16 / 26
17、ライバルがキューピット
しおりを挟む
「気になるんだ?二人が」
ヒカルさんは、また、悪巧みを成功させようとしてる子供みたいににまにま笑い、
「なら、あの中に入っていけばいいのに」
「できないんですよ…すずさんをおこらせちゃったから……」
ヒカルさんさんから顔を背けてすずさんと真一郎さんの様子を見つめる僕。
その僕の後ろからヒカルさんは、僕の耳元に口を近づけて、
「キスしたとか?」
ぼくは図星をつかれてビクッと肩を震わせた。
「ど、どうして……わかったんですか……?」
どうしてバレたんだろう??
その反応を見て、ヒカルさんのほうが驚いたようだった。
「オカマの感。って、ほんとに?本当にあのすずにキスしたの?」
「こ、声が大きいですよ!」
声を殺して注意をする。
「ごめんごめん、じゃあ、更衣室いこう!」
隠れて更衣室へ移動するとき、真一郎さんはちらっとこちらを見て、ウインクをした。
その合図はいったい何の合図なんだろう…?
とにかく、すずさんには気付かれずに移動できた。
「へぇ~あのすずさんにキスしたなんて、武勇伝だぞ!」
武勇伝?どうしてそうなるんだろうか?
「おれなんか、すずにキス迫ったら、金的攻撃されて、オカマじゃなくてニューハーフにされるところだったんだぞ!」
「それこそ、すずさんの武勇伝ですよ……」
金的攻撃……
そんな恐ろしいことをすずさんなら躊躇わずにやるだろう。
僕は青ざめていた。平手打ちで済んで良かった…
ヒカルさんは興奮ぎみに目を輝かせて言う。
一矢報いたと言うような感じなんだろうか?
「……実はヒカルさんとの関係を誤解して……嫉妬して…キスしちゃったんですけど…」
「そのあとは…?それ以上やっちゃわなかったのか?」
そんな下品な言葉を使うのはちょっと気が引けたので、しばらく、黙ってから言葉を続けた。
「すずさんにぶたれて…冷静になって、とんでもないことしちゃった事気付いて逃げてきちゃったんです……」
恥ずかしさと申し訳なさで俯いて白状した。
「つまんね~そんなんで逃げたのか?」
ヒカルさんは呆れたようだった。
「つまんないことですか?」
「謝ればすむことじゃん、そんなこと」
「僕とすずさんにとってはそんなことじゃないんです!だって、約束やぶっちゃったわけだし…そういうことしないって約束…」
「約束はやぶるためにあるもんなんだぞ」
けろりとそんなことを言う。
「そう言う不実なことは嫌いです。」
僕はヒカルさんを睨んで言う。そんな不実なことをいうなんて、軽蔑してしまう。
「ホストだしね、仕方ないと思ってくれ。」
ホストだと仕方がないのか?真一郎さんもそうなのかな?
「ま、事情はわかった。本当にすずのことが好きなんだなあ……たんなる若手のヒモだとおもってたけど…」
「むしろ、ヒモになれたら…」
そう小声でつぶやいた。
ヒモは一応、恋人どうしに使う言葉だと、僕は思っている。
まだ警戒し、不貞腐れしてる僕の頬をぎゅっとつねって、笑顔の形にし、
「そーゆー顔するなって!お前の気持ちはわかったし、味方してやるからさ、元気出せ?」
ヒカルさんは意地悪だと思ってたけど(意地悪は変わらないけど)兄貴分といった雰囲気に僕は一気にヒカルさんへの警戒心が解けた。
「ホォンチョニ!?」
「恋のキューピットになってやる。
だって、すずはお前のこと……」
「へ?」
「なんでもないよ!それより、まずはあの二人の邪魔をする事だね」
ヒカルさんはキラリと目を光らせた。
本当はヒカルさんとすずさんの邪魔をするはずだったのに、ヒカルさんが僕の味方になって真一郎さんが恋敵になるとは全く考えてもいなかった…
更に思ってもない作戦だった。
「……ってなんで、女装しなくちゃいけないんですか?」
僕はヒカルさんに女装をさせられしまった。
自分でも誰だろうと思うほどに可愛く頭の左右にポニーテールをし(カツラ)、ピンクと黒と赤の色がおしゃれに配色されたゴスロリ系のメイド服(スカートが膝までで短くレースがひらひらついている)を着た女の子に仕立てられてしまっている。
「そのほうが、すずに会いやすいだろ?」
ヒカルさんは悪戯っぽい笑みで僕に微笑む。
「むしろ、会い辛いですよっ!」
「インパクトで許してもらおう作戦だ」
自分の作戦を曲げたくないヒカルさんはと題名までつけ宣言した。
「ばれたらすずさんのゲンコツが容赦なくディープインパクトしますよ!」
許してもらうどころか身の破滅だ。
その事に怯える僕をヒカルさんはじろりと冷ややかな目でみる。
「お前わがままなんだよ。
直接会いたくない、でも会いたい、勇気のないお前に、変身という魔法をかけてやったんだぞ、ありがたく思え」
「うっ…」
僕は図星をつかれて言葉に詰まった。
ほんとに、僕は勇気が無い、わがまま者だ。
人に手助けしてもらわなければ、すずさんと仲を取り持てないと思ってるんだから…
でも、女装は勇気の魔法だろうか?
「おーいヒカル!ちょっときてくれー」
真一郎さんがヒカルさんを呼んだ。
「マスターがお呼びだ、ちょっと行ってくる」
ヒカルさんは素早く更衣室を出て、真一郎さんの元へ向かった。
こっそり、その様子を見てみると、真一郎さんはすずさんとの席から離れてカウンターのところで話をしている。
その話が終わると、ヒカルさんは更衣室に戻ってきた。
「マスターからの命令で用事が出来たから、帰る。じゃあな!」
さっさっと貴重品をまとめると、そのまますぐ帰ろうとした。
「え!!?キューピットになってくれるんじゃ……」
「キューピットは大天使さまの命令が一番なんだよ。それに……」
キュッと僕の鼻をつまんで、怪訝な顔をし、僕を睨んだ。
「おまえ、藍ちゃんと蓮くん置いてここまで来たんだって?
しっかりしたお子様とは言え、危ないだろうが!
今日は俺が二人の面倒見る事になったからお前の面倒はやっぱ、大天使さまにみてもらったほうがいいってことになったんだ」
「あっ…」
そうだった。
僕も双子が心配で早く帰ろうとしていたのに、すずさんが気になって今に至る。
「まぁ…俺は、愛しの藍ちゃんに会えるチャンス貰えたからお前に感謝するけどっ」
怪訝の顔を消して、今度は、にまにま笑顔になっている。
まさか、ヒカルさんが好きなのは……
「ロリコン…」
藍ちゃんの名前を出すより先に思った事が口に出た。
ボコッとヒカルさんの拳が僕の頭にディープインパクトした。
「ま、とにかくマスターに任せておけば大丈夫だって」
真一郎さんはもとから僕に強力するって言ったけど……僕は複雑だった。
真のライバルは真一郎さんだ。
「心配すんなって、女装してるんだし、ちょっとやそっとじゃバレないだろう。うまくやれよっ」
と僕のお尻を叩いて、じゃあなと言い出ていってしまった。
ヒカルさんは、また、悪巧みを成功させようとしてる子供みたいににまにま笑い、
「なら、あの中に入っていけばいいのに」
「できないんですよ…すずさんをおこらせちゃったから……」
ヒカルさんさんから顔を背けてすずさんと真一郎さんの様子を見つめる僕。
その僕の後ろからヒカルさんは、僕の耳元に口を近づけて、
「キスしたとか?」
ぼくは図星をつかれてビクッと肩を震わせた。
「ど、どうして……わかったんですか……?」
どうしてバレたんだろう??
その反応を見て、ヒカルさんのほうが驚いたようだった。
「オカマの感。って、ほんとに?本当にあのすずにキスしたの?」
「こ、声が大きいですよ!」
声を殺して注意をする。
「ごめんごめん、じゃあ、更衣室いこう!」
隠れて更衣室へ移動するとき、真一郎さんはちらっとこちらを見て、ウインクをした。
その合図はいったい何の合図なんだろう…?
とにかく、すずさんには気付かれずに移動できた。
「へぇ~あのすずさんにキスしたなんて、武勇伝だぞ!」
武勇伝?どうしてそうなるんだろうか?
「おれなんか、すずにキス迫ったら、金的攻撃されて、オカマじゃなくてニューハーフにされるところだったんだぞ!」
「それこそ、すずさんの武勇伝ですよ……」
金的攻撃……
そんな恐ろしいことをすずさんなら躊躇わずにやるだろう。
僕は青ざめていた。平手打ちで済んで良かった…
ヒカルさんは興奮ぎみに目を輝かせて言う。
一矢報いたと言うような感じなんだろうか?
「……実はヒカルさんとの関係を誤解して……嫉妬して…キスしちゃったんですけど…」
「そのあとは…?それ以上やっちゃわなかったのか?」
そんな下品な言葉を使うのはちょっと気が引けたので、しばらく、黙ってから言葉を続けた。
「すずさんにぶたれて…冷静になって、とんでもないことしちゃった事気付いて逃げてきちゃったんです……」
恥ずかしさと申し訳なさで俯いて白状した。
「つまんね~そんなんで逃げたのか?」
ヒカルさんは呆れたようだった。
「つまんないことですか?」
「謝ればすむことじゃん、そんなこと」
「僕とすずさんにとってはそんなことじゃないんです!だって、約束やぶっちゃったわけだし…そういうことしないって約束…」
「約束はやぶるためにあるもんなんだぞ」
けろりとそんなことを言う。
「そう言う不実なことは嫌いです。」
僕はヒカルさんを睨んで言う。そんな不実なことをいうなんて、軽蔑してしまう。
「ホストだしね、仕方ないと思ってくれ。」
ホストだと仕方がないのか?真一郎さんもそうなのかな?
