないという理屈。
「それは、そうだけど……屋敷どうすれば…」
三鷹と弟たちは絶望してして燃え盛る屋敷を見つめる。
橘は耳と尻尾柄逆立つ。
「やっと、来てくれた!」
そういうと、橘は桶の水に血を一滴たらし、
「あやかしの棟梁である阿倍野晴綛の娘橘が願う!水に属するあやかしよ、燃え盛る炎を消す力を貸して!」
普段はない川から異様な気配が導き出でて、それは四本足のある龍の形になった。
龍ではなく蛟というあやかしのようだ。
水の桶よりも水嵩を増して、香茂の屋敷を燃え盛る炎を全て消し去る。
『これでいいかの?晴綛には酒をたんまり用意しろと伝えておいてくれ。』
「うん、わかったわ。またね、ミズチちゃん」
橘は蛟の頭を撫でてキスをする。
蛟は嬉しそうに体をくねらせながら眼鏡橋の影に入ると消えていった。
「橘があやかしの棟梁の娘だってこと忘れてた……」
高良はそう言って肩の力が抜けた。
橘は半妖であって、普通の人間より丈夫で力持ちでもあって、さっきの様に阿倍野殿に組みするあやかしを召喚することだってできるのだ。
正直、威津那がとんでもないやつなので忘れていた。
宮中では普通のあやかしは穢れになるので使えない力だ。
これで、婿養子予定の威津那が阿倍野殿になったら……と、高良は思うと苦笑いするしかない。
「橘……申し訳ないのだけど家が建て直すまで、阿倍野家にお世話になってもいいかしら…?」
牡丹は屋敷が全焼したのを見て、怒りが収まり気落ちしたようだった。
「ぜひ、そうして!困った時はお互い様!親戚なんだから遠慮要らないわ!部屋は余ってるし!」
そう言って、阿倍野屋敷に遠慮なく入る様に促す。
「ところで、高良くんは宮中からなんでここにきたの?」
咲羅子は不思議に思って尋ねる。
高良は橘が無事だった事、家が全焼した事に気が動転していて忘れていた任務を思い出し、真剣で深刻な顔をして、
「宮中で大変なことが起こって……橘が狙われているんだっ!」
いつも冷静な高良は宮中であったことを橘と咲羅子、家族に話した。
阿部野と香茂家の眼鏡橋は架け橋なだけで水は流れていない。
だが、高良の足もとは川のように屋敷の方に流れていた。
(これはどういうことだ?)
と不思議に思った瞬間、ブワッと自宅の方向から熱風を感じて驚愕する。
香茂屋敷が燃えている。
「な、なんてことだ!」
真夜中、屋敷が轟々と燃えていた。
「くそっ!」
高良は橘の事を守るために異界を通ってきたのに、家が大変なことになっていて、そちらを優先したが、そこには、橘も咲羅子もいた。
「橘、桜庭の姫!無事でよかった!」
高良の声を聞いて橘は狐耳をぴくりとさせたが、火の勢いを増す屋敷の前に水を溜めた桶の前に座って儀式の様に念を送っている。
そんな橘の様子を見護る香茂家の家族はみんな無事でいる。
高良はその事に安心しホッとする。
家がなくても家族が無事ならそれでいい。
「母さんたちが無事でよかった……それにしても、どうして……」
大体の検討は高良はつく。
「突然黒い服を着た奴らが現れて火をつけたのよ!大切な古書物も丸ごとね!」
牡丹は怒りで叫びながら説明する。
それは黒御足の一族だと高良はゾッとする。
阿倍野ではなく、香茂の方も襲撃するなんて……
邪魔するものは排除するということなのだろうか……?
「火をつけて消えたわ!なんなの!レッドスパイの輩ってほんっと金持ち嫌いよね!くそどもがぁぁ!見つけ次第、致命傷で済ませてやるわ!」
母の牡丹の口悪く言う通り金持ちを妬んでの犯行だろうか?
と高良は思いを巡らす。
「瞬殺はしないんだね……」
三鷹は苦笑して母に言った。
家を燃やされて気落ちどころか烈火の如くに怒り狂う母は強いと思う。
「わたしが命を奪うのは気分悪いじゃない!」
キッと怒りの瞳を三鷹に向けて当然に言う。
自分が原因で致命傷でも、最終的に命を奪ってないという理屈。
「それは、そうだけど……屋敷どうすれば…」
三鷹と弟たちは絶望してして燃え盛る屋敷を見つめる。
橘は耳と尻尾柄逆立つ。
「やっと、来てくれた!」
そういうと、橘は桶の水に血を一滴たらし、
「あやかしの棟梁である阿倍野晴綛の娘橘が願う!水に属するあやかしよ、燃え盛る炎を消す力を貸して!」
普段はない川から異様な気配が導き出でて、それは四本足のある龍の形になった。
龍ではなく蛟というあやかしのようだ。
水の桶よりも水嵩を増して、香茂の屋敷を燃え盛る炎を全て消し去る。
『これでいいかの?晴綛には酒をたんまり用意しろと伝えておいてくれ。』
「うん、わかったわ。またね、ミズチちゃん」
橘は蛟の頭を撫でてキスをする。
蛟は嬉しそうに体をくねらせながら眼鏡橋の影に入ると消えていった。
「橘があやかしの棟梁の娘だってこと忘れてた……」
高良はそう言って肩の力が抜けた。
橘は半妖であって、普通の人間より丈夫で力持ちでもあって、さっきの様に阿倍野殿に組みするあやかしを召喚することだってできるのだ。
正直、威津那がとんでもないやつなので忘れていた。
宮中では普通のあやかしは穢れになるので使えない力だ。
これで、婿養子予定の威津那が阿倍野殿になったら……と、高良は思うと苦笑いするしかない。
「橘……申し訳ないのだけど家が建て直すまで、阿倍野家にお世話になってもいいかしら…?」
牡丹は屋敷が全焼したのを見て、怒りが収まり気落ちしたようだった。
「ぜひ、そうして!困った時はお互い様!親戚なんだから遠慮要らないわ!部屋は余ってるし!」
そう言って、阿倍野屋敷に遠慮なく入る様に促す。
「ところで、高良くんは宮中からなんでここにきたの?」
咲羅子は不思議に思って尋ねる。
高良は橘が無事だった事、家が全焼した事に気が動転していて忘れていた任務を思い出し、真剣で深刻な顔をして、
「宮中で大変なことが起こって……橘が狙われているんだっ!」
いつも冷静な高良は宮中であったことを橘と咲羅子、家族に話した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
10
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる