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2、僕はヒモじゃないの!?
しおりを挟むそして現在…
「メシまだなの~はやくして~」
頭をバリバリ掻きながらドカっと椅子に腰掛け、僕に食事をせかさせる…
「はい少し待っていて下さい。あとはお皿によそるだけ…っと」
今日のメニューはニラレバ炒めだ。御飯をよそり、一つ一つテーブルに並べていく。
「すずさんも少しは手伝ってくれてもいいのに…」
と呟くと、すずさんはムッとして、お箸でぼくを指しながらお行儀の悪いのも構わずいつもの台詞を言った。
「何いってるのよあんた居候なんだから家事手伝いするのは当たり前でしょ?うだうだ言わない!」
そう言い、僕が作った夕飯をガツガツと男のように食べる。
テレビをつけると、ヒモ特集が放送されていた。
ひも男の生活密着取材というタイトルで隠しカメラで撮った映像が流れる。
同棲している女の人を送りだすと、食事の片付けをして、掃除をすると、おこずかいをもって外に出かける。
出かけたら、一緒に暮らしている人とは違う人と会いデートをして、仕事から帰ってくるころに戻り料理をして、おこずかいをもらう為にごますり。
そして、愛してるよとか囁いて愛しあって熱々以上は放送はできないので、司会者の映像に移りひもの生活について批判する。
そのテレビを黙って僕達は見ていた。
人事ではない生活風景にちょこっと、気まずくなった。
そう思っていたのは僕だけだったかもしれない。
なぜなら…?
「サイッテーよねー!この男!すきな女は一人にしろってのよ!養ってもらってる分際で!生意気よ!自分で稼げってのよ!女もおんなだけどさ!騙されていることに気づけってのー」
と食事の後のお茶をグビっと一口飲むとドン!と怒りをあらわすようにテーブルに置く。
「そ…そうだね…僕はそんなことしてないからね」
念のためそういっておく。
僕もヒモとかわらぬ生活をしているからだ。
すずさんは僕の方を見てきょとんとした様子で
「なにいってるのよ、あんた、ヒモじゃないでしょ?」
「え!そ、それは…そうだけどぉ…」
僕は戸惑った。
僕もすずさんに養ってもらってる身だ。
どうみても、どう考えてもヒモ生活だ。
すずさんは決定的にヒモとは違うといった口調でいった。
「だって!ヒモはあくまで彼女の彼氏でしょ?カイトは違うじゃないの。恋人じゃいし
「…………」
僕は言葉につまった。
すずさんは僕のことを弟のように思っていて、異性として僕を決して見ていないといっているようなものだ。
僕は少々傷付いた…
「まぁ確かにカイトはよく私に尽してくれているし…一言でいうなら奴隷みたいなものよねー」
奴隷…僕はヒモすら成れない…奴隷なのか?ヒモ以下…
頭にぐあんぐあん鐘をつかれたように奴隷という言葉が頭の中でこだまする。
「どうしたのカイト?」
「べ…べつに…なんでもないよ…」
涙声でなんとか答えた。
ああ…ヒモが羨ましい…僕もヒモになりいた。
いや…ヒモというか恋人になりたい!
すずさんは僕のことを異性として見ていない?
すずさんの好みの男性はどんな人なのだろう。
やっぱり大人の男が好みなのかな?
僕は大人の男を目指そうとしても年の差があるし大人びた雰囲気を自分でも持ってないと思うし…当分無理な話だ。
それにしても、すずさんに彼氏がいるとかそう言う話は聞いたことがなかった。
もしかして、僕に内緒で彼氏がいるとか…仕事場とか…それとも…
すずさんは近頃酔っぱらって帰ってくることが多い。
朝帰りとはいわないけれど、帰りが遅い。
すずさんの仕事はグラフィックデザイナー。
小さな会社らしいけど、残業も多いらしい。
一日会社に泊まることもしばしばある。
けれど、休みの前の日は酔っぱらって帰ってくるのだ。
どこかで飲んでくる。
そこで男と会ってるのかもしれない!
そう思うといても立ってもいられなくなった。
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