「ま、事情はわかった。本当にすずのことが好きなんだなあ……たんなる若手のヒモだとおもってたけど…」
「むしろ、ヒモになれたら…」
そう小声でつぶやいた。
ヒモは一応、恋人どうしに使う言葉だと、僕は思っている。
まだ警戒し、不貞腐れしてる僕の頬をぎゅっとつねって、笑顔の形にし、
「そーゆー顔するなって!お前の気持ちはわかったし、味方してやるからさ、元気出せ?」
ヒカルさんは意地悪だと思ってたけど(意地悪は変わらないけど)兄貴分といった雰囲気に僕は一気にヒカルさんへの警戒心が解けた。
「ホォンチョニ!?」
「恋のキューピットになってやる。
だって、すずはお前のこと……」
「へ?」
「なんでもないよ!それより、まずはあの二人の邪魔をする事だね」
ヒカルさんはキラリと目を光らせた。
本当はヒカルさんとすずさんの邪魔をするはずだったのに、ヒカルさんが僕の味方になって真一郎さんが恋敵になるとは全く考えてもいなかった…
更に思ってもない作戦だった。
「……ってなんで、女装しなくちゃいけないんですか?」
僕はヒカルさんに女装をさせられしまった。
自分でも誰だろうと思うほどに可愛く頭の左右にポニーテールをし(カツラ)、ピンクと黒と赤の色がおしゃれに配色されたゴスロリ系のメイド服(スカートが膝までで短くレースがひらひらついている)を着た女の子に仕立てられてしまっている。
「そのほうが、すずに会いやすいだろ?」
ヒカルさんは悪戯っぽい笑みで僕に微笑む。
「むしろ、会い辛いですよっ!」
「インパクトで許してもらおう作戦だ」
自分の作戦を曲げたくないヒカルさんはと題名までつけ宣言した。
「ばれたらすずさんのゲンコツが容赦なくディープインパクトしますよ!」
許してもらうどころか身の破滅だ。
その事に怯える僕をヒカルさんはじろりと冷ややかな目でみる。
「お前わがままなんだよ。
直接会いたくない、でも会いたい、勇気のないお前に、変身という魔法をかけてやったんだぞ、ありがたく思え」
「うっ…」
僕は図星をつかれて言葉に詰まった。
ほんとに、僕は勇気が無い、わがまま者だ。
人に手助けしてもらわなければ、すずさんと仲を取り持てないと思ってるんだから…
でも、女装は勇気の魔法だろうか?
「おーいヒカル!ちょっときてくれー」
真一郎さんがヒカルさんを呼んだ。
「マスターがお呼びだ、ちょっと行ってくる」
ヒカルさんは素早く更衣室を出て、真一郎さんの元へ向かった。
こっそり、その様子を見てみると、真一郎さんはすずさんとの席から離れてカウンターのところで話をしている。
その話が終わると、ヒカルさんは更衣室に戻ってきた。
「マスターからの命令で用事が出来たから、帰る。じゃあな!」
さっさっと貴重品をまとめると、そのまますぐ帰ろうとした。
「え!!?キューピットになってくれるんじゃ……」
「キューピットは大天使さまの命令が一番なんだよ。それに……」
キュッと僕の鼻をつまんで、怪訝な顔をし、僕を睨んだ。
「おまえ、藍ちゃんと蓮くん置いてここまで来たんだって?
しっかりしたお子様とは言え、危ないだろうが!
今日は俺が二人の面倒見る事になったからお前の面倒はやっぱ、大天使さまにみてもらったほうがいいってことになったんだ」
「あっ…」
そうだった。
僕も双子が心配で早く帰ろうとしていたのに、すずさんが気になって今に至る。
「まぁ…俺は、愛しの藍ちゃんに会えるチャンス貰えたからお前に感謝するけどっ」
怪訝の顔を消して、今度は、にまにま笑顔になっている。
まさか、ヒカルさんが好きなのは……
「ロリコン…」
藍ちゃんの名前を出すより先に思った事が口に出た。
ボコッとヒカルさんの拳が僕の頭にディープインパクトした。
「ま、とにかくマスターに任せておけば大丈夫だって」
真一郎さんはもとから僕に強力するって言ったけど……僕は複雑だった。
真のライバルは真一郎さんだ。
「心配すんなって、女装してるんだし、ちょっとやそっとじゃバレないだろう。うまくやれよっ」
と僕のお尻を叩いて、じゃあなと言い出ていってしまった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる